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Cookieyukiさん
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BADGLEY MISCHKA / BADGLEY MISCHKA

BADGLEY MISCHKA

BADGLEY MISCHKA

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

6購入品

2021/3/7 02:48:36

つけるだけでショボい私のアパートにオスカー賞などの授賞式のレッドカーペットが出現する。

トップは木の上で完熟しきって一部発酵が始まり洋酒になりかけたピーチ。面白いことにゲランのミツコに使用されている桃を思わせる香料ウンデカラクトンの存在を感じる。決してこの2つが似ているというわけではなく単に共通点があるだけ。ミツコは昔のヨーロッパ社交界、Badgley Mischkaは現代のアメリカ上流階級の社交界っぽい。ミツコは知性的でセクシーでありながらどこか禁欲的で落とせない女性。こちらもセクシーでパーティでカクテルを飲んでハメを外し男性とイチャイチャしているが、口説こうと思ってもスルスルっと上手に切り抜けて落とせない女性。

洋酒をふんだんに使いシナモンでアクセントをつけたピーチコンポートのようでもある。洋酒はブランデーがピーチブランデーか。レッドベリー、パチュリ、カシスの苦さが洋酒感を出すのに一役買っているようだ。洋生菓子に洋酒がよく使われるが、ラム、キルシュ、ウイスキーではなくブランデーだと思わせるところが面白い。

ミドルで金木犀の甘い香りが強くなる。一昔前まで金木犀はトイレの消臭芳香剤として多用されていたが、近年では金木犀が使われることはほとんどなくなった。金木犀ファンとしてとても嬉しい。金木犀の香りにはもともとフルーティさがあるようで無花果、桃、林檎、梨などの木で熟す果物の香りと相性がいい。Badgley Mischkaの完熟桃と出会ってお互いのいいところが引き出されている。他にはピオニーとジャスミンも入っているが、強さから言えば金木犀>ピオニー>ジャスミン。

ラストも相変わらず華麗で派手。入っているキャラメルも甘ったるくなくグルマンの要素は無い。ラストノートによく使われる香料ばかりだが、値段が高いのが納得できる高級感のある香り。印象としては現代調クラシック。似合う年齢があるというより似合うタイプがあると言った方がいい。上品だが陽気で親しみやすいタイプに相応しく、お高くとまってツンツンした人には似合わない。

日本だけでなくアメリカでも年収によって見事に住み分けされている。それと同時に買い物に行く場所も異なる。Badgley Mischkaをつけそうな人々はニューヨークならSaks Fifth AvenueかBergdorf Goodmanあたりに行く。後者は昔服装チェックがあって、あまりラフな格好だと入れてくれなかった。ジーンズNGな時代もあったくらい。

ちょっとおめかしをしてBergdorf Goodmanに行ったことがある。溢れ出る高級感。品物の素敵さに比例してゼロの数もひとつ以上多い。店の人は微笑みを浮かべて挨拶してくれる。決して押し付けがましい売り込みなんてしないし良い感じ。ただ言葉遣いと身のこなしから滲み出る品の良さに圧倒された。

Budgley Mischkaもそんなイメージ。お高くとまっている香りと思いきや意外と無邪気で親しみやすい。でもどこを切り取ってみてもセレブ感が半端ない。実際セレブや上流階級の人は意外とフレンドリーでユーモアがある人が多い。人への接し方、ジョーク、エチケットの本は彼らの必需品らしく書店でも昔からよく売れるほど。理由は簡単。いつどこで誰に会うか分からないから。誰に対しても礼儀正しく魅力的な人間であることで降ってくるチャンスが多くなることをよく知っているのだ。

ウェディングドレス、カクテルドレスなどの晴れの日に着る服とそれに合わせたゴージャスな靴が有名なBadgley Mischka。デザイン的にはシンプルで控えめだがそれを彩るレース、ビジューなどの凝ったディテールが素敵。しかも成金趣味じゃない。そんなところが本物の上流階級の人たちに好まれる。見ているだけでウキウキ。最近は着ていく場所もないのにカタログを見て着たふりごっこして楽しんでいる。そんなファッションをギュッと纏めて液体化したらこんな香りになるのかもしれない。

香水は時に人物像を明確に伝える。華やかな場所でカクテルグラス片手にニッコリ笑顔でユーモアたっぷりの会話で人々を魅了。そこで築いた人脈を使ってのし上がっていく。血の滲むような努力は表に出さずに涼しい顔をして。Budgley Mischkaはそんな生き方を鮮やかに彩ってくれる。

トップノート: ピーチ、レッドベリー、カシス、シナモン
ミドルノート: オスマンサス、ピオニー、ジャスミン
ラストノート: パチュリ、ムスク、キャラメル、サンダルウッド、アンバー

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Etat libre D'orange / ジヤスマンエシガレット

Etat libre D'orange

ジヤスマンエシガレット

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:-発売日:-

6購入品

2020/7/31 02:15:08

火をつける前の煙草の匂いが大好き。特に高級な葉巻が最高。でも一度も吸ったことがない。ヤンキーの友達は中学生から吸っていたが、自分は絶対に吸わなかった。燃えるとその香りの良さが台無しになると思うから。

でもジャスミンと合うの?煙草とジャスミンじゃイメージが全く違うんですけど。非喫煙者のとんでもない偏見だが、ヤニ臭い加齢臭オヤジと麗しき花の香りの乙女くらいのギャップがあるような気がして怖い。

でも案ずるよりは産むが易し。覚悟を決めてプシュ!

うわっ、マリーネディートリッヒだ!

憧れのマリーネディートリッヒ様が私のアパートに来てくれた。漆黒のタキシードに身を包みニヒルで涼しい微笑みで葉巻煙草を燻らせる。真昼なのに何故か彼女の周りだけ真夜中に。この香水を作る時にグレタ ガルボ、シャーロット ゲーンズブル、オードリー ヘプバーン(彼女も喫煙者なのは意外)などもイメージしたようだが、私にはマリーネディートリッヒが一番しっくりくる。

すみません、マリーネ様。エアコン持ってないです。それでいて西向き最上階の部屋で夏の室温が体温とほぼ同じです。せっかく訪ねてきてくれたのに申し訳ないので、取り敢えず持っている扇風機を4つ全部つけた。

途端にブワッと華やかに香り立つジャスミン。これはセクシーという言葉で安易に形容できるものではなく、神々しいほどの女性らしさだ。彼女の透明感のある陶器のような肌、脚フェチを悶絶死させそうなしなやかで形のいい白い脚。それを香りにしたらこうなる。ガラスのように繊細でキラキラするジャスミン。照明を当てると乱反射するクリスタルの硬質さも感じる。

同時に高級葉巻の香りが。映画の中で主人公の渋い男性に、ボーイが装飾を施した豪華なケースに入れてうやうやしく持ってくるやつだ。マリーネディートリッヒには煙草や葉巻が良く似合う。煙草ノートは男性的になる場合が多いが、これは明らかに女性寄りだ。アプリコットが入って僅かにフルーティだからか。煙草に火をつけ少しだけ燃えた先の部分が、ホロリと崩れて灰皿に落ちる瞬間を切り取ったかのような、独特のアンニュイで甘いスモーキーさがある。

昔どこかで見た葉巻の作り方を思い出す。高級煙草の葉を収穫した後、じっくり時間をかけて熟成させる。そうすることによってウッディ、フローラル、スパイシー、アロマティックなどのタッチが加わり、芳潤で複雑な香りになる。この香水のベースの煙草には元々ジャスミン以外のフローラルさがある。だからジャスミンと合うのかも。

しばらくすると煙草のコクと苦さが薄まり、良く冷えたジャスミン茶のような透明感のある香りに。ターメリックやクミンが入っているらしいが全くそれだと分からない。ターメリックには清涼感があるのでジャスミン茶の瑞々しさを出すのを手伝っているのかもしれない。表情を少しずつ変え続けながらジャスミンと煙草が最初から最後まで6時間ほど香り、ムスク、アンバー、トンカビーン、シダーの柔らかい気怠さが加わってドライダウン。

副題が英語ではIconic Addictionとなっているが、私は日本語の「別名らしさからの解放」が好き。

モノクロのトーキー映画の初期に飛ぶ鳥を落とす勢いでハリウッドのスターダムに上り詰めたマリーネ。彼女を魅力的に見せることに徹した名監督と出会い、自分も演技を磨くのと共に魅せ方も誰にも負けないほど研究したようだ。

そして映画の中の彼女のイメージがいつしか一人歩きし始める。「男装の麗人」それはメディアが作り上げたもので、彼女そのものではない。でも彼女はそのイメージを維持し続けるのに必死だった。当然私生活にも皺寄せが来て、親子夫婦関係を始めとして色々なものを犠牲にしたと思う。

さらに第二次世界大戦中にヒトラーにドイツから追放され、アメリカ国籍を取得。アメリカ軍の慰問に行き反戦歌を歌いまくったらしい。アメリカ軍が祖国ドイツを攻撃するのを目の当たりにして胸が張り裂けそうな思いをしても、プロとして仕事に徹するなんて想像するだけで心が痛む。

仕事を終えて高いヒールを脱ぎ、疲れ果てた身体をソファに横たえ、お気に入りの煙草に火をつける。それは別名らしさを演じきった後の自分へのご褒美。スターという仮面を取り去ると、ガラス細工のジャスミンの薄い花びらのような脆い心が剥き出しになった。立ち昇る煙の向こうで。

シングルノート: タバコ、ジャスミン、アプリコット、ヘイ、アンバー、ムスク、シダー、ターメリック、クミン、トンカビーン

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アムアージュ(Amouage) / Lilac Love

アムアージュ(Amouage)

Lilac Love

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

6購入品

2020/11/13 04:45:43

香水はつける人のイメージに合わせるのが大切。

確かに。それなら私はどうしたらいいの?

容姿を褒められる時はほぼ確実に「機敏そう」とか「個性的」で、美しさ可愛らしさからかなりかけ離れた言葉で評される。芸能人で誰に似ているかという話題でも、何故か私の番になると「ウーパールーパー」とか「鳥の雛」とか人間以外のもの。そして私の後の人は何事もなかったようにまた芸能人に戻る。

というわけで可愛い香りは避けてきたが、たまにはつけたい。グルマンもフローラルも試してはみたけれどしっくりこない。何かないか探していた時に出会ったのがライラック・ラブ。何のひねりもないド直球な名前からしてラブリー。しかもクランベリージュースか?と思うほどの鮮やかな赤い香水が、ザ・乙女な薄紫色の可愛い瓶に入っている。

当然ライラックの香りで始まるとの期待を見事に裏切る、細かい粒子のパウダリーなダークカカオノート。妖精がカカオパウダーをブワッとばら撒いて全力で飛んで逃げていったのか?チョコレート香水ファンが泣いて喜びそうなトップだが、何故かそれはフローラルノートに押されて一瞬で引っ込む。面白いことに温度が低いとカカオノートはほとんど感じられない。

ライラックの香りが心地よい。近所に綺麗なライラックが咲く家があって、春から初夏にかけて香りと姿を楽しむ。そのライラックと同じ香りがする。ライラックって精油取れたっけ?と思うほど再現度が非常に高い。

ヘリオトロープ、ピオニー、バラ、ガーデニア、ジャスミンなど他の花々も混ざっていて、その中では一番ヘリオトロープが強い。値段が高いだけあって人工感はあまりなく、香りの強い花を沢山集めて大きな花束にしたような香り方だ。時々気まぐれに個々の花が主張。まるで大きな花束から一本の花を抜き取り匂いを嗅いでいるかように。

やがて華やかな香りが高級な自然派白粉のようなパウダリーノートと混ざり合う。これはヘリオトロープとオリスルートらしい。昭和初期に外国から輸入された◯◯王朝御用達の白粉の香りだと言われれば信じる。伝統的な製法で作られたヨーロッパのナントカという感じか。

ミドルあたりで花束と白粉の後ろに別の香りが隠れているのが分かる。これが花束の隙間からチラチラ顔を出す。コクのある深い甘い香り。ウロウロすること約30分。焦ったいから早く出てきなさいと言いたい。

モソモソ....

やっと出てきたそれはミルクチョコレートだった。チョコレートで有名なスイスかベルギーあたりのミルクチョコレートをふんだんに使った甘さ控えめの美味しいホットココアだ。インスタントの粉ではなく、チョコレートのブロックを削って溶かしてミルクを加えたもの。花束→高級白粉→ミルクチョコレートの展開に全く違和感がないのが凄い。トンカビーンとバニラがカカオと出会ってミルク感を出しているのかな。このミルクチョコレートの香りは気温が高いとトップに混ざって出現する。

ラストノートはチョコレート感が僅かに残ったバニラとサンダルウッドのゆったりと落ち着いた香り。ふんわりしたソファに座ってこれを嗅いだら体から根が生えて絶対そこから動きたくなくなりそう。一日の終わりにいいな、これ。

やがてチョコレートが完全に消えると古本のようなひなびた香りになる。私が30年もずっと大事にしている詩集のページの匂いによく似ている。本の縁が薄茶に変色しているのも味があっていい。

ライラック・ラブは都会的な香りではない。都会での生活に疲れた人がちょっと田舎に空気を吸いに行くような香りだ。また都会のオアシス的なところもある。気を張って仕事をして疲れてきたところで、花が沢山咲く中庭のある小さなカントリー調のカフェで本を読みながらホットココアを飲む気分になる。

誰でも肩肘張って見栄もはって一生懸命に生きている。社会で競争に勝つことが大事だとも言われる。でももっと素直になってもいいんじゃないかなと思う。近所にあるライラックは周りにある花と競ったりしないではないか。ライラックラブをつける度に普段着の自分になった錯覚を覚える。毎年同じ場所に咲くライラック。忙しい日常をふと忘れさせてくれるその姿と香り。ライラックラブをつけているとミルクチョコレートのように心が優しく溶けていく。

ライラック・ラブは歳を重ねてもずっとつけられそう。若い子がつけてもお婆ちゃんがつけても似合いそうな飾らない素敵な香り。素直な気持ちでどうぞ。

トップノート: ヘリオトロープ、ライラック、ガーデニア、ピオニー、ジャスミン、ローズ
ミドルノート: カカオ、トンカビーン、オリスルート
ラストノート: バニラ、パチュリ、サンダルウッド

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ネスト / インディゴ

ネスト

インディゴ

[香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

6購入品

2019/10/6 00:30:40

ひときわ目を引く素敵なペーパークラフトアートの瓶に詰められたインディゴ。Scentbirdというアメリカの香水量り売りサイトの都市別ベストセラーでシアトル1位と聞いて試したくなった。

最初に広がるのは甘いジャムのようなイチジクの香り。青みとみずみずしさがある生ではなく砂糖で煮詰めた感じ。これは何かに似ている。わかった。フィグバーだ。アメリカで育った人ならみんな知っているこのお菓子は、水分がなくなって干し柿くらいのねっとりさになった甘ーいドライフィグを全粒粉の皮でくるんで香ばしく焼き上げたもの。インディゴはユニセックスとあるけど、男性でつけるならこのアメリカンノスタルジー全開の甘さに耐えられるかどうかが評価の別れどころ。その甘さが15分くらいで和らいでいくと渋みがかったかぐわしい緑茶と華やかなベルガモット、折ったばかりの木の枝のようなカシミアウッド、そしてかすかなカルダモンの香りが立ち上ってくる。そのままあまり変化しないでムスクのような落ち着いた香りでフェイドアウト。現代的な都会の香り。

思い出すのはニューヨークの地下鉄のラッシュアワー。閉まりかけたドアの隙間をすり抜けて若い男性が駆け込んでくる。黒い髪、インド系かなと思う浅黒い肌と彫りの深い顔立ち、パリッとアイロンがかかった水色とモスグリーンの細かいチェックのシャツ、藍色のジーンズ、よく磨かれた茶色の革靴、肩から掛かったくたびれてないメッセンジャーバッグ。彼は先に乗り込んでいたアジア系と白人のハーフらしき同僚とおしゃべりを始めた。二人とも訛りのない完璧な英語。きっとアメリカ生まれなのだろう。話している内容からするとウェブデザイナーのようだ。二人とも紙カップを持っていて会話の間に飲み物をすする。香りからしてどうも抹茶ラテらしい。それに交じってほのかな爽やかな香水の匂い。エチケットとして上手につけている。

見回すと同じ車両内にスーツを着ている人はほとんどいない。ニューヨークでも90年代はスーツにネクタイで通勤する人が多かった。昔も相変わらず白人以外の人が(路線にもよるけど)7割くらいだったけど、会社にはみんなスーツを着ていったものだ。今は仕事に来ました感さえあればいいという職場が増えて、色落ちしていないジーパンにポロシャツ、軽いブレザーという人も多くなった。仕事内容の変化とカリスマ経営者スティーブジョブズなどの影響もあるのだろう。弁護士、ウォールストリートの金融関係者、会社の代表者以外はスーツを着る必要がないというのがホワイトカラーの新しい常識になった。

90年代からずっと変わってないもの。それは日本じゃ考えられないけどコーヒーの紙カップを持って地下鉄に乗り込む光景。最近はエコを考えて保温性の高いマイカップの人も増えた。変わったのはその中身。前はコーヒー一辺倒だったのに最近は緑茶も多い。緑茶といっても彼らにとっては日本人が思っている緑茶じゃなくて抹茶かグリーンティー。もちろん日本人が飲むようにそのままストレートの人もいる一方、人気は抹茶のラテまたはショットか様々なフルーツ、スパイス、ハーブで香りを付けて砂糖を入れて飲むグリーンティ。牛乳やココナッツミルクを入れるのもあり。一緒に日本食を食べに行った友人が熱い緑茶に砂糖を入れておいしそうに飲むのを見たとき私の緑茶の概念が音を立てて崩壊した。スーパーマーケットやお茶専門店の棚に紅茶とともに誇らしげにずらっと並ぶフレーバーグリーンティ。マンゴ、パッションフルーツ、ピーチ、レモン、オレンジ、ベルガモット、レモングラス、ミント等。(イチジクの精油は毒性が強いのでまだイチジクフレーバーは見たことがない。)中でもミントでグリーンティはモロッコ名物として有名だそうで、当然のごとく砂糖をたっぷり入れて飲む。遠い昔に陸路でモロッコまではるばる旅をした緑茶はアメリカにも飛行機でやってきて市民権を得た。

日系以外のニューヨーカーに緑茶の香りの印象を訪ねると落ち着く、リラックスできる、癒されるという答えがかなりの割合で帰ってくる。インディゴに強く感じる緑茶の香りにもそんな効果があるのかもしれない。ネクタイを外してビジネススーツを着なくなっても毎日何かと戦っていることには変わりがない。

多国籍の住人で溢れかえり自分らしさを忘れるほど慌しい大都会の片隅。甘いスイーツと一緒に飲むグリーンティの香り。藍色のジーンズをはいた現代の企業戦士たちのひとときの安らぎ。インディゴはそんな香り。

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イヴ・サンローラン / Libre

イヴ・サンローラン

Libre

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

6

2019/10/22 02:29:21

自由、それはイヴ・サンローラン。流行の最先端を走る。その試みは境界線を取り払い、新しい価値観を創造する。60年代に男性のタキシードを挑発的な女性のイブニングに変身させた。今を生きる女性が手に入れた自由は真の贅沢。それは心のあり方。自分軸の人生を演じること。(米国公式サイトより、一部意訳)

ジェンダーレスにチャレンジし続けるサンローランの新作。欧米で先行発売され、評判もなかなかのLibreは女性もつけられるフゼア。

最初に強く感じたのは甘さの勝ったマンダリンとブラックカラント。この後巷に溢れかえった可愛い系モテ香水路線を突っ走ると思いきや...

ミドルはラベンダー。柔らかいフレンチラベンダーよりもハーブ感が抑えられてまろやか。セミドライな上質のバニラ、控えめなオレンジフラワーとの三重奏がふんわり漂ってくる。ブランデーのようにラベンダーも熟成させたと錯覚する。劇的変化は無しで約5時間後に穏やかなシダー、アンバーグリス、ムスクが加わり肌に吸い込まれていった。確かにフゼアだが、ひと昔前の男らしさマックスのものとは全く違う。

実はLibreは欧米のサンローランの公式サイトで女性用と明記されている。日本では11月1日に発売開始予定で、メディアの紹介文では今のところユニセックス。どちらが正しい、間違ってる、ではなくて文化的背景を考慮した販売戦略だと思うと興味深い。

フゼアノートは1882年に大ヒットしたウビガン社のフゼアロワイヤルが最初。実在しないシダの香りをイメージし、ラベンダー、オークモス、クマリンを基調に、地位と名誉のある紳士に相応しいものとして作られた。なぜシダ?その当時はコストのかかる温室でヨーロッパにはないエキゾチックな植物であるシダを外国から取り寄せて丹精込めて育てるのが資産家の紳士の嗜みだったから。以来フゼアノートは男らしさの象徴となり、ポマード、アフターシェーブ、制汗剤としても多用された。

欧米の女性はフゼアをつけない。女性はフェミニニティを、男性はマスキュリニティを強く感じさせる香水を選ぶ。特にニューヨークで女性が男性用香水をつけるとレズビアンと間違えられてアプローチされることも。女性用香水をつける男性は日常的に女装しているゲイか女性に性転換した人に限定される。ある意味日本より保守的な文化的土壌で、カルヴァンクラインのエタニティはユニセックスのコンセプトで一世風靡した。今回サンローランが挑んだのは、19世紀以来フゼアは男性用という慣習。ニッチブランドの女性用フゼアはたまにあるけどメジャーブランドのものはとても珍しい。

サンローランのジェンダーレスへの流れは1960年代から続く。男性のパンツを女性用普段着として発表し、デザイン性、機能性と相まって世界中で旋風を巻き起こした。女性は長いスカート、男性はパンツという服装が何世紀にも渡る慣習だった欧米では、女性のパンツルックは固定概念を覆すと共に、はしたない物とされ、当時それを着てレストランや劇場に入ることは禁止された。時は過ぎパンツルックが受け入れられても、今までフゼアが女性のパンツルックを彩ることはなかった。男女の垣根を取り払った香水、Libreへの関心が欧米で強いのは、発売して間もないのにレビューが多いことが物語る。
 
一方、日本で服装における最大の変化は明治時代の洋服の導入か。特権階級が最初に取り入れたので、はしたないとかみっともないという感情は起こらなかった。何百年も着続けられた女性の着物。いきなり江戸時代に男性の袴が町民女性の間で大流行し、袴姿の女性は茶店や歌舞伎、相撲観戦出入り禁止となったと想像したら、パンツルックの欧米での衝撃は理解できると思う。バックグラウンドが違うので日本人には女性用フゼアの登場が大きな出来事とは理解しづらい。だからユニセックス扱いにするのかも。

分類上の違いはさておき、香りとしての完成度は高い。男性用でも女性愛用者が多いジバンシーのπが好きなら気にいると思う。深みはあるが重くないので性別問わずどんな服にも合わせられる。香水だけが一人歩きするのではなく、つける人の個性を隠し味に徹して最高に引き立ててくれる。「いい匂いの香水ですね」と「〇〇さんっていい匂いですね」の差。デイタイムの日常用。仕事用でも休日用でもOK。

時々自分を縛るもの全てから離れて、ぶらりと何処かに行きたくなる。Libreの柔らかな風に吹かれて。自由、気ままに。確かに自由に自分らしくあり続けることは最高の贅沢だと思う。

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  • モニター・プレゼント  (提供元:Sephra (米国))

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プロフィール
  • 年齢・・・54歳
  • 肌質・・・乾燥肌
  • 髪質・・・硬い
  • 髪量・・・多い
  • 星座・・・牡牛座
  • 血液型・・・B型
趣味
  • ヨガ
  • エクササイズ
  • 音楽鑑賞
  • お酒
  • 料理

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自己紹介

アロマセラピーの勉強をしているうちに香水の魅力にはまりました。皆さんの口コミをいつも楽しみにしています。外国在住のため日本で手に入りにくい香水の口コミ… 続きをみる

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