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Cookieyukiさん
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parfums de nicolai / Patchouli Intense

parfums de nicolai

Patchouli Intense

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:-発売日:-

4購入品

2021/5/8 12:26:11

つけるだけでバリッとしたスーツに身を包んだ超ハンサムエリートビジネスマンが出現する魔法の香水。ハンサムは死語だが敢えて使いたい。どういうわけかイケメンという言葉より相応しい気がして。

彼らは当然意識高い系なので朝早起きしてランニング、筋トレ、ヨガ等の運動を済ましてから出勤。誰よりも早く職場に到着して皆んなが来る頃にはひと仕事終わってる。住んでいる場所がニューヨークという場所柄、そういった人達にひと昔前まで沢山お目にかかった。

残念ながらそんなビジネスマンは現在絶滅危惧種だ。弁護士、大企業のファイナンシャルアドバイザーなどの対面で仕事をする人でない限りスーツを着用しなくなったことと、コロナの本場アメリカではリモートワークがビジネスマンの主流になったことがあげられる。

制服フェチの私にとってはビジネススーツも制服のうち。通勤途中で出会うビジネススーツを颯爽と着こなす名前も知らぬ素敵なおじ様お兄様方にこっそり胸をときめかせていたのに、毎日の目の保養がガッツリ減ってとても寂しい。私の職場は女性が80%で男性はほぼ全員ゲイ、しかも夏などは従業員がサマードレス又は短パンにビーサンで通勤してくる特殊な環境。当然ビジネススーツは拝めない。

さて、そんな妄想が止まらなくなるPatchouli Intenseの香りは...

トップの印象は清潔感があるだけでなく甘さも兼ね揃えた仕事できるヤツ感炸裂の香り。ハーバルなラベンダー、草のようなグリーンさのあるゼラニウムが織りなす端正なイメージと対照的な、ジューシーで甘いオレンジ、芳しい薔薇の香り。男前過ぎてとっつきにくい男性がニコッと優しい笑顔で微笑んでくれたかのようなギャップがたまらない。ただし初っ端からパチュリが低音でどっしり香っているので苦手な人はここでアウトだと思う。

ミドルはこれでもかというほどのパチュリ攻め。アルデハイドが入っているのだろう。パチュリ石鹸といった趣。シナモンが入っているのだが、かなり柔らかく洗練された甘さ抑えめのセイロンシナモンだ。セイロンとはスリランカのことで、デリケートで仄かな柑橘系のニュアンスがあり森の香りを感じさせるとか。是非単体で嗅いでみたい。それに比べて普通のシナモンはワイルドなスパイシーさで甘味とクセが強くコッテリしている。カレー通はインドカレーには普通のシナモン(インド産多し)、スリランカカレーにはセイロンシナモンと使い分けているそうだ。味も風味も違ったものになるらしい。
 
このセイロンシナモンが全面に出てきたあたりからトップのオレンジと薔薇の甘い香りは消えて、スパイシーで切れの良い深い樹木調のパチュリ香になる。私はパチュリが好きだが、嫌いな人は耐えられないと思う。出力、持続力ともかなりのものなのでつける場所には気をつけたい。

ミドルからラストに移行するころホワイトセージに似たスモーキーでハーバルな香りになる。パワーストーンや空間を浄化するのに使う緑がかった薄灰色の乾燥した葉だ。神聖で心が洗われるという人と何これ?煙たくてイヤ!という人に好みがバッサリ分かれそう。

ラストノートはサンダルウッド、アンバー、バニラがベース。人肌を思わせる温かみを演出するよくある組み合わせだ。しかしこれに強いパチュリが加わるとがらりと表情が変わる。落ち葉を踏みしめて森の奥深くに入り大きな木にもたれてゆっくりと寛いでいる気分になる。土に還り始めた落ち葉と木や岩を覆う苔のような香りが好きな人は楽しめるはず。

Patchouli Intenseは読んで字のごとく妥協のないパチュリづくしだ。蟹づくしのメニューだと蟹が手を変え品を変え色々な食材との組み合わせでアペタイザーからメインディッシュまで出てくる。蟹づくしは蟹が大好物なひとにしか勧めないのと同じで、このパチュリづくしもパチュリが大好きな人だけにお勧めしたい。というわけで個人的には星6つだが、好き嫌いの多さを考慮して星4つに。

Patchouli Intenseは香水がつける人を選ぶ。若い人は香りの重厚さに負けるので貫禄が出てきた35歳以上の人向き。ユニセックスだが女性でこれが似合う人はあまりいないと思う。個人的な意見としては007やゴルゴ13あたりの渋い男性につけて欲しい。匂いで誰だかすぐバレて任務遂行は難しそうなのでオフのときに是非。

トップノート: ゼラニウム、ラベンダー、オレンジ
ミドルノート: パチュリ、セイロンシナモン、ローズ
ラストノート: サンダルウッド、 アンバー、バニラ

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Etat libre D'orange / Secretions Magnifiques

Etat libre D'orange

Secretions Magnifiques

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:-発売日:-

4購入品

2021/6/6 01:49:54

閲覧注意。お食事中の方は特に。

商業主義に走らないことを商業の主義にしているエタリーブルドランジェさんの熱い主張が凝縮された一本。「なんてものを作ってくれたんだー、うおーっ」と世界の素人玄人共々を絶叫させたSecretion Magnifiqueがついに我が家にやってきた。外国レビューではボロクソに書く人多数対それに熱く反論する人少数の熱い闘いという炎上状態になっている。

マルセル・デュシャンの「泉」を思い出す。美術史に詳しい人はご存知だと思うが、デュシャンは便器に「泉」という題をつけて、誰でも参加できる美術展覧会に出品したのにもかかわらず受領拒否された。でもこの事件は美術界に一大センセーションを巻き起こす。ぶっちゃけ彼が何を言いたかったかというと「アートの定義って何?」という問いだ。それまでのアートとは「目の前に置かれた美しいと思われるもの」だった。デュシャンはそれに対して「アートとは目の前に存在するものを起点に自分の心の中で感性によって完成させるもの」ではないかと問いかけたのだ。

Secretion Magnifiqueはいい香りとは、香水とは何か私たちに問う。

直訳すると素晴らしい分泌。分泌物、体液の匂いくらい男女共に経験済みの私は「きゃーん」とか言ってたじろがないのだ。伊達に年齢は重ねていないワタクシ。

色々な香水サンプルを取り寄せたが何故かこれだけ小さいジップロックに入っている。もうこの時点で危険物感プンプン。税関で没収されるヤク扱い。

早速開ける。つける前に嗅いでみよう。昔、理科の時間に液体の匂いを嗅ぐ時には鼻から離して手で仰ぐようにして嗅ぐと習ったな。教育って大事だわ。先生ありがとう。手でパタパタ。

え?理科の実験室の匂い?

でも思ったより過激じゃないのでペタペタつける。

うーん….

今まで遭遇したことのない匂いに唸る。シーウィード、要するに海藻の匂いがするとクレジットにあるが何だろう?一応、海苔、ワカメ、昆布、ヒジキを用意。嗅ぎ比べた結果乾燥ワカメに一番近い。

血液に含まれるヘモグロビンの鉄っぽいメタリックな匂い。精液そのものの再現香ではないが、それを表現したかのようなミルキーな匂いも。私は変わった職業についていて、裸の女性に接近することも多いのだが、彼女らの皮膚から匂い立つ少し薔薇に似た香りも含まれている。何となくクラブで夜通し遊んでいる時のような匂いだ。蒸気があがりそうなほど熱くなった身体、汗ばんだ肌と肌が触れ合っているようなスリルがある。

控えめに言ってもこのトップが好きな人は殆どいないと思う。そしてこの体液カクテル状態が二、三時間続いた後、摩訶不思議なことが起こる。

筋肉質でシルキーな肌から匂い立つような官能的なムスクとセクシーさを凝縮したようなマリンノートが出現。理性というタガを外したら飛び込んでみたくなる日に焼けた分厚い胸を思わせる。しかも胸毛付き。一応ユニセックスだが、この辺の香りは骨太で男性的だ。

遠い昔に読んだ詩に女の子の体の中には大切な箱があるという詩を思い出す。普段は大事に鍵がかけられているけれど、時々「開けて」と言わんばかりに蓋が動く時がある。Secretion Magnifique のミドルを嗅いでいるとその蓋がガタガタ激しく揺れて何かが中から溢れて出てきそうな衝動に駆られる。

ラストでは柔らかいサンダルウッドが包み込む。ピロートークの時に大きな手で優しく撫でられているみたい。また妄想スタート。サンダルウッドは人肌に似た香りと言うが実に色っぽい香りだ。トロトロに溶けた心と身体が愛する人の腕の中にいるような浮遊感を伴った感覚。睡眠と覚醒の狭間をボートに乗ってゆらゆら彷徨っているかのような。

もしかして人間にとって一番いい香りの香水は人間自身の香りかもしれない。自分にとって一番相応しい人を選ぶ判断基準はDNAにコントロールされているという説もある。だからかもしれない。理性ではノーな相手に潜在意識がイエスと言い、抗えないような強い力で背中を押すのは。

そういえば私は恋人を選ぶ時に最終的には身体の匂いと触り心地で決めている。性格が自分好みであるのは勿論だが。

それは身体の奥にある普段は鍵がしっかりかかった大切な箱が決めてくれるから。

シーウィード、ミルク、ココナッツ、アイリス、サンダルウッド、オポポナックス

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ディオール / デューン オードゥ トワレ

ディオールディオールからのお知らせがあります

デューン オードゥ トワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:100ml・20,350円発売日:-

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6購入品

2021/6/18 23:14:13

何てカッコいい女性の香り!

トップで目立つのは目が覚めるように鮮やかで高貴なブラジリアンローズウッド。乱伐されて貴重品となってしまい、欲しくてもなかなか手に入らない香料だ。花でありながら木、木でありながら花という考えれば考えるほど訳がわからなくなる神秘的な香り。

暫く嗅いでいるとベルガモット、マンダリンオレンジ、ピオニーがローズウッドを陰で支えているのがよく分かる。光が当たると控えめにキラキラする、洗練されたデザイナーブランドのドレスの生地のラメみたい。それにアルデハイドが加わって更に華やかなイメージになる。
 
私の肌の上ではミドルで百合がかなり強めに出る。それがウッディさと相まって研ぎ澄まされた感性の女性を連想させる。本来はディオール一族の避暑地の情景を元に作られている筈なのに、何故か大都会を闊歩する時につけたい。殺伐とした都会のグレーの風景に突然パッと薄ピンクの花が咲いているような気がして。

そして不思議なくらいの透明感。外国製のウィンドウチャイムで金属のパイプで作られたものがあるが、その高く澄み切った音色を香りに閉じ込めたような。かなりキンキンした高音なのだが不思議と安らぎを感じる。擬人化すると自分をしっかり持った美女といったところか。

これのイメージにピッタリの女性を知っている。確かデューンを愛用していたと思う。その女性、同僚のMはモデル並みのルックスで、タクシーに乗ったところあまりの美しさに誘拐されそうになったという逸話を持つ。陶器のようなきめ細かい白い肌、何もつけなくても赤い唇、風になびく長いブルネットのストレートの髪。道を歩いていて振り向かない男がいないほどの美しさ。彼女の周りだけ凛とした煌びやかな空気が漂う。それはデューンの香りのように。

ある時Mは当時付き合っていた彼氏にこっ酷く振られて感傷旅行に出た。その帰りに乗ったバスの隣の席の男性と意気投合し楽しい時間を過ごした。彼は超絶イケメン、長身で俳優をしている。まだ売れていないがそれはそれでそこそこそれで収入があるらしい。実際、彼女の知っているドラマにもチョイ役で出演していたようだ。結構いいムードになってその男性が彼女の肩に手を回してきた。その途端、

たやすく触るんじゃねえ!

バシーン!

彼女は彼にビンタを喰らわした。

凍る彼と周りの乗客。

バスの乗り換えの時間だ。Mは今度はあの馴れ馴れしい男から離れたところに座った。何事もなく無事時間が過ぎた。

バスを降りると地下鉄に乗り換える。後をつけられたらやだなと一瞬頭をよぎる。少し離れたところを歩いているソイツより早くスーツケースを掴んで足早に地下鉄に乗り込んだ。よかった、奴は乗ってこない。

後にMは肩を抱いてきたキモい超絶イケメンが自分の友人の友人であることを知った。

何がどうなったのかさっぱりわからないが、それから暫くしてMは彼と付き合いだした。その彼との出会いのエピソードに、みんな口々に「思いっきり引っ叩いて欲しかった場所を直撃してやったから惚れたんだよ、アイツ絶対マゾ」とからかっていた。

Mとは休憩時間が同じだったので彼との間に起こったことであれこれ相談に乗ってやった。Mは気が強そうだけど意外にも繊細で気を許した人には色々な表情を見せてくれた。デューンは芯が通っているけれど柔らかな花、フルーツ、樹木、樹脂の香りが突然浮き上がってきてドキッとする。そんな気まぐれなところもMに似てる。

Mはついに彼と結婚して遠いところに引っ越した。それ以来私はMとコンタクトはほとんど取らなくなり、Mと彼とのことも忘れかけていた。

クリスマスの少し前に一枚のカードが職場に送られてきた。グレイヘアの優しそうな母親がとろけそうなほど幸せな笑顔で、2人の男の子供と幸せ太りで顔の輪郭が丸くなった旦那さんと写っている。

え、マジ?これMとビンタ喰らわされた彼氏じゃん。

まるでデューンのラストノートの大自然に抱きしめられているような甘味な世界がそこにあった。全ての大切なものが彼女の周りに初めからあったかのような優しい安心感と一緒に。

トップノート: ブラジリアンローズウッド、アルデハイド、マンダリンオレンジ、ベルガモット、ピオニー
ミドルノート: リリー、イランイラン、ウォールフラワー、ジャスミン、ローズ
ラストノート: サンダルウッド、 アンバー、ベンゾイン、オークモス、バニラ、パチュリ、ムスク

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ルイ・ヴィトン / IMAGINATION

ルイ・ヴィトン

IMAGINATION

[香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:-発売日:-

6購入品

2021/6/1 22:52:39

ルイ・ヴィトンの最新作IMAGINATION(イマジナシオン、2021年)はメンズ・フレグランス コレクション7番目の香り。
2016年にウィメンズ コレクションが7作品同時発売されたのに対し、メンズは5年遅れでようやく7作が揃った。
過去6作品は、メンズの定番的な香りを現代的にアレンジしたような香りが多かったが、今回のイマジナシオンは性別や使用シーンを選ばない香りに仕上げられている。

海を感じさせるような、落ち着きのあるライトブルーのボトルをスプレーすると、
トップはシトラス・アンバー。
フレッシュなマンダリンやベルガモットと、アンバーグリスの弾ける波のような磯の香り。アフターヌーン スイムの波飛沫のような青さに対して、イマジナシオンはベルガモットの酸味やネロリの明るさなど、透明だけどカラフルなオープニング。

ミドルはスパイシー・アンバー。
シトラスのフレッシュ感は、ヴィトンらしい鋭いネロリで輝きを増しながら、一方で、ジンジャーの硬さが香り全体を引き締めつつも、アンバーで水っぽさを加えたような香り。そして奥からみずみずしいジャスミンやシナモンの甘さに囲まれた、上品なティノートの存在感が増していく。

ベースはウッディ・アンバー。
フレッシュなジンジャーやシナモンの甘さを残しながら、燻したようなブラックティの深みのある香り。爽やかなネロリの明るさ、アンバーグリスのみずみずしさが、このウッディに近いスモーキーなティノートに彩りを与え、フレーバーのようなナチュラルな紅茶の香りに。最後はアンバーグリスの柔らかさが、スモーキーなティを肌に吸い込ませていくようにドライダウンしていく。

おそらく、今までのヴィトンのフレグランスの中でもっとも淡い香りにも関わらず、実際に肌に乗せると、時間が経つにつれて、ティの甘さと渋みが肌になじんでいくように、6時間くらい持続する。強く主張しないため、時おりフワッと香ってくる柔らかなティーノートに心が安らぐ。
水彩画のような繊細な構成のため、体温や肌質によって香り方がかなり異なると感じている。何人かで実際に肌に乗せて香り方を比べたところ、紙と近い人、シトラスが強めに出る人、ティの深みが強めに出る人、私のように甘さが強めに出る人など、かなりの違いがあった。まずは自分の肌で試すことをおすすめしたい。

全体的な香りのイメージは、美しい液色と重なる。少し冷たさを感じる、静寂なブルー。熱で火照った肌を、冷たい海水で一気に冷やすと、肌は冷たくても身体の芯はまだ熱がこもっている、、、そんな肌そのものの香り。涼しげ、でも肌に寄り添ってくれるような温かみがあるため、春と秋は終日、夏の夕刻以降は特に似合うのでは。

イマジナシオンの主役は、なんといってもアンバーグリスとブラックティだ。
ジャック・キャヴァリエは、まったく新しいアンバーを表現するため、長い歳月を費やしたとのこと。トップでは波が弾けるようなダイナミックさ、ミドルでは滴るようなみずみずしさ、ベースでは肌に寄り添うような安心感というようにアンバーの様々な表情を楽しませてくれる。
そしてブラックティにもこだわり、スリランカ産を独自方法で抽出したとのこと。
私は紅茶を飲む習慣がないため、高い紅茶と安い紅茶の香りがどれくらい違うのか分からない。でも、今まで見てきたティノートと比較すると、このイマジナシオンはとてもナチュラルで、最後まで香りが崩れることなく、さらにアンバーと融合することで、肌にスッととけ込んでいくようだ。むしろ残香のティ感の方が良いのではと感じるくらいに。安い紅茶の香りにはもう戻れないと思う。

最近のヴィトンの香りを見ていると、ジャック・キャヴァリエの目指す香りの方向性が想像できる。
私のようなフレグランスジプシーが求める、唯一無二のキャラクター、オーバードーズによる濃くて複雑な香り、力強さ、華やかさというよりも、繊細な素材の呼吸、透明感、疲れさせない、着飾らないなどを重視しているように思われる。

IMAGINATION=想像力。ジャック・キャヴァリエが描いたこの水彩画は、アンバーグリスとティを骨格に、キャンパス全体に色を塗らずに、多くの余白を残している。さらに爽やかさ、みずみずしさ、甘さ、辛さ、華やかさ、冷たさ、暖かみ、硬さ、柔らかさ、深みなどの様々な色を点在させることで、次の描き手が手を加えられるように創られている。
このキャンパスに自分の好きな香りを重ね合わせてみる、、、。そんな想像力を発揮することで、無限に広がる可能性を楽しむ香り。

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ルイ・ヴィトン / ルジュール・スレーヴ

ルイ・ヴィトン

ルジュール・スレーヴ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2018/3/25 19:01:53

ルイ・ヴィトンが一昨年発売したレ・パルファン ルイ・ヴィトンは、シリーズを構成する7つの香水が、「旅」をテーマとした一つのストーリーとしてつながるというコンセプトとなっていました。
そのシリーズに新たに加わったこの香りの名前は、「夜明け」を意味するそうで、新たな旅の幕開けを感じさせるものとなっています(実際、今後も新しい香りが続々と発売になる予定らしいです)。
しかし、私には新たな旅の始まりというよりは、今までの7つの香りを補完する香りのように感じました。
その補完の意味は二つあります。

70年振りの新作香水ということもあってか、一度に7つもリリースしたこのシリーズですが、それだけの数があるのに意外にも欠けていると感じた香りがあります。
それは、「シトラス系」の香りであり、「夏向き」の香りです。
その欠けている香りを補完するのがこの香水であり、それが補完の意味の一つ目です。
では、どのような香りなのかといいますと、まず印象的なのがトップでして、マンダリンを主とした強く鮮烈なシトラス系の香りとなっています。
しかし、この強い香りは5分程度で急速に収まり、淡く大人しい、サンバックジャスミンを主としたホワイトフローラル系の香りへと徐々に移行してゆきます。
この、シトラス系からホワイトフローラル系への移行において、いい具合に橋渡しを務めているのがカシスです。
ミドルまでは甘さ控えめですっきりした印象なのですが、ベースに近づいてきますとムスクが顔を出し、ややレディース調の甘さが出てきます。
EDPであり、ムスクが効いているためか、持続時間はかなり長いものの、とにかくミドルの香りが控えめなため、外出時などはあっという間に香りが飛ぶ印象を受けるのが難点ですが、逆にそこが使いやすい部分であるようにも感じます。

そして、補完の意味の二つ目ですが、それは重ね付けです。
このシリーズは元々、重ね付け可能なものとされていますが、その中には強く独特な香りであるためか、重ね付けに不向きとされている香りもありました。
何かといいますと、私がこのシリーズで最も好きな香りであるタービュランスです。
そんな中、このルジュール・スレーヴは、タービュランスも含めた従来の7つの香りすべてと重ね付け可能なものとなっているそうです。
私がこの香水を購入した最大の動機はそこにあり、実際にタービュランスとの重ね付けを試してみましたが、やはりタービュランスが強すぎるためか劇的な変化はないものの、タービュランスの特徴的なチュベローズが、ルジュール・スレーヴの淡いホワイトフローラルを通して立ち昇ることで、より際立って感じられるように思いました。
ルイ・ヴィトンの方によると、一番のおすすめはアポジェとの重ね付けだそうで、私としてもそう思いますが、手持ちの香水で試した範囲では、ローズデヴァンとの相性が良かったです。
ただ、いずれにせよ劇的に印象が変わるというほどではなく、従来の香りに彩りを加える隠し味的なものに留まる印象です。
とはいえ、タービュランスは私にとって、最も使用頻度が高い香水ですので、それにさらなる楽しみを加えられるこの香水は、とてもありがたいものではあります。

最後に纏めますと、夏向きの爽やかで良い香りではあるのですが、従来作品との重ね付けを意識しすぎたために控えめすぎるようにも感じ、単体の香水としてはやや魅力に欠ける印象です。
例えば似たような香調かつ価格帯の香水でいうと、クルジャンのアクアユニヴェルサリスあたりの方が、単体の香水としての出来は良いように感じます。
逆に、このシリーズが好きで、既に何本も持っている方であれば、従来の香りにない香りであり、なおかつ従来の香りにさらなるバリエーションを持たせることのできる香りでもあり、かなりおすすめできます。

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