Cookieyukiさんのセルジュ・ルタンス / Jeux de peau(パリのバゲット)へのクチコミ |
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- Cookieyukiさん
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- 53歳
- 乾燥肌
- クチコミ投稿142件
2022/11/12 03:02:39
トップは小麦ノートとミルクノートだなんてとても魅力的。
私は自分でパンを焼くのだが、捏ねている時も焼いている時もいい匂いだと陶酔している。しかも焼く前のパン生地は表面がスベスベ、ムチムチして弾力があって赤ちゃんのほっぺみたいだ。それを指でツンツンしてひとりで喜んでいる。他人から見たら変態と思われそうだが自宅だからいいのだ。その幸せな香りが香水で味わえるなんてとウキウキ期待しながら肌にのせる。
ん?
ふわふわの優しい香りとこんがり焼けたカリカリのクラストのパンは何処に?
確かに小麦粉を使った食べ物の匂いがする。そして油分も感じる。しかしそれはパンではない。こんな風に感じるのは私だけかもしれない。焦る。これは高級ブランド、セルジュ・ルタンスだ。こんなこと言ったら絶対ファンにしばかれる。
でも勇気出して言う。
カリントウの匂いしない?
それはそれで好きだけど。
小麦粉を牛乳で練って生地を作って油で揚げて、熱いうちにコクのあるトロリとした黒蜜を絡めて乾燥させる。。普通カリントウには牛乳入ってないけどミルク感は多少感じるので無理やり加えてみた。ああ、考えるだけでお腹すいてきた。
カリントウの黒蜜の香りが穏やかになってきたあたりでリコリスの香りが強まった。リコリスの木の枝を嗜好品として売っているお店があって買ったことがある。マッチ棒の2倍ほどの長さで爪楊枝の4倍くらいの太さの枝が箱の中に入っている。それをガジガジかじって味わうのだ。ウッディで多少スパイシーな甘みが口いっぱいに広がる。噛んでいるうちに香りも口腔内から鼻に抜けていき、その時に風味や香りを感じるらしい。かなり写実的なリコリスの再現香だ。
ミドルノートはほんのりした温かみを感じるスパイス、ウッディなリコリス、なんとなく菊に似た薬草っぽいイモーテルの香りのバランスが良い。香りにオイリーな厚みを感じるのはココナッツか。ココナッツは取り扱いを間違えるとあからさまで幼稚な印象になりやすい香りだと思うが、ここではかなり洗練されて他の香料とよく馴染んでいる。パンだからバターっぽい香料を入れる手もありだけど、それじゃ食べたら一瞬でなくなるけど作ったら半日くらいかかるクロワッサンみたいなよそいきのパンになってしまう。家庭でお母さんが焼いたようなパンのイメージから遠ざかる。
ミドルノートでようやくパンらしき香りに落ち着く。パンは西洋人にとって家庭の象徴だ。今でもパンを家庭で焼く人も多い。セルジュルタンスは孤児だったそうだが、パンの香り→温かい家庭の香り→抱きしめてくれる母親の温もりという発想なのだろう。
これは完全に秋冬の香り。特に晩秋。ツイードのジャケット、セーター、ウールのパンツで公園を散歩する。落ち葉が厚く積もった森のなかの小道を歩く。葉の中に小枝も混ざっていて時々足元からパシパシッと軽い乾いた音がする。足の裏で時々ドングリらしき小さな球がムニュッと動くのを感じる。落ち葉の匂いとJeux de peauはとてもよく合うので自然の中を歩く時につけることにしている。
感心したのはラストノートがよく作り込まれていること。最近は買い手の心を掴むためにトップノートだけに力を入れてラストノートをないがしろにした香水が多くて残念に思っている人におすすめ。
パンの狐色のクラストの僅かに焦げた香ばしい匂い、サンダルウッドの香り、人肌によく似た匂いが立ち替わり入れ替わり現れる。肌の上で香りの鬼ごっこか?
今日もよく晴れた綺麗な秋空。Jeux de peauをつけて紅葉の公園を散歩。公園のすぐ近くにあるベーカリーからパンを焼くいい匂いがプーンと漂ってくる。フラフラと吸い寄せられていく。
あーあ、みんな美味しそう!買っちゃえ!
沢山買ってしまった。必要以上に。これをつけているとパンの匂いに敏感になって困る。本当のところはパンを買う言い訳としてつけているんだけど。
トップノート: 小麦、ミルク
ミドルノート: リコリス、ココナッツ、イモーテル
ラストノート: サンダルウッド、アプリコット、金木犀、スパイス、ウッディノート、アンバー
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