





























2021/6/25 20:19:57
「プティゲラン(2014年)」は、小さな子どもと親がシェアして使うことを想定して作られたフレグランス。低アルコール処方で、ラベルはピンク(女の子用)とブルー(男の子用)の二種類があるが、中身は全く一緒。1994年発売の初代プティゲランとは異なる香りだ。
トップに香るのは甘いオレンジブロッサム。ジューシーな甘さをシンプルに感じられる。アクアアレゴリアシリーズではないが、シンプルな幕開けだ。
ミドルになるとミモザのウォータリーなフローラル、ハニーの少しツヤっとしたコクが感じられる。トップのオレンジブロッサムの甘さの余韻も加わって、オレンジキャンディかコーディアルシロップのような印象だ。
ドライダウンはほぼホワイトムスクだと思う。ソーピーで清潔なムスク。ほんの少し合わせられているのはピスタチオの香ばしさ。香り持ちは全体でニ、三時間ほど。全体的にシンプル&ソーピー、どっしりした香料やゲルリナーデを排して小さな子どもにも嗜好性が高く作られている。単純な構成ではあるが、ファインフレグランスらしくしっかりと香りが展開していくのはさすがゲランといったところ。
初代プティゲランの愛用者には「同じ名前の香水を穢すな!」とワサ夫に頻出する香料の組み合わせ(オレンジブロッサムとホワイトムスク、ワッサラーデと呼んでいる)に否定的な方も多いが、個人的には好きな香りだ。複雑、濃厚でクラシカルなゲラン香水ももちろん魅力的だが、ソーピーで清潔なプティゲランの優しさに心惹かれることも多い。ファインフレグランスにあまり慣れていない人にもよいと思う。
トップ:オレンジブロッサム
ミドル:ミモザ、ハニー
ベース:ホワイトムスク、ピスタチオ
調香師は、ティエリー・ワッサー。
(fragranticaより)
レ ゾー ドゥ シャネル パリ エディンバラ オードゥ トワレット(ヴァポリザター)
税込価格:125ml・18,700円発売日:2021/6/4
2021/6/18 13:17:33
2018年に発売したシャネルのフレグランスシリーズ「レゾードゥシャネル」。このシリーズは春夏に使いやすいシトラスコロンのような香りが特徴だ。2019年には限定品として「パリ-リヴィエラ」が発売され(今年定番品として再販された)、2021年に新しくラインナップに加わったのがこの「パリ-エディンバラ」。いったいどのような香りなのだろうか?
トップに感じるのは冷たいジュニパーベリーに、アロマティックなサイプレス。fragranticaには記載されていないが、ほんの少しシトラスの気配も。レモンだとかグレープフルーツだとかはあまりはっきりしない、輪郭の曖昧な柑橘の香りだ。レゾードゥシャネルはスッキリとしたシトラスが特徴的なシリーズだったが、ちょっと毛色が違うスタートだ。
五分ほどでミドルへ。ラベンダーのハーバルでアロマティックな香りが出てくる。シャープで男性的というより柔らかくて角がとれていて、淡い紫色を思わせる香りだ。ときおりラベンダーの他にスモーキーで薬っぽい苦味も感じられる。何かと思って調べてみるとピートと呼ばれるものの香りらしい。ピートとは、海藻や枯れた植物が堆積してできた泥炭のことで、ウイスキーに使われる大麦麦芽を乾燥させる際に使われ、その泥炭の香りがウイスキーに移って独特のピート香と呼ばれる香りを醸し出すそうだ。この香りは、ヨードっぽいとか、磯っぽいとかあまりいい香りには喩えられないことが多いらしいが、この「パリ-エディンバラ」のピート香は不快な香りではないので安心してほしい。ラベンダーの淡い紫色の香りに少し奥行きを足す程度だ。
ドライダウンは淡いウッディムスク。バニラの甘さはあまり感じない。トップからミドルまでで二時間、ドライダウンは一時間ほどで香り持ちは三時間程度。
シトラスをはっきり効かせている他のレゾードゥシャネル四種と比べて、ラベンダーやサイプレスのアロマティックな印象が強くキャラが立っているように感じる。トップのシトラスが抑えめな分、柔らかい香りだちなので少し多めに付けても大丈夫。
ただ、抜け感が強い香りなのでオンタイムよりもオフタイム向き、お出かけよりもリラックスしたいときに手が伸びる香りだと思う。ココ・シャネルにこじつけたシトラスコロンはもうお腹いっぱい…と思っていたがなかなかどうして好印象。今夏のスタメンの一本になりそうだ。
トップ:ジュニパーベリー、サイプレス
ミドル:シダー、ベチバー、ラベンダー
ベース:ムスク、バニラ
調香師は、オリヴィエ・ポルジュ。
(fragranticaより)
2021/6/11 22:36:45
シャマードプールオムは元々は1999年に本家シャマードとペアで発売された限定品。後にビーボトルのシリーズ(Les Parisiennes)に組み込まれ、現在では木枠に囲まれたメンズエクスクルーシヴのひとつとして販売されている。調香師はfragranticaには記載がなかったが、時期的に四代目かマチルド・ローラン(あるいは両方)だろう。本家シャマードのローンチは1969年だから、返事までに30年かかったことになる。いったいどんな思いを香りにしたのだろうか?
トップはゲランらしいベルガモットにスパイス。スパイスはブラックペッパーとナツメグのようだが、ガリガリと粗挽きでガツンとスパイシー!というより、サラサラと細挽きで繊細、鼻の上をくすぐるようなイメージだ。
本家シャマードのミドルはヒヤシンスをメインに、さまざまなフローラルが入れ替わり立ち替わり非常に豪奢で煌びやかだが、このシャマードプールオムは違う。主役を張っているのは本家と同じヒヤシンスのグリーンフローラル。そこに寄り添うのはヴァイオレットの冷たい青さ。ヒヤシンスの甘さをみずみずしく生き生きと仕立てている。ここまでで約二時間ほど。
ドライダウンは静かなベチバーに若干のレザー調で、しっとりとあまり主張せずにフェードアウト。ドライダウンまでは四、五時間ほどだ。
オリジナルのシャマードもプールオムも同じくヒヤシンスをメインのフローラルに据えたフレグランス。前者は名前に相応しく様々なフローラルノートが表現する情熱に溢れたまさに「熱い恋に降伏するような」香りだが、後者はヴァイオレットを合わせることで、ヒヤシンスそのもののみずみずしさを強調した素朴で落ち着いた香りに感じる。
本家シャマードは濃度違いとしてP、EDP(PDT)、EDTと存在したが、プールオムはEDTのみ。燃えあがるような恋の返事としては、ちょっぴりシャイでかわいい香りだと思う。一応メンズフレグランスだけど。
ヒヤシンスの花言葉は、赤色なら「嫉妬」、青色なら「変わらぬ愛」というように、色によって違うらしい。
本家シャマードのヒヤシンスが赤色なら、プールオムは青色だと思う。嫉妬するほどの恋のオリジナルと、不変の愛のプールオム。
赤と青を混ぜると紫色になる。
紫色のヒヤシンスの花言葉は「初恋のひたむきさ」。
30年越しの返事は、ハッピーエンドになった。
トップ:ペッパー、ベルガモット
ミドル:ヒヤシンス、バイオレット、グリーンノート、ナツメグ
ベース:ベチバー、レザー、ウッディノート
(fragranticaより)
2021/6/4 12:48:42
ジバンシイの新しい高級ライン、「ラ コレクション パルティキュリエ」ド ジバンシイ。厳選された香料を用いて、妥協を許さないオートクチュールの精神を表現したプレミアムフレグランスシリーズ…
と、ファッションフレグランスのちょっといいシリーズならだいたいそう言うよね、みたいな売り文句を掲げて、日本では新宿伊勢丹のみでの取り扱いでスタートした(2021年5月に阪急百貨店うめだ本店でも販売開始)。この「オワゾーラール」はスリランカ産ブラックペッパーとトベラ(ピットスポルムフラワー)をメインに置いたライトフローラル調のフレグランス。
トップに感じるブラックペッパーの香りはかなり細挽きのスタイリッシュで小洒落た印象。ムエットだとわりと顕著だが、肌に付けるとすぐに馴染む。
ペッパーが一歩引くと、もうひとつのメイン、ピットスポルムフラワーが前に出てくる。あまり聞きなれない花なので少し調べてみたところ、メインの芳香成分はベンジルアセテートらしい(ジャスミンの芳香成分のひとつ)。ややグリーンっぽさのあるホワイトフラワー香、個人的には、ジャスミン+オレンジブロッサム+ミュゲの合いの子に感じた。このすっきりしたホワイトフラワーの香りがだいたい二時間ほど続く。
香りの構成には若干のウッディノートが記載されているようだが、ほぼ感じられない。フローラルの残香に、わずかにバニラの甘さが加わわってフェードアウト。香り持ちはトータルで三、四時間ほど。
このフレグランスは単体でも使えるが、ベースとなる「アコールパルティキュリエ」を使った上から使用するという前提上、ファインフレグランスらしさは控えめ。よく言えば親しみやすく、悪く言えば物足りない。レイヤード使用前提なら最初からアンブロクサンとパチュリ混ぜといてくれよ、と思わなくもない。
ノート:トベラ、スリランカ産ブラックペッパー、バージニア産シダー、ガイアックウッド、バニラアブソリュート
調香師は、オリヴィエ・クレスプ。
(parfumoより)
[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
税込価格:125ml・31,680円 / 250ml・45,100円発売日:-
2021/5/28 10:29:26
オーデコロンらしく(といってもボトルの裏にはEDPとの記載)、爽快なシトラスミックスから始まる。レモンとベルガモットの酸味、ジューシーなオレンジ、グレープフルーツの苦味…バランスよく配置されていてとても心地いい。コローニュロワイヤルは、ディオールの専属調香師のフランソワ・ドゥマシーが特に原料を厳選して作った自信作らしい。なんでも、ご本人様も愛用とのこと。
ミドルへに移行すると、オレンジの甘さを残しつつ、ミントの清涼感のあるグリーンにネロリのすっきりしたフローラルに。ネロリや柑橘のみずみずしさが際立ってとてもキレイな香り立ちだ。
ドライダウンは淡いサンダルウッドにムスクで締め。持続は二時間ほど。EDPといってもやっぱりシトラスがメインのコロンのような香りなので、持ちはこんなものだろうと思う。
伝統的なEDCをベースに、ミントの清涼感やネロリのフローラルを足したすっきりした香りは夏場には出番も多くなると思う。
しかし、使っているうちに気づいたのだが、このコローニュロワイヤル、ミドルからラストにかけて、けっこうアクアティックなアコードが強い。ドライダウンに向かうにつれ、それが顕著になっていく。
アクアが入っているからダメ、ということではない(嫌いなものが入っているから低評価、なんてのはナンセンスだと思う)。CaloneやHelionalに代表されるアクアノートは、目立たないように使えばフルーティやフローラルのみずみずしさを演出してくれるのだが、これのアクアは少々悪目立ちしている。隠し味は隠れているからいい。もう少し控え目だったらなぁ…
トップ:ベルガモット、ネロリ、レモン
ミドル:ミント
ベース:ムスク、サンダルウッド
調香師は、フランソワ・ドゥマシー。
(parfumoより)
香水大好きです!!! 続きをみる