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Cookieyukiさん
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parfums de nicolai / NewYork/ニューヨーク

parfums de nicolai

NewYork/ニューヨーク

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:-発売日:-

6購入品

2020/10/23 04:05:51

男性が纏うと魅力が2倍になって危ない。ただし子供っぽさの抜けた35歳以上のダンディな人限定。女性がつけるならピシッとしたパンツスタイルに。

まるでニューヨークに住むデキる男の一日を表現したような展開をする。

最初のレモン、プチグレン、ベルガモットが髭剃りの後につけるローションみたいで気が引き締まる。私の住んでいるアメリカでは日本と違い、濃い髭は男らしさの象徴なので、髭の永久脱毛なんてもってのほか。すね毛、脇毛、胸毛も当然チャームポイント。背中毛にさえファンがいる。というわけでみんな朝から誇らしげにジョリジョリ。そして軽めに香水をつけて仕上げ。

柑橘系についで広がるハーブ調の香りはタイム、ラベンダー、ニガヨモギ。控えめなフローラル、カモミールも。オークモスもこの辺りから静かに香りたつ。使用禁止になったオークモスの渋い香りをここまで再現できるのは素晴らしい。いかにもニューヨーカーが好みそうな展開。

ニューヨークのデキる男たちは家から真っ直ぐに職場に向かわない。まずヨガ、筋トレ、水泳、瞑想等をしてから。友人はヨガの先生で、大きなヨガスタジオの朝6時のクラスを担当することになった。どうせ誰も来ないだろうとタカをくくっていたら、生徒が次々と爽やかな笑顔で登場し満室に。少なくとも5時には起きて支度してるんだ。怖っ!

ハーブ香に混ざってブラックペッパー、シナモン、クローブなどのスパイスが、この場面の主役である柑橘+ハーブのBGMであるかのように柔らかに香りだす。気分がシャキッとするのと同時にリラックスできる。凄いな、これ。生産性爆上げ香水。

朝のルーティン後サッとシャワーで汗を流し、香水を付け直して職場にGO。実際ウォール・ストリートあたりでバリバリ働いている男性からニコライのニューヨークみたいな香りがすることが多い。カジュアルな服装で仕事に行く人が増える中スーツを着る人は絶滅危惧種だが、ウォール・ストリート辺りにまだ沢山生息している。

ニューヨークのビジネスシーンをリードするような男性は身なりに相当気を使う。高級住宅街のネイルサロンで男性を時々目にする。握手をする時に差し出す手の印象をよくするために爪の手入れをしているのだ。

そして香水にも気を使う。好感度が高く爽やかで、やる気が出るが緊張しすぎない癒しの要素があるものが人気。ニコライのニューヨークはそうしたビジネスマンによく選ばれるようだ。

半日ほど経つとほんのりとした素朴な焼き菓子のようなバニラの香りになる。どことなくカスタードクリームっぽいが、女性に大人気のグルマン系の可愛い甘さではない。スチラックス、カストリウム、シベットが含まれているからだろう。こんなに円やかなバニラになるなんて最初の髭剃り香からは全く想像がつかない。夜用に違う香水つける必要がないほどオフらしい香り。

ニューヨークのデキる男も仕事の合間の甘いオヤツが大好き。「お前は女子高生か?」とツッコミたくなるような、小さな可愛い焼き菓子をコーヒーと一緒につまむのをビジネス街のカフェでよく見かける。友人や仕事仲間と共にオヤツとコーヒーを囲んで談笑。仕事中の厳しい表情が嘘みたいに人懐っこい笑顔になる。あぁ、ギャップ萌え。その爽やかな笑顔は反則だ。

ニューヨークは購入前に海外レビューを読んで欲しくなった。「暗闇の火に虫が吸い寄せられるかのように、女性がガンガン寄ってくる」という口コミの真偽を確かめたくなったのだ。

ところで例のヨガ講師の友人は子供のヨガクラスも教えている。教室は超金持ちが多い高級住宅街でセレブも来るらしい。そこでは授業参観もあり、お母さんだけでなくお父さんたちが仕事を抜け出してやってくる。仕立てのいい高級スーツ、ピカピカの靴、ほのかないい香り、鍛えられた身体のイケてるビジネスマンが並んで座るのを、ヨガ教室の女の先生たちは楽しみにしているらしい。

その授業参観の一週間前に恒例ミーティングがある。色々と注意事項を確認するのだが、その中に衝撃の一言が。「授業参観に来ている年老いた男性を口が裂けてもお爺ちゃんと呼ばないこと。」

かなりの確率でそれはお父さんだから。

年齢に全く関係なくデキる男がニューヨークみたいな香水をつけると、本当に女性がワラワラと群がってくるようだ。この香水を彼氏や旦那様にプレゼントするなら、自分以外の女性の前では決してつけないよう固く誓わせよう。

トップノート:ベルガモット、レモン、プチグレン、タイム、ニガヨモギ
ミドルノート:ラベンダー、カモミール、シナモン、クローブ、ブラックペッパー
ラストノート:バニラ、スチラックス、オークモス、カストリウム、シベット、インセンス、ムスク

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セルジュ・ルタンス / アイリス シルバーミスト

セルジュ・ルタンス

アイリス シルバーミスト

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:- (生産終了)発売日:-

6購入品

2020/2/10 12:56:59

「月蝕か日蝕のように、他社のアイリス香水を翳らせるほど素晴らしいアイリス香水を作ってくれ」という要望を受けて調香師モーリス ルーセルは早速サンプルをセルジュ ルタンスに差し出した。すると「アイリスが足りない」と言う。そこでアイリスの香料を増やしたものを試してもらうと「もっとアイリスを入れてくれ」ときた。「マジ?許容量の限界とっくに超えてるよ」と思いつつ、さらにアイリスを入れた。それでもまだ駄目だと言い張る。ヤケクソになったルーセルは考えられる全てのアイリスの香料を全部突っ込んだ。使いたくなかった粗野な感じがする香料イリヴァルも含めて。「これだ!」とルタンスはようやく首を縦に振った。

そんな逸話が残るアイリスシルバーミスト。アイリスの根で衣類やクローゼットに香り付けをする、トスカーナ地方の風習からインスピレーションを得て作られた。匂いの帝王ルカトゥリンも大絶賛。彼の香水ガイド英語版によると史上最凶の粉物と根っこ。何それ?ワクワク。

え....ニンジン?いや少し違う。正確に言えばニンジンだけじゃない。ニンジン、生のじゃがいも、ゴボウを7:2:1くらいの割合で混ぜてステンレスのボウルにいれた香り。煮物の材料と金属じゃん。これ。

日本でも外国でもニンジンのようだと評されまくる、本当に香水かどうかを疑ってしまうトップ。この時点で好き嫌いは真っ二つに分かれる。ムエットだけで絶対に判断してはいけない香水の筆頭に挙げられるのがこれ。ムエットだけだとメタリックニンジン攻めが何時間も延々と続く。

つけてから30分ほど経つと奇跡が起こる。サナギから蝶が出てくるように、ニンジンの着ぐるみの背中が割れて、紫がかったシルバーのもやが水蒸気のように立ち昇ってくる。出てきた中の人は19世紀後半の貴婦人だった。ルノワールの絵に描かれていそうな女性。薄グレーの絹製ビロードの服に繊細な薄紫のレース編みのショールを羽織っている。そして何とも麗しいパウダリーで古典的なアイリスの香りが、少量のサンダルウッド、シダー、ガルバナムをお供に辺り一体に広がる。少しスミレにも似た品の良さ。名前のごとくクールな銀色の霧のよう。

手首と胸元につけてみたが、かなり接近しないとつけていることがわからない、自分だけで楽しむ内向的な香水。意外と持ちが良く6時間くらいは地味に香ってる。トップが苦手な人は服につかないように注意。ニンジン臭は結構根性がある。根っこだけに。

アイリスは世界一高価な香料の一つ。ニオイアヤメの地下茎を太らせてから収穫するまでに3年、根を乾燥させ低温熟成させるのにさらに3年かかり、しかも取れる香料はごく僅か。ニオイアヤメを自分で育てて香料を作った人のブログを読んで大変さがよく分かった。根っこを綺麗に水洗いした後、乾燥させるとたった四分の一の重さになってしまう。一体どこの誰がアイリスの花ではなくて根っこから香料を作ろうなんて考え出したのか不思議。薔薇などの花と嗅ぎ比べてみるとよくわかるが、アイリスの花もそれなりにニンジン臭が含まれている。
 
当然本物のアイリス香料を使った香水は値段が高くなる。アイリスシルバーミストも然り。気軽に買える値段ではない。でも困ったことに気に入ってしまった。最初のニンジン臭も含めて。言ってみれば、いつもは安いブランデーをチビチビで満足していたのに、たまたま長期間熟成した高価で美味しいものをどこかでご馳走になり、いつものブランデーに戻りたくなくなってしまったみたいな気分。  

この香水の匂いを嗅いだあとで電車に乗ると、周りの人のつけているほとんどの香水がわざとらしく安っぽく感じるという困った現象が起きる。そして肌の中にムスクとともに消えゆく儚い香りを探して嗅ぐために手首をクンクンしすぎて、確実に自分はヤバい人に見られてるのがわかる。使うのが惜しくて結局何年も飾っておく羽目になる超高級石鹸を思わせる香りで中毒性あり。

アイリス香料を極限まで入れるというルタンスの目論みは大成功した。無茶苦茶しているようで彼は全て計算づくしだった。アイリスシルバーミストはルタンスの香水の中で最も人気があるものの一つ。1994年に発売されているので四分の一世紀のロングセラー。特にヨーロッパに根強いファン多し。

私は雨の日を一人で過ごす時、アイリスシルバーミストをつける。冷たく清らかな雰囲気があるからか、霧雨によく似合う。華やかなのにどういうわけか読書や絵画鑑賞などの静かな行動に相応しい。

シングルノート: アイリス、サンダルウッド、シダー、ベチバー、ムスク、ガルバナム、グローブ、インセンス、ベンゾイン

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エルメス / Galop d'Hermes【ギャロップ ドゥ エルメス】

エルメス

Galop d'Hermes【ギャロップ ドゥ エルメス】

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

6購入品

2021/2/5 13:17:50

「スキップってこんなに楽しいのに、どうして大人はしないんだろう」と子供の頃本気で思っていた。

スキップできるようになった時は嬉しくて、どこに行くにもスキップしながらだった。当然飽きてしなくなったが、最近スキップしたくなるほど心が弾む香りに出会った。ギャロップ・ドゥ・エルメスだ。

よく熟れたフルーツの美味しそうな香りがフワッと広がる。知っている香りだが何だろう?絶対桃、葡萄、ベリー、柑橘、トロピカルフルーツでないのは分かる。梨かな?リンゴかな?その二つが混ざったような香りで時々秋に嗅ぐ。降参、クレジットを見る。

そうか、クインスか。マルメロとも呼ばれている硬い果物。秋に八百屋さんの前を通りかかるとたまにお目にかかる、匂いはとてもいいけれど食べ方がわからない花梨によく似た黄色い実だ。生では石細胞がジャリジャリ硬く酸っぱすぎて食べられたものではないが、砂糖で煮てコンポートにしたりジャムにすると美味しいらしい。花梨シロップを作った時に部屋中に芳しい香りが充満した。クインスもよく似た匂いがする。クインスの砂糖煮を想像するだけで幸せ。サフランの暖かいエキゾチックなスパイシーさも加わって何とも魅力的なトップに仕上がっている。

30分ほどするとターキッシュローズが立ち上ってくる。生花というよりドライフラワーやローズの香りのベビーパウダーか白粉のような粉っぽさを感じる。メゾンマルジェラのレイジーサンデーモーニングと共通点を感じる少し気怠い香りだ。色で言えばくすんだ淡い色の薔薇かな。薔薇だけでなく金木犀の香りも混ざっている。その黄色い花にふさわしい陽気で華やかな香りだ。春にぴったりだが秋につけてもいいと思えるのはそのためだろう。

同時に柔らかくなめした薄手の革の香り。革の香りは野生的、男性的に傾きがちだが、こんなにエレガントで繊細になるなんて驚く。そういえば昔、イブニング用の肘まであるデリケートな白い革の手袋を持っていた。確かに同じ革でも女性的な匂いがした。もともと革の臭みを消すために香料で香り付けすることが多く、出来上がった製品から革そのものの動物臭い匂いがすることは少ないそうだ。

調香師クリスティーヌ・ナジェル氏が女性的な薔薇と男性的なレザーの対照的な香りをとても上手に組み合わせていることに感心する。ほとんどの場合、この組み合わせはレザーが薔薇を打ち負かす結果になるのに。レディースに区分されているものの男性がつけてもとても魅力的だと思う。

ラストノートはレザーとホワイトムスクのしっとりと落ち着いた香りが基調だが、トップノートとミドルノートの香りもしっかり残っている。体温、気温、湿度などの変化に応じて色々な香りが蘇るのが面白い。こんな風に個々の香料の香りがハッキリと分かる香水もいいなと思う。色々な香料を混ぜることによって何の匂いだか原型が分からないのも魅力的だが。透明感のあるムスクだからフルーティにもフローラルにもよく合う。ムスクといえば石鹸に似ていたりセクシーだったりする場合が多い中、ここまで清麗なのは珍しい。

鎧をモチーフにしたパッケージも可愛い。馬は縁起がいい動物というが、持っているだけで何かいいことが起こりそう。そういえば近所に乗馬出来る公園があったのを思い出した。突然馬に会いに行きたくなってきた。少し暖かくなったら、春になったら馬に乗ってみたいな。さすがに乗っている時にギャロップされると怖いのでパカポコ歩いてくれるだけでいいから。ギャロップ・ドゥ・エルメスをつけて爽やかな春の風を馬の背で味わってみたい。

子馬は遊び好き。気分がいいとスキップはしないものの、パカポコパカポコ早足を始めると馬を飼っている友人が言っていた。私だって子供の頃ご機嫌な子馬みたいにルンルンスキップしたかった。残念、筋肉量が少なくベビーファットが多い超ポッチャリ体型だった私。そのせいで小学一年生のクラスメイト全員がスキップ出来るようになっても私だけ出来なかった。「いつかスキップしてやる。そしてできるようになったら絶対毎日スキップするんだ」と心に誓った。

結局願いが叶ってしまった。強い念というのは怖い。現在私はスキップするのが職務の一部という風変わりな職業に着き、ほぼ毎日スキップする羽目になった。よく考えたら大人になってから31年間スキップしてる。引き寄せの法則は本物。ギャロップ・ドゥ・エルメスをつけるたびに苦笑い。

トップノート: クインス、サフラン
ミドルノート: ターキッシュローズ、オスマンサス
ラストノート: レザー、ホワイトムスク

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イヴ・サンローラン / リブゴーシュ オーデトワレ ナチュラルスプレー

イヴ・サンローラン

リブゴーシュ オーデトワレ ナチュラルスプレー

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:- (生産終了)発売日:2003/10/1

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6購入品

2021/1/10 13:34:49

「夢は夜見るものだ」

それが父の口癖だった。私が将来の夢を熱く語る度にそれを繰り返していた。そんな超現実主義の父が母に贈った香水。結構ロマンチックじゃん。でも超実用主義の母はそれをつけなかった。

そんなわけで引き出しの中にリブゴーシュを始め、父が母にプレゼントしたらしき香水の瓶が幾つも眠っていた。どういう訳だか幼稚園児だった私がそれを見つけて、匂いを嗅いで楽しみだした。その液体をどう使うのか全く知らず、いい匂いの水と呼んでいた。

トップはガツンとくるアルデハイド。少女戦士が出てくる漫画かアニメで、いきなり必殺技を喰らったかのような衝撃が走る。悪役が悪いことする前に先制攻撃しちゃいました、お仕置きよ、うふっ、みたいな。確かに攻撃は最大の防衛とも言うしね。シャネルN5のアルデハイドと同レベルの強烈さ。ここでかなりの人が苦手と思うこと間違いなし。

アルデハイドの中からグリーン、フルーティ、フローラルの要素が入り混じった華やかで若々しい香りが広がる。グリーンは何が入っているかわからないが意外と癖が無く爽やか。フルーティさはピーチのはず。でもそれらしくない。レモンとベルガモットはやや控えめ。フローラルは私の肌の上だと入っていないはずのフリージアが一番強く出る。本当はハニーサックルらしい。

そういった色々なノートが集まって、私の中で何故かペアーとして脳内再生される。日本の梨じゃなくて西洋梨、ペアーね。販売されている洋梨味のお菓子や飲み物は大体香料でそれらしく誇張されているが、飾り気のない生のペアーだ。ちょっぴり青さのある表皮の匂い、滑らかでクリーミーな果実、日本の梨の石細胞ほどではないが、ざらっとした種の近くの質感が蘇る。

ミドルでは花の香りが強くなる。一番強く感じるのはローズ。これが色々な表情を見せてくれて面白い。ローズのハンドクリームかと思いきや、ドライフラワーの薔薇の香りになったり、いきなりローズのベビーパウダーのようになったり。時によっては金属質に感じられたり。たまに生花っぽくなってびっくりすることも。

ラストはかなり複雑で近くで嗅ぎたくなる香り。いわゆるスキンセントと呼んでもいいほど肌にしっとりと馴染む。何が入っているか説明を見るまでさっぱりわからないがとても魅力的。「KGBの女スパイが007を誘惑するのにつける香り」という評があるのが納得できる。007が抱き寄せて嗅いでみたくなってもおかしくはない。

リブゴーシュは70年代を代表する香りとして大ヒットした。イヴ・サンローランが60年代に発表したパンタロン、タキシードなど男女の垣根を取り去ったセンセーショナルなファッションは70年代には一般に受け入れられていた。そうした服装によく似合う香り。CMやポスターを見ていると活発、知的、都会的で健康的な女性が多用されている。みんな気が強そう。下手に肩に手を回したら速攻でビンタが飛んできそうなスリルがたまらない。映画の中で女スパイが鏡の前で化粧をするシーンの小道具として使われていたことも。

実際リブゴーシュは自由奔放で自立した女性をイメージして作られた。リブゴーシュという名前自体はパリを流れるセーヌ川の左岸のことを指している。保守的なブルジョワが多い右岸と比べて、革新的で芸術家、作家、ボヘミアン、学生、LGBTが左岸に好んで住んでいたらしい。それを踏まえるとリブゴーシュはいかにもイヴ・サンローランが作りそうな香りと言える。

何故父はこの香りを母のために選んだのか不思議に思う。父は右岸を代表するような保守的な人物だったし、母も然り。もしかしてリブゴーシュの意味を全く知らなくて、青と黒が好きだったからパッケージの色に惹かれて選んだのかもしれない。

私が将来の夢を語るたびにそれは昼に見る夢物語で実現なんて不可能だと言い続けた父。母もそれに同意し続け、それが原因でよく私と喧嘩した。

大人になるにつれて私は昼に見る夢の遠さを知った。それでも自己責任で自分の歩みたい道を行くことにした。今、私は昼に見た夢を仕事にしている。

リブゴーシュは仕事の時に纏う。それは陽気で自由奔放で少し切なくなる香り。

トップノート: アルデハイド、グリーンノート、ハニーサックル、ベルガモット、レモンピーチ
ミドルノート: ローズ、アイリス、ゼラニウム、イランイラン、鈴蘭、ジャスミン、マグノリア、ガーデニア
ラストノート: オークモス、ベチバー、ムスク、サンダルウッド、アンバー、トンカビーン


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parfums de nicolai / Amber Cashmere Intense

parfums de nicolai

Amber Cashmere Intense

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:-発売日:-

6購入品

2020/12/4 05:16:39

背景がくっきり見えるほど透け透けなカシミアレース
のショールを連想する香り。それは上半身を覆えるほど大きくてもギュッと握ると指輪の穴に通すことができるほど細くなる。さらに丸めるとガチョウの卵の殻の中にすっぽり収まってしまう。しかも暖かいのだ。そんな物本当にあるの?と聞かれそうだが、あるんだな、これが。

それはロシアの内陸部、カザフスタンとの国境沿いの街オレンブルグで発達したオレンブルグレースショール。「蜘蛛の糸」と俗称があるほど細いカシミアの糸で編まれた透け模様のレースのショール。纏ってみると雲か綿飴か天女の羽衣か?と思うほど軽くてふんわりしている。

この辺の住民が寒さの割に薄着なのを不思議に思った学者が調べたら、土着のカシミア山羊のアンダーコートの織物を活用しているためだったと判明した。(オレンブルグの最高気温は一年のうち5ヶ月は氷点下だそう。) その山羊の産毛は当然人間の髪の毛より細い。さらに普通のカシミア山羊の毛と比べてもたった三分のニの細さ。太さ驚きの16ミクロン!紡ぐと驚くほど細くなるが意外に強度もある。それをふんわりとセーターやショールとして編む。すると繊維の間に暖かい空気が閉じ込められて天然の断熱材として働く。凄いな山羊、機会があれば仲良くなって是非モフらせていただきたい。

具体的にどんな香りかと言うと、色々な柑橘系果物を混ぜた香りにブラックペッパーの出だし。果汁というより果皮をギュッと捻って出したオイルみたい。酸っぱさや果汁感よりも芳香が勝っている。ブラックペッパーも鼻につく尖ったところがなく上手に柑橘を引き立てている。

柑橘系ノートが飛ぶにつれオリスルートのパウダリーな香りが前面に出る。とはいえ、むせる様な白粉の粉っぽさはない。伝統的にフランスでは洗濯をする時にシーツなどにオリスルートで香り付けをしていたそうだが、こんなものだったのかと納得できる匂い。ジャスミンも穏やかでインドールを全く感じさせず、野に咲く花といった風情だ。そしてクローブの使い方が絶妙。優しい香りだけだとフワフワと取り止めがなくなるところに、ハッキリとした輪郭を与えている。

ラストはしっくりと肌に馴染むバニラ、トンカビーン、ムスクのよくあるミックス。そこにアンバー、ラブダナム、ベンゾインの樹脂香が絡む。中東を感じさせるどっしりとしたアンバーではなく限りなく柔らかいアンバーだ。どれかが突出するということがなく暖かい空気感のある香りになっている。体温で温まると人間くさいけど柔らかでほおずりしたくなる優しい香りに変化する。それは親子代々使い続けたニットを思わせる。

オレンブルグレースのショールを愛用しているロシア人の友人が言っていた。これは自分がお嫁入りする時にお母さんと一緒に編んで持ってきたものだと。彼女の出身地では編み物パターンなど売られておらず、家庭ごとに代々伝わってきた伝統模様を母から娘に口承するのだ。一枚編み上げるのに莫大な時間を費やす。その間にお母さんと娘はお喋りを楽しむのだろう。そうして母娘の絆が深まる。お嫁に行ったらこんな時間を過ごすことなんてあまりないと思うと嬉しいけどちょっぴり寂しい。アンバーカシミアアンタンスはオレンブルグレースのショールと共に伝えられてきた愛情の香りがする。

私も疲れた時にアンバーカシミアアンタンスを嗅ぐのが好き。朝つけると仕事が終わる夕方ころにカシミアを思わせる暖かい香りになっている。ショールの様にふんわりと優しい香りの層が肩を抱く。帰宅して入浴する時も香水をつけた手首だけはわざと洗わないでおく。手と腕だけしっかり洗って手首だけ残すのは至難の技だが、その残り香を嗅ぎながら寝ると爆睡できる。ミドルのオリスルートの香りもラストノートに加えてしっかり残っており、なんだかフランスの田舎風の民宿のベッドでリラックスしている気分。フランスに行ったことはないけどそんな妄想を楽しむ。

仕事が終わった。今日は香水を付け直して寄り道なんかしない。真っ直ぐ家に帰ろう。母と一緒に住んでいるわけではないけれど、母のことを思いながら。

トップ: シトロン、ブラックペッパー、マンダリン
ミドルノート: ジャスミン、オリスルート、クローブ
ラストノート: アンバー、バニラ、ムスク、ベンゾイン、ラブダナム、サンダルウッド、パチュリ、トンカビーン

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プロフィール
  • 年齢・・・54歳
  • 肌質・・・乾燥肌
  • 髪質・・・硬い
  • 髪量・・・多い
  • 星座・・・牡牛座
  • 血液型・・・B型
趣味
  • 音楽鑑賞
  • ヨガ
  • エクササイズ
  • 料理
  • お酒

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自己紹介

アロマセラピーの勉強をしているうちに香水の魅力にはまりました。皆さんの口コミをいつも楽しみにしています。外国在住のため日本で手に入りにくい香水の口コミ… 続きをみる

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