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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:50mL・37,180円 / 100mL・52,800円発売日:2025/9/1
2025/10/10 17:33:13
サロパにてお試し、ムエットのみの感想です。
生い茂る草、時間が経つとマンゴーがやっと顔を出す、けど最後まで草の存在感が絶大。
メンズラインに何故しなかった?ってくらいキリッとしてる。
最近のゲランは(アクアアレゴリアですが)フローラブルームを長く推してるし、草系とかキュウリ系がお好き?
個人的に草薫る系は苦手なのでそっと離れました…
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- doggyhonzawaさん
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)・香水・フレグランス(その他)]
税込価格:-発売日:-
2024/12/21 04:04:31
ガチに伝説的なウードの香りが、あなたを心の深淵へと誘う。
時をこえて作られた木々の香り、ニコライのウードサブライム・エリクシールは、本物ウード香水の究極を味わえる逸品だ。
この香水は、2020年にフランスの調香師パトリシア・ド・ニコライによって創作された。彼女は、香水業界での豊富な経験を活かし、中東の文化からインスパイアを受けてこの作品を生み出した。ウードサブライムはアンバーウッディ系の香水で、貴重なカンボジア産のウードをこれでもかと投入した深い香りが特徴的だ。ではいったい、どんな香りなのか?
ウードサブライム・エリクシールをつける。最初の一吹きで感じるのは、まるで大地から湧き上がるような力強い香りだ。最初はスパイス&ハーブの清涼感、そしてすぐに続くのは、ムワッとするほどのアニマリックな香り。さながら動物の厚い毛皮の中に鼻を突っ込んだようなくぐもった匂いがしてくる。そして同時に、木の樹脂をこげ茶色まで煮詰めたような強いスモーキーな香り、それがスッキリした酸味を伴って追いかけてくる。
なんと複雑で濃密なトップだろう。この最初の一撃が凄まじい。全ての香料が「発酵」「熟成」した年季を感じさせる。ダメな人はこのトップを嗅いだ瞬間「うわっ、パス!」となるはずだ。
このトップノートには、コリアンダーやアルテミジア、アンブレット、そしてダバナがクレジットされているが、印象としてはまさにウードが一気に炸裂している雰囲気だ。しかもそのへんのウードではない。本当に濃厚で希少なタイプ。もし「ウードってどんな香り?」と思ったら、まずこのサブライムを嗅いでみることをお勧めしたい。さすがゲラン一族出身のニコライ女史、本当にすごみのあるウード系香料を使っている。好きかどうかは別にして。
時間が経つにつれ、香りは次第に乾いた感じに変化していく。トップノートが落ち着くと、ミドルのカンボジア産ウードは、軽やかで酸味のある美しい木の油といった表情になる。この乾いてきたあたりの香ばしいウード香は最高に心地よい。ヒノキとシダーのような「温かみ」と「冷たさ」の対比、そこに少し辛味と酸味のある樹脂香が混じったような、えも言われぬ香りになる。まるで古代の寺院で焚かれるお香のように神秘的で深い。さらにパチョリのノートも加わり、土系のスパイシーな力強さも感じられる。このミドルのウードは、さながら深い森の奥で何百年も佇んできた高貴な木々と発酵した大地の匂いだ。
ラストは、インセンスやスチラックスがお香っぽさをにじませ、寺院の雰囲気が感じられてきて終息する。ウード香はより穏やかになりつつも、その存在感は決して薄れない。空が次第に赤く燃え上がってゆく夕映えのように、静謐な煙のドライダウンを迎える。
持続時間は時と場合によるし、つける量でも異なるが、終始2〜4時間くらい。この香水は、トップが一番強烈にウードの複雑なファセットを感じることができるように思う。清涼感、スモーキー、酸味、樹脂感、苦み、そして辛味。それらが複雑に変化しながら次第に乾いていき、透明な煙のように立ち上っていく展開を見せる。まさにエリクサー。秘薬のごとき神秘的な香り。
この香水を肌にのせていると、知らず知らず心は、中東の古都の雑踏へ誘われる。夕暮れ時、黄金色に染まった空の下、人々が色とりどりの衣装をまとい行き交う。黒いアバーヤを身にまとった女性たち。白いディシュダーシャを着た男たち。市場ではスパイスや果物の甘い香りが漂い、賑やかな声が響いている。柔らかな日差しと共に心地よい風が吹き抜ける。色とりどりの布地や陶器が並ぶ露店、その合間から見える青空と夕日のコントラスト。エキゾティックな人々の笑顔に共鳴する乾いた音楽。人々が行き交う通りに、それぞれ衣服に焚きしめたウードが、香りの引き波を幾重にも交差させる。
ウードサブライム・エリクシールは、奇跡的に生成される世にも奇妙なウード香を可能な限り投入して作られた特別な香水だ。値段は調べなくていい。そうそう買える金額ではない。もしもこの香水にどこかで出会えたら、それじたいがとてもラッキーなことだ。幸運にもこの香りを纏えたら、きっとあなたは自身の存在価値とこれまで過ごしてきた「時間」に思いをはせるだろう。希少なウードが作られるための奇跡の時間はあまりに長く、私たちの人生はあまりに短いのだから。
香水の深淵をのぞいてみたいなら、ときにこんな特別なウードを探してみるのも一つの手だ。ウードサブライム・エリクシール。その一滴は、あなたの心の深い泥の中で、今なおゆっくり発酵し続けている豊穣な魂の香りだ。
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- doggyhonzawaさん
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)・香水・フレグランス(その他)]
税込価格:-発売日:-
2025/8/30 15:31:47
太陽がくれた「神のオイル」、タヒチアンティアレとココナッツヴァニラの濃密な香り。
キリアン パリの「サンキッスド ゴッデス」は、2024年に限定発売された香水だ。ブランド創業者キリアン・ヘネシーが、ポリネシアの伝統的な万能オイル「モノイ」に着想を得て創り上げたこのフレグランスは、太陽に焦がれた肌を鮮やかに彩る優美な香りに満ちている。
モノイはティアレフラワーをココナツオイルに浸した神秘の香りであり、タヒチ島の女性達が日常的に保湿・美容、神聖な儀式に用いる「神の贈り物」として愛されている。
サンキッスドゴッデスは、モノイのエモーションを調香師カリス・ベッカーが現代の感性で再解釈したもので、キリアン自身の夏の思い出と五感を体現した一遍のロマンティックな詩のような香水だ。
美しいゴールドキャップを外し、サンキッスドゴッデスをスプレーする。
その瞬間、可憐なティアレの花と香ばしいココナッツの香りが、一気に真夏の楽園へといざなう。太陽に祝福された肌が、波音に誘われてきらめく。南太平洋のまばゆい白い砂浜、どこまでも透きとおるエメラルドブルーの海が眼前に迫るトップ。
目を静かに閉じてさらに香りを味わう。
ティアレの低音部を影のように寄り添う、熟れたバナナのようなフルーティーが感じられる。それは黄色いイランイラン。白く小さなティアレの花が、ココヤシの木陰で海風に花弁を揺らし、妙なる香りを放っている。密林の奥からは誘いこむようなイランイランの香りが、時折風に乗って運ばれてくる。その情景がありありと眼前に浮かぶ。
遥かなる楽園。くつろぎのひととき。強い陽射しと同じくらいに濃い、熱帯植物が砂浜に落とす陰影。生き物の匂い、強い潮風、熱帯の密林が放つ濃厚な緑の吐息。
その中に咲きほこるエキゾティックな花々。したたる蜜の匂い。
ティアレフラワーの純白とイランイランの蠱惑の共鳴。白い花びらが眩しい太陽の光を浴びて輝く影で、細くうねった黄色い花弁のイランイランが妖しく揺れる。その対比の妙、バランス。
肌にまとわる熱い潮風と、太陽の光に溶ける花の香の甘さ、その二重唱。それらを包みこんでゆく甘く切ないココナッツオイルのクリーミーとヴァニラの狂おしいヴェールに心がほどける。
それぞれの香りのアコードが、ビーチチェアに身体を預ける女性の褐色に灼けた肌をやさしく包みこむ。いつまでもここにいたい。時間とこの身をこんがり灼いて溶けてしまいたい。そう思わせる歓喜と官能の香り。
日が傾くほどに、香りは深く温かみに満ちていく。ウッディとシスタスラブダナムのわずかなスパイシーが、鼻腔の奥に忘れ得ぬ夏の甘苦い余韻を灯す。
南の島の夕暮れ。昼と夜の狭間。黄金色に染まりゆくビーチ。波の破片が金色にきらめき、指先から肌へと太陽のぬくもりが火照りを与えてゆく時間。遠く水平線に溶けてゆく夕陽に頬が赤く染められる。刻々と変わりゆく夕闇のグラデーション。オレンジに萌える空の上で南太平洋の星々が巡り始める。その永劫の営みの中、身体が潮風と花の香りに包まれている。バルコニーでグラスを傾けて、夜の始まりのしじまを感じるひととき。白く柔らかなティアレの花が心に咲いている。
キリアンのブランドにふさわしいラグジュアリーな持続力と品格にあふれ、それでいて押しつけがましくない香水の1つ。ひと吹きで長時間、肌にそっと寄り添いながらも過度に主張しない。自分偏愛のローリングインラブのように、すっと肌に寄り添い、自分の匂いに同化してゆく。キリアンはこの「肌と香りのすり合わせ」を何よりも大切にしている印象がある。香り自体の構築美と余韻は格段に秀逸、それでいて香りをつけた人の肌感覚がどうなるかを徹底的に突き詰めている。どこまでもロマンティックに、自分の肌から立ち上る香りで夢を見続けられるのか。洗練するということは何を引き算するかということ。それをキリアンはいつも大切にしている。そう思う。
やがて夜の海。ぬるびた風が止まり、銀の月が波頭を揺らし、島のかがり火が夜の入口を告げる。サンキッスドゴッデスのラスト、ココナッツヴァニラの優雅な香りが、静かに、けれどこまでもエキゾティックに心と身体を楽園の迷宮に導いていく。どこまでも深く。
漆黒の海。その頭上。満点の星空に幾億もの星々がまたたいている。海風に長い髪が巻き上げられ、ティアレの白い花弁がふわりと宙に舞う。
ゆっくりと瞳を閉じる。黒髪の背中が波音に重なる。消えゆくラストに、交わした言葉の記憶が紡がれてゆく。
それは真夏の抱擁。太陽が恋した夏の女神への柔らかなキス。
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- doggyhonzawaさん
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2026/3/7 07:28:26
「大変!キリアンが桜の香水を出すわ」
彼女が息を荒げて言う。彼女はキリアンの香水が大のお気に入りだ。ふだんでも大きな瞳を、くりくり回して興奮しながら続ける。
「しかも京都よ!新作は京都の桜がモチーフよ。やば!ヤバすぎよ…」
そう言ったかと思うと、ぼくの目の前にスマホ画面をぐいと差し出す。ちょと!危ないから。そんなのおかまいなしに「この何とかが目に入らぬか―!」みたいにあおってくる。目をしばたかせながらその名を読む。
「…Her Majesty。それって『女王陛下』って意味?」
「ノンノン!これだけなら『陛下』よ。もちろん"Her"がつくから女性に対する敬称だけど、ハーマジェスティは『最上級の敬称』でしかないわ。つまりこの後に"The Queen"などがついて初めて『女王陛下』になるのよ。だからこれだけじゃ誰のことを言ってるのか謎!この後に続く一番大事な人物名や役職名が省略されてるのよ」
「…はー、そうなんですね?」
「そうなのよ!ちょっと誰のこと指してると思う?あーダメ!気になって眠れない私!」
「…はあ」
そしてそれ以来、2人のネバーエンディング推理な日々が始まった。
彼女の予想はとどまることを知らなかった。"Her Majesty 〇〇"の〇〇に入る名前は一体誰なの?「桜」のことかな?でもどんなに感動したとしても桜に最上級敬語はつけないと思う。だって英語圏なら「自然崇拝」はGodやGoddessが一般的よ。だからやっぱり人よ。もし"Her Majesty the Queen"ならなぜ書かないの?"Her Majesty the Empress "で皇后陛下のこと?まさかね。彼がそんなセンシティヴな話題にふれるはずがない。といった具合に。
ぼくもまたその謎にぐいぐいと惹かれていった。確かに不思議だ。一体なぜキリアンは、その最も重要な名詞を空位にしたのだろう?
そしてぼくらは、2か月間毎日、あれこれとタイトルの謎について論じ合い、2026年2月、ついにハーマジェスティを手に入れた。そして互いの手首や体に何度かプッシュし、待ちに待った香りをゆっくりと味わった。それは「桜香水」の予想をくつがえす意外な香気に満ちていた。
「あ。桃の香り。でもほんのりだわ。もっと強い香りがする。アルデヒドかしら?水色の香りが強く拡散してくる。」
「桃か。確かにあるね。でもぼくの肌では一瞬、塩ナッツみたいな香りがしたな。アンブレットシードのベースかな。その後に清らかな水が流れてくるような。」
「それよ。わー、これアクアが強いんだわ。トップからガンガンきてる。うー私、アクア強いと頭痛になるかも。」
「んーでも、昔の瓜系みたいな感じはしないよ。とても清々しいアクアがずっと流れてる。あ、ミドルで水の奥から桜っぽい香りが。」
「そう!桃とローズ。ローズをすごく感じる。」
開幕から30分でぼくらは多くの情報を得た。桃、瑞々しく流れるアクア。そしてたおやかなローズ。それは古都の優雅な抽象。美しい桜風景のアコード。
香りを嗅ぎながら思った。京都を訪れたキリアンは、そこで何を見たのだろう。静かな哲学の道。澄んだ水が流れる水路の脇に、爛漫と咲いた桜の花。そこに春の柔らかな風が吹く。はらはらと花弁が舞い踊り、雪のように白く水面に落ちる様を思った。やがて花弁は水面に集まり、うす桃色の「花筏」となって水の上を流れてゆく。
彼女は手首を近づけたり遠ざけたりして嗅いでいた。「うん。これくらいの距離感かな。今回のはつける場所、距離感が大事かも」そう言って笑った。長い髪が揺れた。ハーマジェスティの水と桜の香りがした。その瞬間、胸が高鳴った。
「少し歩かない?」「いいわね!そういう気分よ。」
冬の乾燥した街を歩いた。それでもぼくらは、しっとりとしたキリアンの水のヴェールに包まれていた。彼女は何度も手首を鼻に近づけて「ラストでシプレの骨格、わかる!パチュリの感じ」とうれしそうだった。ぼくはその手を優しくつないだ。
キリアン。あなたもこうして哲学の道を歩いたろうか?愛する方と2人で。あなたが空位にした「名前」は誰だったのか。ぼくらはこの極東の小さな島の片隅で、それでも世界中の誰よりも長い時間、それを推察しあって楽しかったよ。
そう。きっとあなたは、この香水を手にする全ての女性に、特別な敬称を捧げたのだろう。「あなたの人生の玉座に君臨するのは、あなた自身だ」と。散ってなお美しい、日本の桜のたたずまいに強い感銘を受けて。
そしてぼくは心の中で「Her Majesty 〇〇」の空位に、そっと彼女の名前を置いた。
さあ参りましょう、私の陛下。春爛漫の京都、その心の旅へ。
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2026/1/1 00:04:21
最初に言っておく。ビヨンドラブは「愛らしい白い花」の香りではない。チュベローズという花が持つ、最も危険で、最もあらがいがたい側面を正面から突きつけてくる香水だ。
By Kilian が2007年に放った最初期の香りのひとつ、それがビヨンドラブ。
ブランド黎明期、キリアン・ヘネシーは「香りより先に名前を決め、物語を用意する」という手法で香水制作を始めた。その思想を知ったうえでこの香水を嗅ぐと、すべてが腑に落ちる。これは“愛の中”の香りではない。愛を踏み越えた、その先の匂いだ。愛なんて生ぬるい。ビヨンドラブは、理性を喰らい尽くす純白の捕食者だ。
だから、香水というものを単なるファッションやモテ、身だしなみと捉えている人は、この先を読む必要はない。ビヨンドラブは、まとう者の心を縛り付ける見えない鎖であり、魂を溶かす美しい呪いの雫だからだ。
2007年、香水界の貴公子キリアン・ヘネシーが立ち上げた「L'uvre Noire(黒の傑作)」コレクション。その中に、ひときわ異彩を放つ一瓶があった。「Beyond Love(愛を超えて)」と名付けられたその香水には、さらに「Prohibited(禁じられしもの)」という背徳的なサブタイトルが刻まれている。知っていて損はない。副題をつけたキリアン初期作品は、どれも恐ろしい熱量をもつ初期衝動の塊だ。自分もこの歳まで知らずにいて、今頃震撼している。
愛を超えた先にある「禁じられた世界」。それを物語る主役は、夜に咲き人々の心を惑わせる禁断の花、チュベローズ。
調香師カリス・ベッカーとキリアンが目指したのは、神が創造した「花そのもの」への挑戦、すなわち「リファレンス(絶対的基準)」の構築。世界最高のチュベローズ香水だ。
ビヨンドラブをスプレーする。その瞬間、世界は反転する。一瞬で肉感的な白い花の香りに心が持っていかれる。同時に、鼻腔を貫くのは鋭利な刃物のようなグリーン。 生のチュベローズだけが持つ青臭い茎の匂い。そしてカンファーにも似た、背筋が凍るような冷ややかさ。それらが一瞬で進撃してくる、それはまるで、真夜中の花畑に迷いこみ、暗闇の中で白いドレスの女性に抱擁されたように。思わず「えっ…」と声が出る。 それぐらい心を一気にわしづかみにされるトップノート。
やがて体温という熱を得て、花はその本性を現し始める。 ミドルからラストにかけてのジャスミンとチュベローズの饗宴は、まさに「耽美」の一言に尽きる。 ほんのり感じられるココナッツのアコードは、チュベローズが本質的に隠し持っているラクトニックな肉感を極限まで増幅させるための媚薬。それは塩バターのような低音で響き、とろけるようになめらかだ。だが、決して重くない。まるで自分の肌そのものが、甘美な花弁に変異してしまったかのような錯覚。ジャスミンのインドールは獣のような荒々しさを模倣し、甘いムスクが理性の境界を曖昧にしていく。
かつてヴィクトリア朝時代のイギリスでは、未婚の少女たちが夜のチュベローズ畑に近づくことを禁じられていたという。「そのあまりに官能的な香りが、彼女たちの理性を狂わせ、オーガズムを誘発する」と恐れられたからだ。 現代においてその秘密を身に纏うことの意味。 それは、自ら進んで禁域へと足を踏み入れる行為に他ならない。
この香水は、他者に「いい香り」と思わせるための道具ではない。 ビヨンドラブは、自分自身の内側に眠る「情熱」や「狂気」を呼び覚ますための、儀式的な装備だ。 残念ながら、この傑作は現在、廃盤(アーカイブ)となり、入手は極めて困難。世界中のファンが血眼になってよい状態のユーズドを探しているといういわくつきの逸品。だからもし奇跡的にこの漆黒のボトルに出会うことがあれば、迷わず試してみてほしい。 そのあまりに生々しい強香にたじろぎ「これはつけこなせない」と敬遠する人も多いという。けれどそれはきっと、あなたの人生における「愛」と「官能」の定義を書き換える、衝撃的な体験となるだろう。
安っぽいロマンスや、予定調和のハッピーエンドに飽き飽きしているあなたへ。 愛することに疲れ、それでも愛に飢えている、美しき獣たちへ。 この香りは、あなたの孤独と絶望に寄り添い、そして背後から優しく喉笛に噛み付く。
呼吸するたび、甘やかにおかされていく自身の体温。気付けばあなたは、狂おしい蜜香を闇に漂わせる孤高の白い花となる。
ようこそ、愛を超えた執着という名の楽園へ。
誘惑に堕ちた断末魔どもの残響の彼方へ。
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