2020/3/25 04:46:04
平等院に咲く藤の香りをイメージした香水。
「やさしさ、歓迎という藤の花ことば。長く地に流れる藤の房は、酔うような夢幻の香り。出会いは優美な気持ちへと誘います。雅と落ち着き・洗練を表現した香り」
とのこと。発売発表当時(2018年11月)の京都新聞記事を一部引用しますと、
「鳳凰堂北側の庭園には、樹齢約300年のノダフジ4株が植わる。平等院にゆかりが深く、家紋がフジの藤原氏にちなむとされ、4〜5月には藤棚から紫色の花房が2万本近く垂れ下がる。平等院は昨夏、ミュージアムショップに化粧品類を置こうと、象徴であるフジの香りの商品開発を資生堂に打診。同社が手掛けてきた「ご当地シリーズ」の一環で、ハンドクリームと香水作りに着手した。フジの香りだけだと甘過ぎるため、寺院や和を想起させる香りを加えるなどして試作を重ね、平等院職員の意見も参考にして仕上げた。」
そうで、別記事によるとこの「寺院や和を想起させる香り」として白檀が採用されたそうです。
藤の花の香り、そして藤が象徴するものの体現を目指した平等院オードパルファムは、スプレーするとまず、わっと花の香り。コンセプト通りに藤系の甘やかなフローラルです。けれど本物の藤のまったりと濃厚なものではありません。かといって淡く軽い香りというわけではなく、重みはあります。
乾いてくるにつれ、ウッディなややオリエンタルな深みが増してきて、なるほど白檀か、と。西洋的なクリーミーなサンダルウッドでなくたしかに和の、深みと重みがありながらどこかすっきりしているお香の白檀です。藤のフローラル感を損なわない適度なバランス。
「フジの香りだけだと甘過ぎるため」に白檀などを掛け合わせたそうですが、その狙い通りの仕上がりなのではないでしょうか。大人らしい落ち着きがあります。
割とクラシックな香りで、和装にも合いそう。なので、一方で、おばあちゃんぽいと感じる方もいるかもしれないなと思いますし、軽やかな香りではないので頭が痛くなる方もおられるかもしれません。たとえば同じ藤系の香りでもディプティックのオレーヌなどがお好みの方にはたぶん合わないと思います。
購入に至った理由は箱にあしらわれたデザインと色合い。心を撃ち抜かれて買ってしまいました。ボトルのデザインも箱と同じ色づかいだったらよかったのになあ…。ボトルは硝子ですが、すり硝子ではなくマットペイント?のような感じなので、ぶつけたりすると白い部分剥げます。
スプレーの質が良く、加減ができるのが嬉しい。ほんの少しだけスプレーしたいとき、スプレーの質がいまいちだと噴射口からたら〜っと垂れたりしますがそれがありません。
藤の季節になったら着物を着てこちらまとってお花を見に行きたいなあと楽しみにしていたのですが、そうも言っていられない状況になってしまいました。一日も早いウイルスの収束を願わずにおれません。
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2020/3/25 04:45:10
ネイルケアデビューセットに入っていました。
箱を開けたときうわ〜小さい!と思いましたが、これについては 15ml で十分じゃないかなと感じます。ハンドクリームの「庭師のバーム」とセットで、そちらの 10ml はすぐ使い切ってしまいましたが、こちらは爪の周りにだけ使用するのでちょっとで済み結構もちます。
利点は、まず口が細く欲しい量だけ出せること。そして香り。庭師のバームと同じ香りだと思いますが、レモングラスやレモンバームのようなハーブ+淡い柑橘の香りで癒されます。同じようなハーブ+柑橘系の香りのハンドクリームなどいくつか試してきましたが、比べるとこちらの香りはやや甘め。ベタベタしないテクスチャも使いやすいです。
難点としては、効果がよくわからないことかなあと。普段からハンドクリーム毎日使っているので、これをプラスして何か変化があるかと言われると、ないんですよね〜(今のところ、ですが)。乾燥防止で常にネイルしているのも要因だとは思うのですが…。
悪くはない「けど」……というのが正直な感想です。1本使い切ったらまた良さももっとわかるのかな?でも気に入ったとしてももう廃盤なんですよね^^;
何度かサンプルももらっていた庭師のバームは香りも使用感も気に入っているのでリピートすると思います!
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:10ml・2,200円 / 50ml・8,360円 / 100ml・14,960円発売日:2018/9/12
2020/3/3 06:55:06
植物学者ルイ・フュイエが寄港した土地土地をモチーフにしたリマーカブルパルファムシリーズ。1.5ml のトラベルコレクションを購入してみました。6本中4本はすでに試している香りだったのですが、ポルトベロとサンタクルスを試してみたくて(10ml 2本買うより安上がりだったので…)。
こちらのサンタクルスは
「燦燦と降り注ぐ太陽をいっぱいに浴びた目の覚めるようなシトラスで始まるサンタクルスはカナリア諸島を彷彿とさせる香り。シダーとユーカリが奏でるアロマティックでスパイシーなリズムと重なり合う」
とのことで、サンタクルスの名のつく場所は世界に多くありますが、カナリア諸島のサンタ・クルス・デ・テネリフェをイメージした香り。
記録によるとフュイエは64歳だった1724年にこちらを訪れているようです。王命や海軍大臣の命を受けて多くの国を旅したフュイエですが、カナリア諸島調査が最後の旅となりました。植物学者であるとともに地理学者で天文学者でもあったフュイエは、4か月の滞在で諸島の経緯度を算出したり測量する傍ら、リュウケツジュやヤモリなど動植物のスケッチを残しています。カナリア諸島を科学的に調査したのはフュイエが初だったそう。
今ではビーチリゾートがあり大きなビルもそびえるサンタ・クルス・デ・テネリフェですが、フュイエの生きた時代はどうだったんでしょうね。リマーカブルパルファムは浪漫のあるシリーズだなと思います。
ベルガモットがぱっと弾けてはじまるサンタクルスの香りは、アルコールがすっと乾くやユーカリのキレのいいシャープなグリーンが顔を出し、とても爽やか。しばらくはレモングラスのようなアロマティックな香り。
香りが落ち着いてくると、キーとなる香りにクレジットされてはいませんが、無花果っぽい香りになります。とろけるように熟れる無花果ですが、こちらはまだまるで熟していない、青くて固い若い無花果。その実と葉を感じる、青みのある淡い甘さで好きな香りです。
香りが無花果に寄ってからは消えるまでほぼ変わらず、ただ柔らかくなるのみ。ほんのりとですが、桃っぽいような甘みも出てくるようなこないような。手首につけると左右で香りが異なるのですが(私の場合ほとんどの香水でそうなります)右手首からのみ桃っぽい香りがするので不思議。
メジャーでないので参考にならないかと思いますが、同じ青っぽい無花果系統のベルドゥ「1902 フィグブランシュ」に非常に近い香りです。フィグブランシュは無花果系香水の中でもかなり気に入っていて、そのうえ 480ml で 23.30 ユーロとべらぼうに安いのでリピートしているのですがいかんせん飛びが早い。コロンだから仕方ないとはいえ1時間もちません。
対してこちらは、長持ちではないものの3時間ほどはきちんと香りますのでいいもの見つけた!とテンション上がりました。これからの季節にちょうどいい香りでリピート決めました。
ユニセックスですがほどよい甘みがあって女性の使いやすいユニセックスだと思いますし、甘めがお好みの男性にもぴったりだと思います。カップルでお揃いにしても。
調香を手掛けたのは香水の都グラース出身のヴァンソン・リコー。調香師の家に生まれるも、もともとは音楽などをやりたかったのだとか。クヴォンデミニムではボタニカルコロンシリーズのアクアミニム、キャンドルのルイフュイエ(同じ香りのルームスプレーもなのかな?)も彼の作品。サンタクルスもルームスプレーのルイフュイエもかなり気に入っているので他の作品もぜひ試してみたいなと思いました。
まったく関係ないですがリコー氏の愛読書は村上春樹の「海辺のカフカ」だそう。村上作品が合ったためしのない私には「村上春樹とか好きなんだよね」などと言われると「うへぇ理解不能」となってしまうのですが、理解不能な人が作る香りを心底気に入れるって面白いなと思いました。もう一度村上春樹読んでみようかな、と思ったり思わなかったり……。
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
税込価格:-発売日:-
2020/2/29 08:34:22
ジェイムズ・ヒーリーお気に入りの香料をより高い賦香率で、濃くリッチに調香した Extrait de Parfum シリーズの一つ。
公式によるキーとなる香りは、グリーンアーモンド、ヒヤシンス、ジャスミン、ローズ、リンデンとなっています。
アーモンド=大好き!
ヒヤシンス=そこそこ好き
ジャスミン=好き
ローズ=大好き!!
リンデン=大好き
アーモンド+ヒヤシンス+ジャスミン+ローズ+リンデン=どう転んでも好きでしょ?
と単純に考えてサンプルお取り寄せしてみました。ナッツ入りの濃厚ガトーショコラにラズベリーソースとクリームが添えてある?まずい要素がないじゃない!みたいな。
とくに決め手はアーモンドでした。お気に入りのアーモンド香水が非常に入手しづらくなってしまったのでそろそろ変わりを探したいなと。なのでそもそもアーモンド系のツンとした香りには耐性があります。
スプレーしてまず感じたのは、ローストしていない生のアーモンドの香り。グリーンさがあってほんのりクリーミー。鼻を近づけてみるとツーンと鼻を刺す典型的アーモンド臭が。アーモンド系の香りが好きな方は大丈夫だと思いますが、結構な強さのツーン感でとてもシャープです。ここでかなり好き嫌いが分かれそう。
リンデンを筆頭にひんやりしたフローラルが顔を出すと、そこからしばらくはアーモンドとフローラルがくるくる追いかけっこしているかのような香り方。リスの兄弟みたいで愛おしい。それが溶け合うと、ややすずらんにも似た香りに。ジャスミンはなんとなく感じなくもないですが、私の鼻ではローズはまったくわかりません。
ツンとした部分が淡くなると、ぐっと丸くまろやかになります。それが1〜2時間ほど続き、消えかけてくると香料控えめの石鹸のような、プレーンでクリーンな香りに。グリーンさを強すぎずほどよく保ち、ふんわり軽くて心地いいです。風にそよぐリンデンの葉ずれが聞こえてきそう。
可愛らしい、けれど媚びがなくナチュラルな春の香り。「春のポートレート」というコンセプトがよく表現されています。リンデン、すずらん、ミモザあたりの青さのある(生花の)香りがお好きな方に合うのでは。
トップがかなり強いのでこれはモチそう広がりそうと思ったのですが、意外と淡いです。数か所つけるとまた違うかもしれませんが…。頭では賦香率の高い低いが必ずしも持続時間や香りの強さと比例しないとわかってはいても、やっぱりエクストレドパルファンだし!と期待していたのかもしれません。
今回、オードパルファンのセルマランとヒッピーローズを一緒に購入しましたが(絶対好きだけど好きになるまで時間がかかるかもしれないと踏んでいたセルマラン2本注文しました)、私の肌だとヒッピーローズが最も強く、こちらの、より濃いはずのラモンディエールが一番淡いです。溶けるように消えていく儚さがまた春の花らしく好きですけどね。美しいです。
トップのアーモンドのツーンがちょっとキツめですが、そこさえ乗り越えればとっても軽やかなグリーンフローラル。春らしい香りですが、じっとりこもった熱を冷ますようなひやっとした青さがあるのでひょっとすると夏にも合うのではないかなと感じました。
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
税込価格:-発売日:-
2020/2/22 15:47:28
追記:
好きすぎて評価上げました!
―――以前の口コミ―――
マリン系で評価の高いものを探していて見つけたのがこちらでした。
絶賛レビューが多くて。「自然な海の香り」「まさに海風」「輝く海が目の前に広がる」「ビーチをボトルに詰めたよう」などなど(もちろんネガティブなレビューもあります)。
どうせならじっくり試したいのでサンプルをお取り寄せしてみました。注文から2日で発送、そして発送から6日で届きました。サンプル4本がぴったり入るマッチ箱みたいなパッケージがシックでおしゃれ。
数々の美辞麗句で飾られたレビューのおかげで、期待値マックス振り切った状態で1プッシュ。ぱっとはじけるシトラス。そこへすぐさま瓜。メロンのような甘さはなく、胡瓜よりぐっとエグみの少ない、白瓜のような上品な瓜。
「あ〜ぜったい好きだこれ!」と思ったところへ殴るくらいの勢いで飛び込んでくる塩!そして海藻。柑橘はもう後ろの方に隠れきって、ほのかにしか香りません。ものすごい塩。ひりつくほどのドライさ。ミドルの途中くらいまでは近くで嗅ぐと喉が痛くなりそうなヒリヒリ感が「届いてすぐの頃は」ありました。
ちょっと関係ない話を挟むので申し訳ないのですが、一時期香油にハマっていたことがあります。アルコールが入っていないので海外からも難なく送ってもらえ、色々試したりフォーラムで情報もらったりしていました。フォーラムでよく話題に上がるのが、「通販したらしばらく置いてから使った方がいい」という主張です。輸送の過程は環境的に良くなく(高温になったり)少なからず香りに影響が出るので届いたら冷暗所に保管し1週間ほど置いておくと本当の、調香師が意図した香りに戻る、というもので、賛同者も多いんです。
迷信ぽいなと思っていましたし、実際そういうやり方を試してもそこまで大きな変化を感じませんでしたのですっかり頭から抜け落ちていたのですが。セルマランでそれをものすごく感じました。
当初あまりにドライなヒリヒリ感で「これは無理だわ」と思っていたのに、1週間ほど放っておいてふと使ってみたらヒリヒリ感がぐっとまろやかに!シトラスも、白瓜の上品な瓜感も、塩も海藻もそこにあるのに、角がほとんどなくなっていました。
届いてすぐ使ったときは、冷たい風が吹きすさぶ鈍色の荒々しい海を切り立った崖の上からコートの前をぎゅっと合わせて見守っているかのようなイメージの香りでした。漁に出た父さんは帰ってこられるかしら…おお神様……みたいな昭和の大御所少女漫画家が描きそうな情景と、転覆して大海原に投げ出され必死にもがく海の男の情景が交互にチラチラするような。ある意味ドラマチック。
今は、もっと穏やかな海の香りがします。エメラルドグリーンに輝く南国リゾートの海ではなく、かといってさびれた漁港のある魚の死骸くさい海でもなく。地元民だけが知るひそやかなビーチ。波打ち際に裸足で立ってただ凪いだ青白い海を眺めているよう。
公式のイメージでは、男性は映画「グランブルー」のジャック・マイヨール(演:ジャン=マルク・バール)、女性は日焼け肌にビキニの跡が似合うナチュラルビューティだそう。どちらもあまりピンときません。香り自体はマスキュリン寄りだなと思うのですが、情景を思い浮かべて出てくるのは女性。ビキニでビーチに通う元気で明るい女性でなくもっと物静かな。けれど内に嵐を秘めたような女性がただ海風を受けているイメージ。
消えかけは瓜がよく残っていて、海水で塩もみした白瓜のよう。香水としてどうなんですか?と思われるかもしれませんが、好きですこの香り。ふっと思い出したように柑橘が香ると、すべて混ざり合ってどこかジンジャーっぽい。クセになります。
ジョーマローンのウッドセージ&シーソルトが甘くなければいいのに、と感じる方合うかもしれません。
ところでヒーリーのオフィシャルサイトには仏・英・独・伊・西・日本語版がありますが、若干香りのノートに差があって面白いです。
仏
T:レモン、イタリアンベルガモット
H:ヨウ素、緑藻
B:ベチバー、バーチ、シダー
英
T:レモン、イタリアンベルガモット
H:シーソルト、モス、藻類
B:ベチバー、シダー、ムスク
独・伊・西
T:レモン、イタリアンベルガモット
H:シーソルト、モス、藻類
B:シダー、ムスク
日
T:レモン、イタリアンベルガモット、ビーチリーフ
H:シーソルト、モス、藻類
B:シダー、ムスク、レザー
日本版が一番違うという。
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