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Cookieyukiさん
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アトリエ・コロン / Vanille Insensee

アトリエ・コロン

Vanille Insensee

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2020/11/20 05:04:33

誰にでもいるかもしれない。出会いの印象が最悪で長い間全く話さなかったのに、ふとしたきっかけでいいヤツとわかり仲良くなる友人。私にとってVanille Insenseeはそんな香水。

ムエットで甘さがないバニラ感が気に入って肌に乗せた。意外にもライムなどの柑橘系が強いトップ。私の好きなスパイス、コリアンダーも微かに感じる。そして次第にドライなバニラが混ざる。全ての香料が噛み合わなくてチグハグ。香料全部で二人三脚するべき時に柑橘系がクラウチングスタートする。

昼食をとっている時、どこからか昭和のポマードかジェル状整髪剤を思わせる匂いがプーンと漂ってくる。同時に古い電話帳のような匂いも。食べている秋刀魚塩焼き定食と相性最悪。一体誰が今時そんなものつけてるの?と腹が立つ。でも自宅で自作した秋刀魚塩焼き定食をひとりで食べているので、当然自分しかいない。

Vanille Insenseeをつけた手首の匂いを嗅ぐ。犯人はコイツ。「最悪!もう絶対つけない!」と心に決めて引き出しにしまい込んだ。

そんなことがあったのもすっかり忘れたころ、どんな香水をつけるか迷い目を閉じて触ったものをつけることにした。久しぶりにつけるVanille Insenseeのミドルの甘ったるくないバニラがすっかり冷たくなった秋の風に心地よい。単調かと思いきや、よく嗅ぐと微かなジャスミンやベチバーも感じられる。相変わらずトップは香料同士が馴染まないが、ミドル以降見事にお互いを引き立てる。

ミドルからラストはインドあたりから輸入された高級なお香のような香り。同じインド産のバニラのお香でもお菓子のように甘ったるいもの、人工感マックスなもの、自然でドライなものなど様々で面白い。何よりも自分の好みがハッキリと理解できたのは貴重な経験だった。少し残っているお香の箱を開けてVanille Insenseeに似ているものを探す。「あれがない、これがない」と焦ることのない探し物は楽しい。

もうお昼だ、お腹すいたな。何か食べよう。クリームソースパスタとサラダをチョイス。赤ワインも飲んじゃおう。一杯だけならいいやと昼飲み。

ふと蘇る秋刀魚塩焼き定食の悲劇の記憶。ヤバいヤツじゃん、コレ。嗅覚を少し麻痺させようと赤ワインをゴクリ。

「あれ?」

何故か赤ワインがいつもより美味しい。Vanille Insenseeが味と香りをひきたてている。アンバーとウッディがバニラの奥にあるからだろう。木の樽でワインは熟成させるしね。

覚悟を決めてクリームソースパスタを口に運ぶ。

「!」

違和感ゼロっていうか、むしろさらに美味しい。ドライなバニラとバター、クリーム、チーズなどの乳製品の匂いの相性がいいのだろう。調子に乗ってバニラアイスをデザートに。

「ごめんよ、ずっと避けていて」と香水に謝る。

お腹も嗅覚も満足したので本を読んでゆっくり。久しぶりに開いた薄茶色に縁が変色した古本は、どこかVanille Insenseeに似た匂いがする。この作者の本に出会ったのは高校時代だったな。

それで思い出した高校時代。初対面で気に食わず三年間同じクラスだったのにも関わらず、一言も話したことのないクラスメートがいた。

フリルとレース盛り盛りブラウス、ポニーテールに大きなリボン、口を開けばザ・お嬢様のKちゃん。コイツとは絶対やっていけない。挨拶以外で絶対口を聞かないという永久シカトリストに彼女を入れ、三年間平和的共存を果たした。

卒業直前に学校のイベントで父兄と生徒のグループ対談があった。お互いに何を考えているかわかり合おうという趣旨の企画で、自分の親とは絶対同じグループにならないルール。そこにブランドものをさらっと身につけて化粧もバッチリと決めたザ・いい女なお母さんがやってきた。女っぽい外見に合わずサバサバとした性格で話すのが面白かった。

卒業後、Kちゃんと街でばったり。彼女の方からニコニコ話しかけてきた。

「あれ?コイツ、めっちゃいいヤツ!」

結局彼女と仲良くなった。後で聞くとお母さんに私のことを「裏表のないいい子よ」と聞いて安心して話しかけてきたらしい。あのザ・いい女ママは彼女の母親だったのだ。

懐かしくなり卒業写真集を開く。Kちゃんは出席順が三年間私の真前だったことが判明。こんなに近くにいたのに。

「ごめんよ、ずっと避けていて」

久しぶりに会いたいな。卒業写真集は乾いたバニラの匂いがした。

トップノート:ライム、柑橘ノート、コリアンダー
ミドルノート:ジャスミン、オークモス、ベチバー
ラストノート:バニラ、オーク、アンバー



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Etat libre D'orange / コロン(あぁ、いい香り)

Etat libre D'orange

コロン(あぁ、いい香り)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2020/6/18 21:11:57

最近心に余裕がない。職業上、常に音楽を聞いているから、プライベートでは全く聞きたくなくなった。人と話すことが仕事の大部分なので、休日は誰にも会いたくない。食欲もないし、よく眠れない。五感を閉ざしつつあるのでは?

自分、大丈夫か?気になる。確かめたい。このコロンがいい香りに思えたらまだまだ私は頑張れるってことね、と前の方の口コミを読んで勝手に解釈。

仮説: コロン(あぁ、いい香り) が楽しめたら私は大丈夫

それでは早速検証。

ベルガモットの鮮烈な香りが僅かなグリーンを伴って弾けるトップ。ベルガモットの香りが好きな人が大喜びしそう。ここからおじ様系フゼアに転ぶかと思いきや、予想を裏切って潔くベルガモット一直線だ。

私には朝風呂に入る習慣があり、その後で色々な香水をつけて楽しむ。寝ぼけ眼でシュッと吹き付けるのだが、このコロンはなかなかいい。酸味の強すぎる香りをつけると「起きろ、コリャ」と言われているみたいだが、これなら「ねえ、起きてぇ」と優しく呟かれているみたい。

ベルガモットが入っているのはよく分かる。でもその他にレモンやグレープフルーツ以外の柑橘系が入っている。30年間毎日ほぼ完全自炊の私。食べ物の匂いを嗅ぎ分ける自信あり。蜜柑やオレンジじゃないな。もう少し香りの甘みが弱い。

クレジットを見るとブラッドオレンジとある。あまり市場に出回っていないが、皮を剥いている時の香りは蜜柑より甘さがなく多少の苦味がある印象。味はジューシーでグレープフルーツと蜜柑の間くらいの甘さだ。

私だけかもしれないが、コロンという言葉にはレモンやグレープフルーツなどの柑橘系で、シャワーを浴びたばかりのイケメン又はお姉様が、素敵な笑顔ですれ違いざまに振りまく爽やかな香りという先入観がある。それに比べてベルガモットが豪奢で重厚な感じで色っぽく、コロンとして一味違う処方だと思う。

ベルガモットを堪能するうちに思いついた。これをつけて普通の紅茶を飲むとアールグレイに化けるのではないか?発想としては小学生がカレールーと野菜とお肉を別々に食べたらお腹の中でカレーになるのでは?と思うのに似て情けない。

でも迷わず実践。お湯を沸かしてリ◯プトンの普通の紅茶を入れている間にコロンを手首にひと吹き。そして紅茶を口に含む。

うん、思った通りいける。流石にアールグレイには変身してくれないが、ベルガモットの香りと紅茶そのものの香りが重なって鼻にも舌にも美味しい。手首と紅茶の間を鼻が行き来する光景はかなり怪しい。自宅でよかった。

ミルク入れたらどうなる?ゴクッ、これもいい。

そういえば濃いコーヒーをバニラアイスクリームにかけるデザートがあったな。アフォガートだったっけ?それの紅茶バージョンはどうかな?コロンの香りと合うかな?

当然やってみる。バニラアイスに濃い紅茶をタラーリ。耳を澄ますと一瞬ジュワッと小さな音。紅茶の温度でアイスクリームが溶けて、冷たい溶岩のように少しずつ紅茶の池に沈み、透明な赤茶色とマットなクリーム色がマーブル模様を描く。コロンのベルガモット、紅茶、バニラの香りがふんわりと私を包む。手首の匂いを嗅ぎながら食す。溶けかけたアイスクリームの滑らかな甘味と紅茶の香ばしい苦味が舌の上で広がる。そういえば五感を研ぎ澄ませて食べ物を味わったことなんて最近なかったな。

アフォガートを楽しんでいるところにミドルノートのジャスミン、オレンジの花の香りが乱入。アイスクリームが少し溶けかかったとこはジャスミン&オレンジの花ソフト、ベルガモット添えだ。観光地でラベンダーソフト、薔薇ソフト、藤ソフト等があるが、それのバリエーションね。

ラストノートはブラッドオレンジの皮を思わせる少し苦味のある甘い薄い香り。それがドライなムスクと僅かなレザーと混ざって、深呼吸したくなる。

「あぁ、いい香り。」思わず声に出す。

だんだんお腹が空いてきた。アフォガートだけじゃ物足りないな。ベーコンを焼いてパンに挟んで食べる。あれ?コロンが邪魔にならない。レザーのせいかどことなく煙った雰囲気もあるラストノートが、ベーコンのスモーキーさと意外と合うのかも。

お腹いっぱいになったのでころんと横になり昼寝。コロンだけに。起きたらまた頑張ろうという気になった。

結論: 五感が蘇った。人間の三大欲求のうち食欲と睡眠欲は無事だったと判明。

私はまだまだいけそうです。

トップノート: ベルガモット、ブラッドオレンジ、グリーンノート
ミドルノート: ジャスミン、オレンジフラワー
ラストノート: ムスク、レザー

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セルジュ・ルタンス / Jeux de peau(パリのバゲット)

セルジュ・ルタンス

Jeux de peau(パリのバゲット)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:50ml・11,000円 (生産終了)発売日:-

5購入品

2022/11/12 03:02:39

トップは小麦ノートとミルクノートだなんてとても魅力的。

私は自分でパンを焼くのだが、捏ねている時も焼いている時もいい匂いだと陶酔している。しかも焼く前のパン生地は表面がスベスベ、ムチムチして弾力があって赤ちゃんのほっぺみたいだ。それを指でツンツンしてひとりで喜んでいる。他人から見たら変態と思われそうだが自宅だからいいのだ。その幸せな香りが香水で味わえるなんてとウキウキ期待しながら肌にのせる。

ん?

ふわふわの優しい香りとこんがり焼けたカリカリのクラストのパンは何処に?

確かに小麦粉を使った食べ物の匂いがする。そして油分も感じる。しかしそれはパンではない。こんな風に感じるのは私だけかもしれない。焦る。これは高級ブランド、セルジュ・ルタンスだ。こんなこと言ったら絶対ファンにしばかれる。

でも勇気出して言う。

カリントウの匂いしない?

それはそれで好きだけど。

小麦粉を牛乳で練って生地を作って油で揚げて、熱いうちにコクのあるトロリとした黒蜜を絡めて乾燥させる。。普通カリントウには牛乳入ってないけどミルク感は多少感じるので無理やり加えてみた。ああ、考えるだけでお腹すいてきた。

カリントウの黒蜜の香りが穏やかになってきたあたりでリコリスの香りが強まった。リコリスの木の枝を嗜好品として売っているお店があって買ったことがある。マッチ棒の2倍ほどの長さで爪楊枝の4倍くらいの太さの枝が箱の中に入っている。それをガジガジかじって味わうのだ。ウッディで多少スパイシーな甘みが口いっぱいに広がる。噛んでいるうちに香りも口腔内から鼻に抜けていき、その時に風味や香りを感じるらしい。かなり写実的なリコリスの再現香だ。

ミドルノートはほんのりした温かみを感じるスパイス、ウッディなリコリス、なんとなく菊に似た薬草っぽいイモーテルの香りのバランスが良い。香りにオイリーな厚みを感じるのはココナッツか。ココナッツは取り扱いを間違えるとあからさまで幼稚な印象になりやすい香りだと思うが、ここではかなり洗練されて他の香料とよく馴染んでいる。パンだからバターっぽい香料を入れる手もありだけど、それじゃ食べたら一瞬でなくなるけど作ったら半日くらいかかるクロワッサンみたいなよそいきのパンになってしまう。家庭でお母さんが焼いたようなパンのイメージから遠ざかる。

ミドルノートでようやくパンらしき香りに落ち着く。パンは西洋人にとって家庭の象徴だ。今でもパンを家庭で焼く人も多い。セルジュルタンスは孤児だったそうだが、パンの香り→温かい家庭の香り→抱きしめてくれる母親の温もりという発想なのだろう。

これは完全に秋冬の香り。特に晩秋。ツイードのジャケット、セーター、ウールのパンツで公園を散歩する。落ち葉が厚く積もった森のなかの小道を歩く。葉の中に小枝も混ざっていて時々足元からパシパシッと軽い乾いた音がする。足の裏で時々ドングリらしき小さな球がムニュッと動くのを感じる。落ち葉の匂いとJeux de peauはとてもよく合うので自然の中を歩く時につけることにしている。

感心したのはラストノートがよく作り込まれていること。最近は買い手の心を掴むためにトップノートだけに力を入れてラストノートをないがしろにした香水が多くて残念に思っている人におすすめ。

パンの狐色のクラストの僅かに焦げた香ばしい匂い、サンダルウッドの香り、人肌によく似た匂いが立ち替わり入れ替わり現れる。肌の上で香りの鬼ごっこか?

今日もよく晴れた綺麗な秋空。Jeux de peauをつけて紅葉の公園を散歩。公園のすぐ近くにあるベーカリーからパンを焼くいい匂いがプーンと漂ってくる。フラフラと吸い寄せられていく。

あーあ、みんな美味しそう!買っちゃえ!

沢山買ってしまった。必要以上に。これをつけているとパンの匂いに敏感になって困る。本当のところはパンを買う言い訳としてつけているんだけど。
 
トップノート: 小麦、ミルク
ミドルノート: リコリス、ココナッツ、イモーテル
ラストノート: サンダルウッド、アプリコット、金木犀、スパイス、ウッディノート、アンバー



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アトリエ・コロン / クレメンティンカリフォルニア

アトリエ・コロン

クレメンティンカリフォルニア

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2021/8/5 22:28:33

「やっぱり夏は柑橘系のコロンよね」という会話が聞こえてきそうなので、柑橘系コロンは絶対夏につけない天邪鬼な私。コロンとはシャワーを浴びたばかりの綺麗なお姉さんお兄さん達が、すれ違いざまに自分の美しさ麗しさを誇示するためにつける香りというとんでもない偏見もあるし。でも時間潰しに入った化粧品専門店で見つけて気まぐれにシュッとひと吹き。女性香水セクションのど真ん中に陳列されているけど男性に大人気なんだとか。

アメリカに住んでいるので香水のカテゴリー分けは日本とは違うこともある。例えばイブサンローランのリブレはこちらでは女性用だが日本ではユニセックスみたいに。アトリエコロンは日本から撤退したそうで、日本ではどういう位置付けになっていたか分からないが、こちらでは女性用香水セクションの中心に堂々と置かれている。

香水そのものはほぼ無色だが、つけたイメージはオレンジ色。オレンジ色自体はパッと人目を引き鮮やかだが、そのイメージ同様にに世界中を明るくしてくれるような新鮮な香り。クレメンタインはオレンジの一種で甘い香りが大人気だ。日本ではアメリカ産の握り拳よりも大きいオレンジの方が贈り物としての特別感がある。小さい蜜柑イコールコタツで食べるありふれた温州みかんだし。一方アメリカ人にあげるなら(ミカンの産地以外の場所に住んでる人ね)、クレメンタインとマンダリンはオリエンタルでエキゾチックで小さくてキュートだと喜ばれる。

手についたら果汁でベタベタしそうなほど甘いオレンジの香りを、ジュニパーベリーがジンのはいったカクテルのようにピリッと引き締めてキレのある香りに変化させる。その後ハーバルさを伴ったウッディな香りに導かれる。

バジルとサイプレスの青々とした組み合わせとハイチアンベチバーとサンダルウッドの樹木っぽさが木立の中を歩いているような気分にさせてくれる。なびいた髪の間をすり抜けていくような微風が心地いい。

ミドルのスターアニスの香りはハッキリとは分からないが、その清涼感は感じられる。スターアニスすなわち中華料理でよく使われる八角だが、コッテリした香りと思いきや口に入れてみると意外な清涼感がある。

知的な大人の色っぽさが演出しやすくて湿気の多い日本の夏にぴったり。ユニセックスだけど男性に特にお勧めしたい。日本ではつけている人があまりいないので、被ってしまって困ることもない。

そんなことを思いながらウッディさを楽しんでいると、とっくの昔に飛んでしまっているはずのオレンジノートが蘇ってきた。

え?つけてからもう3時間も経ってる。トップノートって一番初めに飛ぶ香料で作られているんじゃなかったっけ?

最近精油を揃えて自分好みの香水を作って楽しんでいるのだが、本には確かそう書いてあった。試したところそれは事実だし。

カラクリはこうらしい。

香りというものは化学式で表せる香り分子で出来ており、それを組み合わせることで様々な香りが合成できる。成分が変化してしまうため香料が抽出できないもの、例えば鈴蘭などの場合には他の香料を色々組み合わせて再現することになる。

それがいわゆる再現香。柑橘類は揮発速度が速い典型的なトップノートだが、再現香の技術を使えばラストノートとしてだって甦らせることができるというわけか。蘇るというよりも錯覚させるという方が正しいかな。

このオレンジの再現香は湿度が高い方が上手く香ることに気づいた。つけた場所に汗をかいたり水がかかったりするとオレンジの皮を剥いている時のような香りが立ち上ってくる。水分と一緒に蒸発しているのかもしれない。

一方湿度が低くカラッとよく晴れた日にはドライでウッディな香りにスパイシーさが少し混ざった感じになる。それでも時々思い出したようにクレメンタインとマンダリンの甘い香りが漂う。湿度が高くても低くても楽しめるが、オレンジ系の香りは湿度が高い方がしっかり出る。

ということはクレメンティンカリフォルニアってジメジメした日本の夏にピッタリなんじゃないか?梅雨時に似合う香水はあまりないと思う。これなら自他共に爽やかな気分になれるかも。

トップノート: クレメンタイン、マンダリン、ジュニパーベリー
ミドルノート: バジル、スターアニス、ブラックペッパー
ラストノート: サイプレス 、ハイチアンベチバー、サンダルウッド

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ミラー ハリス / レールド リアン オーデパルファム

ミラー ハリス

レールド リアン オーデパルファム

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50ml・13,750円 / 100ml・20,350円発売日:-

5購入品

2020/10/17 04:05:54

え、何これ?最初からラストノートじゃん。

香水は時間をかけて肌に馴染んでいくものだけど、初めからスルスルっと心に溶け込んでくる優しい香り。まるで一日中つけていて自分の匂いとブランドされたかのようだ。

レールド リアンにはノンシャランスという言葉がよく似合う。英語とフランス語でほぼ同じ発音の言葉で一言の日本語に直訳できない。「さらりとさりげなく、一生懸命に努力したようではなく、でも素敵に」というのが近いかな。

ジェーン・バーキンのように古着のジーンズに飾り気のない着古した白いシャツ、身の回りのものを適当に放り込んだ大きな籠バッグ、緩く無造作に束ねた髪。気取らないがどこかお洒落な雰囲気。そんないでたちによく似合う香り。それもそのはず、レールド リアンは彼女の大好きなものの香りをあつめて作ったのだから。

他の香水のようにどんな香料が入っているか全く検討がつかない。香料同士が混ざり合った組み合わせの妙を味わうより、感情を呼び起こす香りだと思う。

トップノート: ネロリ
ミドルノート: パチュリ、オークモス
ラストノート: ムスク、アンバー、バニラ

と一応何のノートかは示されているが、ムスク以外はほとんど嗅ぎ分けられない。でもホッとするとてもいい香りで完成度はとても高い。

トップはフローラルというより、洗い晒しの木綿や麻の服を思い起こさせる。とはいえ現在の日本のように香料たっぷりの洗剤と香る柔軟剤を使って、洗濯機でガンガン洗って自動乾燥で乾かしたようなものではない。手洗いで昔ながらの作り方の素朴な洗濯石鹸を使い、木の下に干してお日様の下でカラッと自然乾燥したみたいな匂い。

ヒッピーが好みそうな香りでもある。ジェーン・バーキンが活躍した時代60年代後半から70年代はヒッピー文化真っ盛り。彼女の好むファッションにもヒッピーの影響は見てとれる。含まれているパチュリはヒッピー全盛期に流行った香料だ。

ミドルは図書館の埃がかった古い本、本棚、シャンプーをした翌日の犬か猫、干し草、煙草の匂いが混ざり合ったようなノスタルジックな香り。原っぱでハンモックに寝そべって煙草を吸いながら、家にあった古本を読んでるイメージ。バニラと古本の匂いには共通の化学物質が含まれているとか。このドライなバニラは薄茶色に煤けた古本のページをめくっている気分させる。

ラストノートは官能的だ。ムスク&アンバーと素朴なビスケットのようなごく僅かなバニラ。この3つが組み合わさると体温を感じさせ、人肌を思わせる香りに変化する。湿気さえ感じるほど。そこには落とすか落とさないか、ゲーム感覚でドキドキしながらデートしているような危うさはない。ずっと寄り添っているうちに心地よい空気のようになった男女の関係だ。

よく知られているが、ジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンズブールは公私ともに名カップルで映画や音楽に数々の傑作を残した。二人ともセンセーショナルなことが大好きで、良きにしろ悪しきにしろ世間をあっと言わせて喜んでいた。

イギリス出身の英語訛りのたどたどしいフランス語が可愛いとか、すきっ歯とペチャ◯イの両性有具的でさえある少女っぽさがいいと言われる。そんなジェーンは元祖フレンチロリータとされ、頑張らないありのままで自然な魅力が素敵、なんてよく紹介される。でも実際にはとても努力した人だと思う。

完璧を目指して努力したからこそ、完璧になりきれないものが個性として残っただけでは。実際、彼女は美人でグラマラスな母と自分を比べて不美人だと信じ込み、自分を魅力的に魅せるために必死で研究していた。18歳で結婚した夫の心を繋いでおくために、枕の下に化粧道具を隠しておいて彼が起きる前に化粧していたエピソードも。うっ、涙ぐましい。それでも浮気されて離婚しちゃうけど。

離婚後出会ったセルジュ・ゲンズブールという才能溢れるパートナーと互角に付き合うには、それなりの知性、教養、才能、努力が必要だったと思う。沢山の本や新聞を読み、芸術鑑賞に出かけて感性を磨き、フランス語での演技、歌の勉強もするなど、楽しみながら夢中でやっていたとしても努力は努力だ。可愛いだけの女の子ならセルジュは朝飯前にその辺で現地調達できるだろうし。

2人の出会いは映画の撮影で、恋人にこっぴどく振られたばかりの彼に下手なフランス語だと罵られ喧嘩したこと。そんな2人が歴史に残る名コンビになるなんて運命は不思議。

ジェーン・バーキンは「フランス語は彼の腕の中で覚えたわ」と語っている。

レールド リアンはセルジュ・ゲンズブールの腕の中の香りなのかもしれない。

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プロフィール
  • 年齢・・・55歳
  • 肌質・・・乾燥肌
  • 髪質・・・硬い
  • 髪量・・・多い
  • 星座・・・牡牛座
  • 血液型・・・B型
趣味
  • お酒
  • エクササイズ
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  • 音楽鑑賞
  • ヨガ

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自己紹介

アロマセラピーの勉強をしているうちに香水の魅力にはまりました。皆さんの口コミをいつも楽しみにしています。外国在住のため日本で手に入りにくい香水の口コミ… 続きをみる

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