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Cookieyukiさん
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ゲラン / シャリマー オーデパルファン

ゲランゲランからのお知らせがあります

シャリマー オーデパルファン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50ml・16,390円発売日:2002/1/2 (2010/9/3追加発売)

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7購入品

2021/11/29 03:37:51

私は美人だ。

後ろ姿だけが。

よく後ろから早足で追いつこうとしてくる男性がいる。タッタッタッと追い越してチラッと私の顔を見てチッと舌打ちをして逃げていく。「なんだよ、野郎か」と言われたことも。私、女です。顔は絵巻物に描かれた下膨れの平安美人の目を大きく眉毛を立派にした感じ。平安時代にドラッグクイーンがいたら私みたいな顔なのでは。普段着もTシャツにジーンズより十二単衣が相応しいと思う。

それで昔は傷ついていたけど開き直ることにした。後ろ姿がとびっきりいい女なんだよって。

シャリマーをつけていると追いかけられることが増える。住んでいるところがアメリカなので西洋人にとってだけエキゾチックな私の魅力とやらが香りで底上げされるのだろう。

ここまで読んでいてきっとスタイルは抜群なんだろうと思ったでしょ。違うんだ、これが。中学校二年男子生徒とほぼ同じ体型。要するによく言えば少年体型、悪くいえば肩幅が立派になりかけた、寸胴で女性としてはちょっと…..でも蹴られたら痛いだろうなという筋肉質の身体をほこる。胸は無い。筋肉埴輪という表現が正しい。

じゃ、私の魅力ってなんなのよ?

シャリマー以外で考えられるとしたら髪。実は白人はボリュームのない細い髪が多く黒人は縮れた髪なので、日本髪を結ったときバッチリキマるボリュームのある黒髪に憧れる。彼らにはストレートな剛毛が羨ましいらしい。

ふっくらした女性らしいバストとヒップを育てるための栄養は全部髪の毛にいってしまった。頭蓋骨の中で止まってくれれば東大にだって入れそうな脳みそになったであろう莫大な量の栄養が髪の毛だけに注入された。肌はひからびてるのに腰まである髪の毛だけが漆黒でフサフサで艶々。何故か白毛も皆無。眉毛も立派で朝起きたら寝癖のついた眉毛を小さな櫛でとく。パンストを破ってはみ出すすね毛が哀しい。

そんな毛根一点豪華主義の五十過ぎの枯れかけた奴でさえシャリマーはいい女だと錯覚させるスゴイ香水。

トップでベルガモットが香り立つ。オリエンタルなので濃厚と思いきや、レモンと組み合わさって爽やかな柑橘系のスタートだ。私の場合ラストノートのレザーがなぜか初めから軽く香る。レザーの香りが強く出る体質のためだが高級感のある柔らかくて薄い革の匂いだ。

暫く経つとアイリスのパウダリーさが加わり典型的ゲルリナーデのメロディを奏でる。高級感と風格を感じさせるクラシックな香り。バニラも薄らと香り出す。エチルバニリンって食べ物に入れる合成バニラエッセンスの素のはずなのに、私がつけると食べ物感は余り出ない。他の人の口コミでよく触れられる芳しく香るはずのジャスミン、バラもバニラとアイリスに押されて大人しくしている。

他の人とは異なる香りに変化しているとは思うが、それでも匂いだけ嗅いだらいい女感が半端ない。華やかでありながら物腰が柔らかく優しそう、セクシーでありながらも母性も強く感じさせる。このタイプの女性は上流階級にかなりの割合で存在する。洗練されたレディの香りだ。

ミドルノートは余り変化しないまま延々と軽く半日続く。低体温、肉体労働に特化した超スローな脈拍、汗を殆どかかない体質の私が乾燥した気候でつけた場合。バニラに完全に溶け込んだ花の香りが素晴らしい。いい匂いの香水つけている人ではなくいい匂いの人になれる。

ラストはサンダルウッドとバニラの優しさにオポポナックスの甘いスパイシーさが組み合わさった身も心も溶けそうな香り。朝つけると夜寝る頃に上手い具合にこんな香りに変化している。これが好きでシャリマーをつけた手首だけお風呂に入っても水が触れないようにしているくらい。その手首の匂いを嗅ぎながら眠りに落ちるのは幸せそのもの。

年間を通して一番頻繁につけるシャリマー。こんなに大好きでも前から見た私には似合わない。シャリマーをつけた私の後ろ姿は西洋人にとっては東洋の神秘らしいのに、どうにかならないものか?

そっか、追い越されなければいいんだよ。

そして決して振り向いてはいけない。私は後ろ姿美人であって見返り美人ではないのだから。後ろ姿の美しさを殿方の心深くに刻み込んでやる。

かくして私は誰よりも早く歩くことにした。

ニューヨークでシャリマーの香りを振り撒きながら、うおおおおーと物凄い勢いで走るよりも早く歩いている腰まである艶々の黒髪の女がいたら、それは多分私。

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シャネル / シャネル N°5 オードゥ パルファム (ヴァポリザター)

シャネル

シャネル N°5 オードゥ パルファム (ヴァポリザター)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:35ml・11,000円 / 50ml・15,400円 / 100ml・21,560円 / -・25,630円発売日:- (2023/12/1追加発売)

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7購入品

2020/9/26 04:18:40

もしマリリンモンローが麗しい人魚だとしたら、自分はサンマかトビウオだと思う。「お綺麗ですね」と言われることは皆無だが「動きが機敏ですね」と褒められることが多い。よく言えば超機能的な体型。全く大柄でもないのに時々男性と間違われる中性的なルックス。そんなヤツがシャネルNo.5を気に入ってつけ続けた感想。

トップはガツンとくるアルデハイド。ひと昔前の外国製の化粧石鹸みたい。コッテリしたオイリーさも感じる。アルデハイドの匂いとは何ぞやという質問をしたら、シャネルNo.5を嗅げと言われるほどザ アルデハイドな香り。この辺の香りは確かにキツい。

ここで好き嫌いが真っ二つに分かれそう。それをやり過ごすと、バラとジャスミン以外に何が入っているかさっぱり分からないが、レトロなイメージのパウダリーな女性らしい香りになる。一瞬ベビーパウダーのように感じる時もある。

懐かしいな。子供の頃憧れて前に座ってみた、祖母の鏡台はこんな香りだったような気がする。母は鏡台を持たずに引き出しに化粧品を入れていたが、その引き出しも似たような匂いがした。ココシャネルは女性の匂いの香水をリクエストしたそうだが、まさに包み込むような成熟した女性らしさを感じる。

それを過ぎると深みのある人肌のような匂いに。このステージが季節、湿度、体調などによって様々に感じられて面白い。クルクル変わって万華鏡みたい。アイリス+サンダルウッドだったり、ローズ+ジャスミンだったり、ムスク+バニラだったり。つけたまま一晩放置したら咲いたばかりの庭の薔薇の瑞々しい香りになって驚いたことも。

しかも消えゆく少し前が大好き。華やかさのあるフローラルやウッディノートにアニマルノートがかなりの割合で隠れているらしく、ある意味生々しいほど官能的で肉感的だ。そこには軽々しく口にするセクシーという概念を超えたものがある。自分の肌を形容するのに変な言葉だが、女性の生肌から匂い立つむっちりしっとりした色っぽい香り。絵画で例えるとメアリーカサットのお母さんと子供の絵肌かな。

そんなNo.5を気に入って、かなりの頻度でつけている。とはいえ職業柄様々な年代の人を相手にするので、TPOだけでなく会う人の年齢も視野に入れて香水を選んでいる。小学生かそれ以下なら柑橘系、ティーンエイジャーならフルーティフローラル、年配の方なら少しクラシックなものなど。

シャネルNo.5は30代以上の人を相手にする時によくつける。つける場所と量によって印象がかなり違う。つけすぎるとお高くとまった感じになるが、薄めに鼻から遠い所につけると軸のブレない気丈さと共に優しげな女性らしさのある素敵な印象になる。

ある日幼児ばかりを相手にするプロジェクトの時No.5を間違ってつけてしまった。嫌われないかビクビクしながら仕事開始。うっすらと香るようにつけているせいか、子供の表情には何の異変もない。

そのうち一人がギャン泣きしだした。慰めるために抱っこ。(コロナ騒ぎ前) すると私の胸をムニュムニュ触りだした。「3才くらいだしちょっと前までお乳飲んでたしね」と思うや否や、下ろしてと言わんばかりにバタバタしだした。

ゆっくり降ろすと一目散に母親のところに猛ダッシュ。香水が嫌なのかも、ヤバっ!後で上司に怒られるかなあ。

すると...

「あんなのオッ◯イじゃない!」

その子が大声で叫んだ。よかった、香水のことじゃなくて。その場にいたお母さん達も子供達も爆笑した。

幼児を沢山相手にしていたせいか、なんだか母と話したくなった。その夜母に電話して聞いてみた。「おばあちゃんかお母さんのどちらかシャネルNo.5使ってた?」

母が言うにはどちらも使ってない。そもそも香水つける習慣がない。どうも私の頭の中でNo.5の香りと母性が合体していただけらしい。ついでに「あんなのオッ◯イじゃない」事件を報告。すると....

「あんた、何にも分かってないねえ。女の胸の価値は色艶形、大きさでもない.....性能よ!」とのたまった。流石我が母は人生の先輩。

でも今まで私にはその性能とやらを確認する機会はなかった。たぶんこれからもないと思う。

それなら香りで女性らしさをプラス。という訳でシャネルNo.5をずっと愛用するつもり。

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ゲラン / サムサラ オーデパルファン

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サムサラ オーデパルファン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:- (生産終了)発売日:-

7購入品

2020/9/11 04:15:27

人は自分の持っていないものに憧れる。

サムサラの魅力は日本にずっと住んでいるとピンとこないかもしれない。これは西洋人から見た憧れの東洋の香り。日本人にとって見慣れた近所の寺社でも西洋人にとっては珍しい東洋の神秘だ。東洋人のルックスも然りで、こちらが発想さえしないところが西洋人の眼に大きな魅力として映る。そんなわけでザ アジアーンな容姿の女性がサムサラをつけると欧米でバカ受けする。

アメリカに住み始めたころ、仲良くなった同い年の白人の女の子と美容談議。彼女が私をじっと見て真顔で「いいなあ、鼻が低くて顔が平らで」と言い出した。喧嘩売ってんのか?と思いきやポロポロ泣いている。

よく聞くと欧米では鼻の高すぎ、顔の凹凸のありすぎはドブスということらしく、自分はまさにそれだとか。で、低い鼻と平らな顔はカワイイと言い張る。「でも、私奥二重なんだけど」と言ったら、「西洋人はみんな二重で自分は没個性的」と言う。「三白眼で外斜視なんだけど」には「どこ見てるかわからない感じがミステリアスでセクシー」ときた。「下ぶくれは?」と聞いたら「歳をとるとほっぺの肉が削げるのを気にしてシリコン入れる白人もいる」と反論。「顔だけじゃなくて体も平らで、しかも寸胴なんだけど」に「蛇みたいで色っぽい」という答え。自分はグラマラスすぎて頭悪そうに見えると思い込んでいるようだ。

衝撃的過ぎてクラクラする。脳みそ溶けてきた。

「あのね、あなたみたいに鼻が高くて彫りが深い、二重で大きな目の人は日本に来たら超美人だよ。そうなりたくて整形したりアイプチ使ったりする人もいる。ボンキュッボンは日本にほとんどいないからメチャクチャモテるし。」と言ったらようやく泣き止んで笑ってくれた。

実際、欧米でアジアーンな一重の細い目、低い鼻の平らな顔はエキゾチックということでモテまくる。さらにサムサラ、オピウムなどのオリエンタルな香水をつけるとモテ度が加速する。

私はモテを狙ったわけではないがサムサラをよくつける。寺や神社をはじめとした古い建造物が大好きなので、口コミに「おばあさんが100人くらい集まったような」だの「歩く寺」だの書かれる香水なんてシビれる。自分で言うのも何だが、私は歴史的建造物の前で絵になるタイプと思っているし。だって平安美人だもん(死語。二次元の下ぶくれ。目と眉毛が果てしなく離れている)

しかし、サンダルウッドを過剰に投与した香りということで、その精油を濃縮したものとワクワクしていたら期待外れ。ザ材木な香水が好きでもウッディが香りにくい体質なので、サムサラが他人とはかなり異なる香り方をする。それはそれでお気に入り。

まず濃厚なイランイランがベルガモットを出し抜いてガンガン香って始まる。グリーンノートは全く感じられない。同時に入っているはずのないクリーミーなココナッツとジューシーな完熟パイナップルが入ったカクテル、ピナコラーダが出現。クレジットを見た限りその正体はピーチだと思う。

ミドルノートもイランイランとピナコラーダが二人三脚で爆走。ジャスミン、ローズなどの他の花の香りは皆無。寺感とオリエンタル成分は何処かで迷子になっている。東洋の神秘はいったいどこに?

サムサラは調香師が最愛の女性に捧げたものだそうで、私がつけると「もうっ!彼女最高。マジ女神」という感じのハッピーな香りになる。鼻歌歌ってスキップしながら調香してたんじゃないだろうか。あり得ないほどの満面の笑顔で。

クリニークのハッピーと幸福度を激しく争ったサムサラも、アドレナリンの放出がおさまったらしくラストは大人しくなる。相変わらずハッピーではあるが。

扇子を広げてあおいだ時の風の匂いが幽玄な時の流れのように漂いだす。優しくてパウダリー。私はこの香りが子供の頃から大好きで、サムサラをつけて初めてこれが白檀(サンダルウッド)の香りだと知った。ついに出たオリエンタル成分、ありがたや。それにオリスルートとアイリスの白粉っぽさが加わり秀逸。昔は十二単衣にこんな香を焚き染めていたのかもと想像して平安美人の心はときめく。

香水が消えゆく頃が素敵。つけた手首に息をフッとかけると、隠れていたジャスミンが匂い立つ。さらに入浴すると甘いサンダルウッドとバニラが包んでくれる。もう極楽気分。湯船で寝落ちしそう。

今は無理だけど、今度日本に帰る時はサムサラをお供にするつもり。是非寺社を訪れる時につけたい。

アメリカ感覚で香水思いっきりつけちゃうかもしれないけど安心して。

私のソーシャルディスタンスは100メートル。


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ゲラン / 夜間飛行 香水

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夜間飛行 香水

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:30ml・49,720円発売日:-

7購入品

2020/6/12 12:21:57

青空を翔るブルーインパルス。長い間暗闇の中で過ごしていたような私たちの心に希望の灯がともった。

そういえば夜間飛行を暫くつけていなかったな。

久しぶりにつけた夜間飛行はガルバナムの険しく苦い香りで始まる。当時としてはバランスが崩れるほど、どうしてこんなに入れたの?と思われる大胆な処方だったとか。それは漆黒の夜と金属でできた飛行機の機体をイメージさせるかのように無機質、硬質で冷たい。それと同時にベルガモット、レモン、オレンジなどの柑橘系のハイトーンな酸味。どことなく昭和の典型的な男性用トニックのようでもある。夜間飛行は1933年に発売されているから、当然トニックの方が真似したんだけど。

暫くして現れた蒼く清らかなナルキッサスの香りを嗅ぐとほっとする。暗闇で灯火をみつけたかのように。世界初の大西洋単独無着陸飛行を成功させたリンドバーグが「翼よ、あれがパリの灯だ」という本を書いているが、その心安らぐ気持ちがなんとなくわかる。空高く飛ぶ孤独な飛行機から見下ろす針の先ほどの小さな灯り。抱きしめたくなるような人の生活の温もりがそこにある。子供の頃過ごした懐かしい庭で、背の高い草木に紛れて咲いている水仙を見つけようとするように、誰もいない場所で愛しい人を探すかのように、冷え冷えとした暗いメタリックな香りの中にあるその花の香りを夢中で追いかける。

ミドルはアイリスを筆頭とした、ほっとできるパウダリーな香り。飛行機は離陸の3分間と着陸の8分間が一番緊張するというが、無事に飛行機が高度をあげて安定圏に入ったかのよう。ふんわりした綿菓子のような雲を見下ろしながら飛んでいく。この辺のノートがなかなか面白い。ローズ、ジャスミン、スミレなどの花の名前がたくさんクレジットされているが、突然花の香りがモコモコのアイリスの雲の中から、手品のびっくり箱から花が飛び出してくるかのごとく出てくることも。それがなんとも色っぽくてドキッとすることが多々あり。時々、花ではなく動物性香料を思わせる官能的な香りが感じられる時もあって飽きずに楽しめる。

ラストノートはサンダルウッド、オークモスが目立つ樹木調。そこにバニラが加わり、とてもリラックスできる。最初の険しさからは全く想像できない安らぎと癒しの閉幕。行ったことないけど天国の雲ってこんなかな、なんて想像してしまう。オードトワレなのでここまで行き着くのに体温低め、脈拍平静時55くらいの超低燃費の私で4、5時間ほど。体温高めの人だったら2、3 時間くらいかも。短すぎて残念。もうちょっと長持ちしてくれたら最高なのに。

夜間飛行が発売された頃、女性の社会進出が盛んだった。この香水は当時の女性飛行士、エレーヌ ブーシェに捧げたものでもあったらしい。お馴染みのサンデグジュペリの同名の小説をモデルにしたのは言うまでもないが。それは女性らしさを失わず、男性中心の世界で自分の志と自由を求める女性に捧げられた香り。因みにブーシェ氏は当時男女を含めての世界最高速を更新したばかりだった。

キャサリン ヘプバーン、ミッシェル ファイファーなど自立したカッコいい女性が愛用し続けた夜間飛行は、つけるだけでドラマチックな気分になる。特に自分を励ましたい時に最高。そうかといって不思議とアドレナリン爆発な気分にはならず、静かに覚悟を決めて集中するのにいい。座禅なんか組んで精神鍛錬した、戦に出る前の女武士にでもなったようだ。

私には行きたい場所がある。したいことも沢山ある。真っ暗闇の中を飛んでいく。道標も明かりも何も無く。頼りになるのは星と羅針盤と自分だけ。何となく自分の人生をそのストーリーに重ねてしまう。それは私だけでなく世界中の全ての人が思うことなのかもしれない。そんな万国共通、古今東西共通の心理もあって夜間飛行は愛され続けているのだろう。

動物は鳥を見ても、ああ、自分もあんな風に飛びたいとは決して思わない。飛べない自分が悲しいなんて思うのは人間の性。飛びたいという夢さえ持たなければ、不安はないのかもしれないと苦笑い。

先行きの見えない人生は、心を乱れさせる。でも今まであっただろうか?先行きが見えたことなんて。本当に未来が見たいかというと皮肉なことにそれも疑問だ。落ち込むだけ落ち込んで覚悟を決めると、また飛ぶ勇気が出てくる。

飛んで行きたい。暗闇が青い空に変わるまで。分厚い黒雲の割れ目から一筋の明るい光が差し込むのが見える場所まで。長い夜の帳が朝焼けの明るいオレンジと水彩絵の具のように交わるところを目指して。夜間飛行の登場人物のように。

終わらない夜はないから。

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フレデリック マル / ムスク ラバジュール

フレデリック マル

ムスク ラバジュール

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:10ml・6,600円 / 30ml・18,150円 / 50ml・23,100円 / 100ml・33,000円発売日:- (2018年11月追加発売)

7購入品

2020/12/20 00:13:42

「異性の体臭に惹かれるという人もいる。あなた、理解できる?」

私が小学生高学年だった頃読んだ占いの本にあった一節を強烈に覚えている。4つの選択肢から回答を選ぶと深層心理がわかるという物。質問は「異性のどこに惹かれますか?」で、選択肢は顔全体、目、笑顔、身長。体臭は含まれていなかったが、答えの後に著者のコメントとして初頭のフレーズがあった。今思えば大人である著者が性について何も知らない子供をからかっているような気もする。ちょいエロ占い師だな。そのころ着せ替え人形ごっこに夢中だったガキんちょには、その言葉の意味がわかるまでに相当な時間がかかった。

私は過去に衣装デザイナー兼舞台の衣装係の仕事をしていた。聞こえはいいが結構なガチ肉体労働。衣装デザイナーは机の上だけでする優雅な仕事だと思い込んでいた人は大抵ここでキャリアを諦める。デザインして縫うだけではないのだ。下積みの時は重い布を運んだり舞台裏の世話だってする。ダンス、演劇の舞台が終わるやいなや楽屋を駆け回って大量の衣装を集め、それが汗臭くなる前に洗濯機に突っ込み、洗った後乾燥機に投入する。衣装は重くスピードが要求される。全部終わるまで制限時間30分から1時間。

汗はかいてすぐには臭わないが、なんとも言えない動物的でセクシーな体臭のついた衣装に遭遇することがたまにある。「うおおおおー」と雄叫びをあげるほど必死に洗濯物と格闘していて匂いをクンクンする気にもならないが、ふと手が止まってしまう。生々しいシルキーな肉体をイメージさせる匂いだ。同じものをムスクラバジュールから感じる。

さらに舞台では衣装の早変わりがある場合がよくある。短い制限時間内(30秒以下の場合も)に役者は着ている衣装を脱いで次の衣装に着替えて舞台に戻る。その時は二、三人で着替えを手伝う。服を脱ぐという行為はエロティックなはずなのに色気はゼロ。側からは二、三人で寄ってたかって人を襲っているようにしか見えず滑稽だ。相手が男性の場合は特に。筍の皮早剥き選手権世界大会決勝かと思う勢いで服を脱がして着せる。着せ替え人形が大好きで一生やっていたいと思っていたら変な意味で夢が叶ってしまった。

この時も先程のようなセンシュアルな体臭を感じることがある。早変わりがある時は特に、役者やダンサーは気を遣って軽く香水をつけている場合が多い。でも明らかに香水ではない。それは心の奥でいつも抑圧している官能を呼び起こすような匂い。滑らかな肌、弾力のあるむっちりした筋肉を彷彿とさせる。

ムスクラバジュールは表だって色気ムンムンな訳ではない。ラベンダー、ベルガモットで始まる人気の男性向け香水によくあるスタート。ここからメゾン系男性香水らしく展開すると思いきや、意外にもパウダリーノートが約30分後に浮かび上がってくる。

それと同時にシナモンとクローブの香り。特にクローブの香りは野性的で時に動物的に思える。調べてみたらシナモンとクローブには催淫作用があることがわかった。

スパイスが肌に馴染む頃、何故か薔薇?ジャスミン?といったインドール系の花の香りが主張する時がある。特に服についている場合。花の香料は入っていないはずなのに。よく知られた話、動物臭くてそのままでは嗅いでいられないインドールを薄めると花の香りになるそうだ。単に薄まった動物臭を花だと錯覚しているのかも。この花らしきノートは大体ミドルからラストに移行する辺りでアンバー、ガイアックウッド、白檀、シダーウッドなどのウッディノートに紛れて出現することが多い。

ラストノートはバニラ、トンカビーン、ムスク。このムスクが私は元々動物性の香料ですよと主張する。本当は合成化学物質なのにプライドが高い。このラストノートが超長持ちで朝つけても翌日の昼ごろまで香っている。

消えゆく直前のバニラはゲランのシャリマーによく似て重厚だが甘すぎない。艶々の柔らかいシルクのようだ。時々思い出したかのように妖艶なアニマルノートが微かに底辺で香る。

ところで一緒に仕事をするダンサーにセクシーなアニマルノートの体臭の持ち主がいる。彼は少年っぽさの残った甘いルックスで小柄で細身。アメリカでは背が高く髭の濃いマッチョな男性がモテて、彼は決してモテるタイプではない。磁石か?と思うほど女性がワラワラと寄ってくるが、本人は幼馴染のガールフレンド一筋で他の女性には目もくれない。彼は大人の男の魅力がない自分に何故女性がこんなに群がってくるのか不思議に思っている。でも流石に言えない。「君の体臭がエロいんだよ」なんて。甘い見かけに潜む官能性がムスクラバジュールそのものなんだよ。

という訳で異性にモテたい方、是非ムスクラバジュールをどうぞ。しかし何が起こっても自己責任で。

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Cookieyukiさん
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プロフィール
  • 年齢・・・54歳
  • 肌質・・・乾燥肌
  • 髪質・・・硬い
  • 髪量・・・多い
  • 星座・・・牡牛座
  • 血液型・・・B型
趣味
  • エクササイズ
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  • お酒

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自己紹介

アロマセラピーの勉強をしているうちに香水の魅力にはまりました。皆さんの口コミをいつも楽しみにしています。外国在住のため日本で手に入りにくい香水の口コミ… 続きをみる

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