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doggyhonzawaさん
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ゲラン / シャリマー フィルトル ドゥ パルファン

ゲランゲランからのお知らせがあります

シャリマー フィルトル ドゥ パルファン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:50ml・13,860円 (生産終了)発売日:2020/12/1

7購入品

2021/1/30 13:36:53

参りました。素直に。これはすばらしい香り。誰もが是非一度は肌にのせてみてほしい香水。超お薦め。

ゲランのシャリマー・フィルトル・ドゥ・パルファン。この見事なバランス感覚に脱帽。ゲラン5代目調香師ティエリー・ワッサーと彼の調香チームの真の実力を見た。もうワサ夫とか言わない。(←最初から言わないように)

世界初のオリエンタル香水として今なお燦然と輝くゲランのシャリマー。フィルトルはその亜種で、星の数ほども出されてきたフランカーの1本。2020年12月発売の数量限定品。50mlで税込13800円。初めてだ。1本使い切らないうちにもう1本キープかなと思った香水は。

シャリマーは、香りも含めてコーラと共通点が多い。オリジナルのコーラは百年以上前に発明され、今なお世界中で愛飲されている。シャリマーも同様だ。そしてどちらもシトラス、スパイス、ヴァニラなど、多くの共通香料が使われていて香り的にも近い。さらに、チェリーやレモンやシナモンなど、構成フレーバーの一部をあえて過剰投与した限定品を次々に出している点もだ。シャリマーはいわば、薬草と樹脂と花の香りを添えたコーラのような香水だ。

ただし、シャリマーは香水の名作だけあって、亜種作品に対する愛香家の気持ちと鼻は、コーラの味以上に手厳しい。「また亜種か」という冷笑と一瞥が必ずあり、新作の度に「これはシャリマーじゃない」「オリジナルよりピンとこない」など、猛烈な批判に晒される。そして「ワサ夫、何でもオレンジフラワーとホワイトムスク入れてごまかすなよ?」などと言われる始末。(←それは貴方の意見では?)

ともあれシャリマーフィルトル、この作品はどこか超えた。少なくとも自分はそう感じた。では一体、どんな香りなのか?

フィルトルをスプレーする。その瞬間、わきあがる金色の雲。爽やかなレモンの香りに包まれる。同時にほんのりハーバルな清涼感も寄り添っている。フローラル調のラベンダーの香りだ。レモン&ラベンダーは香料的にとても相性がいい。まばゆい春の陽射し。レモン色の雲。吹き抜ける青い風。それらが世界に色彩を与えてゆく季節、春を思わせる明るいイントロ。

5分後、レモンの高い酸味の下からベルガモットのシトラスが広がってくる。ベルガモットは豊かな酸味と苦みを加えつつレモンの黄色い香りを引き継いでいる。さらに、ラベンダーとカルダモンのスッキリ感、甘辛いクローブのほのかにスパイシーな風をはらみながら、春の庭園の様相を呈してくる。光。春の光。植物のシャープな葉の香り、風に揺れる野の花の香り、そして傷ついた樹木が出すツンと甘い樹脂の香り。そんな広大な野に出でて、少女が一人、若菜を摘んでいるようなイメージ。

このトップ〜ミドルは、シャリマーシリーズでいうとパルファム(P)の雰囲気に近い。ベルガモットを過剰投与したPに対して、フィルトルはコーラで言うなら、グラスコーラにレモンを丸ごと一個しぼって入れた超生絞りレモンコークな香りだ。フィルトルは、かなりPのイントロのシトラスの爽やかさにこだわって創っている。そしてこのシトラスが想像以上に長く続いてとても驚く。ミドルは、レモン&ベルガモットが5、ラベンダー1、スパイス1、フローラル1、トルーバルサム1、パチュリ1、的な構成で展開する。この比率が凄まじくいい。PとEDPは、次第にアニマリックとアンバー&ウッディが強く出てきて温度を下げ、艶っぽい夜の密会的雰囲気になるけれど、実際そこが濃厚で苦手という方も多かった。フィルトルは、P前半の爽やかさとスッキリ感をずっと保ち続けている印象。光に満ちた庭園の香り。これはデイタイムシャリマーだ。

やがて30分ほどすると、香りはさらに変化する。このままシングルノートで終焉かと思いきや、まさかのヴァニラアイス大量投入。さらにアイリスの甘いベビーパウダー香添え。レモン色の爽やかさを落とすことなく、白いヴァニラのわた雲な香りが広がってくる。そこにほんのり香るシナモン様トルーバルサムが超絶アクセント。これは悶絶級のクリーミー&パウダリー。そのまま、まろやかクリーミーな香りでドライダウン。付けてから5〜6時間。香り立ちは柔らかく使いやすい。これはPのシトラスとヴァニラを強調して重さを除いた、いいとこ取りの香水だ。

灰色の空の切れ間。突然現れた太陽の光が、雲のエッジを金色に染めてゆく。庭園の緑が鮮やかに色を取り戻す。あたりは瞬く間に光が満ち満ちてゆく。鳥が歌い、花々が揺れ、流れる水音が聞こえる。レモンとハーブと甘いバルサムの香りがしている。少女の白い服がホリゾントの光にまばゆく浮かび上がる。そして移ろうヴァニラホワイトの夢。

それは、太陽も恋する香水。光の庭園の媚薬、シャリマーフィルトル。

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ラルチザン パフューム / シャッセ オ パピオン オードトワレ

ラルチザン パフューム

シャッセ オ パピオン オードトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:100ml・22,220円発売日:-

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5購入品

2021/2/13 12:17:55

「ねえママ、リボンにママの香水つけてー。」
「香水?あ、シャッセ・オ・パピヨン?」
「うん。あの匂い、だーい好き。つけてつけてー!」

ちょっと待ってね。そう言ってドレッサーから香水を取り出す。金色キャップのシャッセオパピヨン。そう言えば、最近つけてなかった。そう思いながらソファーに戻る。

座った瞬間、娘がひざの上にドン!と座ってくる。重っ!!いつの間にこんなに重くなったの?こんなんで来月のバレエの発表会、大丈夫かしら?目の前にはポニーテールをまとめたブルーのリボン。そのリボンにシャッセオパピヨンをスプレーする。娘はパッと立ち上がり、ピルエットでクルクル回り始めた。その瞬間、ふわふわとシャッセオパピヨンのフレッシュフローラルの香りが広がる。ああ、やっぱりいい香りね。リビングに春の日射しが差し込んでいる。その明度が一段階上がったような気がした。

シャッセオパピヨン。1999年発売。調香師はアン・フリッポ。香調はフレッシュフローラルブーケ。持続は5〜6時間。表参道の路面店に通いつめていたOL時代に買った香り。

あの頃のラルチザンは、詩的な作品が多くて本当に素敵だった。金メタルのキャップ。色とりどりのラベル。とりわけピンク色のラベルのシャッセオパピヨンは大のお気に入りで、「これぞ自分の香り」とばかりに何本もリピした。夫と初めてデートしたときにもつけていた香り。そして娘が生まれてからもずっとつけてたけど、それでも最近はとんとご無沙汰してた。そりゃま、いろいろご無沙汰な年だし(笑)。40才過ぎて、何となく香りが自分に不釣り合いな気がして。大体いい年して「ちょうちょをつかまえて」って、ちょっと痛い気もする。

それでも。娘はこの香りが大好きだ。シャッセオパピヨンをつけていると「ママのにおい〜」っていつも抱きついてクンクンしてた。そしてときどき、こうやってリボンにスプレーしてあげるようになった。

白いリビングに、シャッセオパピヨンのトップの香りがふわふわ漂っている。それは柔らかくて濃厚なチュベローズと、爽やかなグリーンのガルバナムのミックス。緑の庭。そこに白い花の香りだけがそこはかとなく漂っている。その在りかを探して緑の園をさまようイメージ。蝶のようにひらひらと、美味しい花の蜜を求めて。

蝶は緑の葉と木々の間をふわりふわりと漂っていく。庭の奥からオレンジの花の香りもしている。爽やかで心和むしっとりした白い香り。心が癒される。そして森の入口に立つ、見上げるほどの大きな菩提樹。その梢に咲いた黄色いリンデンの花から、ほんのりマスカットのような甘くて冷たいハーバルな香りがしてくる。これらのロマンティックな花々の香りの奥に、本当に強く惹かれる白い花の香がある。それがチュベローズ。きっと森のどこかで夜を待ってひっそり咲く花。そのややプラスティックなファセットも感じる強い香りが、静かに大胆に、緑の園で舞っている。そう、最初はアダージオ、そしてグランアレグロ…!

そのとき、ゴン!アゴに激痛が走る。痛ッ!!踊り疲れた娘が急に胸に飛び込んできて、小さな頭がアゴを直撃した。ボクサーなら一発で沈むやつ。なんて言ったっけ、アッパー?だからやめてって言ってるでしょそれ!!思わず頭を軽くペチンとしようとして、不意に手を止める。

「…ごめんなさい」と上目遣いに見る我が子のつぶらな瞳。ひとしきり踊って汗ばんだ額の匂い。そっか。また急に抱っこしてほしくなったんだね。その瞬間、頬がゆるむ。

「んー、もう!!」

娘をぎゅっと抱きしめる。その小さな身体を腕全体で受け止める。

大っきくなったね。重くなったね。でも、この重さがうれしいよ。

抱きしめた娘の青いリボンから、シャッセオパピヨンの香りがしている。柔らかくて涼しげで、ふんわりしていて春の花を全部花束にしたように。うん。あげるよ。ママの心の花束、全部あなたにあげる。そして私は、娘の小さな耳元に囁く。

「つかまえた。もう放さない!」

娘がじたばた暴れる。本当に心から嬉しそうに。キャッキャ騒いで。


そこは緑も何もない日だまりの白いリビング。それでも私は今日、可愛らしいちょうちょをつかまえた。

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Cookieyukiさん
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ジャン デプレ / バラ ベルサイユ

ジャン デプレ

バラ ベルサイユ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2020/3/25 23:42:49

貴族が住んでいたらしく、何百年も経っていそうな趣のあるヨーロッパの建物。重い木製の扉には美しい装飾的な彫刻がなされている。よく手入れされた庭園の下草、落ち葉、小枝の散らばる地面をゆっくりと踏みしめながら歩いてみる。空気を含みフカフカ柔らかい歩き心地だ。

トップはそんなヨーロッパの歴史的建造物の庭から漂ってきそうな混沌とした植物の香り。朽ちた感じは全くなく、何世代にも渡って手入れされ続けた広い庭園。ツンと鼻に抜けるローズマリー、ほろ苦いグリーンのカシスの葉、ベルガモット、マンダリンオレンジ、レモン。柑橘類の精油というより、剥いている時に手についた皮の汁そのものの匂いがする。オークモスはクレジットされていないが入っていると思う。それがミドルノートのパチュリとベチバーと相まって、栄養分をたっぷり含んだ包容力のある土を感じさせる。

すぐに艶やかな薔薇が、素朴なネロリと遠い外国からやってきたジャスミンをお供に、植物の間を縫うようにお淑やかに現れた。園芸や造園をする人は知っていると思うが、庭に薔薇を植えると周りにある植物と仲良く手を繋いで香ってくる。「わたくし薔薇でございますわよ。他の方々とは違うのよ、オホホホホ。」とでしゃばった香り方はしない。ベルサイユの薔薇は本当は気さくでいい奴なのかもしれない。

ミドルでお白粉っぽさとセンシュアルな花がレザーにエスコートされてやって来る。着飾った貴婦人と歩く紳士は革の手袋をはめているのだろう。いかにも彼女の豪華絢爛なドレスから香ってきそうな匂い。

ウエストを極限まで細く見せるコルセット、内側に装着した鯨の髭のパニエでドアを通るのも大変なほど大きく膨らませたスカート、馬車に乗る時どうするのか心配になるほど、花、船、ダチョウの羽などで天高くそびえる髪型。ゴスロリ少女達も真っ青なフリルフリフリ、リボンヒラヒラ、レースチャラチャラな御召し物。職人技を集結させて作ったドレスの細部は美術館に入れるレベルに。絹の手編みレース、現代人がしたらブチ切れそうなほど時間がかかる刺繍を施した生地など機能性は果てしなくゼロに近い。働く必要がなく他にすることもないと、こんなことに情熱と財産を注ぎ込むのかと妙に納得。そんな舞踏会の様子を凝縮液体化したのがバラベルサイユ。

ラストは甘く堕ちていく樹脂、バニラ、アンバーなどが合わさった重い香り。色っぽいシベットも加わり1個1万円くらいする豪華な石鹸のよう。風呂に入らなかった貴族の中では珍しく、マリーアントワネットはお風呂好きだった。こんな石鹸を使っていたのかな。この香りを湯舟で嗅いでまどろんでいるうちにお湯の中に撃沈されそう。香水自体は延々と香り続けるほど持ちが良く、この素晴らしい石鹸の香りは半日から一日辛抱強く待たないと嗅げない。

正直言って、どこにフォーカスがあるのか、どこに向かうのかよくわからない香水。他に類を見ないほど複雑で重厚。ベルサイユ宮殿の豪華さに加え、貴族王族が舞踏会に来た時のドレスのゴージャスさがよく描かれているが。飾りでてんこ盛りになったスカートの下も見えないお洒落って事で、当然下着も絹でフリルとレースで飾られているのだ。男性からしたら???と思うほど現代の女性がブラに凝るのと一緒で親しみが湧く。そんな所にまで庶民からの年貢を使った挙句、「ご飯が食べられないのならお菓子を食べればいいんじゃない?」なんて言うから、怒った彼らに革命起こされるんだよ、というツッコミは横に置いておいて。

でも限りない贅沢感もたまにはいい。絡まった絹の糸玉の中から、飛び出した糸の端を摘んで引っ張り出すように、混沌とした香りの塊から、一種類ずつ嗅ぎ当てて味わうのが楽しい。

お見合いにつけていくと一発で破談にできるほど食事の邪魔だが、何故か紅茶によく合う。ただし、ほんのり上品に香らせた場合に限る。複雑さが年代もののブランデーなどの洋酒を思わせるからだろう。紅茶を入れる時つけると18世期の貴族になれる。

香水と紅茶の香りを楽しみながらくつろいでいるうちに、座っている椅子がアンティークの彫刻を施したマホガニー材と絹のベルベットの羽毛入りクッションで作ったものに、いつの間にかすり変わる。

まずい、このまま寝てしまいそう。どうやらヒトをダメにする椅子はロココ時代からあるらしい。

トップノート: ローズマリー、オレンジブロッサム、マンダリンオレンジ、カシア、ジャスミン、ローズ、ネロリ、ベルガモット、ブルガリアンローズ、レモン
ミドルノート; サンダルウッド、パチュリ、ライラック、オリスルート、ベチバー、イランイラン、鈴蘭、レザー
ラストノート:トゥルーバルサム、アンバー、ムスク、ベンゾイン、シベット 、バニラ、シダー、レジン

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ルイ・ヴィトン / コントロモワ

ルイ・ヴィトン

コントロモワ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

6購入品

2021/2/1 22:53:42

繰り返しになってしまうけれど、ルイ ヴィトンのフレグランスは、やはり初期7作品のレベルが桁違いに高い。
2016年にジャック・キャヴァリエが最初に提示した7作品は、どの作品も香りのレベル、マテリアルの確かさ、唯一無二のキャラクター、ストーリーの全てが揃っていて、触れるたびにその素晴らしさに圧倒される。

コントロ モワ(2016年)は、旅をテーマにした「レ パルファン ルイ ヴィトン」の5番目の作品。コントロ モワ(もっと近くに来て)は、マダガスカル産バニラ抽出液、マダガスカル産バニラエッセンス、タヒチ産バニラを3つのバニラを使った、ドゥーブル ヴァニーユならぬトリプルバニラの香り。

トップはフルーティ・シトラス。
スプレーすると、お菓子をような甘いベリーとオレンジから、飛び出すようなフレッシュなレモン。若々しく、キュートなオープニングだと感じる。

ミドルはフローラル・バニラ。
トップの香りはパッと消え去り、ハーバルグリーンに近いペアの硬さを合わせたようなマグノリアのみずみずしい香りが花開く。
さらにフローラル感が増して、オレンジフラワーの輪郭がはっきりしてくる。このオレンジフラワーには第1のバニラ(バニラ抽出液)が重ねられていて、フルーティな酸味と甘みのあるとてもフレッシュなオレンジフラワーに仕上げられている。こんなフルーティなオレンジフラワー、もしくはこんなフレッシュなバニラの香りには出会ったことがない。
奥からは乾いたウッディのようなビーンズ感の強い第2のバニラ(バニラエッセンス)がうっすら感じられる。

ベースはバニラ・ムスキー。
フレッシュなバニラが落ち着いてくると、フローラル部分が可愛らしいローズとムスクのキラキラした香りに変化していたことに気づく。そのムスクと、第3のバニラ(よく知っているバニラ)を合わせた白バニラから、最後は少しずつココアのビター感が増していく。

かつてないフレッシュなバニラの香りなので、しっかりバニラが主張するにも関わらず、真夏以外は違和感なく使うことができる稀有のフレグランスだ。

そして、コントロ モワには罠が仕掛けられた香りだ感じている。

香りがまったく異なる3種類のバニラを使いながら、表層はフローラルやフルーティを装っている。でも奥の方から官能的な甘さも漂っていて、気になって近づくと、とろけるような甘いバニラに酔わされる。でも、そのままとろけてしまうと思いきや、そのバニラの甘さもココアの苦みで隠されている。予期できない香りだと思う。

確かなマテリアルだけで充分戦えるのに、調香師のこだわりや技が冴えわたっていて、他のバニラフレグランスとは一線を画すキャラクターがある。

コントロ モワは最初はノーマークだったけれど、ヴィトンの店頭で触れるたびに、マテリアルの良さ以上に調香の妙に魅せられ、発売から3年後に入手し、今ではすっかり虜になった。
そして先月店頭にて、もっとノーマークだったミルフーを試したところ、キュートなフルーティの奥にある深みやクラシカルな心地よさを感じ、これも素晴らしい香りではないかと新しい発見があった。

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キリアン / ローリング イン ラブ オード パルファム

キリアン

ローリング イン ラブ オード パルファム

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50ml・30,800円発売日:2019/10/11

5購入品

2021/1/3 01:17:48

キリアンのローリングインラブはとても危険な香りだ。深紅のボトルに秘められたジュース。そこにはどんなに濃厚でセクシーな香りが潜んでいるのかと想像すると、たいてい肩すかしをくう。このセンシュアルなレッドボトルに充填されているのは、意外にも、とても穏やかでしっとりとしたクリーミーな香りだ。

ローリングインラブは、最初から最後まで、とてもマイルドなアーモンドミルクの香りがする。それのどこが危険なの?そう思うかもしれない。確かにそうだ。何年か前から飲み物としてもメジャーになった感のある、あのアーモンドミルク。本当にそんな香りがする。ちょっと嗅いでみただけでは。

ラグジュアリーな金メタルキャップをとってローリングインラブをスプレーする。最初にスッと鼻を通るのは、透明でビターな香りだ。すぐにビターアーモンドの香りだとわかる。ただし、このスッと抜ける苦味を嗅ぎ慣れていなければ「あれ、つけたのに何も匂いがしない?」と思うかもしれない。

5秒もしないうちに、コクのあるロースティーなアーモンドの香りがしてくる。それは塩をまぶしたあのアーモンドの匂いそのものだ。ご丁寧に塩味の雰囲気まできちんと再現されている。こんもりナッティーな雰囲気は、色で言うなら茶色。なぜこんなにもロースティーなアーモンド香を再現したのだろう?と疑問に思うほど。

数分後、ほんのわずかチェリーの甘苦い香りが抜けていく。そしてナッツの塩味がうすれ始めると、次第にミルクの香りがオーバーラップしてくる。あふれるほどのミルク。ナッツの茶色いコクに白いミルクがかかり、あたりはアーモンドミルクの淡いベージュ色の気配に包まれる。それは女性の柔肌の色、と言ってもいいかもしれない。ここからがローリングインラブの真骨頂。しっとりしたアーモンドミルクの香りが、どこまでも柔らかく広がってくる。甘さはあまりない。アイリスのパウダリー、ヴァニラのクリーミーも顔をのぞかせてきて、白一色になってくる。そこにほんのわずか、冷たい感じのフローラルのタッチがある。クレジットによればフリージアだろうか。鼻ででかぎ分けられるほどではないけれど。

このしっとり白いアーモンドミルクノートが、3〜6時間ほど、肌の上10cmあたりで続く。ラストはトンカビーンの甘さとホワイトムスクのフローラル感を保ちつつ、白くミルキーな香りのまま消えてゆく。

よほど鼻を近づけないとかぎ取れないほどの淡い香り立ち。最初につけると「ん?キリアンでこんな淡い香りなワケがない。これは偽物では?」と思うほど、他のキリアンより控えめで繊細な印象。本当に深紅のボトルの印象とはかけ離れて感じられる点。それでも。

ローリングインラブは、やはり危険な香りだと思う。なぜなら。

この香水には、エロティックな肉体の交わりを連想させる裏要素が、多分に込められているからだ。

アーモンドミルクの香り。言葉で聞くと心惹かれるが、アーモンドとはそもそも男性器を意味する言葉でもある。そこにミルクノートを寄り添わせた、ということは何を暗喩しているか推して知るべしということだ。男性のミルク、これは確実に裏メッセージとしてある。

さらにキリアンは、今回この香りをリリースするにあたって、しきりにスキンパフュームを作りたかったと言っている。女性の肌の下の匂い。それはこれまでのキリアン香水の打ち出してきた方向性とは真逆だ。これまでは、どちらかというと「これでもか」とばかりに香料をふんだんに取り入れ、濃厚な主張をする作品が多かったが、この作品は意外なほど内省的で裡にこもっている。もっと言うと「主張」とは真逆の「何かを吸いこむような香り方」をするように感じられる。もしも「女性の肌がアーモンドミルクを吸いこむように香る」としたら、それは愛の交わりそのもののイメージだ。

むろん深読みかもしれない。感じ方はそれぞれ異なるはず。ただ、鼻をよほど近づけないと、この香りが感じられないように作っているのは事実。それも計算づくだとすれば、さらに納得がいく。これはつけた人のプライヴェートゾーン、つまり超至近距離に入れる者にしか嗅げない香りなのだろう。その肌に口づけできる者にしか嗅げない香水。

ローリングインラブは、ミルキー、クリーミー、パウダリー、ムスキー、それら官能の多層構造をもつ白いミルフィーユ香水だ。時間が経つにつれ、特に女性の肌の上で、白く美味しくできあがっていく香り。愛し合う者たちだけが確かめ合える秘密の匂い。

真っ赤な唇から漏れる吐息。汗ばんだ肌は塩ナッツの匂い。狂おしい夜のしじまがふけてゆく。そして切ない獣の咆哮。二人はミルクの匂いに包まれ、一つになる。

恋に抱かれて、肉欲にまみれる。愛の中毒、ローリングインラブ。

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鳥の音さん
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プロフィール
  • 年齢・・・51歳
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  • 髪質・・・普通
  • 髪量・・・少ない
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  • 血液型・・・B型
趣味
  • ヨガ
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  • 読書
  • 料理
  • 映画鑑賞

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自己紹介

ご訪問いただき大変ありがとうございます♪ 様々な年齢の壁・敏感肌・ニキビ等と日々戦う40代でございます。 肌トラブルとは常に闘ってきました… 続きをみる

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