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レ ゼクスクルジフ ドゥ シャネル シャネル N°22 オードゥ パルファム(ヴァポリザター)
容量・税込価格:75ml・27,500円 / 75ml・33,000円 / 200ml・50,600円 / 200ml・57,200円発売日:2016/10/14
2024/4/13 13:11:23
シャネルのNo.5と言えば今も昔もフローラルアルデヒドの金字塔、これからもきっとそうあり続けるのだろう。そんなNo.5と血を分けた兄弟(姉妹?)とも言えるのがこのNo.22。ココ・シャネルがエルネスト・ボーに最初の香水を依頼した際の最終サンプル群の中にNo.22もあったらしい。結局シャネルのファーストフレグランスとして選ばれたのは5番(1921年発売)で、22番は翌年の1922年に発売された。現行品はそれ復刻させたもの。
トップでわかりやすく香り香り立つのがアルデヒド。よく「No.5はアルデヒドがオーバードーズされている」と評されるが、22番の方がよりいっそう過剰に入っているように感じる。アルデヒドのリフト感に誘われて、ネロリやミュゲのライトフローラルが立ってくる。キラキラと眩しいくらいに輝くトップノート。
ミドルのメインに据えられたのはチュベローズとジャスミン。5番はリッチなアイリスととろけるようなローズドメの甘さが特徴的だが、22番はイランイランの甘重い低音のフローラルを添えたホワイトフローラルの側面がより強調されている。
乾いたベチバーとバニラをうっすら感じるようになればドライダウン。ミドルからそう大きく香りは変わらずにしっとりと肌に馴染んでいく。この感覚はNo.5譲りだな。持続は5、6時間程度。凛として落ち着いた香り立ち、クラシカルな雰囲気はいかにも古き良き香水を思わせる。
No.5と比較すると、よりオーバードーズされたアルデヒド以外はプレーンな香りの構成で、No.5のクールな妹分、っといったところか。ただ、5番の妹としてはNo.5ローという、シンプルで嗜好性の高いフランカーが存在するため、No.22は影に隠れてしまっている感は否めない。もうすっかりお役御免になってしまったのだろうか。
それでも22番には変わらない魅力があると思う。その役目を他のフレグランスに譲っても、その凛とした香りの輝きは色褪せない。
トップ:アルデヒド、スズラン、ネロリ
ミドル:イランイラン、チュベローズ、ジャスミン、ローズ
ベース:バニラ、ベチバー
(fragranticaより)
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レ ゼクスクルジフ オードゥ コローニュ オードゥ トワレット(ヴァポリザター)
容量・税込価格:200ml・48,400円発売日:2009/6/1
2024/2/19 11:53:12
私はあんまり柑橘系香水を持っていない。香水好きになってくるとライトな香りより複雑で濃い香りを好むようになってくるせい、という理由もあるが、最高のシトラスコロンをもう知ってしまっているから新しく探す必要がない、というのが大きい。
それがこのオードゥコローニュ、シャネルの最高峰フレグランスシリーズ、レゼクスクルジフドゥシャネルの内のひとつ。2007年発表で、日本だと200mlワンサイズ、2016年にレゼクスクルジフEDTがEDPにリニューアルされた際にもこれだけはEDTで続投した。調香師はシャネルの3代目専属のジャック・ポルジュ。価格は税込38,500円。
シャネルのオードゥコローニュは簡単に言うと「古典的なオーデコロン(ケルンの水)をシャネルが用意する素材でシャネル流に解釈して調香するとこうなる」というもの。前置きはこれくらいにして香りを紐解いていくと…
トップはすっと目が冴えるようなグリーンとシトラスに、ほんの少しだけ花椒のようなニュアンス。一点の雑味もなくクリアで透明感が際立っている。ここまで雑味がないとかえって不自然になりがちだが、この極上のオーデコロンは別。どこまでも心地いい柑橘と青葉の香りがまさに至福。このトップノートのためだけに買ってもいいくらいだ。
至福のトップノートは5分ほどで、ネロリにバトンタッチ。これまた驚くほどクリアで、雑味がないのに合成感は全くない(クリアすぎるホワイトフラワーの香りはブドウ味のバブルガムになりやすいのだ)。わずかに感じるプチグレンの乾いたウッディがよりナチュラル感を演出している。
ほの甘いトンカビーンが加えられたムスクが、ミドルまでの明るいシトラスフローラルを曇らせることなくドライダウンしていく。最初から最後まで、どこまでもフレッシュで嫌味がない。持続は3時間ほど。
ハーブやラベンダー(古典的なものになるとオークモスも)の要素を極力排除し、徹底的にシンプルに作られたシャネル流ケルンの水は、飾らないエレガンス、まさにシンプルイズベストの極致。シャネルにもコロン風のライトフレグランスであるレゾードゥシャネルがあるが、オードゥコローニュはそれらより一枚も二枚も上手。特に流行りの香調ではないが、そういったものを超越した価値がある。ハイブランドだから高いだけ、では決してない。
付け方としては、朝シャワーを浴びた後や風呂上がりの就寝前、リセットされた身体に付けるのがオススメだ。澄みわたるシトラスフローラルのシャワーが心身ともにリセットしてくれる。究極のオーデコロン、それがシャネルのオードゥコローニュ。
トップ:レモン、ベルガモット、シトラス、グリーンノート
ミドル:ネロリ、プチグレン、スパイシーノート
ベース:ムスク、トンカビーン
調香師は、ジャック・ポルジュ。
(fragranticaより)
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2023/11/15 11:30:11
11/3にパッケージが一新された「ド ジバンシイ」シリーズの最新作、テメレール(向こうみずな、という意味)。華やかなチュベローズとインクアコードのコントラストが売りだ。価格は33,500円+税で、このシリーズが始まった当初と比べると随分値上がりしてしまった。値上げしただけでなく、ラベル部分がシールからプレートにリニューアルされ、さらにキャップがマグネット式ではなくなっている。
トップはカルダモンの爽やかな苦味、そして主役のチュベローズの甘く酔わせるようなホワイトフラワー香。チュベローズやジャスミンといったホワイトフローラルは、あまりいい香料を使用していない場合、まるでグレープ味のバブルガムのようにベタベタした甘さが続くばかりでちっとも花っぽくないが(意地悪く言えば今のランテルディのような香り)、このテメレールのチュベローズは生花らしさもわりと感じられる。しっかりアブソリュートも使われているのだろう。アイリスの粉感もいい仕事をしている。
次第にチュベローズの白さにインクアコードの黒が加わってくる。インクアコードってなんぞや?、と注意深く探っていくと、パチュリ、ベチバー、レザー、ケードオイルあたりが正体だと思う。いちばんインクっぽいツンとしたニュアンスを演出しているのはコールタールのような香りを持つケードオイルだろう。
このインクアコードがホワイトフローラルの白さを力強く漆黒に染めあげていく…と思いきやけっこう控えめでおとなしい。白にほんの少し黒が加わり淡いグレーになってドライダウン。持続は6、7時間程度。
チュベローズの白とインクアコードの黒の対比が売りだが、そこまでガッツリコントラストが効いているわけではない。多分、別売りのアコールパルティキュリエ買ってレイヤリングしてくれ、ってことなんだろうけど。単なるチュベローズ香水としては及第点だと思う。
このシリーズにはもうひとつチュベローズが主役の香水(デザンヴォルト)があるが、それらのチュベローズ香と今のランテルディを比べると、本当に差を付けられているんだなとしみじみしてしまう。
コントラストをつけるのはそこじゃない。
トップ:グアテマラ産カルダモン、インドネシア産クローヴリーフ
ミドル:インド産チュベローズアブソリュート、モロッコ産アイリスコンクリート
ベース:アトラスシダー、シャム産ベンゾイン、ジャワ産ベチバー、スペイン産ケードジュニパーウッド、woodleather
調香師は、ニコラ・ボンヌヴィル。
(parfumoより)
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2023/10/11 21:08:11
今年の9/1に発売されたばかりのタバコハニー。16,000円の限定のアーティスト(パリ在住のアン・フェート・ゲス、彼女の作品はinstagramで見ることができる)コラボプレートをひっさげ堂々たる面持ちでラールエラマティエールのラインナップに加わった。調香師は原料調達と維持に奔走中の五代目ティエリー・ワッサーにかわりゲランNo.2のデルフィーヌ・ジェルクが担当している。
まず言えることはとにかく甘い。トップからドライダウンまで甘くないときがないくらいあんまい。トップから全開のハニーの甘さが押し寄せてくる。この香水に使われているハニーはベルガモットの花の蜂蜜とのこと。もちろんゲラン専用の蜜蜂が集めてくるものだ。こってりした甘さはくらくらと陶酔的で思わずその香りに溺れたくなる。
ミドルも甘いのだが、チラチラとタバコのアロマティックな香りも見え隠れしてくる。ドライで、少しウッディでビターなタバコアコードをパウダリーなトンカビーンとバニラの白い甘さが包んでいく。ハニーとタバコの比率は7:3くらいであろうか。拡散する感じも強い。
ドライダウンではウードとサンダルウッドが加わることでタバコの香りはよりビターでウッディに変化する。色で喩えるなら黒だ。まだまだ続く表層のハニーの甘さとは対照的、タバコアコードが黒ならハニーは金色だ。黒と金の二層構造のままドライダウンしていく。持続は8時間以上、朝から晩まで香り続けていると言ってもいい。
濃厚なハニーの甘さとビターなタバコアコードの組み合わせはこれからの季節によく映える香りではあると思う。
ただ、ひとつ言えるのは「こういう香りって、もういろんなブランドでずっと前からやってるよね?」ということ。これと似たような系統で有名ブランドに限っても、ペンハリガンのローイングラドクリフ(廃番)、トムフォードのタバコバニラ、キリアンのバックトゥブラック等々。ニッチも含めたらまだまだある。
香り自体の出来が悪いとは思わないし、素材もよいものを使っているのだろうが、わざわざゲランで今さら出すような香りか?と、出遅れ感は否めない。中東シリーズもそうだが(いち早く導入→売れずに日本撤退→他ブランドが中東向けを日本でも出し始める→ゲランもようやく日本での取り扱い再開、プロモーションをしていないせいで旗艦店の常連客しかそのことを知らない)、ゲランはいちいちタイミングが悪いのだ。
そういうところが、天下のLVMHグループの傘下でありながらイマイチ垢抜けない理由なのだと思う。
トップ:ハニー、クローヴ、アニス
ミドル:タバコ、トンカ、バニラ、セサミ
ベース:アガーウッド(ウード)、サンダルウッド
調香師は、デルフィーヌ・ジェルク。
(fragranticaより)
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2023/10/5 15:23:07
"来年もまたミレジム◯◯なのだろうか。
個人的にはミレジムアイリスなら嬉しいな。"
昨年、私がシャリマーミレジムトンカのレビューを締めくくった言葉。
その思いが通じたのか(元からそういう予定だったんだろうけど)、今年の限定シャリマーはアイリスをテーマにした「シャリマー ミレジムイリス」だ。ボトルのラベルは一昨年のヴァニラはゴールド、去年のトンカはブラックだったが、ミレジムイリスはアイリスの花をイメージしたネイビーになっている。
トップはなんだか乳酸菌飲料のような酸味、ちょっとランスタンドゲランのような印象だ。すぐにアイリスのシルキーでパウダリーなヴェールもやってくる。ゲルリナーデのひとつであるアイリスは使用できるようになるまで6年もかかる貴重な香料だ。パサパサと白粉のような粉っぽさはなく、肌にしっとりと馴染んで包み込むような香りはさすがゲランのアイリスだ。
そんなアイリスのパウダリーな香りの下に、シャリマーらしいジリジリとしたアンバーやスモーキーレザーの存在が感じられる。でも、だいぶそのシャリマーらしさは薄い。チラチラと見え隠れする程度だ。
ドライダウンではゲランお得意のお手製バニラチンキの豊かな香りに、マルトールのキャンディっぽい甘さ、アイリスのパウダリーさはホワイトムスクのパウダリーさにバトンタッチしていく。持続は全体的に甘いことも相まって7、8時間程度。
ミレジムシリーズ三作目のミレジムアイリスは、他二つと比べるといわゆるシャリマーらしい要素がカットされていて、アイリスをテーマにシャリマーの甘さにフォーカスしたフレグランスと言える。万人ウケ系とも言えるか。
香りとしては惜しみなくよい素材を用いて価格も高過ぎず(昨年のミレジムトンカより値上げしているのはご愛嬌)、限定品というお祭り感もあって香りが気に入ったならきっと満足できる。
しかし、シャリマーの派生作品としてはギリギリ及第点のレベルだと思う。以前あったスフルやパルファンイニシアルと比べればしっかりシャリマーしているが、シャリマーの系譜からはかなり外れかかったところに位置している。片足はつっこんでいる程度(でもライトユーザーにとってはミレジムイリスでも「香水臭い」と感じると思う)。私は「フランカーは元の作品から大きく外れない方がいい」と思っているため昨年のミレジムトンカより個人的には評価が低い。
ヴァニラ、トンカ、イリスとやったのだから、ゲルリナーデの残りのベルガモット、ローズ、ジャスミンもするのだろう。最近早摘みのベルガモットに凝ってるみたいだから、来年はミレジムベルガモットかな?知らんけど。少なくともあと三年はネタ切れにならなそうだ。
ちなみに、ゲランのアイリスフレグランスの至高はルールブルーとアイリスガナッシュ(異論は認める)。
トップ:ベルガモット
ミドル:イタリア産オリスルート
ベース:キャラメル、マダガスカル産バニラ、バニリン、ムスク
調香師は、デルフィーヌ・ジェルク。
(fragranticaより)
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