- doggyhonzawaさん 認証済
-
- 55歳
- 乾燥肌
- クチコミ投稿426件
-
[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)・香水・フレグランス(その他)]
税込価格:-発売日:-
2021/9/4 02:06:22
「チョコレートの匂いがする香水」というカテゴリがある。そんなキーワードで検索すると、まず必ずと言っていいほど出てくるのが、モンタルのチョコレートグリーディー。こちらはミルクチョコウェハースみたいな香りとも言われるが、それ以上にガツンとビターなチョコレートの香りを感じたい場合は、フエギア1833のムスカラカカオがおすすめだ。
フエギア1833は、もともと南米パタゴニアの自然や歴史、文化へのリスペクトから生まれた香水ブランド。瞬く間に100種類を超える香水作品をリリースし、人気を博している。
中でもフェロモンと類似した分子構造をもつ「香りのない分子」を採用したというムスカラシリーズは、一人一人の肌本来の匂い分子を吸着することで揮発を促し、その人の肌の香りを引き立てるというアナウンスで注目されている。ほんのりウッディに香る人もいれば、柔らかなフローラル系の香りを醸し出す方もいるという。ちなみに自分の場合ムスカラはややくすんだウッディになる←昭和枯れすすき
そのムスカラに選りすぐりのカカオ香料をプラスした作品、それがムスカラカカオだ。かつては限定品であり、一部のフエギア沼な方がこぞって購入したレアな一品だったが、現在は通常ラインとして販売されている。人気があると見るやどんどん売り方を変えていくテンポの速さも、このブランドの特徴といっていいだろう。基本、攻めは強めだ。
2019年2月にリリースされた当時は、800sのカカオ豆からわずか1sしか採取できない貴重なカカオ香料を用いたこと、エクアドル産とメキシコ産のカカオにこだわってブレンドしたことなどで話題を呼んだ。
では、巷でビターチョコレートの香りと言われるムスカラカカオ、一体どんな香りなのか?
ムスカラカカオをプッシュする。ジュース色がロットを経るごとに濃くなっているように思うのは気のせいか。肌にのせるとその瞬間、ダークラムの冷たく芳醇な洋酒香が立ち上る。このへんショコアトルを思わせるイントロ。すぐさま、鼻にキュンとくるほどロースティーでドライなカカオの香りが立ち上がってくる。これは思いきり天然のカカオの香りだ。チョコレートというよりビターカカオ。ミルクのまろやかさも砂糖のカラメル香もない。ギリギリ苦い。発酵させ、丁寧にローストし続けたカカオ豆の黒く焦げた香り。
このカカオブレンドの香りには、幾つか特徴がある。まずは苦みの中にもフローラルなふくよかさが感じられる点だ。これは明治製菓の「産地別カカオで作ったチョコレートの風味」分析データによると、エクアドル産のカカオの特徴だ。また、高音部でコーヒーにも似た酸味と強い苦みが出ている。このあたりは、同ブランドの「チョコレート効果cacao 86%」のようなカカオ成分が高いチョコレートの香りに近いものがある。むろん本物のチョコやココアと比べると、ギリギリとビターで、大人向けなカカオ。これは本当にパワフルな苦みと渋みをもった黒いカカオの香水だ。
賦香率は高めで、付けてからゆうに7〜8時間は香りが続く。ムスカラシリーズは厳選した単一香料をムスカラと合わせるので、展開はシングルノートだ。したがって調香じたいはシンプル。だから次々に作品を出せるのだろう。調香技術よりも素材じたいのよさで勝負。フエギアの作品には全体的にそんな印象がある。
ただ
それにしても値段は高すぎないか?
このムスカラカカオ、100mlボトルを買うには68200円必要だ。なぜ50mlをやめたのだろう?むしろ10mlを出してほしいくらいなのに、と庶民はカカオ高配合のチョコをかじりながら思う。さすがに86%は苦い。ムスカラカカオの価格を思うと、つい心も苦みばしる。
口直しとばかりに少し甘いチョコレートも口に放り込んだ。お、エクアドル産のカカオ豆を使ってる明治の「ALMOND 香るカカオ」は酸味の感じがムスカラカカオに近いな。甘いし、アーモンドも香ばしい。対して「チョコレート効果72%」の方は、苦みは強いもののミルクの香りが少しあって、これはムスカラカカオにキロンボをのせた感じだな、などなど…。
いろいろなチョコレートの味と香りを比べながら、紀元前から人々の食を支えてきたカカオ豆に思いをはせる。「テオブロマ(神の食物)」と呼ばれ、珍重されてきたカカオ。その豊かな香りと味は、いつの時代も人々を魅了してきた。
気温が下がってくると、不意に思いっきりチョコレートの香りが恋しくなることがある。そんなときはカロリーを気にしながら我慢するよりも、ムスカラカカオを身体中にプッシュしてみるのも一興かもしれない。
黒くて 苦くて 心地いい。 神のカカオの香りに包まれて。
- 使用した商品
- 現品
- 購入品
- doggyhonzawaさん 認証済
-
- 55歳
- 乾燥肌
- クチコミ投稿426件
2021/8/28 12:06:14
「これ何の香りか知ってる?」
「ん?どれ?」
娘が左腕を出す。綿あめライクな甘さ。鼻に抜けていく清涼感。ホワイトフローラルだな。そこにパチュリの苦み。そこまではわかった。フェミニンだけどどこかマニッシュ。んー、わからん。どこかで嗅いだ系ではあるものの、全然わからん。
そこで推理した。
大学生の娘が香水をつけて喜んでいる。彼女の交友範囲、行動範囲を考えれば、2万も3万もするニッチ系ではないだろう。となるとおそらくデパコス。しかもカウンターに商品を出している比較的新しめの作品なはず。だとすれば…。
「わかった。ジバンシィのランテルディの新しいやつだろ?」
「ぶっぶー。正解はこれでした!」
そう言って水戸黄門の印籠のようにドヤ顔で俺の眼前に突きつけたのは、
「あー、サンローランのリブレかー。確かそれトップにラベンダー使ってたな。ゲランのモンゲランに対抗して。」
「さあ、それはわかんないけどラベンダーは入ってる。でもこれリブレの新しいやつ。最近出たオードトワレだよ。ほら。」
よく見ると確かにジュース色がオードパルファム(EDP)版と比べてピンク系統だ。おー、YSLもリブレのシリーズ展開はじめたか。
「このEDTはね、ミドルでホワイトティーの香り使ってるんだって。だからEDPとは香りが少し違うんだよ。」
ほうほう。言うようになったな。ついこの間まで500円のボディファンタジーつけて遊んでたJKだったのに。そんな感慨に浸ったのは約1秒、気が付くと娘から奪い、左腕にリブレの新作EDTをプッシュして鼻を近づけていた。同時に基本情報をスマホで洗い出す。自分がふだんあまり使わないタイプの香水だけに興味津々。
リブレEDT。2021年7月リリース。調香師はアン・フリポとカルロス・べナイム。香料イメージ構成は次のとおり。
トップ:ラベンダー タンジェリン ベルガモット
ミドル:オレンジブロッサム ジャスミンアブソリュ ホワイトティ
べース:ムスク ヴァニラ アンバーグリス
なるほど。確かに「ラベンダー&ヴァニラ」コンボのモンゲランに対抗した感はある。もう一度腕にプッシュして香りの変化を確認する。
トップ。つけた瞬間、フルーティーでみずみずしい香りが一瞬だけ流れる。これは洋ナシだ。クレジットにはないけれど、アン・フリポの大ヒット作、ランコムのラヴィエベル、ジバンシィのランテルディのトップで使われているお得意のスイートな開幕。
10秒後、水っぽいミカン香タンジェリンと清涼感のあるクールなアロマティックがスーッと鼻を刺激してくる。あー確かにこれラベンダーだと感じる瞬間。ラベンダー香料は多いが、ここで使用されているのはフレンチラベンダー系のフローラルタイプのよう。とがったところなく、スッキリ鼻の奥に抜けていく柔らかなラベンダーだ。このトップのラベンダーを用いたアコードがとてもいい。
つけて5分ほどするとラベンダーとシトラスは落ち着き、香りはミドルになる。ミドルはやや甘さの強いオレンジフラワーとほんのりジャスミンといった風合い。そこに下からグイグイとドライで透明感ある苦みが出てくる。これがホワイトティの香りだろう。ジュニパーベリーのようにも感じられるスッキリドライな香りが各香料の揮発を押し上げてくるイメージ。このティー&白い花のミドルがゆっくり続く。甘くフェミニン、それでもスッキリ乾いた香りが3〜4時間ほど続く。
ラストはわずかにクリーミーな香りを呈したホワイトムスクと、影となって寄り添うパチュリのスパイシーな苦みが感じられたままドライダウン。人によるが全体で5〜7時間ほど持続する。そうか。こういう香りが好きなんだ…。チラリと娘の横顔を見る。
リブレEDTの香りを漂わせながら、娘は鼻歌交じりでネイルを作り始めている。いつの間にかそんな歳になったんだなと今度は2秒ほど感慨に浸る。でもよかった。今度は娘からもどんどん香水を調達できそうだ。←お前は
考えてみれば
成人式も中止になった。友達ともなかなか会えない。そんな中、家で香水を楽しみ、ド派手なネイルを作って遊んでいる娘。そんな姿を見ていたら、何となく顔がほころんだ。
そうだ。人生はできる範囲で楽しむべきだ。リブレ。自由に。リブレのボトルに施された横向きのYSLが、まるで金色の水引のように見えて、全ての女性の未来を祝福しているかのように思えた。
なかなかいいセレクトじゃないか。そう声をかけようとしたとき、娘がネイルをしながら言った。
「JO1っていう若いイケメングループがあってね、リブレの宣伝してるんだよ!」
は?
それか!!!!
- 使用した商品
- 現品
- 購入品
2021/6/26 21:49:46
なぜ今まで試さなかったのか?それだけが謎です。ローズの香りが苦手で、どのブランドも甘過ぎて駄目!合成っぽいし、香りが強すぎ!
でも、ローズはいろいろな効果があるしと彷徨っていたらクレドにあるー!
高過ぎてびっくりですけど、いい香り。ほんのりと纏っている感じ。気分が悪くなりません。
つけ過ぎはダメですが、手首につけても大丈夫です。リラックス出来るローズ。おすすめです。
ただ気になるのが、香水は未開封で3年大丈夫と言われているけど、高価な香水はそうそう売れないよね?カウンターで眠っている古いのを買っていたら嫌だなぁと心配になります。
わたしだけかな 笑
新発売なら安心できますが、数年前からあるものだと新しいのかわからないしちょっと不安。
凄く売れてる店舗で買うのが一番か!
- 使用した商品
- 現品
- 購入品
- doggyhonzawaさん 認証済
-
- 55歳
- 乾燥肌
- クチコミ投稿426件
2021/4/3 13:58:56
最初はそんなに好きじゃなかった。いつの間にか一緒に過ごすようになった。気がついたら、自分にとって大事な友達みたいになっていた。そんな香水がある。フエギア1833のタイースだ。
「ん?セロリの匂い?」
タイースを初めて肌にのせたとき、トップのグリーンを嗅いで「これはないな」と瞬時に思った。それは、以前自分が酷評したラルチザンのゾンカのトップ、薬草っぽいセロリ香に似ていたからだ。
「セロリの匂いを身体につけたいとは思わない。」以前そう書いた記憶がある。野菜のセロリは嫌いじゃない。ただ当時は香水に別のファクターを求めていたんだろう。知性とか華やかさとかロマンティックとか。ところが、オリエンタルやフローラル、シトラスをさんざん追い求めていると、不意に青臭いグリーンノートが恋しくなることが多くなった。
「んー、何か鼻にキュンとくるような強烈なグリーン香がほしい」
そんなとき、考えるより先にタイースを手に取るようになっていった。そしてつけるたびに「おー、やっぱりセロリの匂いがするわ」と安心するのだ。つけたいのか、確認したいのか。自分がどちらなのかは今もわからないけれど。(←変な人)
タイースの名誉のために言っておくと、このグリーンなトップはセロリノートというわけではない。フエギア1833が公開している次のキーノートは次のとおりだ。
ファミリー:フローラル
1:マテの花 2:オスマンサス 3:グリーンティー
フエギア独特の香り展開イメージは、3がトップ、2がミドル、1が最も長く香るハイノートになるので、自分がセロリライクと感じているトップはグリーンティーのようだ。分かると納得がいく。おそらく南米で愛飲されているグリーンマテ茶の清々しい苦味を効かせたトップなのだろう。
そんな香味爽やかなグリーンノートが2分ほどするとフルーティー&クリーミーな花の香りに変わっていく。この変化が劇的で、とても面白い。ここからのフルーティーフローラルへの変化に、他にはないフエギア独特の美しい花の香りを感じる。
このミドルのフローラルは、オスマンサスと表記があるものの、やや塩みがある白い南国フローラル系の香りにも感じられる。それは、ガーデニアやティアレ、フランジパニを思わせるエキゾティックな雰囲気だ。そこにトップのマテ葉のグリーンな残香が混じることで、こんもりと葉を茂らせた高い樹木の様子や咲き乱れた花々を思わせるアコードに仕上がっているように思う。清涼感ある芳香を放つ森の木々、そこから水蒸気と共に蒸散されてゆく新鮮な空気が、もくもくと空へ立ちのぼっていくイメージ。タイースのミドルはそんな広大な森の息づかいを感じさせる。
塩みの効いたセロリの匂いを伴ったエキゾティックな白い花。ミドル〜ラストにかけては、このアコードが続いて収束する。手首につけて香りを個人で楽しんでる分にはよいが、食事時などは香りの強さが邪魔してしまうので、付ける場所は肌が露出していない部分がいい。
いつもながら感心するのは、香り立ちが強く8〜10時間ほども長く続くという点だ。フエギアの香りは濃くて強いところが好きだ。香料は数が少なめでシンプルレシピ傾向、香料じたいの香りがストレートに感じられる作品が多いと思う。その特徴をどう思うかは人によって違うだろう。パルファムが30mlで17600円。最近はオンラインショップでサンプルを販売しているのでそちらを試してみるのもいい。
かつてセロリや薬草湯系のトップを遠ざけた自分が、今は割とこの作品のグリーン香を欲しているから不思議なものだ。
してみると人と同じ。最初は優しそうに思えた人が、実は冷たく厳しい人だったとショックを受けることもあるけれど、最初に「なんだこいつ」と思った人が、意外に優しくてとても好印象になったということもある。タイースは誰にでも好かれる香りではないだろう。けれど、荒々しくも新鮮な空気をためこんだ森のように、そこにいるだけで心がニュートラルになれる。そんな自然の懐の大きさを感じさせる作品だ。
タイースとは、アルゼンチンの都市ブエノスアイレス市内の多くの公園や遊歩道等をデザインした著名な造園家カルロス・タイスへのリスペクトから付けられた名前だ。彼が作った広大な自然公園や植物園は、今も都市に暮らす人々の憩いの場として、また大気汚染が深刻な同市の大気を浄化する「肺」として、市民に愛されているという。
街の喧噪に疲れたとき、広大な森林公園でひと息つきたくなることがある。そんな気分で「何かつけたいな」と思ったとき、手にとることが多いグリーンな香りがある。その1つがタイースだ。そしてつけてまた安心するのだ。
だよな。やっぱりセロリっぽい香りがするよ。
- 使用した商品
- 現品
- 購入品