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シャネル / シャネル N°5 ロー オードゥ トワレット (ヴァポリザター)

シャネル

シャネル N°5 ロー オードゥ トワレット (ヴァポリザター)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:35ml・9,900円 / 35ml・11,550円 / 50ml・13,200円 / 100ml・18,700円 / -・11,550円 / -・16,500円 / -・23,100円発売日:2016/9/23 (2023/12/1追加発売)

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7購入品

2018/8/10 00:07:13

「あ、すごい。透明感があって甘いのにしっかりN°5の香りがする。」初めてシャネルのN°5ローをつけたとき、そう思った。今もはっきり覚えている。

2013年にシャネルの4代目調香師に就任したオリヴィエ・ポルジュが3年という歳月をかけてじっくりと作りこんだN°5の新しい形、それが水のような透明感をもつ新たな5番、N°5ロー・オードトワレだ。

試す前は少々冷ややかな姿勢でプレスリリースを追っていた感が否めない。映画にしても小説にしても、大ヒットした作品の続編またはサイドストーリーが作られる際には概してそうしたシニカルな視線がつきものだ。

それが見事にくつがえされた。シャネルN°5ローはすごい。1年使ってそう思う。その理由は次の3つだ。

1つめ。シャネルの「新時代のフェミニティ」を体現する透明感あるみずみずしいフローラルノートを提案していること。

5番と言えば希少価値の高いローズ・ドゥメとジャスミン、イランイランの濃厚なフローラルブレンドが有名だが、N°5ローでは最も入手しにくく高価なローズ香料がひかえめに感じられる。これはそうした天然ローズ香料がこの先供給の先細りすることも視野に入れて考えられた新時代のフローラルブーケなのだろう。このジャスミンとイランイランの配合には、どこか甘い蜜の香りも混じり、とてもバランスがよく美しい。インドールが効いたややアニマリックなシャネル独特のジャスミン、その下でわずかな暗いシェイドをつけるイランイランの低音との共演は見事だ。1秒ごとにふわりふわりと香り立ちが変わるトップ〜ミドルのフローラルブレンドに酔いしれてほしい。

2つめ。現代に安心して使える香料を駆使してN°5のレシピを徹底的に見直し、クリアーでウェッティーな香り立ちを両立させたこと。

これまでロー(水)という刻印をもつフレグランスの多くは、概してアクアノート、オゾンノートと呼ばれるような人工香料によるファセットが多く見られてきたが、N°5ローには瓜系の感じも潮の香りの感じも見られない。それでも十分に清らかでみずみずしさが随所に感じられる。これは賦香率をあえてオードトワレにしたことも関係していると思うが、トップのアルデハイドの拡散のあとに、わずかにペア―やライチを思わせるフルーティーさが垣間見られることがポイントだ。クレジットにはないものの、ピンクのチャンスで用いたマルメロの香りのように、こっくりとした甘さがジューシーさを伴ってフローラルに引き継がれている。これによってアルデハイド〜フルーティ〜フローラルへと香りがグラデーションしていく中で、果汁や蜜がしたたるような効果を上げているように思う。

3つめ。パウダリーとソーピーの絶妙なバランスで消え入るラストの美しさ。

本家5番のラストといえば、あたたかく包み込むようなサンダルウッド、ヴァニラ、ブルボンベチバーというウッディなエンディングが印象的だが、N°5ローではあえてサンダルウッドやベチバーを控え、ホワイトムスクとシダーのブレンドに置き換えた感がある。通常、ホワイトムスクというと、わずかにスチームしたような金属的なトーンがあって冷やかに感じられることが多いが、N°5ローのベースには温かく包み込むまろやかさがある。ミドルから続いているほのかな甘さがパウダリーに傾くか、ソーピーに傾くか、ムスク&シダーでうまくバランスをとっている印象。合成っぽさが感じられない穏やかさが秀逸。

トワレとは言いながら5〜8時間穏やかに香り続ける。付けてからの香料変化は次のような展開だ。

トップ。柔らかに拡散するアルデハイドの脂の匂い、イランイランの影のあるニュアンス。次々に揮発するシトラス分子のスプラッシュ。

ミドル。アルデハイドのきらめきの陰、ゆらゆら揺れるグリーンなローズと少し強めのジャスミン。甘くジューシーな水蜜と花の香り。

ラスト。とろけるようなハニー、クリーミーなヴァニラ、スーッと流れるようなパウダリー&ソーピーなホワイトムスク。わずかに温かみを添えるシダー。女性の肌にしっとりとした柔らかさ、優しさ、おだやかさを与える狂おしいベビーパウダーの匂い。

「水とかけてN°5ローと解く。その心は?」と問われたら、たぶんオリヴィエはニッコリ笑って答えるだろう。

それはどちらも貴女の日々の生活に絶対欠かせない物だと。

名香を1年に何度かドレッサーの奥から引っ張り出して秘密の暗号のように付ける時代は終焉したらしい。これからは毎日、好きな時に好きな場所に付けるべきだ。彼はこの作品でそう告げているようにも思える。

N°5ローはそんなオリヴィエ・ポルジュの自信が感じられる、女性なら誰しも1本持っていて損はない新時代の5番だ。

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クレド・ポー・ボーテ シネルジック / ローズシネルジック

クレド・ポー・ボーテ シネルジック

ローズシネルジック

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50ml・33,000円発売日:2013/11/21

6購入品

2014/11/8 03:15:32

資生堂のローズメインのフレグランスでは、
過去に『ばら園/芳純、パパメイアン、ブルーローズ』をリピートし
最近では『ホワイトローズナチュラル』を購入しました。

それらの香りと比べると、系統としては確かにローズですが
『化粧品のいい香り/百貨店の化粧品売場のフローラルな香り』
というようなローズに何かがミックスしたような印象です。

凛とした清純さ、透明感、時代に流されないオーソドックスさ、
朝靄のなか露に濡れたローズを思わせる青味の香りが好みであれば
『ホワイトローズナチュラル』を。

マダムと呼びたくなるような風格の女性が少しカジュアルさを出したいとき。
また、静寂なフローラルな香りに包まれ眠りにつきたいという方なら
『ローズシネルジック』かな…というイメージ。

香調のレシピは不明ですが私が思い浮かべた流れは
トップノート/レモングラス、アニス、
ミドル/ローズ、ジャスミン、ジュニパーベリー
ラスト/ムスク

調香師は、有名で人気のあるアルベルト・モリヤス。
・YSL『オムニア*』『M7』『マニフェスト』
・ランバン『オキシジェン』
・ランコム『ミラク*』
・ジバンシイ『パイ*』
・カルバンクライン『ck ONE*』
・ブルガリ『ブルー・プールオム*』『マンインブラック』
・フェラガモ『エッセンツィアーレ』
・ケンゾー『フラワーバイケンゾー*』
・ペンハリガン『アイリスプリマ』
・マークジェイコブス『デイジー*』

上記の『*』印は、私が使ったことがある、もしくはテスターで知っている香水で、
クライアントからの要望により当然違いはありますが
それらよりモリヤス氏の香りの特徴、個性をあげるならば
パウダリーさをライトにモダンに持っていく点。
パウダリーが強くなると私はその香りにクラシカルさを思わせますが
こうして作品を書き出してみると、それがほぼありません。
この『ローズシネルジック』も同様で
パウダリーさは持ち合わせていますがクリアでライトな扱いになっています。

持続は、淡い香りがしっかり持続という感じで2-3プッシュで5-6時間は感じます。
トップからラストまでは20-30分で変化し、
一般的なローズメインの香水であればラストになるにつれ消え入りそうなのですが、
『ローズシネルジック』ではここからが驚くほどよく持続します。
ローズが最後の最後まで表情を持ち続けている点がたいへん優秀で、
ムスクはラストまでぺたっと重くならず爽やか。

よって、香りを纏う本人にとっては物足りなさを感じがちですが
(優れていると思いながらも私もそうですが/笑)
周囲にとってはどちらかといえば煩くない、
清潔感のある香りと受け入れやすい持続、拡散性です。

ボトルは、円柱形ベース。
ボディは黒に近い濃紺のガラス製、裾の前後が少し捲れたようなカーブ/動き、
ネック部分はゴールドの2重リングで上下で少し色味が違うように見えます。
キャップはどっしりとした厚みがあり(約40mm)
クリアベースですが下半分は黒く、上半分はクリアで花びらが一枚浮遊しているデザイン。
実物は見たことがありませんが画像検索で見たところ
実際の花『ローズシネルジック』の薄紫色を表現しているようです。

価格は、¥30,000-と高価です。
良質、希有な香料などを用いられているため高価なのかもしれませんが、
ボトルのデザイン性、香りの印象からでは定価の1/3-1/2が納得しやすい価格帯。

香水が好きで現在は20-30種類をシーンや季節、気分に合わせて選んでいますが
『ローズシネルジック』はリラックスしながらも背筋が伸びるような香り。
常備とはならないかもしれませんがリピートすると思います。

■サイズ:約φ54×h100mm[50ml]日本製

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メゾン フランシス クルジャン / ア ラ ローズ オードパルファム

メゾン フランシス クルジャン

ア ラ ローズ オードパルファム

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:35ml・22,440円 / 70ml・36,300円発売日:2014/10/1

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5購入品

2018/5/19 21:16:22

ここに一枚の肖像画がある。夜のとばりが下りた庭園で、一輪の薔薇を手にした貴婦人の姿が描かれている。ダチョウの羽を飾った盛りヘアスタイル。透明感あるレースやリボンが可憐な青のドレス。そして夜目にも白くなまめかしい肌の質感。この女性の名はマリー・アントワネット。これは彼女がフランス革命で処刑される6年前、宮廷画家であったヴィジェ=ルブランによって描かれた有名な肖像画だ。

絵画題は「薔薇を持つマリー・アントワネット(1783)」。原題は「マリー・アントワネット・ア・ラ・ローズ」。彼女が手にしている薔薇はセンティフォリア・ローズで、王妃がこよなく愛した強香種のオールドローズだ。マリー王妃は常に体のどこかに薔薇をあしらっていたほど、薔薇の香りを好んでいたという。

今をときめく調香師フランシス・クルジャンは、この肖像画からインスピレーションを得て、日本の女性のためにア・ラ・ローズを創作した。では、クルジャンはいったいこの絵からどんな香りを思い描いたのだろう?

ア・ラ・ローズをスプレーする。その瞬間、穏やかなシトラスミックスが一瞬感じられ、すぐにその酸味の下から柔らかくスッキリしたローズ香がただよってくる。透明感があるライチ様のフルーティーな甘さも感じられる、デリケートなピンク色の薔薇の香りだ。体温低めの方は最初にグリーンな香りが出るけれど、シャープさはひかえめで青臭くはない。逆に、体温高めのところに付けると、すぐにフルーティーな甘さが出やすい。そんなトップ。

3分後。柑橘は消え、とても上品なピンク色の薔薇の香りに落ち着いてくる。香り立ちは弱め。付けて5分なのに、つけた場所にかなり鼻を近づけないと香らないほどだ。それでもこの薔薇の香りじたいはとてもナチュラルで好ましい。女性の可愛らしさが感じられるフルーティーな薔薇の香りがしてくるミドル。

やがて30分ほどすると、薔薇の香りが変化して、しっとり落ち着いた低音を醸し出してくる。同時にパウダリーな柔らかさが広がってきて、心落ち着く香りになる。クレジットにバイオレットとあるけれど、スミレの香りそのものではなく、スミレ香料のパウダリーなファセットが出てくるイメージ。このミドル後半の香料のバランスがとてもいい。薔薇の香水というより、女性のお風呂上がりの上気した肌から薔薇石鹸とシャンプーの香りがほんのり立ち上るといった感じになってくる。清潔で大人っぽい落ち着きを感じさせるミドル後半。

そして付けて2時間もすると、薔薇の香りはかなりうすらいでラストになる。構成ではシダーとあるけれど、そんな香りはしない。柔らかな合成ムスクがたくさん使われているやや甘めのパウダリーなラストだ。クルジャン独特のまろやかなムスキーとでも言うのか。ラストは穏やかに長く5〜6時間は静かに漂っている。あるいはそれ以上。

香りの特徴をまとめると、まずはとても淡い香り立ちのオードパルファムだということ。このへんは値段との兼ね合いも含めて賛否両論分かれるところだろう。70mlで2.8万という値段を考えたとき、薔薇系の強い主張を求める人は香りに物足りなさを感じるかもしれない。ただ、そこから立ち上る2種類の薔薇の香りは、前半が可愛らしいフルーティーな薔薇、後半がしっとり落ち着いた薔薇といったように違いが明確で面白い。前半がピンクのセンティフォリア、後半がターキッシュローズアブソリュートだろうか。そこからヴァイオレットのパウダリーと相まって、まろやかムスクへとスライドしていくところはとても美しい変化。さながら、少女から女性へと変わっていく成長を2種類の薔薇で表し、その後のパウダリー&マイルドなラストで、母性への進化を表現したように感じられる香り。

それこそが、この肖像画からクルジャンの受け取ったイメージではなかったろうか。この絵には、オーストリアから輿入れして孤独だった少女の頃の可愛らしさ、フェルゼンに恋をして身に付けた華やかさと女性らしさ、そして最愛の子供らに注いだ母としての優しさ、全てがこめられているように思う。たとえそこに為政者の后としての自覚は少なかったにしても。

気高く咲いて美しく散った彼女の人生、それはまさに薔薇そのもの。かつてベルサイユ宮殿に咲いた大輪の花、マリー・アントワネット。

クルジャンのア・ラ・ローズは、そんな彼女に捧げた、フランス版「ベルサイユのばら」の香りなのだろう。

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コム デ ギャルソン / white

コム デ ギャルソン

white

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2018/1/27 12:21:43

1980年代、黒や白のモノトーンの洋服が並べられたシックな空間は、若者たちの憧れの場所だった。あえて色で勝負しない細密なデザイン、これまでにない大胆なカッティング、そして捻りのきいた布地の重ね合わせ。1枚何万円もするデザイナーズ・シャツが、本当にカッコよかった。そのブランドこそ、日本発世界のプレタポルテ、コム・デ・ギャルソン。

コム・デ・ギャルソン・ホワイトは、そんなギャルソンから、1995年に発売されたオードトワレだ。前年、スパイシーなオリエンタルとしてリリースされたオリジナルのオードパルファムから一転、ややマイルドになり使いやすいと評判になったホワイト、どんな香りなのか?

川久保玲氏が愛するという自立しない形状のぺブルボトル。斜めに差し込まれたノズルからスプレーする。一瞬、プラム様の芳醇なフルーツの香り。すぐさま下からシダーの清涼感。そしてそれらを響かせるスパイシーな風がどんどん強くなってくる。シダーのウッディな香りが、ホットスパイスに侵食されていく印象。ギリギリした苦みがすごい。歯科医で歯に詰められる辛くて苦い薬にも似たビリビリした香り。あるいは正露丸のような匂い。かなり刺激的だ。思わず、「どこがホワイト?」と思う。

5分ほどすると、フルーツ&シダーはいったん影をひそめ、中華料理に使う香辛料、シナモンやクローブなどをミックスした五香粉にも似たドライなスパイス香が一気に広がってきてミドルになる。強い苦みは消失して、香ばしいシナモンやクローブ、カルダモンが強くて、インドのスパイスチャイのようなイメージ。ただし、ミルクは除いたような感じ。なんか茶色。やっぱり「なぜ白?」と思ってしまう。

それでも、慣れるとくせになるシビレ感ではある。わずかなフルーツの甘さが時折顔をのぞかせるせいか、それともスッとした清涼感があるからだろうか。スパイスがじわじわ響くのに、スッキリしていて心地いい。どことなく、真っ白な陶器の皿に入ったエスニックな料理、厚めのホワイトマグカップから湯気を立てるスパイスティーを思わせる。ん、そういう意味で白?

ただ、ミドル〜ラストにかけてとても持続時間が短いように思う。付けてから3時間以内に香りがほとんど消失する。ドライダウンは本来、ベースのシダーが出てくるはずだが、スパイス香が強いせいか、独特の鉛筆を削ったときのような匂いは、ラストではあまり感じとれない。少しほこりっぽい乾いた古紙のような匂いのまま、フェードアウト。

ホワイトは、右手と左手の両方に付けると、かなり香り立ちが異なるオードトワレでもある。スパイス系を多く使っているので、そのへんの消失具合が異なるのだろう。スパイスの背後にはお香のようなじんわりスモーキーな香りもひかえていて、付けるたびに香り立ちが変わっておもしろい。酔わせるようなプラム系のフルーツ香が時折甘く感じられるところも心をぐっと惹きつける。おもしろいバランスの香りだと思う。オード・トワレ表記ながら、持続時間は短めなので、そのへんをよしとするかどうかは、使い方や個人の主観に依るだろう。自分としては、シャネルのエゴイストやアリュールに雰囲気が似ているのもあって、もう少し長く香るといいなあと感じる。好きな系統の香りだ。

コム・デ・ギャルソンといえば、服飾の全ての概念を一度崩して、川久保玲氏のセンスによって再構築された前衛的なデザインで世界的に有名だ。それでもギャルソンの服は単に常軌を逸した破壊的なものであったわけではない。大胆で繊細、可愛らしさと強烈さ、特殊なものと定番なもの。そんな相反する要素を上手にミックスしているバランス感覚こそ、ブランドの持ち味であるように感じるのだ。

80年代、「黒の衝撃」とも言われた黒服やドレスが街なかにあふれ出した時代。ギャルソンのシック&アヴァンギャルドは、時代を席巻していたように思う。そんな中、本当に目立った色こそ、仕立てのいいまっさらな白いシャツやブラウスだった。

当時、黒のギャルソンとも言われたから、あえて白を出したのかな。そんなこともふと思う。なぜホワイトなのか?そこに込められた哲学に、たぶんギャルソンは答えは持たない。それでも、着心地の良さげな白シャツやブラウスの下からこの香りを漂わせる人と街ですれちがったら、ちょっと足が止まるかもしれないなとも思う。

その白い香りの引き波に心奪われて、頭の中が一瞬、真っ白になって。

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シャネル / ガブリエル シャネル オードゥ パルファム (ヴァポリザター)

シャネル

ガブリエル シャネル オードゥ パルファム (ヴァポリザター)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:35ml・11,550円 / 50ml・16,500円 / 100ml・23,100円発売日:2017/9/1 (2018/4/20追加発売)

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4購入品

2017/10/21 14:30:58

起きなさい、ガブリエル。もう起床時刻よ。

12歳のときに母を亡くし、父にも捨てられ、多感な時期を孤児院で過ごしたガブリエル・シャネル。彼女は毎朝、修道院の窓の外から差しこむ日差しで目覚めるとき、何を思ったろうか。

シャネルのガブリエル・オードパルファムは、4代目調香師となったオリヴィエ・ポルジュが、満を持して発表したシグネイチャー・フレグランスだ。14年ぶりとなるこの新しい香りの名前は、ココ・シャネルの本名、ガブリエル・ボヌール・シャネルからきている。極薄の美しいスクゥエアボトルに収まった金色の液体、それは一体どんな香りなのか?

半マットのゴールドメタルキャップを外してスプレーする。スプレーチューブは、昨今流行の極細タイプ。液体の中にあってもほとんど見えないという優れものの半面、ゆっくりスプレーボタンを押すと、液体が細い水流状に出てしまうので、押し方には注意が必要だ。

トップの香りは、酸味と苦みが印象的なグレープフルーツの風。その下からはかなげなジャスミンが柔らかく香ってくる。朝の光を感じさせるような、さっぱりした明るいオープニングだ。体温高めの自分の肌では、酸味と苦みはすぐに消えて、こんもりクリーミーなジャスミンと綿あめのような甘さが広がってくる。この甘さはブラックカラントのようだ。

やがて香りは、高音のシトラスから、このフレグランスの真骨頂であるホワイトフローラルブーケに移り変わってくる。このトップからミドルへの変化が、香りのグラデーションになっていてとても美しい。酸味と苦みから甘味へ。スッキリした爽やかさからふくよかな女性らしさへ。さながら少女から女性へと成長していく過程を表現しているかのよう。

ガブリエル・オードパルファムは、シャネルが大切にしてきた「花」を深く追求した作品だという。オリヴィエ・ポルジュはインタビューの中で、「ホワイトフローラルブーケが作りたかった。まばゆいルミナス、太陽のようなフレグランスを。」と語っている。選ばれた4つのキー素材は、チュニジアのオレンジフラワー、エジプトのジャスミン、コモロのイランイラン (シャネル独自の抽出)、そして、グラースで栽培されたチュベローズ。

ミドルで特に感じられるのは、この4つのうち、ジャスミンとチュベローズだ。ただ日によって異なる。これまでのシャネル作品のような濃厚さではないものの、イランイランぽい低いエキゾティックな香りがしてドキリとすることもある。これらの花々のエキスはおそらく本当にシャネルが自信をもっている特別な香料なのだろう。特にチュベローズ。チュベローズはもともと動物の尿のような強いサブファセットも持ち併せているけれど、ここで初めて使用されたというグラース産のチュベローズは、ベルベットのように艶やかでなめらかだ。

ラストは、ややソーピーなツンとしたホワイトムスクが出てきてフェイドアウト。シングルフローラルとも言われるが、付けてから3時間ほどするとかなりホワイトムスク系の渋みは感じられ、変化してくる。ちょっとメンズっぽく感じるラストだ。全体で3〜5時間で消えていく。

ガブリエルは、シャネルならではの贅沢な花のエキスを調合して作られたホワイト・フローラル・ブーケだ。オリヴィエはジャスミンを基調としつつ、そこに新しいチュベローズを配合することで、これまでの世界にはない新しい花の香りを創造しようとした。ただ、そこにガブリエル自身のドラマはなかったように思う。

3代目調香師であり、父でもあるジャック・ポルジュは、いつも丹念にココ・シャネルの言葉、作品、暮らし方をなぞり、そこからインスピレーションを得て香りを創作した。だが、オリヴィエは異なる。彼は言う。「次はホワイト・フローラル・ブーケが作りたかった。ガブリエルというのは創作インスピレーションの源ではない。後から自然におりてきた」と。

自分はそこが残念だった。香料はすばらしい。ただこの香りにはこれまでシャネルのどの作品にもあった「顔」と強さがない。それは、ガブリエルという女性からイメージした作品でなく、まず香りありきで作られたせいかも知れない。もしどこにでもありがちなフローラルと感じたなら、これはもうシャネルじゃない。

母が生きていたら…。孤児院の貧乏生活から這い出る日を待ちわびていたガブリエルは、きっとそう思ったことだろう。痛くて、辛くて、憎しみに囚われていたガブリエル。それが彼女自身の生きていく強さにつながっていったであろうことは想像に難くないけれど。

だから、何度も思ったはずだ。朝の光を受けて目覚めるとき、母が幼い頃の自分にかけたであろう太陽のようなまなざしと優しい声を。

さあ起きて、ガブリエル。私の可愛い子。

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tofuchikuwaさん
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プロフィール
  • 年齢・・・54歳
  • 肌質・・・普通肌
  • 髪質・・・普通
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  • 星座・・・蠍座
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自己紹介

香りの良いものが好きですが、柔軟剤のような人工的なのは苦手です。 特に好きなのは薔薇、そして針葉樹の香り。 my favorite parfumは… 続きをみる

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