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doggyhonzawaさん
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ズーロジスト / ビー

ズーロジスト

ビー

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

本体価格:-発売日:-

5購入品

2020/7/4 03:33:43

「東京ディズニーリゾートが4ケ月ぶりに再開。パーク内にゲストの笑顔があふれました。」

テレビが興奮気味にそう伝えている。男は寝ぼけまなこでそのニュースに目をやる。「あいつもこのニュース見てるかな。」ふと、離れて暮らしている娘の笑顔が心によぎる。洗面台の前に立って歯を磨く。ボサボサの頭。白髪が目立つようになった。歯ブラシを動かしながら、そうか、と初めてパークに出掛けた日のことを思い出す。もう20年もたったのか。

娘は3歳だった。ころころと丸い顔をしていた頃だ。初めてのパークに目を輝かせてはしゃいでいたくせに、でっかいリスが2匹、派手な動きで向こうからやってきたとたん、この世の終わりのように怯えて自分の脚にしがみついてきて大笑いした。それ以来、どのアトラクションに並んでもびくびく警戒モードに入っていた娘。まばゆい夏空。家族の笑顔。

ジャバジャバと冷水で顔を洗ってタオルで拭く。少しずつ意識が覚醒する。棚の香水に手を伸ばす。いつものブルードゥを取ろうとして、手が止まる。棚の奥にズーロジストのビーが見える。娘が去年の誕生日にくれたやつだ。たまにこんなのもいいか。そう思って手に取る。左右のウエストに1プッシュずつすると、去年の娘の電話を思い出した。

「パパ、これハチミツの香りがするんだよ。すごいよ!」電話口で興奮して語っていた娘。大学卒業後、一人暮らしを始めた彼女は、一緒に暮していた頃よりもまめに連絡をよこすようになった。

「最初はね、ちょっとお香がまじったような煙たい花の蜜の香りがするけど、だんだん体温であったまると、ほんとにはちみつー!って感じになるよ!つけてみてね!」

確かにそうだな。もらったときは甘すぎる気がしたけれど、今改めてつけてみると、トップから複雑な香気が立ち上ってくる。黒糖のようなロースティーな感じ、そこにほんのりオレンジの香りがするねっとりとした蜜の甘さが絡む。ただそれだけじゃないな。少しホットな辛みもある。これなんだ?そう思って香料イメージを確認する。

トップ|オレンジ、ジンジャーシロップ、ロイヤルゼリーアコード
ボディ|エニシダ、ヘリオトロープ、ミモザ、オレンジフラワー
ベース|ベンゾイン、ラブダナム、ムスク、サンダルウッド、トンカマメ、バニラ

そうか。これはジンジャーの辛みか。あーなんか、こういうキャンディーあったな。ハチミツとジンジャーがほどよくミックスされた…、あ、プーさんのとこでよく買ったキャンディーか。

初めてパークで遊んだ日、自分より何倍も大きなキャラクターの存在感に怯えきっていた娘を再び笑顔にしたのは、120分待ちでやっと乗った「プーさんのハニーハント」だった。巨大な本のオブジェの前で涙目の娘がしていた小っちゃいピースサイン。ずっとママにしがみついていた娘も、ポッドに乗っておちゃめなプーさんを追いかけていくうちに顔がほころんできた。そして、ボヨンボヨン跳ねたりくるくる回ったりするうちにすっかり笑顔になった。やがて、ハチミツまみれになったプーさんのところで「あ、はちみつのにおいだー!!」と叫んだ。

…そうだった。あの子、プーさんのとこでまた笑ったんだった。

袖を通した白シャツの胸元からふんわりとビーの香りが立ち上っている。さっきよりハチミツの香りが濃厚になったようだ。それでも結構重ためで、ミモザっぽいパウダリーな感じも、香ばしいウッディな感じも出て焦げ茶色の雰囲気になっている。これはプーさんのとこで何度も嗅いだ、甘くてスッキリしたハチミツの香りよりもずっと大人な蜂蜜香だ。そう思った。

あれ以来、何度パークに出かけたことだろう。どんなに混んでいても娘が必ず乗ったのはハニーハントだった。乗り終えた後はショップでキャンディーを買って、ポップコーンボックスにも、いつもハチミツ味を入れていた。そうか。だから…

PCでテレワークしながら、時折、ビーの香りをそっと嗅いだ。付けてから4時間、ハチミツの香りは穏やかなスイートになって消えていくようだった。最後はインセンスのような煙たさをもったウッディな雰囲気だな。そう思ったとき、ラインが入った。娘からだった。

「やった!再開したパークのチケット、とれた!!」

「え?マジか?」そのまま返した。喜んでジャンプしてるキャラスタンプがすぐに送られてきた。「よかったな!」そう打とうとして、ちょっと考えた。そしてビーのボトルを手に持って写真を撮って送った。

「今日、これつけてるよ!」

OKサインをしているかわいいプーさんのスタンプが、秒で送られてきた。


ハチミツは幸せの香り。ズーロジストのビーが、久しぶりに思い出させてくれた。

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ケルゾン / ケリバー

ケルゾン

ケリバー

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

本体価格:-発売日:-

4購入品

2020/6/27 14:17:21

「初めての夜明け」と聞いたら、あなたは何を思い浮かべるだろう?勉強や仕事で初めて徹夜してしまった日。初めて友達と朝まで遊んだ夜。そして大切な人と一緒に迎えた初めての朝。人それぞれに初めての夜明けがあるはず。

そんな「初めての夜明け」と銘打った香水がある。ケルゾンからリリースされているベチバーの香水、ケリバー・オードパルファムだ。

ケルゾンは2013年にブランディグされたフランスのアロマブランドだ。ポップ&クラシカルが上手くミックスされたデザインが人気で、フレグランスキャンドルやアロマミスト、サシェなど、日常生活を自然な香りで彩るためのアイテムがそろっている。その中に自然な香りをそろえた香水もラインナップされている。

ケルゾンの香水の特徴は、海藻成分たっぷりの海水を蒸留した水を使用しているところ。これは肌に対する配慮のようだ。そしてアロマブランドの看板どおり、自然な優しい香り立ちに仕上げていることだ。5種類発売されている香水にはそれぞれブランド名の1部である「KER(ケル)」とメイン香料名をミックスしたネーミングがつけられている点も面白い。

その5種類の香水の中で、ケリバーは「KER+ベチバー」でケリバーという造語。ケルゾンのベチバー香水という意味合いだろう。グリーンをあしらったラベルどおり、ベチバーを利かせたグリーンでアーシーな香りの香水だ。では香りの詳細はというと。

ケリバーをプッシュする。最初に広がるのは、わずかに土っぽいスパイシーな香り。おー、まさにベチバーだ、とわかるイントロ。もしかしたら女性はこの瞬間だけで「メンズっぽい」「土や草っぽい」と感じて選ばない方もいるかも知れない。ただ、とてもアーシーでナチュラルな土や根の香りなので、スッと心に入ってきて、ニュートラルな気分になる優しい香り立ちだ。

3分ほどしても、香りはさほど変わらない。少し濡れた土、シャープな清涼感が感じられる草の根、そんな香りが漂っている。これって本当にベチバーしか入ってないんじゃないだろうか?そう思ってブランドの紹介文を見てみたら次のとおり。

トップ:カラブリアベルガモット、カルダモン、グレープフルーツ
ボディ:インセンス、パピルス
ベース:バージニアシダー、ハイチ産ベチバー、アンバーウッド

なるほど。言われてみればトップの清涼感はカルダモンの冷たいスッとしたスパイシーだなと思う。そして濡れた土っぽい香りにミドルからオーバーラップしてくるのは、乾いたお香の匂いだ。これも言われてみればという感じ。ベチバーの乾いた根の香りにはもともとわずかに焦げたような風合いもあるので、それをインセンスと合わせることで香りの印象を明確にしているよう。これはじんわりとした暗さをもったミドルだ。時間帯で言うなら夜、あるいはまだ明けきらぬ朝方の暗い空の香り。朝露に湿った土、そこに乾いた煙がたなびくイメージ。

ミドルの香りは強さで言えば、ベチバー>お香>カルダモンといった印象。トップのベルガモットは感じないし、ミドルに華やかなフローラルもない。ただ自然な草と土の香り、そこに煙が薄くかかったような香りが柔らかく立ち上っている。何とはなしに、清少納言の「枕草子」の冒頭から「紫だちたる雲の細くたなびきたる」を思い出す。

ラストはさらりと早い。つけて1〜3時間で穏やかにベチバーとインセンスが終息してゆく。クレジットにはシダーも書いてあるが、最後の最後にほんのり冷たげなウッディを感じる程度。夜から朝へと、刻々と変わりゆく時間の経過のように、ベチバーのほの暗い香りは消えて、世界はいつのまにか何もなかったようにふだんの色彩をあらわにしてゆく。

全体的に、アロマテラピーの精油を希釈して少しブレンドした香り、といった印象もないではない。100mlで14300円(税込)。日本では2017年よりノーズショップ(店舗による)で取り扱っている。どんよりとした曇り空の日、気分があがりきらないとき、こういう穏やかなベチバー香はとても心に効くだろう。

明け方の空。山際がしらみ始め、黒一色だった世界が次第に輪郭を取り戻してゆく。朝霞の向こう、遠く近く重なり合った山々のシルエットが明瞭になる。いまだ夜の気配を色濃く残した灰色の雲が紫色に変わってゆく。ケリバーは、そんな刻々と変わりゆく明け方のブルーグレイの空と大地を思わせるしっとりとした穏やかな香水だ。

朝露に濡れた土や草の香り、そこに家々の目覚めを知らせる煙がたなびく、初めての夜明け。

春の頃はさらなり、日本は年中、あけぼのが、をかし。

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FUEGUIA1833 / キロンボ

FUEGUIA1833

キロンボ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

本体価格:-発売日:-

5購入品

2020/6/20 10:01:59

フエギア1833のキロンボは、とてもヘヴィーな名前の香水だ。その名の表すもの。「逃亡奴隷社会」。

かつて植民地時代のブラジルで、何百万人もの黒人たちがアフリカから連れてこられ、サトウキビプランテーションで過酷な労働を強いられた。彼らの多くは20歳になるまでに亡くなったという。そこで彼らは脱走し、北東部のジャングルに逃げ込み、先住民ナティーボらと共に密林の奥でひっそりと生きる道を選んだ。その集落や社会を総称してキロンボという。

とても重たい名前だ。もし香水ボトルに日本語で「逃亡奴隷社会」と書いてあったら、少なくとも二の足を踏む人はいるだろう。「ねえ?いい香りね。それ何の香水?」「えとね、フエギアの『逃亡奴隷社会』だよ!」「そ、そうなんだー。なんかすごいね…(汗)。」という会話が交わされるとしたら、いかがなものか。←ま、それはそれで

ともあれキロンボ。初めてその名の由来を知ったときは若干気持ち的に落ちたが、店舗で実際に香りを嗅いだときはとても驚いた。なんというミルキーで優しい甘さの香り。それもそのはず。キロンボは、ブラジルの密林の奥、逃亡奴隷たちが生き延びるために作っていた液体ミルクキャラメルの香りだ。←大事

キロンボをプッシュする。その瞬間、腰がとろけそうになるような甘くてミルキーな香りがふんわりと広がる。よく女性がつけて「おいしそう!」とつぶやいているが、さもありなん。本当にミルクとバターとそしてスッキリした甘さが渾然一体となって広がってくる。バターにはほんのり塩味が効いていてそれすら鼻で感じ取れるのがすごい。本当に「これ、単に食品の香り付け香料では?」と感じるほどの超グルマン。

ミルクと塩バターと甘い砂糖の香り。以上。←終わるのか

展開は特にない。フエギアの香水にはよくある、付けた香りがずっと持続し続けるタイプの香り方をする。人工香料強めだろう。いつまでも同じ香りがずっと持続する感じだ。ただ本当に唾液が出そうなくらい甘くてミルキー。これは不二家さんが「ミルキー」という名でリリースした方がいいくらいの練乳っぽい香り。実際に不二家さんが出してるミルキーボディミストより「不二家ミルキー」な香り。←本家越え?

持続時間は8〜10時間ほど。長い。特に紙やファブリックにつけると、1日過ぎても柔らかく香りが残っているほど。このへんは本当にフエギアらしい濃厚さ。フエギアの香水は全体的に香料の数は少なめでシンプルな香りを濃度高めで展開する、といった感が強い。一般にグルマン系は気温や湿度が高いと重たくて敬遠しがちだけれど、なぜかこの香りは暑い季節でも苦にならない。それは、ほんのひとさじのフルーティーな酸味があって、実にスッキリとした甘いクリーミーさを呈しているからだろう。それがアマゾンフルーツの1つ、クプアスだ。

クプアスはカカオの仲間で、茶色い実の中に白い果肉を有する南米特産のフルーツだ。果肉はパッションフルーツやヨーグルト様の強い酸味をもつ。また、種子には多量の油脂を含み、クプアスバターとしてチョコレートの原料やコスメの素材にも使われる。このクプアスの果実の酸味、バターのコクが、このキロンボを単に甘いミルク香にせず、豊かな風味を添えているように思う。わずかなパッションフルーツ様の香りがくどい甘さになるのを抑えている印象。

ブラジルや南米では、昔からドゥルセ・デ・レチェという液体キャラメルが作られ、愛飲されている。高脂肪のミルクに砂糖をたっぷり入れて、じっくりアメ色になるまで煮詰める。その液体キャラメルには必ずカカオやチョコレート、アーモンド、ドライフルーツを入れるという。そこまで知ると、ああ、この香りにはラテンアメリカの歴史が語られているんだなと実感する。

暗いジャングルの奥に思いを馳せる。先住民との邂逅をはたした逃亡奴隷の黒人たちは、彼らの自給自足の生活様式を学びながら、同時に自分たちの身体に沁み込んでいるアフリカ文化をミックスして継承し続けた。彼らはヤギの乳に自分たちが作っていた砂糖を加えて煮詰め、そこにクプアスの果実やバターを加えて濃厚な液体キャラメルを作り、飢えをしのいできたのだろう。白人社会の攻撃に備えつつ、何百年も文明社会と隔絶して。

その戦いの旗こそキロンボなのだ。その名の重たさを知ったとき、ジュリアン・べデルがこの甘くミルキーな香りに寄せた思いの深さを慮る。そしてそれが悲劇の名称ではないことに気付く。人種差別と闘い続けた彼らの歴史。そして何よりも、生きるために日々の食料を得る戦いを続けた彼らの強さをこの名は表しているのだろう。

どんなことがあっても生きる強さ。今日の命をつなぎ、明日への希望をもたらす香り。キロンボ。

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ロクシタン / ヴェルドン オードトワレ

ロクシタン

ヴェルドン オードトワレ

[香水・フレグランス(メンズ)]

本体価格:50ml・4,500円発売日:2010/10/28

5購入品

2020/6/13 09:42:26

「私に似合う香水を教えてください。」ときどきそう聞かれることがある。「この人、香水に詳しそう」という流れからくるのだろう。ただ、正直言ってこれほど難しい話はない。特にその方の顔も趣味も知らないまま、SNS上の文字のやりとりだけで聞かれるととても困惑する。それは、見も知らぬ方に「私に見合う恋人や親友はだれか教えてください。」と聞かれているようなものだからだ。

そこで大概の場合は丁重にお断りするようにしている。世間には香りの好みをいくつかのタイプから選んでもらって香水を勧めるフレグランスコンサルテーションを行っているブランドもあるし、何より自分はただの香水好きの素人だからだ。何万本もある香水から「自分」がよいと思った作品をピックアップして「これは好き」と言っているだけの者。その程度でしかない。

それでも、かつて一度だけ「初老の男性に贈りたいおすすめ香水」を聞かれたとき、考えに考えて答えたことがある。そのとき自分がセレクトしたのが、ロクシタンのヴェルドンだった。

ロクシタンのヴェルドンは、2010年にリリースされたメンズのオードトワレだ。洗顔・シェービング・化粧水乳液・香水の5アイテムがそろう、いわゆるコスメのライン使いができるシリーズ。自然派なブランドポリシーに沿って、オーガニックペパーミントを前面に出したビターグリーンな香りだ。

確か品川のロクシタンだったと思う。初めてこの香りを試したとき、スッキリとしたトップに気分がとてもリフレッシュしたのを覚えている。駅の雑踏に流されて、ときにフラフラとベクトルを見失いそうになる自分をシャキッとさせてくれた香り、それがヴェルドンだった。

この香りをおすすめした理由は次の3点だ。

まず、この香りがフレッシュでとても清潔感があること。構成は次のとおり。

トップ:レモン、ベルガモット
ミドル:オーガニックミント、ラベンダー
ベース:シダー、アクアティックノート

男性は加齢とともに、どうしても独特の匂いを放ちやすくなりがちだ。それをマスキングしつつ、清潔感を感じさせる香りが重要になる。たまに体臭等がきついのに濃厚で重い香水をつけてる方がいるが、あれはいけない。ミントとアクアティックノートが強調されたシンプルなヴェルドンの香りは、男性をシャープでスッキリしたイメージに仕上げることができる。

2つめの理由は、安価で手に入れやすいこと。香水メゾンのお高い香水を使い慣れている熟練者ならともかく、相手がふだん香水を使わない方かもしれないという場合も想定してそう判断した。さらに言えば、スキンケアまでそろっているので、トータルグルーミングしやすい、つまり全身を同じ香りでコーディネイトできるという広がりをもっている面も魅力だ。

そして3つめの理由。それは突出したくせがなく、スッキリしたビターグリーンの香りがさりげない男性の知性や優しさを表現していると感じたからだ。香りの展開の詳細は次のとおり。

ヴェルドンをプッシュすると、まず広がるのはスッキリした冷たいミントの香り。そこにシトラスミックスの爽やかさものっている。つけたところがひんやりして心地いい。ミントとシトラスの効いた涼しい風が吹いたようなイメージ。

そしてすぐにアクアティックなベース香が流れてくる。これはかなり人工的な香りで、かすかな瓜っぽさにラベンダーのシャープな清涼感をのせたアコード。じんわりと目に沁みるようなグリーン感があるミドル香だ。ただゲランのハーバフレスカのような歯磨きペースト系のミント香ではない。とてもグリーンでハーバルな冷たさだ。例えるなら真夏に吹く緑の風。まさにこの香水名の由来となったフランスの自然公園、ヴェルドン渓谷を流れる風と水の香り。

ラストはほんのり塩みを感じるアクアティックに、わずかな鉛筆っぽいシダー香が混じって終息。ミント&グリーンがミドルの香水なので持続時間は短い。つけて3時間程度でドライダウン。峡谷を吹き抜ける一陣の爽やかな風は、ヴェルドン川の美しいエメラルドグリーンの水の流れと相まって、心にいつまでも余韻を残す。

人にお似合いの香水を勧めるのはなかなか難しいことだ。ただ、このヴェルドン峡谷の美しさ、目もくらむ断崖絶壁の岩山を縫うように流れる水と風の爽やかさを閉じこめたような香りが気に入ってもらえたら嬉しい。そう思った。

ヴェルドンは残念ながら現在廃番となっている。だが、世界中でこの香りをいまだ求める人が多いようだ。ときどき中古サイトなどを巡ると、いかに人気があるかわかる。

ロクシタンのヴェルドン、それは切り立った峡谷に吹き抜けるエバーグリーンの風。高温多湿な日本の夏をスッキリ爽快にしてくれるミンティスプラッシュの香り。

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アムアージュ(Amouage) / ゴールド プール オム

アムアージュ(Amouage)

ゴールド プール オム

[香水・フレグランス(メンズ)]

本体価格:-発売日:-

7購入品

2020/6/6 12:19:13

「金は必要ならいくらでも出す。ただし、作ってもらいたいのは本当に最高の香水だ。」そんな注文をされたら、あなたならどうするだろう?かつて石油王国オマーン王家の長老からそんな命を受けて、世界最高の香水作りに挑んだ一人の名調香師がいた。彼の名はギ・ロベール。

このオファーに対して、ギ・ロベールは世界中の高価な精油を集め、それらにオマーン名産のフランキンセンスをオーバードーズした超贅沢な香水を作ろうと考えた。そして生まれたのが、アムアージュゴールドウーマンとアムアージュゴールドマンの2つの香水。ゴールドウーマンのモスクを型どった重厚なボトルには特注の24金メッキが施され、当時「世界で最も高価な香水」と呼ばれ、話題となった。ときに1984年。ここに香水ブランド、アムアージュが誕生した。

ゴールドウーマンは、クラシカルなフランスの名香のイメージをベースにしつつ、オマーンの乳香を効かせるという手法で作られたフローラルアルデハイディックな香水。これに対し、ゴールドマンは男性用としながら、女性ユースで何も問題ない豪華な香水だ。この2つは性別で使用を分ける必要を感じない。ではどんな香りなのか?

ゴールドマンをスプレーする。最初に立ちのぼるのはパウダリックなヴェールに包まれたアルデハイドの香り。やや鼻の奥にツンとくる拡散系ワクシーなオープニング。このアルデハイド香は、シャネルカウンターに行ってN°5を手首にのせて一番最初にガツンと拡散してくる香りを拾ってみると分かりやすい。ややクラシカルなタイプ。

2分もせずに、アルデハイドの下からドライで爽やかな酸味が立ちのぼってくる。レモン様の高い酸味だが、果実ではない。わずかにスモーキーさを伴った樹脂系の香りだ。これがオマーン名産のシルバーフランキンセンスだろう。アルデハイドの拡散の後にスッと煙のように立ちのぼるかん高い酸味だ。さらにラブダナム系の清涼感のあるくぐもった甘さも感じられてオリエンタルな印象全開。

5分ほどすると香りが落ち着いてくる。さすがギ・ロベール。めまぐるしく変化して観客の心をガッチリつかむ舞台のプロローグのようなトップ。そのあとは、古典的な3段階変化の律にしたがって、深く広がりのある物語の本編に突入していく展開。

ミドルで最も印象的なのは、トップから続いている爽やかなバルサムミックスの清涼感に下から出てくるジャスミンのふくよかな香りだ。かなりインドールが効いているジャスミンで、わずかに冷たい樟脳のような風をはらんでいる。舞台にヒロイン登場といった雰囲気。スパイシーバルサム&ジャスミンが続くミドル。これは確かにメンズというより、ハンサムレディのための香りだ。そう思う。

さらに驚くべきは、このスパイシーバルサム&ジャスミンの脇からさらに多くの香料がふわりふわりとその姿をちらつかせることだ。舞台の重要なキーとなる脇役がたくさんいる。不意に感じるパチュリの土っぽさ、シダーの冷たいウッディなど。そして何よりも驚くのは、全体の香りを大きく包みこむパウダリックなヴェール、アイリス香がほの暗いヴァイオレット調に傾いて、とてもいい照明効果を与えていることだ。

主役のスパイシーバルサムがまろやかになっていくにつれ、インドールジャスミンのヒロインが登場。さらにシダーやパチュリ、モスといったウッディ系ベースがいい味を出して物語の脇をガッチリ固め、そしてパウダリーアイリスが常に変幻自在の照明で各香料の表情を際だたせている。どれもが突出することなく、それぞれの持ち味を出して一体となって重層的に香り続けるイメージ。刻々と変わり続けるミドルは物語そのもの。これは本当によくまとまったオペラの舞台のような香水だ。

ラストは穏やかなパチュリ&モスのスパイシー土っぽさ、軽やかなウッディミックスとジャスミン、ソーピーなムスクの残香でドライダウン。持続時間は6〜8時間程度。全ての香料がどれもいいところに収まり、それらの調和がすばらしい香り。

目指したのは世界一の香水。ゴールドマンには、ギ・ロベールがもつ当時の香料知識と調香技術の全てが惜しみなく注がれている。「生半可な物は許されない」というプレッシャーとの闘いが、この複雑で重厚で、けれど全体に1つにまとまった豪華絢爛な香りを生み出したのだろう。それは、何百人もの出演者と舞台を支える裏方たちが自分の持ち場で100%を出し切ったときに味わう一体感や高揚感のように、今なお、この香りを体験する者の心に光を与えている。

舞台のクライマックス。主役が最後の歌を歌いきる。演者たちがまばゆい光に包まれる。鳴りやまない喝采。そのとき、物語は完成する。

本当にすばらしい香水には、ドラマティックな金色の物語が紡がれている。

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いつもご覧いただき、ありがとうございます。週一ペースで香水について細々とレビューしています。 最近はTwitterでも時折つぶやいています。香水… 続きをみる

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