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doggyhonzawaさん
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ラルチザン パフューム / ニュイ ド チュベルーズ オードパルファム

ラルチザン パフューム

ニュイ ド チュベルーズ オードパルファム

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50mL・16,500円 / 100mL・21,450円発売日:-

4購入品

2022/11/12 22:35:18

ニュイドチュベローズ。和訳「チュベローズの夜」。なのにこの香水はチュベローズの花の香りがしない。ではいったい何の香りがするのか?

ニュイドチュベローズを肌にのせる。その瞬間、「う」とか「わ」とか言って眉間にしわを寄せる人がいる。首を横に振って「これムリ」という人もいる。なぜか?

それはスプレーした瞬間、タンスなどに入れる防虫剤系の匂いがするからだ。ツンと鼻を刺す独特の匂い。かつてはクスノキから抽出された樟脳、今は化学合成されたパラジクロロベンゼンの匂い。あの目にじわりとくるような刺激臭が、この香水のトップで炸裂する。昭和的にはのっけからかなり「ギャフン!」な開幕。

この強烈な忌避剤の匂い、カンファーノートが、脳内に事前インプットされた「チュベローズの香水」というバイアスを見事に打ち砕く。何これ?チュベローズってジャスミンを濃厚にしたような「官能的なフローラル」じゃないの?全然違うじゃん!ぷんすかぷん!→終了。

そう。このトップの奇妙さゆえにこのチュベローズ香水を忌避してしまった方は多いよう。実は自分も以前そうだった。

ところが

ある寒い日につけたところ、見事に印象が変わった。断言する。この香水は乾燥した秋冬の使用がいい。なぜなら乾燥した寒い日につけると、このカンファーノートの下からクリーミ
ーなガーデニア系のフローラルが出てくるのを感じられるからだ。

このカンファーとクリーミーガーデニアのデュエットが感じられるとハマる。

つけて5分間、ネオパラなんちゃらな清涼スパイシーとまったり濃厚なホワイトフローラルが絡み合うように複雑に香りあう。このとき、はっきりとわかる。

これはわりとリアルなチュベローズの香りかもしれない。と。

実は生花のチュベローズは、ジャスミンやガーデニア系の濃厚なフローラル成分のほかに、ちょっと生くさい感じや青みが奥にあって、非常に香水にしづらい成分が多いという。そこで、一般的なチュベローズ香水は、その辺を排除して「濃厚なフローラル部分」だけを人工的に強調再現したものが多くなる。つまり私たちはそうした「フローラル部分の強調香」をチュベローズの香りと誤認識してしまっている面もあるわけだ。

とはいえ

この香水のチュベローズの花の香はひかえめすぎると思う。よく言う「むせかえるような濃厚なホワイトフローラル」「なまめかしく官能的な香り」からはほど遠いすっきりした薄さ。もしかしたらこのニュイドチュベローズ、あえてフローラル部分を抑制した?と思うほどに。

つけて10分ほどすると、先ほどまでのクセの強いカンファーは次第にうすまり、冷たい甘さと強い苦みが感じられてくる。アンジェリカ独特の香りだ。アンジェリカの香りといえばゲランのアンジェリークノワール。あちらはトップからきれいにスイート&ビターが出てくるが、この香水ではミドルで感じられてくる。カンファーが消えても、アンジェリカの苦みが続く不思議な調香だ。そして相変わらず花の香りだけがうっすらと消え入りそうに展開している。これじゃアニメの「僕だけがいない街」ならぬ「花だけがいない香水」だ。

ミドルなのに「花」がいない。いったいなぜなんだろう?

つけて1時間すると、香りはまた複雑に変化する。ラルチザンで好きなように香りを創っていた頃に、調香師ベルトランが好んで使った「セロリノート」とも言うべき香味野菜っぽいベースが出現してドライダウン。それはまさにチュベローズの、アスパラっぽい茎やつぼみのグリーンな香りも表しているようで面白いが、個人的にはゾンカ同様あまり好きな香りではない。

ただ

どうやらこのニュイドチュベローズ、ある種の女性がつけるとかなり危険な「誘惑する香り」になるらしい。それは、体臭にラクトンC10(キンモクセイ)やC11(ピーチ)などの「スイート臭」が多い方、ロート製薬の研究によると35歳以下の女性だという。この2つのラクトン香は、まさにチュベローズの花に含まれる成分にも近い。ということは、たとえこの香水に花の香が欠けていても、女性がつけることでフローラルは補完されるということ?

そうか

この香水はあえてそうしたのかもしれない。女性自身の体臭に含まれるフローラル香の成分、そこにカンファーのスパイシー、アンジェリカやセロリのグリーンをプラスすることで、チュベローズ香が完成するようにしたのではないか。そう考えると「フローラルだけがいない香水」の意味もわかる。男性のウッディな肌なら、なおさらチュベローズはいないわけだ。

ニュイドチュベローズ。それは真夜中に香りを濃厚にする黒い魔性の花。
女性の肌の匂いを感じて夜に開く、白い天使のような花。

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フレデリック マル / イリス プードゥル

フレデリック マル

イリス プードゥル

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:10ml・7,920円 / 30ml・21,780円 / 50ml・27,720円 / 100ml・39,600円発売日:- (2018年11月追加発売)

5購入品

2022/2/27 13:41:55

とても素敵なアイリス香。貴婦人が纏う薄いシルクシフォンを連想させるほど柔らかい。

主役は当然パウダリーなアイリスだけと脇役のウッディな香りがとてもいい仕事をしている。まるで新人俳優が主役を務め超ベテラン俳優が脇役でがっちりサポートみたいに。年季が入った演技で主役を食おうと思えばできるのに、敢えてそれをやらずに引き立て役に徹している。

シュッと一吹きするやいなや上品なスミレとアイリスのパウダリーな香りが広がる。パウダリーと言っても白粉のようなむせそうな化粧っぽさはない。寝具や服の香り付けに使われたオリスルートに上品なフローラルを足したようだ。

トップの名脇役はローズウッド。精油持ってるけど薔薇と木が合体したような香りに加えて、スースーした樟脳に似た微かな刺激臭と酸っぱさのある柑橘系の香りが混ざっている。そんなローズウッドとスパイシーさのあるカーネーション、ほろ苦い爽やかさのベルガモットがこの香水を洗練されたものにしている。これだけだとかなりメンズ寄りな香りになるところにイランイランとオレンジが軽やかな甘さを添える。さすが名香クールウォーターを作ったピエールブルドン。上手い!

やがてミドルでフローラルが重なる。アルデハイドも入っている香水は外国製の強い香りの石鹸に例えられることが多いが、同じ石鹸でもそんなキツさも感じさせない。衣服に残ったフローラル石鹸の残り香といったところだ。特定の花が目立つことなくまとまっているが、時々一種類だけが強く感じられることがあるのが面白い。

ラストになるまでかなり長時間特に驚くほどの変化が無いミドルノートが続く。心地よいふんわりした香りなので変化のなさは安心感などの長所として働く。この香りに包まれてウトウトすると幸せだ。

というわけでつけたまま昼寝。悦びに浸ろうとつけた鼻を近づけて香水をつけた手首を嗅ぐ。

あの…..

香りが「ムフフ」って言ってるんですけど。

誰かが香水はキスしてほしいところにつけるのよって言ってたよね。これつけて男性とハグしたらキスに続くその「ムフフ」が始まりそうなんですけど。

遠いところで嗅いでみると先ほどのシルキーな貴婦人の香りにもどっている。

そういえばこれってカトリーヌドヌーブの映画、昼顔をモチーフにしていた。上品な女性の裏の官能的な顔に焦点を当てたストーリーだったっけ。香りでもそれを表現したんだ。先ほどの上品なアイリスとは対照的なダークな香り。お酒飲んだ後お持ち帰りされちゃった翌日の朝のベッドのようなにおいが微かに混ざったムスク。動物的なニュアンスはミドルからのジャスミンか。

アイリスの下で香る微かなバニラとベチバー、サンダルウッド、アンバーに加えてなんだかわからないウッディな香り。キャラメルや黒蜜を思わせる甘味とよく熟成した煙草のようなコクと微かなスモーキーさを伴ったウッディだ。調べてみるとエボニーウッドとある。

エボニーウッドとは黒檀のことらしい。黒檀自体が希少なので実際にその精油が入っているかはわからない。予算内で香水を作れとは言わないフレデリックマルだから本当に使っていても不思議はないけれど。

黒檀は読んで字の如く木目細かい美しい黒い肌が特徴で18cmの太さになるまでに20年もかかるようだ。色調も薄いものから濃いものまで色々あって一般に濃い方が価値が高い。産地は主に東南アジアで許可証付きで超高額取り引きされている。現在日本では入手困難、エボニーウッド近縁種の産地のアフリカでは資金源としてギャングに強奪される事件が相次いでいるほどだ。そんなことを言われるとますます黒檀の精油を嗅いでみたくなる。

ずっと香りを嗅いでいるとなんだか肌の中から自分でコントロールできない感情が湧いてきているみたいで変な気分。黒檀そのものは昔から高級木材として世界各地で使われていて、その香り自体が催淫作用を持つものとして知られているわけではないのだが。

このダークでエロティックな香りが上品なアイリスの香りの中から時々滲み出る。自分の中の女性性に向き合えと言われているみたいで複雑な気持ち。かといって嫌いではなくてむしろ好き。

そういうわけで別に隠す必要もないけど自分ひとりの時だけこっそりつけてる。

トップノート: イランイラン、カーネーション、ベルガモット、パリシアンローズウッド、オレンジ
ミドルノート: アルデハイド、バイオレット、ジャスミン、ローズ、リリー、マグノリア
ラストノート: アイリス、サンダルウッド、ムスク、エボニーウッド、バニラ、 ベチバー、アンバー

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キャシャレル / アナイス・アナイス

キャシャレル

アナイス・アナイス

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

4購入品

2022/7/15 21:31:37

完全に侮ってました。すみません。

アナイスアナイスって香水初心者の若い子がつける軽ーい香りで深みも何もないんでしょ。私みたいな熟女がつける物じゃないって思ってた。若い時から後ろから見ると痩せた男性と間違えられるくらい中性的なルックスだし、そんなガーリーなもの絶対無理。瓶からして高級感はないじゃん。香水っていうより寧ろ乳液の入れ物としてふさわしいのでは。とかなんとかすごいイチャモンのつけよう。

とはいえつける前から決めつけるのは良くない。長年のファンもいるようだし。

で、つける。

ふーん。思ったより幼い感じはしないし安っぽさもない。鈴蘭、百合、ハニーサックルの再現香を主体とした白い花のブーケの香りでプレゼントで、貰ったら大喜びで嗅ぎまくる石鹸みたいな匂い。アナイスアナイスからインスピレーションをうけて作った石鹸って相当な数ありそう。清潔感と清純感マックスなトップ。

アナイスアナイスの百合はツンとお高くとまった匂いのキツいものではなく、野原で自生している百合。ヨーロッパ、アメリカで人気のあるハニーサックルと馴染みがいい。ヒヤシンスとの相性も抜群。小学校の理科のクラスで水栽培で育てたヒヤシンスっていい匂いと気づく。

しばらくすると芝生を刈ったばかりの庭から漂う匂いを薄めたようなグリーンな香りが混ざってくる。これはガルバナムか。ブラックカラントの野生のベリーに似た香りも加わって花が咲き乱れる初夏の草原を歩いているみたい。

ロングスカートかロング丈のワンピースのお嬢様に似合いそうな可憐な香り。この清純な香りがしばらく続く。低体温、汗をほとんどかかない、1分間の脈拍が50を下回ることもある爬虫類に近い私がつけると5、6時間殆ど変化しない。逆の条件の人だったらもっと早く香りが変化するかも。

ん?革ジャン?

突然革の匂いがする。香水に隠し味として革の香りが含まれていることが多々あるのは知っているが、アナイスアナイスにも入っているのは意外だった。体質のせいで革の匂いが増幅されるので入っていればすぐ分かる。しかも濃厚で動物的なムスクがバックにある。

ラストノートは結構ワイルド。つけた人みんなこうなの?私だけ?

嗅いでいるうちに映画のグリースを思い出した。奇しくも発表年はアナイスアナイスと同じ1978年。主演はオリビア・ニュートン・ジョンとジョン・トラボルタ。

50sを舞台にした青春学園ドラマで主人公の高校生サンディはポニーテールとフレアスカートがよく似合う超清純派。彼女が恋をした相手、ダニーはリーゼント、革ジャン、黒の上下が似合う車好きな不良少年。

この正反対な2人がすれ違いながら歩み寄っていく過程を描いた学園ラブコメディ。ラストシーンでサンディが黒のピッチピチスリムパンツ、革ジャン、パーマをあてたクルクルの髪に濃いメークの超セクシーでワイルドな女性に変身してビックリ。

アナイスアナイスのラストノートの変貌ぶりも同じくらいインパクトがある。

さっきまでレースフリフリだった女の子がいきなり革ジャンと革のスリムパンツでバイクに乗っているみたいな。

初めの方で小馬鹿にしていたパッケージも何故か記憶に残り続ける。沢山の香水瓶を並べられてもパッと目につく。マーケティングとしてはめちゃくちゃ優秀ってことか。

私は特殊体質なのでこの衝撃のラストノートが誰にでも現れるというわけではないとは思うが、食わず嫌いはダメと肝に銘じた。

で、アナイスアナイスって革ジャンと合わせたらどうなるんだろう?

今度やってみるつもり。

トップノート: 百合、ヒヤシンス、ハニーサックル、ガルバナム、オレンジフラワー、ラベンダー、ベルガモット、ブラックカラント、レモン
ミドルノート: 百合、鈴蘭、ハニーサックル、ジャスミン、イランイラン、チュベローズ、カーネーション、薔薇、アイリス、オリスルート
ラストノート: オークモス、インセンス、ムスク、レザー、サンダルウッド、シダー、ベチバー、パチュリ、アンバー

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エルメス / ナイルの庭 オードトワレ ナチュラルスプレー

エルメス

ナイルの庭 オードトワレ ナチュラルスプレー

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:-発売日:-

6購入品

2022/10/22 03:49:45

普通。

そう、とても普通。

褒め言葉で言ってる。しかもメチャクチャ褒めてる。「普通」という言葉はよく使われるが、実は凄いということでもある。

結婚相談所の人が言っていた。どんなお相手がお好みですか?という問いに対して「普通の人でいいんです」と答える人は一番相手を見つけづらいと。「普通」、要するに高望みはしないけど全てにおいて合格点の人がいいってことか。

全てに合格点をスコアで100%中の50%とするとどうなるか。例えば項目がイケメン度、優しさと思いやり、収入、仕事への情熱、育児への参加、家事の分担、清潔度、学歴なんて具合に八項目あったとする。50%を0.5にして掛け算すると0.5の8条だから四捨五入して0.004。パーセンテージに直すとたったの0.4%。全男性のたったの0.4%しかいない普通の人ってむしろ超いい男なのでは?常識的に考えてそんな希少品が結婚相談所の顧客リストに売れ残ってる訳がない。

ナイルの庭にもそんなところがある。好感度の高い普段使いできる洗練された香り。夏の間はずっとこればかりつけていた。私は特殊な仕事をしていて多数の様々な年齢、性別の人と「お前は彼女かっ?」というレベルの至近距離に接近する。しかも不快感を抱かせると次の契約に繋がらないので殆どの人に好かれる香りを纏うことが要求される。それを基準に香水探しても見つけるのが難しい。

トップは爽やかなグレープフルーツ。リアルだがツンとした酸味はなくフルーティでまろやかだ。お歳暮か何かのギフトとして貰ったら嬉しいレベルの大粒のグレープフルーツの美味しそうな香り。

汗をほとんどかかない、普段の心拍数50台、かなり激しい運動しても100以下の特殊体質の私がつけると、グレープフルーツ味のハイチュウを大人向けにお上品にした甘さと酸っぱさの混ざった香りに変化する。一粒千円くらいの価値はありそうな。

同時に薄らとトロピカルフルーツの香りも。木の上で糖分を蓄えて甘くなっている最中といった感じ。これがグリーンマンゴーか。これが完熟マンゴーだったらもっとお子様向きの香りになっているだろう。それに加わる微かなグリーン。家庭菜園で育てたかのようなトマトとキャロットの優しくて新鮮な香り。グリーン感を出す時によく使われるガルバナムなんかだったらもっと棘のあるお高くとまった香りになる。グレープフルーツとグリーンマンゴーと相まって風に乗って漂ってくるような透明感がよく出ている。流石、ジャン・クロード・エレナ氏。上手い。

ミドルでは瑞々しい花々の香り。これもお花屋さんで売っているのではなくて、よく手入れされた庭に育つ花のホッとできる香り。ロータス、ヒヤシンス、ピオニーだ。ヒヤシンスとピオニーの香りはすぐ想像できるけど、ロータスってどんな香りだったか思い浮かばない。まあロータスって普通の人の庭にはあまり生えてないので当たり前か。

小学校理科の時間で水栽培したことのあるヒヤシンスは大人になって嗅いでからとてもいい香りであることにようやく気づいた。ヒヤシンスはどこか洋梨やりんごのようなフルーティさと初夏の草のようなグリーンさを併せ持つ。これがトップのフルーツとミドルの花を全く切れ目を感じさせずに繋げている。そこにビターオレンジの皮のピリッとした僅かにスパイシーな辛さが加わり完全に大人向けの仕上がりにしている。

ミドルノートの中核を占めるのがシカモアウッドだ。カントリー調の家具やフローリングに使われる高級感のあるクリーム色から薄い狐色の木材で、香料としてはあまり使われないが、わずかに甘さのあるウッディな香り。音楽好きなら知っているであろうバイオリンの名器ストラビバリウスもシカモアウッド製だ。

ラストはもう香水として認識してない。私の身体ってなんていい匂いなんでしょと完璧に錯覚している。敢えて言えば透明感のあるムスクとアイリスと柔らかいウッディノート。エレナ氏の香水はよく水彩画に例えられるがこれも然り。タイトルどおり池か川のある大きな庭を寛ぎながら散歩している気分になれる。

少し残念なのは寒い季節にはあまり合わないこと。最近少し寒くなってきたのでナイルの庭の出番も減ってきた。来年また使うことを楽しみにしている。

とびっきり素敵な普通の香りを。

トップノート: グレープフルーツ、グリーンマンゴー、トマト、キャロット
ミドルノート: ロータス、バーラッシュ、オレンジ、ヒヤシンス、ピオニー、シカモアウッド
ラストノート: ムスク、アイリス、インセンス、ラブダナム、シナモン

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ラボラトリオオルファティーボ / バリフローラ

ラボラトリオオルファティーボ

バリフローラ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2022/10/29 06:04:58

バリ島にはろくな思い出がない。

クタの街の両替屋は、1万円を渡したのに平気で千円分のルピーをよこしてきたし、ホテルのプールで休んでいたら、ニタニタ顔のボーイに話しかけられ、しつこく「夜のカード博打」に誘われた。そんなん行ったら身ぐるみはがされるわ。極めつけはアロマスパ。南国花の香りがするアロマオイルを塗ってマッサージしてもらうやつ。「南海の楽園バリで最高のリラグゼーション!」と思いきや。

ただオイル塗るだけ。で、なでるだけ。しまいには隣の施術師とペチャクチャしゃべってる始末。しかも多分日本人の文句。でゲラゲラ笑ってる。超バッド。

バリ島ラブ!な方には申し訳ないが、ほんとバリ島にいる間中、ずっとムッとしてた気がする。

ラボラトリオ・オルファティーボのバリフローラの香りをつけたら、そんなシケた記憶がよみがえって、気付いたら口がスネ夫みたいにとんがっていた。

イタリア発「嗅覚の実験室」ことラボラトリオ・オルファティーボ。バリフローラは、最高の調香師に自由に香水を創造してもらう「マスターズコレクション」の中の1本だ。作品名は「バリ島の花々(植物群)」。調香師はかつてエルメス専属として名をはせ、サロパで来日もしたジャン=クロード・エレナ。彼がフリーになってから2019年にリリースしたオードパルファムだ。30mlボトルで16500円。ノーズショップ等で購入可能。

そんなバリフローラの香りを一言で表現すると「バリ島のプールに堕ちたフランジパニ」といった印象。では実際につけてみた詳細はどうなのか?

バリフローラを肌にのせる。その瞬間、まず感じられるのは、フルーティーで南国花な香り。フランジパニ(プルメリア)のクリーミーガーデニア系の香りに、ほんのりグリーンな苦みが効いている。軽やかでふんわりしたエキゾティックフローラル。南太平洋の島々へ高跳び!なトップ。

3分後、フランジパニの甘美な誘惑の下から涼やかなフローラルが感じられてくるとミドル。ローズの香りをしっとりさせたような低音のゼラニウムに、青々とした水面を思わせるロータス(スイレン)の香りが重なり、ウォータリーな雰囲気がぐっと増してくる。

そういえば

バリの高級リゾートホテルには、中庭にプールを配置し、周囲を巨大な南国の植物群で囲った「バリの庭」風のロケーションが多い。日中、プールに落ちた赤いフランジパニの花をボーイがすくっていた風景を思いだす。ミドルが進むにつれ、ジャスミンが濃厚に香りだし、フランジパニの甘さとクリーミー、ロータスのグリーン&ウォータリーが渾然一体となって「バリの花々」の香りになってくる。

あーそうだ。そして夜。あの夜はヤバかった。バリの夜は闇が濃い。

バリの庭。鬱蒼とした木々の合間に無数のたいまつがともり始める。地を揺らすケチャのけたたましいリズムが鳴り響く。あちこちで人目もはばからず抱擁し合うヨーロッパ系のカップルたち。どの部屋も巨大な中庭に向かってオープンエアーになっている。ラナイから見下ろす漆黒のプールにたいまつの炎がゆらめく。オレンジの光の波がヌメヌメとして油の沼のようだ。そして声のガムランが中庭じゅうに響きわたる。体中の血が沸騰しそうな声。部屋に置かれたフルーツ籠から甘くとろけそうな香りがしている。ほてった肌から、アロマスパで塗りこんだ花の香りがたちのぼる。狂おしいほど濃厚な南国花の香りに、男たちの呪術的な声が重なる。

あれはとてもナルコティックな夜だった。まるで木々をなぎ倒してキングコングでも出てきそうな夜だった。

ふと我に返る。バリフローラをつけて2時間たっている。香りは記憶を喚起する。香りは記憶を再構築する。バリ島にろくな思い出はない。だが、あの夜の濃度はすごかった。全世界の悪の誘惑が全て降臨し、あらがいがたい思いにとらわれた密度の濃い夜。バリフローラはそんな夜の触媒。危険な欲望の発火剤。フランジパニとジャスミンとロータスの柔らかくクリーミーな香りは、漆黒の闇を駆逐する神のように静かに香り続けている。

気がつくと南国フローラルミックスは静かに消えてゆく。ほんのり甘いムスクの香りと一緒に。心のどこかでフェードアウトするケチャの激しいリズムとともに。

バリフローラの香りに包まれていたら「もう二度といくかヴォケ!」と思っていたバリ島のことを思い出した。しぶしぶ本当の金額を出してきた両替屋の少年の白い歯。ボーイの人なつっこい笑顔。細かいことは気にしない施術師の朗らかな笑い声。あのろくでもない思い出ばかりの最高の島を。


巨大なプールにフランジパニの花が落ちている。いつかまたあのプールサイドに行ってみたい。今度は「水と花の庭」、バリフローラの香りとともに。

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新真昼さん
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プロフィール
  • 年齢・・・34歳
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