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FUEGUIA1833 / キロンボ

FUEGUIA1833

キロンボ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2020/6/20 10:01:59

フエギア1833のキロンボは、とてもヘヴィーな名前の香水だ。その名の表すもの。「逃亡奴隷社会」。

かつて植民地時代のブラジルで、何百万人もの黒人たちがアフリカから連れてこられ、サトウキビプランテーションで過酷な労働を強いられた。彼らの多くは20歳になるまでに亡くなったという。そこで彼らは脱走し、北東部のジャングルに逃げ込み、先住民ナティーボらと共に密林の奥でひっそりと生きる道を選んだ。その集落や社会を総称してキロンボという。

とても重たい名前だ。もし香水ボトルに日本語で「逃亡奴隷社会」と書いてあったら、少なくとも二の足を踏む人はいるだろう。「ねえ?いい香りね。それ何の香水?」「えとね、フエギアの『逃亡奴隷社会』だよ!」「そ、そうなんだー。なんかすごいね…(汗)。」という会話が交わされるとしたら、いかがなものか。←ま、それはそれで

ともあれキロンボ。初めてその名の由来を知ったときは若干気持ち的に落ちたが、店舗で実際に香りを嗅いだときはとても驚いた。なんというミルキーで優しい甘さの香り。それもそのはず。キロンボは、ブラジルの密林の奥、逃亡奴隷たちが生き延びるために作っていた液体ミルクキャラメルの香りだ。←大事

キロンボをプッシュする。その瞬間、腰がとろけそうになるような甘くてミルキーな香りがふんわりと広がる。よく女性がつけて「おいしそう!」とつぶやいているが、さもありなん。本当にミルクとバターとそしてスッキリした甘さが渾然一体となって広がってくる。バターにはほんのり塩味が効いていてそれすら鼻で感じ取れるのがすごい。本当に「これ、単に食品の香り付け香料では?」と感じるほどの超グルマン。

ミルクと塩バターと甘い砂糖の香り。以上。←終わるのか

展開は特にない。フエギアの香水にはよくある、付けた香りがずっと持続し続けるタイプの香り方をする。人工香料強めだろう。いつまでも同じ香りがずっと持続する感じだ。ただ本当に唾液が出そうなくらい甘くてミルキー。これは不二家さんが「ミルキー」という名でリリースした方がいいくらいの練乳っぽい香り。実際に不二家さんが出してるミルキーボディミストより「不二家ミルキー」な香り。←本家越え?

持続時間は8〜10時間ほど。長い。特に紙やファブリックにつけると、1日過ぎても柔らかく香りが残っているほど。このへんは本当にフエギアらしい濃厚さ。フエギアの香水は全体的に香料の数は少なめでシンプルな香りを濃度高めで展開する、といった感が強い。一般にグルマン系は気温や湿度が高いと重たくて敬遠しがちだけれど、なぜかこの香りは暑い季節でも苦にならない。それは、ほんのひとさじのフルーティーな酸味があって、実にスッキリとした甘いクリーミーさを呈しているからだろう。それがアマゾンフルーツの1つ、クプアスだ。

クプアスはカカオの仲間で、茶色い実の中に白い果肉を有する南米特産のフルーツだ。果肉はパッションフルーツやヨーグルト様の強い酸味をもつ。また、種子には多量の油脂を含み、クプアスバターとしてチョコレートの原料やコスメの素材にも使われる。このクプアスの果実の酸味、バターのコクが、このキロンボを単に甘いミルク香にせず、豊かな風味を添えているように思う。わずかなパッションフルーツ様の香りがくどい甘さになるのを抑えている印象。

ブラジルや南米では、昔からドゥルセ・デ・レチェという液体キャラメルが作られ、愛飲されている。高脂肪のミルクに砂糖をたっぷり入れて、じっくりアメ色になるまで煮詰める。その液体キャラメルには必ずカカオやチョコレート、アーモンド、ドライフルーツを入れるという。そこまで知ると、ああ、この香りにはラテンアメリカの歴史が語られているんだなと実感する。

暗いジャングルの奥に思いを馳せる。先住民との邂逅をはたした逃亡奴隷の黒人たちは、彼らの自給自足の生活様式を学びながら、同時に自分たちの身体に沁み込んでいるアフリカ文化をミックスして継承し続けた。彼らはヤギの乳に自分たちが作っていた砂糖を加えて煮詰め、そこにクプアスの果実やバターを加えて濃厚な液体キャラメルを作り、飢えをしのいできたのだろう。白人社会の攻撃に備えつつ、何百年も文明社会と隔絶して。

その戦いの旗こそキロンボなのだ。その名の重たさを知ったとき、ジュリアン・べデルがこの甘くミルキーな香りに寄せた思いの深さを慮る。そしてそれが悲劇の名称ではないことに気付く。人種差別と闘い続けた彼らの歴史。そして何よりも、生きるために日々の食料を得る戦いを続けた彼らの強さをこの名は表しているのだろう。

どんなことがあっても生きる強さ。今日の命をつなぎ、明日への希望をもたらす香り。キロンボ。

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ディオール / メゾン クリスチャン ディオール サクラ

ディオールディオールからのお知らせがあります

メゾン クリスチャン ディオール サクラ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:40ml・14,850円 / 125ml・31,680円 / 250ml・45,100円発売日:-

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4購入品

2020/3/28 21:43:17

花冷えの夜だった。「一緒に夜桜が見たい」とサクラが言ったので、彼女の誘いにしぶしぶ応じて、深夜の公園に繰り出していた。それでも、にわかに冷え込んだ夜気にあてられ、ぼくは来たことを後悔し始めていた。

そんな気持ちなどおかまいなしに、サクラは満開の桜を見上げながら、軽く鼻歌を口ずさんでいる。淡い光を放つ提灯が深夜の道行きをぼんやり照らし出している。「なあ、寒いからそろそろ…」そう言いかけたときだ。

「ね、ここにある桜って何本くらいあると思う?」彼女が見上げたまま言った。
「え…?そんな分からないよ。数百本ってとこかな?」

彼女の突然の問いの真意を探ろうと横顔をちらりと見る。サクラは夜桜を見上げて微笑んだまま、誰にともなく虚空につぶやいた。

「ううん。ここにある桜はね、1本しかないんだよ。この桜、全部ソメイヨシノでしょ?これ全部たった1本の木から増やしたクローンなんだよ。」
「クローン…?」
「そう。接ぎ木でね、人が増やして。だからみんな同じ木なんだよ。それで一斉に咲いちゃうわけ。」

驚いて空を見上げた。漆黒の夜空を埋め尽くすように、白く艶めかしい花が咲き乱れていた。不意に桜の花に襲われるような感じがして足をとめた。どこか苦味のある鋭い花の香りがした気がして、立ちくらみしそうになった。

「どうしたの?」
「あ、いや…なんか桜の花の香りがすごいなあと思って」
「桜の香り?…それあたしがつけてる香水じゃない?これ。」

そう言って彼女は左手首をぼくの顔の前に差し出した。ふんわりと柔らかくて、スッキリした苦味の混じった白い花の香りがした。

「あ、そ、そうかも。」
「これ、ディオールのサクラっていう香りだよ。いい香りでしょ?」
「あ、うん。そうだね。」
「でも気付いてなかったよね。いつも。」
「え?」

彼女は後ろ手にバッグを抱えたまま、ゆっくりとぼくの前を歩き出した。そして言った。

「ずっと…気付いてないよね。あたしが髪を切っても、どんな可愛い服を選んで着ても。で、もっと関心をもってほしくて香水をつけてても。あたし、いつもこの香水つけてたんだよ。この2年間。」

急に呼吸が浅くなった気がした。どこかにとんでもない忘れ物をしてきたような気がして。

「2018年発売。調香師はディオール専属のフランソワ・ドゥマシー。彼が日本の桜を見て、小さな白い花が何千もの木に咲き乱れている息を飲むような光景に圧倒されて作った香り。」

突然の独り言に二の句がつげないぼくの気配を確認して、彼女はさらに続けた。

「トップはグリーンノート。若葉の頃。ハートノートは日本の桜の香りをメインにジャスミンとローズ、それにきらめきを与えるヘディオン。花盛りのイメージ。そしてラストは…」

息苦しくなっていた。なぜ今そんな香水の説明なんて…、それよりさっき彼女の手首の香りをかいだときに、ブレスレットの隙間からのぞいていた真新しい傷…、あれは、まさかサクラ…。

「ラストは黄色いミモザ、紫のスミレ、そして石鹸のように消えてゆくホワイトムスクのアコード。それは春の訪れ。」
「サクラ、いったいどうしてそんな…?」
「急に香水の説明なんかするのかって?」
「いや、それもだけど、さっきの…」

手首の傷、それはためらい傷じゃないのか?その一言が言えない。言葉がのどの奥でつかえて胸がつまった。

「だって、知らないでしょ?あたしのこと。香水とかすごく好きなことだって」
「…え?そうだったんだ。ごめん、ぼくは…」
「ねえ、あなたは、いつも誰のことを思ってるの?」
「…えっ?」
「知ってる。あなたの中に、誰か忘れられない人、いるよね。あなたはずっとその人のこと見てる。あたしといても。こうして桜を見てても。」

不意にざあっと一陣の風が吹いた。漆黒の夜空に花吹雪が舞った。前を歩いていた彼女が振り返り、寂しそうに微笑んだ。

「あたしはその女(ひと)のクローンじゃないよ」

そのとき、ぼくははっきりと見た。幾千もの桜の花びらが雪のように降り注ぎ、その花弁の山にうずもれてゆくサクラの幻影を。それは一瞬の幻視なのに、どこまでも残酷に美しく、心に突き刺さった。

ふと我に返ると、もうそこに彼女の姿はなかった。ただ、どこまでも清らかで儚いうす桃色の香りがしていた。それは、スモモのように爽やかで、杏仁のように白く苦く、ふんわりとした淡いジャスミンのような香りだった。いつも隣で笑ってくれていた彼女のように優しく、それでいてどこかしらスミレのように影があり、どこまでもまっすぐ清楚な香りだった。

それはディオールのサクラの香りだった。

サクラの 匂いだった。

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メゾン フランシス クルジャン / アクア ユニヴェルサリス オードトワレ

メゾン フランシス クルジャン

アクア ユニヴェルサリス オードトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:35ml・19,030円 / 70ml・30,800円 / 200ml・60,500円発売日:-

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4購入品

2017/4/1 23:56:34

アクア・ユニヴェルサリス。ラテン語だ。英訳すれば、ユニヴァーサル・ウォーター。ユニヴァーサルは意味が広い。「普遍的な水」または「万能の水」、あるいは「世界共通の水」といったところか。もしかしたら「宇宙的な水」かも知れない(笑)。いずれにせよ、作者の自信が感じられる壮大なネーミングだ。

この香りをプロデュースしたフランシス・クルジャンは、かつてクエストや高砂フランスで活躍していた調香師で、2009年に彼自身の名を冠して、フランスでパヒュームメゾンを立ち上げた。それ以後、香水界のスターとか天才調香師の名を欲しいままにし、実際、幾多の名誉ある賞を受賞している今話題の人物。メゾン創設とともに発表され、今ではブランドアイコンとして認識されている香りが、このアクア・ユニヴェルサリス・オードトワレだ。

そんなアクア・ユニヴェルサリスは、シトラスとスズランの香気、ソーピーなムスクが不思議なバランスで香る、しっとりみずみずしいフレグランスだ。

アクア・ユニヴェルサリスをスプレーすると、まず感じられるのは、さっぱりとしたレモン様のシトラス香。だが、3秒もせずにその周りを甘くクリーミーな雰囲気の香りが包みこむ。まるで、シトラスの爽やかさやとがった部分を丸めるかのように。それはオレンジフラワーのこんもり感かも知れない。アクアティックではあるが、瓜系の青臭い感じはない。これは地味に重要なポイントだ。

やがて5分もすると、ミドルの香りが安定してくる。人工的ながら可憐な雰囲気のスズランの香り。そして、その下からせりあがってくるソーピーなムスク。この2つの香気が複雑に混じり合い、フローラルでもなく、ムスキーでもないバランスでハーモニーを奏で始める。このミドルを気にいるかどうかが大きな分かれ目だろう。このミックス香は、穏やかながら3〜4時間ほど肌の上で香り続け、大きな変化もないまま消えていく。

全体的にみると、最初から最後まで、シトラスもスズランもムスクも、それぞれの特徴が突出しないように、互いに角をとりあってまろやかにミックスされている。そんな印象。この手の香りは、明確な顔がないぶん、人に嫌われにくく、香り初心者の方にも「何だろう、いい香り」と受け止められやすいタイプだ。それは、特にビジネスライクなシーンで、イメージアップを図れるアイテムとして重宝するかもしれない。

だが。

いくつか気になる点はある。一つは香りじたいのことだ。この半年つけていて、ミドルでシトラス系キッチン洗剤の匂いというか、ビニルっぽいような特有の苦みが強く出て、気になることがよくあった。大体、気温の低い場合がそうだったので、試しに風呂上がりの上気した肌につけると、苦みが少なく、まろやかでふんわりとした心地よい香り立ちになることが分かった。だから、この香りを使うなら、気温や体温が上がってくる初夏〜夏がおすすめだ。一年中使いたい人は、特に入浴後に使うと苦みの少ないよい香り立ちが楽しめると思う。

二つ目は値段だ。正直、繊細でセンスある調香とは思うけれど、この手の淡いウォータリーな香りは、概して人工香料が多く使われているものだ。それは決して悪いことではないが、値段が70mlで3万円を超えるとなると話は別だ。これくらいの香料構成なら、5千円もあれば似た物がいくらでも手に入るだろう。ドバイやアラブの富豪ならポンポン買っていくかもしれないが、あいにくこの国には石油もターバンもない代わり、徹底したシビアさだけはある。良い香りなら、毎日でもつけたいのだから、安く買えるにこしたことはない。新時代のニッチメゾンは、そのへんも命題としてとらえてほしいと思う。

そんな庶民の願いなど露も知らぬクルジャンは、この香りについてこうコメントしている。

「シャワーを浴びた後、きれいな素肌に新しいシャツを着る。洗いたての清潔な肌と、アイロンのかかったパリッとしたシャツ。肌とシャツの間にある空間。そこにも小さな一つの宇宙があるんだ。そこに漂う香りはどのような香りが一番ふさわしい?」

うーむ、これって一番ありえないと思っていた「宇宙の水」だったとか?それにしても、洗いたての素肌と清潔なシャツ、その間に置きたい香りって…。その謎かけの答えは一体何だ…?

そうか、シャボン玉だ。お風呂上がりの肌と清潔なシャツの共通項は、石鹸や洗剤のシャボンの香り。そして、宇宙にきらめくのはたくさんの星々だ。さながら、七色の宝石のようなシャボン玉を幾つも幾つも散りばめたような……。

それで合点がいく。フランスのクルジャンの店には、幼な子が遊ぶためのシャボン玉が置いてあるそうだ。

アクア・ユニヴェルサリス、それは夢いっぱいふくらませた虹色シャボンの宇宙の香り。

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ちか▽・x・▽さん
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SHALDAN(シャルダン) / SHALDAN BOTANICAL

SHALDAN(シャルダン)

SHALDAN BOTANICAL

[その他]

税込価格:オープン価格発売日:2018/3/8

7購入品

2019/1/13 20:59:37

ラベンダー好きには堪らない香りです!安っぽい香りじゃなく、毎回深呼吸してしまいます。

リピします!!

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ぱどるさん
ぱどるさん
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SHALDAN(シャルダン) / SHALDAN BOTANICAL

SHALDAN(シャルダン)

SHALDAN BOTANICAL

[その他]

税込価格:オープン価格発売日:2018/3/8

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2019/3/4 17:54:12

ラベンダーと聞くと、安眠効果があるアロマという印象がありベッドの頭の所に置いています。
ラベンダー単体の香りはそこまで好きではないのですが、こちらはうまく調合されている感じでお気に入りの香りです。3回以上はリピートしています。
優しい香りで、ボトルもシンプルで良いと思います。

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  • 髪量・・・普通
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自己紹介

香りの良いものが好きですが、柔軟剤のような人工的なのは苦手です。 特に好きなのは薔薇、そして針葉樹の香り。 my favorite parfumは… 続きをみる

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