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doggyhonzawaさん
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ディオール / メゾン クリスチャン ディオール  ホーリー ピオニー

ディオールディオールからのお知らせがあります

メゾン クリスチャン ディオール ホーリー ピオニー

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

本体価格:250ml・36,500円発売日:2019/1/11

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5購入品

2020/9/19 08:35:15

世に美しい人はいるもので、どんな所作をしても麗しい方をかつて日本では花にたとえてこう言った。「立てば芍薬(シャクヤク)、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」。

ただここに使われている花の名を英語にすると、やや微妙だ。

「立てばピオニー、座ればピオニー、歩く姿はリリーフラワー。」ルー大柴か?(←それも微妙なツッコミだな)

そう。実は芍薬も牡丹も、英語ではまとめてピオニーとされている。

芍薬と牡丹、この2つは似ている点は多いものの、完全に別花だ。芍薬はスッと1本茎が立つのに対し、牡丹は枝分かれしていくし、花の形、花弁の数も互いに多種多様だ。だから花の香りも無香の物から強香系まであって、一概に「これがピオニー系の香り」というのが難しいという。しかし、逆に言えばそこが香水の調香師にとっては魅力でもあり、あの大ぶりの豪華な花の香を自分なりに表現したいと、心をくすぐられる素材なのかも知れない。

実際、世に「ピオニーの香り」を謳った香水はたくさんある。芍薬も牡丹も天然香料が採れないので、これらは全て調合香料で作られた人工的再現の作品だ。こうして作られたピオニー系の香水は、調香師が提案する「私がイメージするピオニーの香り」ということになる。そこに調香師の独自のセンスや解釈が感じられるからこそ、香水としての面白さがあるのだろう。

ディオールのホーリーピオニーは、2019年にリリースされた最新のピオニー系香水だ。ホーリーは「神聖な」「高貴な」といった一般的な意味合いだろうか。「またピンク色の香水か、MCDはピンク多すぎ」なんて苦笑&ツッコミはさておき、ドゥマシー版ピオニーの香りの秘密に迫ってみたい。

ホーリーピオニーをプッシュする。その瞬間まず感じられるのは、爽やかな清涼感だ。ペパーミント入れた?と思うくらいスーッと鼻の奥に抜けてゆく一陣のクールな風がある。同時にジャスミンサンバック系のふくよかなフローラルがたなびいてきて、とても懐かしい匂いを思い出す。これは昭和時代(苦笑)にロッテが出して一世風靡した香水味のガム「EVE」の味を彷彿させるトップ。つまりジャスミンミント系の香りだ。

このクール&フローラルなトップは、開幕3分で和らぎ、やがて下から甘いベリーの香りとローズ調の華やかなフローラル香が広がってくるのを感じると、展開はミドル。MCDお得意のソリフロール(一輪挿しワンノート)かな?と思いきや、きちんと香りが変わるタイプだと思う。トップから続くアロマティックな清涼感とバラ調の香りに、甘いフルーティーが絶妙のブレンドで広がってくる。

そういや、ミスディオールブルーミングブーケにも、確かピオニーノートとクレジットにあったな、そう思ってあの銀リボンの乙女なボトルを持ってきてつけ比べしてみた。(←自分用ではないので許してください)

ミスディオール何ちゃらの方は、シャネルのピンクチャンスの向こうを張って作った系と勝手に認識しているけれど、いざホーリーピオニーとつけ比べると、かなりグリーンなハーブ調の清涼感が強いフローラルブーケだということが分かる。対するホーリーピオニーはしっとりみずみずしく、女性らしい落ち着きと洗練されたスイートな花の香りがする一段階低い香りという印象だ。

ここから共通項をくくってみて分かるのは、ドゥマシーがピオニーノートを作る際に外せない香料がいくつかあるということだ。一つはリナロールやゲラニオールなどのバラ調の華やかな香りをもつ香料、もう一つはシオネールなどの鼻にスッと抜ける清涼感ある香料だ。菊やユーカリ、樟脳などの匂いがイメージしやすいと思う。少なくともこの2つを軸にしてドゥマシーは彼なりのピオニー香を表現しているように思う。

このクール&エレガントなフローラルは3時間ほど持続し、やがて高いムスキーな香りに溶けてそのまま減衰する。人によって異なると思うが、香り立ちは柔らかく、4〜5時間程度香るタイプの香水。

ピオニーは千本あれば千本違う。色も香りも花弁の数も千差万別だ。特にヨーロッパで人気があるのは、バラ咲きの大ぶりなピンクの花だ。それは薔薇のようで薔薇でなく、何かと何かの間に咲く美しいフェミニンな花。例えば白いサクラと赤いバラの間。乙女フリルと大人プリーツの間。プリティとエレガンスの間。片恋の熱情と深い家族愛の間。そんな狭間でピオニーのクールロマンティックな香りは、やわらかく微笑んでたたずんでいる。

バラよりも淡く爽やかに。ジャスミンより甘くみずみずしく。千の花びらの奥に秘めたしっとりフルーティーなフローラル。ディオール、ホーリーピオニー。

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ディメーター フレグランス ライブラリー / チェリークリーム

ディメーター フレグランス ライブラリー

チェリークリーム

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

本体価格:30ml・2,700円発売日:-

5購入品

2020/9/12 18:58:03

「デート前夜のつめの色」「空いっぱい羽根を広げた火の鳥の夕焼け色」「虫かごを持って走った夏休みの野菜畑色」。なんて詩的なネーミングだろう。これらは日本の通販ブランド、フェリシモが出している高級色鉛筆「500色の色えんぴつ TOKYO SEEDS」の1本1本に付けられた名前だ。

そのポエみさ全開のネーミングは、カタログで色と見比べているだけでとても楽しい。で、朝から久々にトムフォードのロストチェリーをつけようと思っていた矢先だったので、さくらんぼ系の色で何か面白い名前はないかなと見ていて、一瞬、固まった。

「完熟食べ頃さくらんぼのあつあつタルト色」 

う…、食べたい…。

思うが早いか、ロストチェリーを速攻で脇に寄せ、代わりに引っ張りだしてきたのは、ディメーターのチェリークリーム。30mlで3000円ほど。50mlで4万円近くするトムさんのロストチェリーを土俵外に寄り切る勢いでチョイス。

ディメーターは「フレグランス・ライブラリー」の看板どおり、100種類以上ものライトコロンを展開するニューヨーク発の香水ブランド。以前はバラエティショップ等でも置かれていたが、いったん日本撤退した後、昨年よりディメータージャパンから販売が復活して話題になっている。現在は同サイトからオンラインで購入が可能だ。

ディメーターの香りは、基本的にあまり変化しないシングルノート系で、香水のような複雑な香りが苦手な方も楽しみやすいように作られている。ありふれた日常がほんのちょっとの香りで幸せになるように。だからこそ自由な重ね付けも可能だ。

また、香りの種類も個性的で面白い物が多い。「スノー(雪)」など自然な香りをテーマにしたものには始まり、「カップケーキ」のようなお菓子系も。さらに「ニューベイビー(赤ちゃんの香り)」などもあって、次から次へと香りを確かめたくなる。それぞれの香りにテーマカラーもあるので、まるで100色の色えんぴつを香水にしたような雰囲気だ。

そのラインナップの中で、チェリークリームはくだんのロストチェリーブームに牽引されて最近再び脚光を浴びている作品だ。リリースはチェリークリームの方が先。では一体どんな香りなのか?

チェリークリームをつける。つけた瞬間に立ちのぼるのは、チェリーリキュールそのもの!といった感の洋酒の香りだ。昔からあるリキュール漬けチェリーが中に入ったチョコレート。あれを噛んだときに口の中にあふれる冷たいリキュールの風味とビタースイートなダークチェリーの風味、それがチェリークリームのトップだ。このやや薬っぽい強烈なチェリー感は、もちろんアメリカンチェリー。赤黒くてつるつるしていてしっとりした甘さをもったあの味。

2分後にはトップのリキュール感はスッと消え失せて、一気にライトなチェリー風味になる。酸味が感じられるようになり、甘さがひきたってくる。フェリシモの500色の色えんぴつで言えば、以前のバージョンにあった「ブラックチェリーパイ」色といったところ。とはいえ、パイやタルトを思わせるバタークッキー感があるわけではない。すっきりダークなチェリーノートがストレートに楽しめるミドルだ。

そして30分ほどすると、チェリーの香りが少しずつうすれて、その下から白いヴァニラ香がほんのり漂ってくるようになる。ディメーターはライトコロンなので、つけて30分ほどで香りがかなり減衰してくる作品が多いけれど、チェリークリームは割と香りが変化しながら持続する部類だと思う。ツンとしたチェリー香がマイルドになって、ややドライで紙っぽい感じのヴァニラ香が漂ってくるとラスト。チェリーの甘さ&ほんのりウッディヴァニラが3〜4時間ほど香ってドライダウン。

全体として見ると、チェリークリームという名前ではあるものの、実際はチェリー香が80%、ドライなヴァニラ&ウッディが20%くらいな印象。ミドルのキュンと鼻腔の奥にくる甘苦さは、サクラ系香水によく使われるクマリンやビターアーモンドかと思う。杏仁豆腐の香りも含めて、チェリー香が好きな方におすすめだ。重ねづけなら、ルタンスのジュードポーやフエギアのバタークッキー系やミルク系の香りの上にのせると、よりグルマンになって楽しい。

サックリ香ばしいバター風味のタルト。そこにクリームチーズとヨーグルトとハチミツを混ぜたサワークリームを入れて、プリプリのアメリカンチェリーをたくさん並べる。自分はベイクドしない冷たいチェリータルトの方が好きだなと思っているうちに、口中に唾液があふれそうになる。

チェリークリーム。この香りを500色の色えんぴつに加えるならどんな名になるだろう?

そんなよしなしごとを考えるのも楽しい食欲の季節が、また来る。

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ディオール / ジャドール オードゥ パルファン

ディオールディオールからのお知らせがあります

ジャドール オードゥ パルファン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

本体価格:50ml・12,500円 / 100ml・18,000円発売日:2012/11/2

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6購入品

2020/9/5 16:07:45

名香、ジャドール。2011年、フランスの香水年間売り上げ高で初めてシャネルのN°5を抜いて1位になった歴史的な香水。1999年の発売以来売れ続け、今やディオールパルファムの看板商品となっているジャドール、一体なぜそんなにジャドールは売れているのか?

ジャドールを調香したジボダン社の女性調香師カリス・ベッカーは、この作品の成功について次のように語っている。

「ジャドールはパーフェクトストーム。それは、香り、価格、ボトルデザイン、広告の全てが最高の一点に集結した作品。この香水は、香水に興味を持たなかった人にも『つけてみたい』と思わせ、手に取って『試させ』、そして『嫌われなかった』。」

改めてジャドールのボトルを見る。「金色を香りにしたい」というカリスの思いを形にしたかのようなマサイネックレスのゴールド。好き好きはあるだろうが、このボトルネックの金装飾は、アンフォラ型のなめらかな形状と相まってとても映える。さらにその上にのった透明な玉のキャップ。これが壺からあふれる美しい水滴のように見えて思わずさわりたくなる愛らしさだ。このデザインは世界的なデザイナー、エルヴェ・ヴァン・デール・ストラッテンの作品。

さらに広告では、ヴォーグ誌のモデルとして絶大な人気を博していたカルマン・キャスを初代ミューズに迎え、その後はシャーリーズ・セロンを起用するなど、莫大な広告費をかけてグローバルマーケティングを仕掛けている。

唯一無二の美しいボトル、そして世界最高のモデルを起用した広告。1985年にプワゾンで世界的ヒットを飛ばしつつも、絶対に崩せなかったシャネルN°5の牙城を崩すための本気が、このプロジェクトにはあった。では、ジャドールの本質である香りは一体どうなのか?

ちなみに、現行ジャドールは2010年にフランソワ・ドゥマシーが再調香した作品だ。巷には以前のジャドールより深みがなくなったとお嘆きのマニアも多いと聞く。だが、リファインには、アレルギー規制などそれなりの理由があるはず。ドゥマシーは偉大なる編曲家だ。彼なりにジャドールの大事な骨格をくみ取って調整したものと思う。それはどんな香りに仕上がったのか?

ジャドールをスプレーする。まず広がるのは、透明感のあるみずみずしいフルーティーな香りだ。洋ナシとピーチをミックスしたようなあふれんばかりのジューシーなイントロ。とてもウォータリーだが、いわゆる瓜系の塩っぽい感じではない。酸味がなく、洋ナシ果汁の自然な甘さとコクが感じられるとてもシアーなトップ。

1分もせずに、さまざまなフローラルが豊かに広がってくる。イランイラン、ジャスミン、チュベローズ、マグノリアあたりの濃厚な白いフローラルが強めに出る。その下からわずかにローズのシャープさが見え隠れするミドル。強いのはジャスミンだ。

公式によると、ジャドールに使われているのはサンバックジャスミンと、ディオールが契約農家に委託しているグラースジャスミンの2種類。サンバックジャスミンはふわりとした軽やかな香りが特徴だが、この濃厚なホワイトフローラルからグラースジャスミンを嗅ぎ分けることは難しい。よくグラースジャスミンは樟脳っぽい匂いのインドールが多量に含まれているというけれど、確かにそうしたスパイシーな樟脳っぽさは感じられる。

ただ、2つのジャスミンの他にも、イランイランの官能的な低音、ローズの清涼感、ネロリの温かみも感じられてとても複雑な香気ではある。それらフローラルが渾然一体となって、シアーなのにクリーミー、エレガントなのに妖艶、といった相反する要素を一点で調和させている。これはすごいと思う。世界にホワイトフローラルはたくさんあれど、ひと嗅ぎでジャドールとわかる香りだ。

そしてこのミドルが驚くほど持続する。1プッシュで10時間以上。以前、手首につけたジャドールの香りを消そうとして石鹸で洗ったが、その後もジャスミン&ムスキーな香りがずっと残っていた。とても残香性が強い作品だ。

ラストは、フローラルムスクとなってソーピーに傾いて消失してゆく。複雑なジャスミン香が消えて、平板なジャスミン香になっていくので、ベンジルアセテートな感じだ。そしてホワイトムスクの温かみある香りと共にドライダウン。

価格は30mlで9350円と良心的。これは大事だ。ジャドールは、モダンでグラマラスな女性らしさと同時に、シック&エレガンスをも備えた大人の女性の香り。ノーブルで慎ましく、ときに官能的に人の心を惹きつけてやまない。そんな不可能を可能にしたゴールデンバランスの香り。

「ジャドール!(大好き)」。それは、ムッシュ・ディオールの口癖だった言葉だという。

まさにディオールが打ち立てた金字塔、ジャドール。

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レバンゲルボワ / 2018 ロソトニック

レバンゲルボワ

2018 ロソトニック

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

本体価格:-発売日:-

5購入品

2020/8/29 16:00:15

レバンゲルボワは時の流れを刻む香水ブランドだ。和訳すると「ゲルボワ公衆浴場」。それはパリ文化の中心地として百年以上の歴史を重ねてきた特別な場所。

19世紀末に作られたゲルボワ公衆浴場は、当時悪臭がひどかったパリ市民に受け入れられただけでなく、かつて哲学が語られたローマ風呂のごとく、時代を先取る芸術家が集うサロンとしても機能していた。マネ、ルノワール、プルーストらが顔をそろえていたという。

その後、レバンゲルボワは時代の変化に伴い、1978年に高級ナイトクラブに転身する。これが世界的にも有名なナイトスポットとなった。当時、デヴィッド・ボウイやミック・ジャガー、アンディ・ウォーホールなど国境を越えてセレブが集まり、さまざまな前衛的文化が創造され、もてはやされたという。

そんなレバンゲルボワが、2015年に3度目の大きな転生を迎えた。五つ星のホテル・レバン・パリとして生まれ変わったのだ。歴史を感じさせるバロック調のスペースがあるかと思うと、幻想的な空間やポップアート風な一画もあって、館内は芸術の宝庫だ。ホテル内には無数の植物が配置され、自然と人工物、幾何と繊細が大胆に入り乱れ、まさに「芸術と歴史と文化のカオス」として唯一無二の世界観を呈している。

そして2017年、このレバンゲルボワの歴史的な功績を香りで表現するフレグランスラインが登場した。レバンゲルボワの香水にはそれぞれ西暦の年号が刻まれていて、その数字がレバンゲルボワにとって重要な変革のあった年であることを示している。

2018ロソトニックは、その最新の歴史を刻んだメモリアル香水だ。2018年、レバンパリのリニューアルしたレストラン&バーにつけられた名前、“Roxo”(ロソ)にちなんでいる。このレストラン&バーはすでにパリでも屈指の人気スポットとなっていて、特にカウンターバーは、フレンチカクテルチャンピオンほか指折りのバーテンダーを集めるゴージャスぶりだ。ではその「ロソの飲み物」とは、いったいどんな香りだろうか?

ロソトニックを調香したのは、IFFの若き女性調香師、ファニー・バルだ。彼女は名調香師ドミニク・ロピオンの片腕として長らく活躍し、最近めきめきと名前を売り始めている。彼女によると、ロソトニックに込めたキーワードは3つ。「エネルギー スパークリング 中毒性」だという。

2018ロソトニックをスプレーする。はじめに広がるのは、スッキリ突き抜けるようなレモンの香り、そしてアールグレイのフレッシュなベルガモットの香りだ。春〜夏向けのはじけるシトラススパークリングなトップ。

3分ほどすると、とてもすずしげなフローラルが広がってくるのを感じる。しっとりとしていて内省的なグリーン調の低音フローラル。何だろうと思って調べたら、どうやらジェンティアナ(リンドウ)ノートのようだ。

このわずかにビターな清涼感をもった冷たいフローラルに、ほんのり綿アメ様の甘さが感じられてくるとミドル。ベルガモット&ティー系の香りはまだ効いていて、全体にひとさじの冷んやりフローラルをあしらったアイスレモンティーの香りといった具合になってくる。どこかアールフレグランスのティーブレイクを思わせるミドル。高温多湿な日本の夏にあっても、ふいに肌をなでていく夕暮れの涼風のように、心地よくキレのあるティー系の香りに癒される。

ティー系と言っても、緑茶や白茶、マテやウーロンなど、さまざまなノートが香水で表現されているが、このロソトニックは発酵の効いたブラックティー、つまりアイス紅茶な感じのノートだ。そこにマルトールのような砂糖系の甘さとシトラスが効いている。これはカクテルバーの飲み物と言うよりむしろ、レストランの方で供するアイスティーの香りといった印象。

ティー系の香水には季節を問わず人の心を和ませ、リフレッシュさせる効果がある。ロソトニックは、温かみあるホワイトムスク香とともに、つけてから4〜5時間ほどすずしげなアイスティーの香りが漂う汎用性の高い香りだ。そういう意味ではシーンを選ばず使えて、中毒性も高いかもしれない。

世界の文化をリードし続けてきたパリ。その中心にあって常に姿を変えながら、130年以上も最新の流行発信地として輝いてきたレバンゲルボワ。その積み重ねてきた物に思いをはせる。

バーガンディに統一されたシックな室内、本革の上質なウッドチェアー。バーテンダーは自前のシロップを惜しみなく注ぎ、華麗なシェイクで世界最高の一杯を創る。ロソのカウンターバーはいつもスタンディングの客でいっぱいだ。彼らは最高の飲み物を片手に今夜も語り合う。そして今日もかの地から新しい文化が生まれるのだろう。

笑顔でそれぞれのロソトニックを傾けながら。

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ELLA K / オカバンゴの水面

ELLA K

オカバンゴの水面

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

本体価格:-発売日:-

5購入品

2020/8/22 15:43:47

ここに「オカバンゴの水面(みなも)」という名の香水がある。なんて詩的なネーミングだろう。オカバンゴとは、アフリカ南部にある内陸国ボツワナで一定期間だけ見られる「オカバンゴ・デルタ」という大湿原のことだ。日本の四国全体の面積以上に広いこの大湿地は、5月〜9月までの間だけ砂漠に出現し、さまざまな野生動物や植物の命を支えるオアシスとなる。それは、雨季に降った大量の雨を集めたオカバンゴ川がカラハリ砂漠に流れ込んでできる「砂漠にできた海」だ。

通常、デルタ(三角州)は河口部にできるものを指すが、オカバンゴ川はいくつもの支流に別れて網の目のようにカラハリ砂漠に広がり、巨大な水たまりを形成してゆく。これは、やがて砂漠の中に消えてゆく幻の海に注ぐ内陸デルタ。決して海にたどりつかない川の最後の姿だという。

アフリカの乾いた砂漠。丈の短いブッシュ。時折見られる高木。野生動物の群れ。そこに出現するとてつもない広さの「内陸の海」。もしあなたが調香師なら、そんなイメージからどんな香りを組み立てるだろう?熱いスパイス、乾いた木の香、灼熱の太陽を感じさせる香料、そしてアニマリックなアクセントあたりを持ってくるのが妥当な気はする。

だがこの「オカバンゴの水面」という香水を創ったソニア・コンスタン女史の調香はそれらを全く覆すものだった。では彼女はこのアフリカの「旅」から一体どんな香りを作ったのか?

美しく繊細なガラスボトルから、オカバンゴの水面をスプレーする。その瞬間、まず立ち上がってくるのは、ふんわり柔らかい黄色いミモザ様の香りだ。シャープで透明感ある風、わずかにくすんだ花粉のような匂い、それらをくるむ甘くパウダリーな黄色い花の香り。ヘリオトロープやアイリスといったパウダリー系香料よりも、もっと高いところでややスパイシーさを伴ったきめ細かいパウダリー香に包まれる。このトップがあまりにも意外過ぎて、思わず「これ、オカバンゴの水面だよね?」とボトル名を確認してしまうトップ。

3分ほどすると、透明感ある風は過ぎ去って、黄色いパウダリーな花粉のような香りがどんどん明確になってくる。同時に下の方で乾いた香ばしいウッディ系の香りが流れてくることに気付く。黄色いミモザ、そして乾いたウッディ、この2つが表現しているものは、アフリカに多く見られるアカシアの木の花の香りだ。

アカシアは水のない砂漠にも生育する高木で、背丈はゆうに15mを超えるという。日本で見られる通称アカシアは、白く甘い香りの花をつけるニセアカシアという品種で、本物のアカシアとは全く別物。アフリカのアカシアは黄色いぼんぼりのような花をつけるキャメル・ソーンという品種だ。カラハリ砂漠に見られるこの扇を広げた形をした高木は、キリンをはじめとしたさまざまな野生動物の食料となり、多くの鳥類の住みかとして、砂漠に生きる者の命を支える大樹と呼ばれている。オカバンゴの水面は、そのアカシアの花の香りを表現した香水だ。

胸がキュンとしそうなほど黄色くせつないパウダリー。一言で言うならそんな香りがする。全体的にシングルノートな雰囲気で大きく変化はしない。ラストもわずかにスパイシーなウッディが強くなってパウダリーなまま減衰し、つけてから4〜5時間ほどでドライダウン。価格は70mlで28600円(税込)。伊勢丹新宿店やオンラインショップで取り扱っている。

オカバンゴ・デルタの旅は、大自然と野生動物の姿に触れられる貴重なエコツーリズムだという。丸木を削ったモコロという小舟に乗り、水面ギリギリの目線で、緑の草木や水蓮があふれる水面を進んでいく。周囲にはさまざまな野生動物の姿や植生を見ることができる。水面から突き出たカバの鼻と目、水辺でくつろぐライオン、水あびをするゾウの群れ、そして巨大なアカシアの樹上、緑の葉を長い舌でからめとって食べる野生のキリンの親子。

それらを見つめた旅の甘美な思い出が、アカシアの花のパウダリーな香りをキーストーンに凝縮されたのだろう。これはアフリカの匂いでなく、水の匂いでもない。ソニア夫妻がかの地で体験した夢のような旅と冒険の日々を回想した香りなのだろう。

8月の朝、乾季のカラハリ砂漠に白い太陽が昇る。青空と入道雲の下、ひときわ大きなアカシアの木の緑色が目に鮮やかだ。櫂を使ったモコロがゆったりとまばゆい水面をすべる。黄金色の時間の中、アカシアの木の下を通る。そのとき、水面に映った自分の顔を見て思わず声が出そうになる。

鏡のような水面に映る顔。そのバックでアカシアの黄色い花が満開に咲き乱れている。まるでアカシアの花冠をかぶったかのように。

樹上から甘く切ないアカシアの香りのシャワーが降り注いでいる。幻の海、オカバンゴの水面に。

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プロフィール
  • 年齢・・・54歳
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  • 血液型・・・O型
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いつもご覧いただき、ありがとうございます。週一ペースで香水について細々とレビューしています。 最近はTwitterでも時折つぶやいています。香水… 続きをみる

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