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Cookieyukiさん
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マイケル コース / Wonder Lust

マイケル コース

Wonder Lust

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

5

2019/11/28 01:17:07

Wonderlust. 間違えてWonder Lustと2語にしてしまった。すみません。

直訳すると、旅に出たくて居ても立ってもいられないような焦燥感と言うところ。確かにありふれた日常から飛び出して、全く未知の世界を彷徨いたくなる時がある。誰も私のことを知らない、そんな場所をただ一人、気の向くままに歩きたい。自由と背中合わせのさみしさを抱きしめて。

そんな気分にさせてくれるはずのWonderlustの香りは...

デパートでムエットをもらって結構気に入ったので肌に乗せることに。最初の1プッシュで失敗したと思った。私の苦手な巷に溢れた人工的で没個性的なフローラル。カーネーション、サンバックジャスミンにピンクペッパーとベルガモット。確かに華やかで女性らしさ満点で万人受けしそうだけど、ネーミングと全く合っていない。何でミドルノートでクレジットされているカーネーションとサンバックジャスミンがトップからガンガン香るの?どこが旅よ?と思ったが、香水は時間がたたないとどう展開するかわからないので、とりあえず我慢して観察。

30分ほどするとナッツらしき香りが派手な花の香りの間から、「あの......。すみません......。ナッツです。お楽しみのところすみませんが......お邪魔します」と遠慮がちにモゾモゾ出てきた。じれったいなあ。もう。ナッツ好きなんだからさっさと出てきてと言いたい。マジパンやアマレットよりもまろやかなアーモンド。クレジットにある通り、最近海外セレブが健康のために飲んでるというのも相まって、日本でも人気が出てきたアーモンドミルクそのもの。アーモンド風味の合成香料を入れないで、アーモンドを単純に砕いて生地に混ぜた素朴なクッキーを焼いたみたいでもある。カリッという音とともに広がる香ばしい味と香り。

同時に漂う優しいヘリオトロープの気品のある匂い。白粉によく使われている、なんとなくバニラのようなニュアンスをもつ花の香りだが、人工感がなく柔らかで、アーモンドミルクと一緒でも違和感がない。この頃になると最初に嗅いだ、花以外のものとは解釈しようのない、いかにも食事に似合わなさそうな匂いは薄くなっている。

それから1時間ほどたつとサンダルウッドの香りが強まってきて、いつの間にかアーモンドミルクとヘリオトロープのミックスと一体となる。サンダルウッドとアーモンドの組み合わせは絶妙で、仲のいい友達みたい。アーモンドってそういえば木の実だったなと妙に納得。いつもパッケージに入れて売られている、手軽な食べ物としか認識してなかったけど、ちゃんと木になってるものを、私たち人間が頂戴しているだけの自然からの贈り物。

ラストノートで勢いづくベンゾインはシナモンとバニラに似た甘さを併せ持つ樹脂香。樹木から出てきたものなので、当然木の香りもわずかに感じられる。アーモンドミルクとヘリオトロープのコンビが風船のように宙に浮いた軽い香りになりかけたところを、ベンゾインとカシミアウッドという合成香料が、風船が風で飛んでいかないようにしっかりと繋ぎ留めている。カシミアウッドのことを調べてみると、単体ではごく僅かに樟脳のような軽い刺激と透明感があり、複雑な甘さを併せ持つようだ。

夏以外の季節のオフの昼間にぴったり。カジュアルで遊び心のある香りなので仕事には向かない。おっとりして天真爛漫な性格か雰囲気を持つ女性なら何歳でも似合いそう。つけるだけで暖かく親しみやすくて健康的なイメージが醸し出される。甘ったるさがないので、グルマン系香水が苦手な人でもつけられると思う。拡散性も持続性も高いので空気に直訳触れないところにつけることをお勧めする。

人は色々な理由で一人旅に出るが、Wonderlustは一人旅につきものの孤独感がない。マントと革のバッグで風に吹かれて街から街を訪ねるさすらいの旅人といったニュアンスはゼロ。その代わり、そよ風に吹かれたタンポポの綿帽子のように、フワフワと空中を散歩する。まるで歩けるようになったばかりの仔猫が、近所でちょっと気まぐれな大冒険をするような無邪気な香り。

トップノート: アーモンドミルク、ベルガモット、ピンクペッパー

ミドルノート: ヘリオトープ、サンバックジャスミン、カーネーション

ラストノート: ベンゾイン、サンダルウッド、カシミアウッド

使用した商品
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  • モニター・プレゼント  (提供元:Ulta Beauty)
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イヴ・サンローラン / ブラックオピウム インテンス

イヴ・サンローラン

ブラックオピウム インテンス

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

5

2019/12/22 14:06:47

青と黒、満天の星の夜空の素敵なボトル。心奪われて手にとってしまった。ライトに透かして見ると中の水色の液体が揺らめいてプラネタリウムみたい。デザインは人気のブラックオピウムと同じなのに、配色が全く違うだけでこんなに印象が変わる。

瓶を揺らして波を起こしているだけで余裕で5分は遊べるのだが、セキュリティの強面のお兄さんがあからさまで下手な尾行をしているのでさっさと試してみる。
 
ブラックベリーに似た香りのボイズンベリーのフルーティさとジャスミン、オレンジブロッサムの花の香りのトップ。それが薄らぐとアブサンの独特な甘い香りが溢れ出る。ラストはバニラ、リコリス、サンダルウッドの嗅いでいるだけでソファに崩れこみたくなる香り。コーヒーは最初から最後までバックでしっかり香っているが、オリジナルにあるコーヒー溢しちゃって匂いが取れません感はない。つけるとしたら秋冬のオフタイム。レディースだがフローラルフルーティのトップノートさえやり過ごせば男性にも似合いそう。

インテンスと名前がついてるのに濃縮されたコーヒーの香りでないのはどうして?と思って、何回かつけているうちに19世期末のフランスにタイムトリップした。

これはパリのバーで飲む夜のコーヒー。絵の好きな人なら知ってる19世期末の後期印象派、特にロートレックの世界と重なる。ロートレックはキャバレーの踊り子や歌手を題材にした退廃的な絵を描く画家。ブラック オピウム インテンスはショーを見た後に立ち寄った、紳士淑女は絶対行かないタイプの酒場の香り。

ロートレックはムーランルージュのダンサーや歌手達と星の煌めく夜の酒場に繰り出す。舞台でのほとぼりの冷めない彼女たちの身体から漂ってくる強いジャスミンの香水の匂い。この頃は良家の淑女は薔薇やスミレの香り、貧しい家の出身者が圧倒的に多いストリップダンサーやキャバレー歌手、娼婦はジャスミン、チュベローズをよくつけていた。

ロートレックが席に着くと何も言わなくてもアブサンが出てくる。彼がアブサン中毒なことくらいバーの人はみんな承知。それはニガヨモギ、アニス、キャラウェイなどで風味付けした緑のリキュール。アブサンは日本人には馴染みが薄いが、欧米で歴史的に芸術家、作家を中心に大人気で、絵画、文学にそれを題材としたものが今もたくさん残っている。ドガとピカソが描いたものが特に有名。幻覚作用があるらしく緑の妖精、飲むマリワナなんて影で呼ばれていたとか。麻薬に似た中毒性があるとして製造販売禁止になっていた国が多く、割と最近になってから麻薬様作用のある成分が規定量以下のものに限って許可された。

誰かがサンブーカ入りのコーヒーを飲んでいるのだろう。癖のある甘いリコリスの香りがクリームを浮かべたコーヒーに混ざって漂ってくる。それともパトロンからの頂き物のリコリスのキャンディの缶を開けたのだろうか。リコリスは植物の根で甘草に似た甘味がある。飴やグミなどのお菓子にすることが多く、好きで仕方がない人は乾燥させた根をそのままガジガジかじったりもする。アメリカに行った人が、土産で面白半分に買ってくる、トゥイズラーという黒いゴムのようなチャレンジ精神全開のお菓子もリコリスだが、それとは別次元。リコリスはサンブーカというイタリア産のリキュールにもアニスとともに使われていて、欧米人はそれをエスプレッソに入れて楽しむ。

ロートレックは遺伝子疾患と幼少期に負った怪我のせいで身長が150cm台前半、頭蓋骨の形状にも欠陥があった。その外観のせいで父親に蔑まれ辛い思いをしていた。そんな彼だからこそ、裕福な家に育ったにもかかわらず、社会の底辺とされる身分のストリップダンサー、キャバレー歌手たちを温かい目で見られたのだろう。彼は彼女らを愛し、よく画題としても取り上げた。彼女らを相手にアブナイ場所でイケナイことをし続けた結果梅毒に。そんなことを考えていたらサンダルウッドの香りは人肌に似たニュアンスもあってセンシュアルに思えてきた。

ブラック オピウム インテンス。コーヒーの甘く苦い芳香をBGMに繰り広げられるパリの夜の退廃的な光景が鮮烈。ロートレックの頃から、そして今もどこかで。

ロートレックとムーランルージュの夜は、コーヒーに溶けゆくアブサン、リコリス、バニラ、サンダルウッドのカルテットで幕を閉じる。静かにそして親しげに寄り添う、天使であると同時に悪魔である緑色の妖精と共に。

トップノート: アブサン、ボイズンベリー

ミドルノート: コーヒー、ジャスミン、オレンジブロッサム

ラストノート: バニラ、リコリス、サンダルウッド、

使用した商品
  • サンプル・テスター
  • モニター・プレゼント  (提供元:Sephora (米国))
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セルジュ・ルタンス / ムスククビライカーン(Musc Koublai Khan)

セルジュ・ルタンス

ムスククビライカーン(Musc Koublai Khan)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:100ml・35,200円発売日:2018年11月

5購入品

2020/1/3 13:00:36

ルカトゥリンの世界香水ガイドの共書者タニアサンチェス氏いわく、野獣のムスク。クビライカーン(英語、フランス語読み) =フビライハン(日本語読み) というからには多分モンゴルの馬とラクダのムスク。高校の歴史で習ったヨーロッパとアジアにまたがる大帝国元の5代目ね。それではさっそく....

さあ、お馬さんとラクダさん、喧嘩しないで仲良く出ていらっしゃい。プシュ....

まず最初にモンゴル馬が期待通り砂煙を上げてゴビ砂漠を疾走してきてくれた。ヨーロッパ騎士軍よりさらに速い時速40km。そのあとにラクダが続いて時速30kmで。モンゴル騎馬軍団とラクダの群れの香りが私の肌の上を駆けている。しかも全部の馬に兵士付き。さすがルタンスさん、太っ腹大サービス。飼い慣らされているけど確かにケモノ。アニマルノート好きが泣いて喜びそうな筋金入りの獣臭。期待を裏切らない素敵な香りの暴れっぷり。馬とラクダから最新テクノロジーを使ってムスクを抽出したのか?野獣に加えて革の香りもして、それがゴムかタイヤのようにも感じられる。馬に乗ってる兵士は革で作った軽い鎧を着ているから。

30分程して大暴れした馬ラクダセット兵士付きが元寇の奇跡、神風に吹き飛ばされたように去っていった。

その後に何とも艶っぽいムスクの生肌のような香り。冗談でしょ?

美術館のヌードの写実画に、まるで吸い込まれそうな美肌が描かれていることがある。ツンツンしてその触感を確かめたくなるようなつきたてのお餅のような肌。ガードマンのお兄さんが見張ってるし、触ったらアラームがなりそうだからやらないけど、もし描いた人にどうぞご自由にと言われたら是非触りたい。そんなむっちりした肌から漂ってきそうな官能的で魅惑的な香り。子供の頃美術館で裸婦や上半身裸の男性の絵を見て、「きゃー何これ、ばっちい」とか何とか口で言っておきながら、実はドキドキしながら顔を覆った指の間からこっそりと見ていたりする、妙な気恥ずかしさも思い出してしまう。

そのムスクの中から薔薇、優しいベビーパウダー、シベット、アンバーの円やかな香りが時々何かの拍子に顔を覗かせる。単体の時もあるし、何種類か組み合わさっているように感じることも。時々華やかでスパイシーな香りがするのはキャラウェイかな?パチュリとラブダナムはクレジットされているけれど完全に奥行きを与えるだけの裏方に徹しているようで、探って嗅ぎ分けるのが難しい。

最後には肌と同化したドライなバニラとムスクが残る。8時間ほど余裕で香ってくれるが拡散性は低く、つけすぎない限りは隣に座ってようやくわかる程度。ムエットだけでなく肌にのせて少なくとも2時間待って判断した方がいい。私の前に口コミした人も書いていたように、ムエットとトップノートだけで判断した人はあまりいい印象を持っていないらしい。トップノートとミドルノート以降の格差は調香師クリストファーシェルドレイクの魔術。それはフビライハンがはべらせていた沢山の妾の色香。

とにかく艶めかしいヌーディな香り。ユニセックスではあるけれどどちらかといえば男性に似合いそう。特に筋肉質な人。女性なら肌の綺麗な豊満なぽっちゃりむっちりタイプに似合いそう。どちらにしてもエッチな意味で美味しそうな肉感がたっぷりと漂うので、これをつけて女性が夜一人で歩くのはまずいかもしれない。満員電車も避けた方がいい。男性ならいいけど。前の人が紹介していた A bottle of sexual harassmentという評に納得。同じサイトのもっと最近の評にSex Pantherというのもあってそちらもうなずける。


セルジュルタンスの香水のネーミングは何故それを選んだ?というものが多いがこれもその一つ。エルメスの李氏の庭のネーミングも酷いけど、これも何とかならないのか。ヌーディムスクにするとか。どうしても何とかしたくないのなら、北条時宗のバニラという製品も作ってくれないだろうか。フビライハンのムスクと一緒に神風セットとして日本だけで台風シーズン限定発売していいから。

シングルノート: ムスク、アンブレットシード、アンバー、シベット 、ローズ、フレンチラブダナム、キャラウェイ、バニラ、パチュリ

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アムアージュ(Amouage) / Beach Hut Woman

アムアージュ(Amouage)

Beach Hut Woman

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2020/5/16 11:57:29

夏の眩い太陽の輝きを思わせるようなオレンジ色のボトルに詰められた香り。名前からして強い日差し、爽やかな潮風、水着姿の綺麗なお姉さん達、それに寄ってくるカッコいいお兄さん達、色鮮やかな花、トロピカルカクテル、サンタンローションのイメージを凝縮したような、真夏に似合う香りだと信じ込んでいた。グリーンがかった若々しいトロピカルフルーティかな?透明感のあるマリンノートかな?

ウキウキしながらつけてみる。一足先に夏の気分になれるかもと期待大。

でも、現実は....

昭和のポマード?フゼア系の香水?

と思ったのも束の間、15分ほどで海水、海藻、苔の生えた岩場を思わせる香りに変化。どうもベルガモットが昭和のレトロな男性化粧品感を添えていたらしい。ここまでの香りは正直いって魅力的だとは決して思わないが、2、3時間後に出てくるミドル後半からラストの香りは心を落ち着けてくれる。

だんだんオフシーズンの海辺を歩いている気分になる。泳ぐにはまだ早い、あまり観光地化されていないビーチの砂を踏み締める。ビーチに人はいない。綺麗な水着のお姉さん達もいない。カッコいいお兄さん達はお目当ての綺麗なお姉さんがいないので当然いない。自分だけじゃん。寂しいなあ。

ふと見るとどこかから漂ってきた流木が打ち上げられている。際限なく当たり続ける波に磨かれて角が取れて丸くなっていた。しばらくの間引き潮だったのだろう。流木は乾いていて潮の香りと重なり、かなりドライな印象。

イランイランだろうか、ミドルで柔らかい陽射しのようなニュアンスを醸し出しているのは。砂浜で風に吹かれてひとり歩くのは結構淋しい。恋人と手を繋いで歩きたいな。人肌恋しくなってくる。

ラストは海深く潜っているような、重力を感じるほど荘厳で静かな香り。パチュリとカシュメランらしい。クレジットには入っていないがウード主体の落ち着いた印象。海の底に横たわっていてお魚さん達の遊び場になっている宝船はこんな香りかもしれない。

そんなアムアージュのクリエイティブディレクターはクリストファー チョン氏。CEOがニューヨークからヘッドハンティングしてきたのだが、本人は香水の作り方などの公式なトレーニングは何も受けていなかった。香水ブランドの方向性はディレクターによって大きく変わる。チョン氏はもともとバリトンのオペラ歌手だったということもあって、彼の時代のアムアージュは情景が浮かぶような詩的な作品も多い。様々な香料を楽器の音色のように操って、ひとつの物語が奏でられる。アジア系のバックグラウンドなので感性も日本人にかなり近いと思う。英語のインタビューを聞く限り僅かなアクセントがあるので、少なくとも物心着くまでアジア圏の国で過ごしていたのではないだろうか。

流木、細波、潮風、誰もいないビーチハウス、自分以外の足跡が付いていない砂浜は静かな音楽、又は俳句や短歌かもしれない。他人の為につけるのではなく、自分の感受性のアンテナを広げて非現実にトリップして楽しむための香り。

ビーチハットウーマンの主役、ドリフトウッド (流木) のノートは、調べたところかなりの数の香水に入っている。流されて波に揺られて漂う流木に情緒を感じるのは万国共通なのかも。流木のように自分の意思とは裏腹に周りに流されていくやるせなさは、人間なら誰でも思っていることなのだろう。

この香水のもうひとつの主役は海水。カロンという一昔前に一世風靡した人工香料が入っている。それはロードイッセイで有名になった、水を思わせる透明感のある香りだ。カロンがミネラルノートと重なって潮の香りになっている。海藻の香りの混ざった風に吹かれて、打ち寄せる波の音を聴いているみたい。夕方になるまでずっと。だから瓶の色が夕焼け色なのかな。

このカロンという香料は時々いたずらをする。水と同時に、天候によっては瓜系の香りを感じさせる。これがどことなく西瓜の皮っぽい。このノートが出てくると楽しんでいた静寂の世界の邪魔になるのがちょっぴり不満。

誰もいない海岸にどこからか西瓜がいきなり出現。長い流木も何故か近くにある。

「殺ってやる。」

遠い昔、西瓜割りの女王と言われた私の血が騒ぐ。でも1人で海辺で西瓜割りなんて悲しすぎる。

トップノート: ベルガモット、 ミネラルノート
ミドルノート: ドリフトウッド、イランイラン
ラストノート: パチュリ、カシュメラン

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ジャン デプレ / バラ ベルサイユ

ジャン デプレ

バラ ベルサイユ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2020/3/25 23:42:49

貴族が住んでいたらしく、何百年も経っていそうな趣のあるヨーロッパの建物。重い木製の扉には美しい装飾的な彫刻がなされている。よく手入れされた庭園の下草、落ち葉、小枝の散らばる地面をゆっくりと踏みしめながら歩いてみる。空気を含みフカフカ柔らかい歩き心地だ。

トップはそんなヨーロッパの歴史的建造物の庭から漂ってきそうな混沌とした植物の香り。朽ちた感じは全くなく、何世代にも渡って手入れされ続けた広い庭園。ツンと鼻に抜けるローズマリー、ほろ苦いグリーンのカシスの葉、ベルガモット、マンダリンオレンジ、レモン。柑橘類の精油というより、剥いている時に手についた皮の汁そのものの匂いがする。オークモスはクレジットされていないが入っていると思う。それがミドルノートのパチュリとベチバーと相まって、栄養分をたっぷり含んだ包容力のある土を感じさせる。

すぐに艶やかな薔薇が、素朴なネロリと遠い外国からやってきたジャスミンをお供に、植物の間を縫うようにお淑やかに現れた。園芸や造園をする人は知っていると思うが、庭に薔薇を植えると周りにある植物と仲良く手を繋いで香ってくる。「わたくし薔薇でございますわよ。他の方々とは違うのよ、オホホホホ。」とでしゃばった香り方はしない。ベルサイユの薔薇は本当は気さくでいい奴なのかもしれない。

ミドルでお白粉っぽさとセンシュアルな花がレザーにエスコートされてやって来る。着飾った貴婦人と歩く紳士は革の手袋をはめているのだろう。いかにも彼女の豪華絢爛なドレスから香ってきそうな匂い。

ウエストを極限まで細く見せるコルセット、内側に装着した鯨の髭のパニエでドアを通るのも大変なほど大きく膨らませたスカート、馬車に乗る時どうするのか心配になるほど、花、船、ダチョウの羽などで天高くそびえる髪型。ゴスロリ少女達も真っ青なフリルフリフリ、リボンヒラヒラ、レースチャラチャラな御召し物。職人技を集結させて作ったドレスの細部は美術館に入れるレベルに。絹の手編みレース、現代人がしたらブチ切れそうなほど時間がかかる刺繍を施した生地など機能性は果てしなくゼロに近い。働く必要がなく他にすることもないと、こんなことに情熱と財産を注ぎ込むのかと妙に納得。そんな舞踏会の様子を凝縮液体化したのがバラベルサイユ。

ラストは甘く堕ちていく樹脂、バニラ、アンバーなどが合わさった重い香り。色っぽいシベットも加わり1個1万円くらいする豪華な石鹸のよう。風呂に入らなかった貴族の中では珍しく、マリーアントワネットはお風呂好きだった。こんな石鹸を使っていたのかな。この香りを湯舟で嗅いでまどろんでいるうちにお湯の中に撃沈されそう。香水自体は延々と香り続けるほど持ちが良く、この素晴らしい石鹸の香りは半日から一日辛抱強く待たないと嗅げない。

正直言って、どこにフォーカスがあるのか、どこに向かうのかよくわからない香水。他に類を見ないほど複雑で重厚。ベルサイユ宮殿の豪華さに加え、貴族王族が舞踏会に来た時のドレスのゴージャスさがよく描かれているが。飾りでてんこ盛りになったスカートの下も見えないお洒落って事で、当然下着も絹でフリルとレースで飾られているのだ。男性からしたら???と思うほど現代の女性がブラに凝るのと一緒で親しみが湧く。そんな所にまで庶民からの年貢を使った挙句、「ご飯が食べられないのならお菓子を食べればいいんじゃない?」なんて言うから、怒った彼らに革命起こされるんだよ、というツッコミは横に置いておいて。

でも限りない贅沢感もたまにはいい。絡まった絹の糸玉の中から、飛び出した糸の端を摘んで引っ張り出すように、混沌とした香りの塊から、一種類ずつ嗅ぎ当てて味わうのが楽しい。

お見合いにつけていくと一発で破談にできるほど食事の邪魔だが、何故か紅茶によく合う。ただし、ほんのり上品に香らせた場合に限る。複雑さが年代もののブランデーなどの洋酒を思わせるからだろう。紅茶を入れる時つけると18世期の貴族になれる。

香水と紅茶の香りを楽しみながらくつろいでいるうちに、座っている椅子がアンティークの彫刻を施したマホガニー材と絹のベルベットの羽毛入りクッションで作ったものに、いつの間にかすり変わる。

まずい、このまま寝てしまいそう。どうやらヒトをダメにする椅子はロココ時代からあるらしい。

トップノート: ローズマリー、オレンジブロッサム、マンダリンオレンジ、カシア、ジャスミン、ローズ、ネロリ、ベルガモット、ブルガリアンローズ、レモン
ミドルノート; サンダルウッド、パチュリ、ライラック、オリスルート、ベチバー、イランイラン、鈴蘭、レザー
ラストノート:トゥルーバルサム、アンバー、ムスク、ベンゾイン、シベット 、バニラ、シダー、レジン

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プロフィール
  • 年齢・・・55歳
  • 肌質・・・乾燥肌
  • 髪質・・・硬い
  • 髪量・・・多い
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  • 血液型・・・B型
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  • 音楽鑑賞
  • お酒
  • ヨガ
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自己紹介

アロマセラピーの勉強をしているうちに香水の魅力にはまりました。皆さんの口コミをいつも楽しみにしています。外国在住のため日本で手に入りにくい香水の口コミ… 続きをみる

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