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ペンハリガン / ラバンデュラ オードパルファム

ペンハリガン

ラバンデュラ オードパルファム

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:100ml・23,650円発売日:2007/1/2

5購入品

2021/6/19 00:09:12

ラバンデュラ。いい名前だ。ラベンダーを意味する言葉ラバンデュラは、中世の伯爵がハイカラーシャツに合わせるクロスタイのごとき紫リボンをまとった、凛々しい女性用ラベンダー香水だ。さながら男装の麗人。

そんなラバンデュラが2020年夏にどうやら廃番になったようだ。は?なんで?ペンハリガン、なんでそういうことたびたびするの?聞いた瞬間、「?」が飛びまくった。ラベンダー香水って言ったら昔から英国紳士御用達香料でしょう。英国つったらイングリッシュラベンダーの宝庫なはずなのに。

ラバンデュラのリリースは2002年。日本では未発売だったものの、ネット経由でいつでも買えた香水の1つだった。メンズ用香水によく用いられてきたラベンダーの香りを女性向けに使いやすくした稀少な作品。全く、名前もかっこいいのになぜ廃番にしたのだろう。(←やけにこだわるな)

ネット上では、EDP100mlで1万5千円ほどしていたラバンデュラだが、気付けば大幅ディスカウント。そしてすでに公式サイトからその名は消え、世界的にも在庫が少なくなってきているよう。探せばまだネットで在庫を見つけることはできそうだが、日に日に希少になってきているラバンデュラ。では、いったいどんな香りなのか?

ラバンデュラをスプレーする。その瞬間、本当に天然のラベンダーを摘んで鼻の近くに持ってきたような、すばらしいラベンダーの香りに包まれる。シャープでほの暗くて、カンファー様の清涼感があって、花のこんもりクリーミー感もある。このトップのラベンダーノートはとてもいい。

世にラベンダー精油、ラベンダー香水、あまたあれど、これほどスッキリしていて同時にフローラル感のあるラベンダーの紫な香りはなかなかないように思う。たいていはグリーン感が強すぎたり、青臭かったり、あるいは他の香料を引き出すためのアクセントっぽい使われ方だったりして、自分は今まであまりラベンダーは好きじゃなかった。だがこれは違う。とても優雅で凛としていて、怜悧な美しさを醸し出すすばらしいラベンダートップだと思う。

ちなみに、自称ラベンダー香水偏愛家の「世界香水ガイド」のルカ・トゥリンは、このラバンデュラを思いきりたたいていたけど、あの方じたいあまりにストライクゾーンが狭い人でもあるから、この作品に対する彼の評価は自分的にはスルー。ラベンダー香水がそんなに好きでなかった自分が「これはいいな」と感じたことが全てだと思う。そう。感じ方は100人いれば100人違う。

ただ。

天然ラベンダーっぽい香りは、付けてせいぜい20分で終了という感じ。そこからは急速に色あせていく印象はある。もしかしたらこのミドルの弱さが、ルカ的に気に入らない点だったかも知れない。トップのラベンダーにパンチとワイルドさがある分、肝心のミドルでは、香りが急にうすれたように感じてしまうかもしれない。

それでも、周囲にはきちんとラベンダーが香っている。

ラバンデュラはミドルになると、ほんのり甘さが出て、マイルドかつクリーミーなフローラル感を伴ったラベンダーに変化する。色で言うと、紫に白が混じってパステルカラーになったような雰囲気だ。付けてる自分は気付きにくいものの、グリーンな感じとジャスミンのふんわり感が次第に感じられてくるので、構成的にスズランなのだろう。このクリーミーパープルな香りは、冷たい清涼感があって気持ちをリラックスさせてくれる。そんなミドルが3時間ほど続いてドライダウン。持続時間はEDPにしては短めだ。

まとめると、トップが紫色の天然ラベンダー。ミドルはスズランのグリーンとふんわりフローラルが混じったクリーミーパープル香、ラストはそこにトンカとソーピーな甘さが重なって消えてゆく香水。全体的に、カンファーのクールな感じが強いラベンダーに優しいジャスミンを合わせて、ハーブをほんのりきかせたようなバランスに仕上がっている。このバランスが絶妙。時折シナモンやペッパーのスパイスが感じられる点も、キリッとして清々しい。

夏に向かう季節。気温が高くなって湿度がムンと上がってきたら、こういう清涼感のあるアロマティックな香水がとてもいい。ラバンデュラは、天然のラベンダー香をトップに配置しながら、次第にフローラルに変わっていく展開の優しい香りだ。ふだん付けはもちろん、寝香水にすると、ラベンダーの持つ入眠・安眠効果も感じられて、アロマテラピー的にも使える香水だ。

ラバンデュラの夜。ベッドで瞳を閉じる。吸い込まれそうな青空の下、どこまでも続く広大なラベンダー畑が見える。その紫色の絨毯が、爽やかな初夏の風に揺れる。そのとき、紫煙のごとき芳香が夏空に舞い上がる。

天と地の間。一千億のラバンデュラ。

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ディオール / ディオリッシモ(パルファム)

ディオールディオールからのお知らせがあります

ディオリッシモ(パルファム)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:- (生産終了)発売日:-

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2021/5/1 13:18:46

あたたかい風が森の空気をはらみ、青空へ高くのぼって雲を吹き流す頃、いっときだけ必ずつける香水がある。ディオリッシモのパルファムだ。

ディオリッシモ。イタリア後の”issimo"を冠した香水。それは「特別最上級」を意味する言葉。故クリスチャン・ディオールの「幸運のお守り」となった香水。

ディオリッシモは、1956年に発売されたミュゲ香水の歴史的名香。ミュゲはフランス語でスズランのこと。フランスという国にとって、この花はなくてはならない花だ。毎年5月1日は「ミュゲの日」とされ、フランスの街角のいたるところに森から摘んできたスズランの小さな花束を売る売り子があふれるという。人々はスズランを買い求め、お世話になった人や愛する人へ贈り合う。スズランを贈られた人には、必ず幸福が訪れると伝えられてきたからだ。

スズランの幸福。それを誰よりも強く信じていた一人が、世界的ファッションデザイナー、クリスチャン・ディオール氏だった。彼は祖母から学んだ占星術やカード占いの影響もあり、「幸運の印やお守り」にとてもこだわる人物だったという。

ディオリッシモは、そんなディオールが「幸運のお守り」として生涯大切にした花、ミュゲの香りをとことん追求した香水だ。手持ちは名調香師エドモン・ルドニツカが徹底的にこだわって仕上げたパルファム。1970年代頃の物だ。2009年にフランソワ・ドゥマシーがリファインした現在販売中のパルファム・エキストレに比べ、香りが濃厚で強いと言われるヴィンテージ・パルファム版。では、いったいどんな香りか?

ボトルから指にちょんと一滴とって、手首の内側など、体温の高い場所に点付けする。その瞬間、強いジャスミンインドールの香りと清涼感あるグリーンな香りが鼻を強襲する。このトップは、接着剤や殺虫剤のようなツンとした匂いに感じる方もいるだろう。シベット系のアニマリックな気配も感じられるフェノリック(薬品・樹脂系)なイントロだ。現代風のライトでフルーティーなトップに慣れている方はここで「う!」と呻いてKOされるかもしれない。それでも諦めないで欲しい。ディオリッシモはここからが真骨頂だ。

トップの強烈なフェノリックは2分もしないうちに消え、香りは深い緑色になってくる。スパイシーな土と動物の匂いと、葉がこすれたときに香る青臭い感じが渾然一体となって広がってくる。これは森の香りだ。そしてそこから爽やかグリーン&ソーピーな白いフローラルが広がってくるのを感じるようになる。

つけて5分。遂にスズランのグリーンで清楚なフローラルがふんわり出て明確になる。この香りがとても自然ですばらしい。ほんのり甘くて酸味があって軽やかだ。どこかグリーンアップルやペアーを思わせるフルーティーさも感じられる。深い森に足を踏み入れると、木陰になった湿地のあたりにスズランの群生を見つけたような雰囲気。これがディオリッシモのミドルだ。

ミドル後半では、柔らかく濃厚なジャスミンの香り、イランイランのバナナリキュールっぽい香り、そして蜜の甘さのような感じも出てきて、自分があたり一面スズランに囲まれていることを知るようになる。シングルフローラルと言うけれど、天然香料がふわふわとさまざまな香料の側面をかいま見せるイメージ。森の奥の開けた場所、風の向きによって、スズランの妙なる香りがさまざまな森の色を運んでくる。そんな心地よさで心が満たされていく。

可憐で清楚で幸運を呼ぶ花、スズラン。このグリーンでソーピーなフローラルのミドルは、その後は変化せず6〜8時間柔らかく香って消えてゆく。2時間ほどで消失するトワレと比べると、さすがパルファムといった感じだ。

ミュゲの香水を創る。そのためにディオール自身は、スズランだけを1年中育てる専用の庭園を作るなど、自身もその香りについて深く研究したという。ルドニツカもまた、ディオールのこだわりを見て、最高のミュゲ香水を創る意欲をかき立てられたようだ。

ルドニツカは、天然香料がないミュゲの香りを完璧に再現するため、当時出たばかりのスズランの合成香料ヒドロキシシトロネラールを使いつつ、その強さを緩和してシンプルなミュゲの花の香に近づけるよう、天然香料とのバランスに苦心したとされている。ロジャ・ダブの著書によると、それは「シンプルと思わせる複雑さの追求」であった。かくして、当時珍しいミュゲのシングルフローラル香水は世界にその姿を現した。

あたたかい風の中、名も知れぬ森を思う。動物と木々と花々を思う。ディオールにとって花はいつもブランドの主役だった。その中でも最も大事にされた花を思う。

ディオリッシモ。それは貴方に贈るディオールからの小さな花束。スズランの香りのラッキーチャームだ。

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モルトンブラウン / ミルクムスク オードトワレ

モルトンブラウン

ミルクムスク オードトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:100ml・15,400円発売日:2020/4/30

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2021/3/1 23:34:57

初めてモルトンブラウンのミルクムスク(2020年)という名のフレグランスを見つけた時、興味がわくと同時に名前負けしていないかなという不安を感じた。
ありそうでないシンプルさ、そしてどんな香りか連想できる名前。

嬉しいことにミルクムスクの香りは、期待を全く裏切ることない、まさに名前通りの香りだと思う。

トップはフルーティ。
ピーチにベリーの酸味を加えたを香り。少し遅れてペアのガスっぽさが香る。

ミドルはフルーティ・バルサミック。
ザクロのような酸味とラクトンのコクの奥から、滑らかなバニラムスクが香ってくる。バニラとムスクのどちらも前に出ずにうまく交わっているため、ミルク感のある香りに近づいていく。
さらにその奥から、ウォータリーなフローラルがみずみずしいツヤや硬さを与えることで、ここでバニラムスクではなく、ミルクムスクの香りが完成する。

ベースはムスキー・バルサミック。
フルーティな酸味とコクを残しながら、クマリンの甘さとムスク、さらにはアンバーやウッディでミドルの印象を保っている。最後は、少しバニラやクマリンのパウダリー感が出てくるものの、ミルクのイメージをしっかり保ったままドラインダウン。

オードトワレのため、持続時間は4時間程度。
ミルクのようなムスクの香りのため、真夏以外、季節を問わずに使える香りだと感じる。

全体的には、ラクトン、ムスク、バニラ、クマリンなどコクのある白イメージの香りに、ピーチやベリーの酸味に、みずみずしいフローラルのツヤが加えることで、少しだけヨーグルト感のあるミルクに仕上げられている。バニラやクマリンの甘さが立ちすぎないのがとても良い。

個人的には、このフレグランスがもっとも楽しめるシチュエーションは寝香水ではないだろうかと思っている。
コンセプトには、ミルクの優しさとムスクが絡み合い、肌と肌が触れ合うような心地よさを感じさせるとあり、リーディングフレグランスのミルクは、子供時代に認識する香りの一つであり、ノスタルジックな感情へと誘うという言葉にとても共感する。

子供の頃、怖い映画を観た後(なぜかその映画は決まってジョーズ)、夜中恐ろしさに目が覚め、母親の布団に逃げ込んだ経験がある。
甘酸っぱいような心地良い温もり。守られているような安心感があった。

ところが歳を重ねていくと誰も守ってくれない。逆に家族や生活など常に守り続けなければならない。
子供の頃に感じた、誰かに守ってもらえている安心感。夜、そんなノスタルジーにたまには浸ってもいいじゃないか。ミルクムスクの香りと共に。

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ゲラン / アンジェリーク ノアール

ゲランゲランからのお知らせがあります

アンジェリーク ノアール

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:75ml・35,200円 (生産終了)発売日:2006/11/15

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2019/10/19 18:07:33

この香りを嗅いだ瞬間、墜ちた。撃墜された。心が囚われてしばし真っ白になった。視線が虚空をさまよった。どこかで天使が笑っているような気がした。けれどそれは悪魔の嘲笑だったのかもしれない。

ゲランのアンジェリーク・ノアール(黒のアンジェリク)を初めて嗅いだときのことだ。今もはっきりと覚えている。それは黒の衝撃だった。バランスのいいゲルリナーデベースの上に、甘くてクリーミーで、わずかに苦いグリーンな香りがスッキリと広がっていた。そのバランス、その高貴な香り立ちに深く感じいった。

アンジェリークノアールは、ゲランの最高級ライン、ラール・エ・ラ・マティエールの最初の3本のうちの1本だ。2005年、このシリーズ最初の3本を作るために3人の外部調香師が招かれた。フランシス・クルジャン、オリヴィエ・ポルジュ、そしてプラダのキャンディなどを手がけたダニエラ・アンドリエ。彼女が作った香りがこのアンジェリークノアールだ。

価格は75mlで32000円+税。これまでこの価格がネックでもあったが、今後は20mlドロップが伊勢丹新宿店1F「ゲランパフュマー」でいつでも買えるようになる(10月23日以降)。これは嬉しいニュース。

では肝心の香りはどうかというと。

トップ。新鮮で酸味の豊かなベルガモットがまず感じられる。すぐにその下から出てくるのは透明でスッとするアニスの清涼感とスリリングなグリーン系のノート。さらに低音からはアンジェリクルート(根)のスパイシーな爽やかさが広がってくる。甘くて青くて、わずかに苦味が感じられるグリーンなトップ。ベルガモットとアーシーなアンジェリクルートの競演。拮抗。

ほどなくベルガモットの爽やかさは消失し、トップのフルーティーさを洋ナシ様の甘くコクのある香りが引き継いだなと感じると、香りはミドル。そしてアンジェリカの土っぽいスパイシー&ムスキーな香りと好対照を見せるようになる。さながら白と黒の二重唱。明と暗の妙なるコントラスト。

さらに、この甘くフルーティーな香りとベチバーっぽいベースを包みこむように、フローラルムスキーな香りが全体を包みこんでくる。ジャスミンとアンジェリカシード(種子)のムスク香だ。ややクマリン独特のキュンとくるせつないアーモンドノートも混じったような。ここまでくると、さまざまな香料の波状攻撃にあったような気分になり、何ともいえず穏やかな気持ちに包まれる。整理すると次のような感じ。矢印は変化を表す。

高音部:ベルガモットの酸味→ペアーの甘さ
中音部:清涼感のアニス、青いグリーンノート→花の香りのムスク
低音部:スパイシーな根の香り→コクのある苦いクマリン系ムスク

アンジェリクの名が示すように、アンジェリクルート(根)とアンジェリクシード(種子)が使われており、このアロマティックな香気をもつ香料が過剰投与されている印象が強い。アンジェリクの香気の主な特徴は、強いムスク香とハーバルな甘苦さで、根の方はベチバーにも似た土っぽいスパイシーさが感じられる。同時に、桜餅の香り成分である白いクマリンの香り成分ももっている。白を連想させる甘さ&ふんわりパウダリーな種子のムスク、そして大地の黒を思わせる根のスパイシームスク、この両方を使っているということだろう。

このミドルがしばらく続いた後、クリーミーなヴァニラ&トンカビーンのコクが感じられるようになるとラスト。付けてから5〜7時間で柔らかく消えてゆく。なるほど。ゲランの秘伝ベースであるゲルリナーデの構成素材をきちんとおさえた作り。ベルガモット、ジャスミン、ヴァニラ、トンカビーン。この4つのキー素材に、アンジェリカを据えてバランスをとった香水といった風情だ。

全体的に香り立ちはやや強め。ラールエラマティエールの中でもくっきり個性を主張してくるタイプだ。柔らかい香りではあるものの、思ったより周りに主張しているので、付けるならウェスト以下がおすすめだ。ゲランのヴァニラ系がお好きな方、ランスタン系がお好きな方には特におすすめだ。ランスタン系はソーピーでややツンとしたムスクに傾くのに対し、アンジェリクノワールのムスクは甘くしっとりしたパウダリーに広がる。

アンジェリクは、もともとはラテン語で「天使」を意味する言葉だという。だから、アンジェリクノアールは「黒い天使」という暗喩も効かせていることになる。

黒い天使。それは清らかな姿とは裏腹に黒い羽根をもつ堕天使のよう。その神々しい微笑みの裏に、したたかに折りたたまれた黒い翼をもつ者。その禍々しいまでの美しさ。光と闇を統べる善と悪の双眸。

もしもアンジェリークノアールに出会えたら、貴方は墜ちるだろうか?

堕ちた天使の狂おしい香りに。

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トム フォード ビューティ / ソレイユ ブラン オード パルファム スプレィ

トム フォード ビューティ

ソレイユ ブラン オード パルファム スプレィ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50ml・37,180円発売日:2016/5/13

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2019/8/3 08:30:26

ハワイに行きたい。亜熱帯化した高温多湿の日本を脱出して、真っ白な太陽が照りつけるワイキキビーチでのんびりしたい。パームツリーの木陰、ホテルのオープンテラスで、フルーツてんこもりの金魚鉢みたいな大きなグラスにストローを何本も差して、トロピカルカクテルをゴクゴク飲みたい。バンズではさめないダイナミックなハンバーガーに悪戦苦闘しながらむしゃぶりついて、口の周りについたパイナップル混じりのソースを指で無造作に拭きとってなめたい。爽やかなオフショアにそよがれて、西の空が燃えるオレンジに染まるまでビーチでゆったりくつろぎたい。

トムフォードのソレイユブランをつけていると、いつもそう思う。心はオアフ島の白い浜辺へひとっ飛びだ。

ソレイユブラン・オードパルファム。「白い太陽」の意。まばゆい夏の陽射しを思わせる、トム・フォードによる真夏のデイタイム・フレグランス。2016年発売。ディオールのハイヤーエナジーやバーバリーのブリットなどを手掛けたナタリー・グラシア・セット調香による作品。

トム・フォードのプライヴェートブレンド唯一の真っ白なボトル。この白ボトルは通常の黒ボトルよりも中身の液量が見えにくい。照明の光を近くに当てるなどするとやっと見える感じで、チェスの駒からインスパイアされたこのボトルの美しさを上手く引き立てているように思う。これなら使っていくうちに液量が減っても、美しいボトルの外見をずっと楽しめるからだ。

そんな白ボトルからスプレーすると、まず立ち上るのはスッキリした透明感あるスパイシー。ほのかなカルダモンの清涼感と爽やかなベルガモットの香りだ。このトップがとても心地よく、ピンクペッパーの酸味と辛みも感じられて絶妙のブレンドだ。

やがて5分もすると、カルダモンとベルガモットの下からココナッツのクリーミーな香り、エキゾティックなホワイトフラワーの香りがじわじわと出てくる。一番強く感じられるのはイランイランだ。イランイランの香りは低くて濃厚だけれど、ここではココナッツのまろやかなヴェールに包まれているせいか、とても穏やか。さらに似た系統のチュベローズの妖しさ、一段階高いジャスミンの柔らかな香りが出てきて、まさに南の島の楽園を思わせる風合いになってくる。

このミドルはザ・ボディショップから以前出ていたポリネシアン・アイランド・ティアレの香りに似ている。そう思ってつけ比べしてみた。ティアレの方はかなりよくできたタヒチアン・ティアレ風のオードトワレで、現在は廃盤になっているが再販を強く希望したい逸品。何しろ3000円前後でこのトムフォードのソレイユブランに引けをとらない香りを呈している。対するソレイユブランは50mlでその10倍近い価格だ。

つけ比べると、さすがトム・フォードというべきか。かなり好きだったザ・ボディショップのティアレは、エキゾティックな白い花の香りと共にどこか殺虫剤っぽいエアゾル系の匂いが感じられるのに対し、ソレイユブランのココナッツ&イランイランの香りはとてもまろやかで温かみすら感じられて好印象。ティアレの方には少し低音のプルメリア系の花も混じっているよう。対してソレイユブランは、イランイランとチュベローズのふくよかな白い花弁の香りがそこはかとなく煽情的だ。

付けて3時間もすると香りは薄らいでくる。値段が値段なだけに持続時間が短いように感じるが、ソレイユブランは人肌に溶け込こような香り方をするので自分で気付きにくいだけかもしれない。すれちがった人は灼けた肌から香るココナッツノートのふんわりしたミルキーな匂いを本人以上に感じやすいように思う。ラストはほの甘いアンバーとトンカビーン、そしてトップからずっと続くココナッツミルクの白いナッティーな香りをキープしたままドライダウン。

これは真昼の香りと謳っているけれど、実はリゾートホテルの夜の部屋の雰囲気も感じられるセンシュアルさも秘めている。

琥珀色のベッドサイドランプ。カーテンを開け放したラナイ。その向こうに広がるダイヤモンドヘッドの黒い稜線。オレンジ色の星々を思わせる街の夜景、ほの白く浮かび上がったキングサイズベッドのシーツ。そんな情景をも想像させる誘惑の香り。

だからソレイユブランをつけているとハワイに行きたくてたまらなくなる。あのまばゆい日差しと、汗をかかない爽やかな空気が恋しくなる。ビーチウォークの人々の笑顔と、オープンエアーのホテルロビーから見渡せる青い海に心がはやる。きっとソレイユブランは完璧なオフのための香りだ。人目を気にせず、童心にかえって、自然やリゾートで過ごす極上のリラグゼーションのための。

見上げればパームツリーが揺れている。吸い込まれそうな青空にソレイユブランが微笑んでいる。

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イズーさん
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プロフィール
  • 年齢・・・44歳
  • 肌質・・・混合肌
  • 髪質・・・硬い
  • 髪量・・・多い
  • 星座・・・天秤座
  • 血液型・・・AB型
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  • ヨガ
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  • 音楽鑑賞
  • 読書
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自己紹介

はじめまして。 いつも参考にさせていただいてます。 子供のころ、一番最初に興味を持った化粧品が香水でした。以来、色々な香水を試してきましたが、本当… 続きをみる

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