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Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン)
[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:50ml・14,850円発売日:2023/1/6
2024/1/28 14:14:31
2021年のマーマレードコレクションで限定発売されたローズブラッシュコロンが今年も発売された。もう3回目の復刻、そろそろ定番入りするんじゃないかと思ったが今回もまたもや限定品。香りのイメージは繊細なバラの花びらを使ったジャムで、担当調香師はアクアディパルマやロジーヌにも作品があるフィルメニッヒ社のニコラ・ボンヌヴィルだ。
トップはレモンっぽい柑橘に、バジルの爽やかな辛みのあるグリーン。そこにライチのフルーティさが加わっていくことで、とてもフレッシュでみずみずしく、嗜好性の高い香りが出来上がる。ジョーマローンらしい、トップノートでがっつり買い手の心をつかむスタート(まあ、そこから急に失速していくものも多いんだけど)。
ライチから繋がる形で、ピンク色の可愛らしいローズの香りが顔を出す。ライチと合わさったフルーティフローラルなローズはまさにジャムのイメージとぴったりだが、ゼラニウムのグリーンなローズの側面も感じられるため、ただかわいい甘さだけに偏らず香水としてのバランスがよい。
ドライダウンはややパウダリー寄りのムスク、アロマティックなベチバーが香り全体をまとめていく。持続は4、5時間程度。
バラの花びらのジャムという明らかにフェミニンな香りかつ香水というよりボディミストのようになりそうなイメージだが、香りの随所にグリーンやアロマティックな要素を効かせているため、しっかりとファインフレグランスらしさもあり、メンズも付けていて違和感のない香りに仕上がっている。3回も再販するのも頷ける作品だ。
トップ:ライチ、バジル
ミドル:ローズ
ベース:ホワイトムスク
調香師は、ニコラ・ボンヌヴィル。
(parfumoより)
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2023/12/29 19:58:14
誰しも気分が落ちるときがある。そういうときはこのランスタンマジーの香りを試してみてほしい。発売は2007年、ちょうどゲランが専属調香師不在だった時代だ。当時ゲランのフレグランスディレクターを務めていたシルヴェーヌ・ドゥラクルトの下、シムライズ社のランダ・ハマイによって世に生み出された。現在の価格だと75mlで税込18,590円。公式サイトからなぜか外されてしまっているが、ラインナップにはしっかりある。
淡いパウダリーピンクの香水をスプレーしてみる。スッと鼻に抜ける冷たいアニスとツンとしたビターアーモンドが香る。それからすぐに香りはふんわりボリューミーなホワイトムスクに支配される。ランスタンマジーのホワイトムスクはゲランで「ムスキナーデ」と呼ばれている配合で、他のゲランの香水で言えばクルーエルガーデニアにも採用されている。パウダリーではあるが過度な粉っぽさやソーピーな印象はなく、肌にしっとり馴染む甘さが特徴的だ。
そんな柔らかく甘いホワイトムスクの雲に、ときおりピンク色のローズや黄色いフリージア花粉ぽい香りが顔を覗かせる。フリージアのニュアンスが少し強めかな、香水の色のイメージとぴったりだ。ここのふんわりしたフローラルムスクの香りがたまらなくいい。特に、心が弱っているときにより一層心地よく感じる。なぜだろう?パウダリーな香り=白粉、ベビーパウダーというイメージからか。まだ赤ん坊だった頃、母親と触れ合った思い出を無意識のうちに思いおこさせるからなのだろうか。
優しく包み込むようなホワイトムスクに、これまたパウダリーでほの甘いトンカビーンと、少々のシダーウッドが加わってドライダウン。ムスク主体のためか持続はかなりよく7、8時間といったところ。肌近くで長く香り続ける。
どこまでもムスキー・フローラル・ウッディの香りが優しく続いてくれるランスタンマジーは、個人的には寝る前に付けたくなる香水の筆頭だ。
「今日は嫌なことがあったなぁ」と感じたら、思う存分ランスタンマジーを浴びてから寝るといい。パウダリーなホワイトムスクの香りがあなたを癒してくれること請け合いだ。起きる頃にはきっと笑顔だ。
あなたに元気を取り戻してくれる魔法、ランスタンマジー。
トップ:ベルガモット
ミドル:ホワイトムスク、ローズ
ベース:アーモンドツリー、トンカビーン、サンダルウッド、シダー
調香師は、ランダ・ハマイとシルヴェーヌ・ドゥラクルト。
(fragranticaより)
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2023/12/18 12:14:34
ゲランの限定品もついにとんでもない値段になってきた。今年のホリデー限定品である「ビーボトル クリスマスエディション イマジン ゲラン(全世界で4,515個、日本の割り当ては230個)」は、まさかの税込143,000円。14,300円の誤植ではない。中身は昨年の「イマジン ゲラン」と同じで190thアニヴェルセルの復刻らしい。価格を上げた申し訳なさからか(?)、付属するスプレーの容量が20mlから30mlに増量されている。ボトルデザインはトルコを拠点とするジュエリーデザイナー、べガム・カーンによるもの。
文字通り(値段の)桁が違う香水をスプレーしてみる。トップはオレンジゼストのちょっとオイルっぽい柑橘の香りだ。シャリマーのトップに似た印象というか、フレッシュではあるが、ベースの重暗いサンダルウッドの存在も感じられるスタート。
続いて、イランイランとオレンジフラワーの二重奏が展開してくる。この流れ自体は昨年のものとそう変わらないが、2023バージョンはこのあたりで感じるオレンジフラワーが昨年のものより明るく、軽やかなタッチに変わっているように思える。
ドライダウンはトップから感じられていた暗いサンダルウッドに、ベンゾインやべチバー、パチュリが加わっていく。そこにさらにボリュームのあるムスクが足されていくため、やや石鹸風の印象に傾いていく。持続は6、7時間程度。
香り自体は昨年発売された「イマジン ゲラン」と同じもの…、という触れ込みではあるが、個人的には改変されていると思う。昨年よりライト&ソーピーになっていて、元々の香りの骨格とクラシカルな要素を残しつつ現代的な解釈をされている。
ボトルの装飾自体は素晴らしく、高級感溢れるデザインだがそれにしたって高過ぎる。いつから香水はこんな値段が付けられるようになったのだろう?
来年が怖くて怖くて仕方ない。
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2023/11/15 11:30:11
11/3にパッケージが一新された「ド ジバンシイ」シリーズの最新作、テメレール(向こうみずな、という意味)。華やかなチュベローズとインクアコードのコントラストが売りだ。価格は33,500円+税で、このシリーズが始まった当初と比べると随分値上がりしてしまった。値上げしただけでなく、ラベル部分がシールからプレートにリニューアルされ、さらにキャップがマグネット式ではなくなっている。
トップはカルダモンの爽やかな苦味、そして主役のチュベローズの甘く酔わせるようなホワイトフラワー香。チュベローズやジャスミンといったホワイトフローラルは、あまりいい香料を使用していない場合、まるでグレープ味のバブルガムのようにベタベタした甘さが続くばかりでちっとも花っぽくないが(意地悪く言えば今のランテルディのような香り)、このテメレールのチュベローズは生花らしさもわりと感じられる。しっかりアブソリュートも使われているのだろう。アイリスの粉感もいい仕事をしている。
次第にチュベローズの白さにインクアコードの黒が加わってくる。インクアコードってなんぞや?、と注意深く探っていくと、パチュリ、ベチバー、レザー、ケードオイルあたりが正体だと思う。いちばんインクっぽいツンとしたニュアンスを演出しているのはコールタールのような香りを持つケードオイルだろう。
このインクアコードがホワイトフローラルの白さを力強く漆黒に染めあげていく…と思いきやけっこう控えめでおとなしい。白にほんの少し黒が加わり淡いグレーになってドライダウン。持続は6、7時間程度。
チュベローズの白とインクアコードの黒の対比が売りだが、そこまでガッツリコントラストが効いているわけではない。多分、別売りのアコールパルティキュリエ買ってレイヤリングしてくれ、ってことなんだろうけど。単なるチュベローズ香水としては及第点だと思う。
このシリーズにはもうひとつチュベローズが主役の香水(デザンヴォルト)があるが、それらのチュベローズ香と今のランテルディを比べると、本当に差を付けられているんだなとしみじみしてしまう。
コントラストをつけるのはそこじゃない。
トップ:グアテマラ産カルダモン、インドネシア産クローヴリーフ
ミドル:インド産チュベローズアブソリュート、モロッコ産アイリスコンクリート
ベース:アトラスシダー、シャム産ベンゾイン、ジャワ産ベチバー、スペイン産ケードジュニパーウッド、woodleather
調香師は、ニコラ・ボンヌヴィル。
(parfumoより)
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2023/10/11 21:08:11
今年の9/1に発売されたばかりのタバコハニー。16,000円の限定のアーティスト(パリ在住のアン・フェート・ゲス、彼女の作品はinstagramで見ることができる)コラボプレートをひっさげ堂々たる面持ちでラールエラマティエールのラインナップに加わった。調香師は原料調達と維持に奔走中の五代目ティエリー・ワッサーにかわりゲランNo.2のデルフィーヌ・ジェルクが担当している。
まず言えることはとにかく甘い。トップからドライダウンまで甘くないときがないくらいあんまい。トップから全開のハニーの甘さが押し寄せてくる。この香水に使われているハニーはベルガモットの花の蜂蜜とのこと。もちろんゲラン専用の蜜蜂が集めてくるものだ。こってりした甘さはくらくらと陶酔的で思わずその香りに溺れたくなる。
ミドルも甘いのだが、チラチラとタバコのアロマティックな香りも見え隠れしてくる。ドライで、少しウッディでビターなタバコアコードをパウダリーなトンカビーンとバニラの白い甘さが包んでいく。ハニーとタバコの比率は7:3くらいであろうか。拡散する感じも強い。
ドライダウンではウードとサンダルウッドが加わることでタバコの香りはよりビターでウッディに変化する。色で喩えるなら黒だ。まだまだ続く表層のハニーの甘さとは対照的、タバコアコードが黒ならハニーは金色だ。黒と金の二層構造のままドライダウンしていく。持続は8時間以上、朝から晩まで香り続けていると言ってもいい。
濃厚なハニーの甘さとビターなタバコアコードの組み合わせはこれからの季節によく映える香りではあると思う。
ただ、ひとつ言えるのは「こういう香りって、もういろんなブランドでずっと前からやってるよね?」ということ。これと似たような系統で有名ブランドに限っても、ペンハリガンのローイングラドクリフ(廃番)、トムフォードのタバコバニラ、キリアンのバックトゥブラック等々。ニッチも含めたらまだまだある。
香り自体の出来が悪いとは思わないし、素材もよいものを使っているのだろうが、わざわざゲランで今さら出すような香りか?と、出遅れ感は否めない。中東シリーズもそうだが(いち早く導入→売れずに日本撤退→他ブランドが中東向けを日本でも出し始める→ゲランもようやく日本での取り扱い再開、プロモーションをしていないせいで旗艦店の常連客しかそのことを知らない)、ゲランはいちいちタイミングが悪いのだ。
そういうところが、天下のLVMHグループの傘下でありながらイマイチ垢抜けない理由なのだと思う。
トップ:ハニー、クローヴ、アニス
ミドル:タバコ、トンカ、バニラ、セサミ
ベース:アガーウッド(ウード)、サンダルウッド
調香師は、デルフィーヌ・ジェルク。
(fragranticaより)
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