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Cookieyukiさん
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ゲラン / アンソレンス オーデパルファン

ゲランゲランからのお知らせがあります

アンソレンス オーデパルファン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:30ml・9,350円 (生産終了)発売日:2008/10/10

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7購入品

2021/4/3 12:20:41

アンソレンスをつけると昔、自分が女王様と呼ばれていたことを思い出す。いつも男の子5-6人に囲まれていたから。

そう書くとモテていたみたいだけど、彼らのお目当ては私ではなく私のクラスメイトの女の子たち。どうしたわけか、彼女らはみんなウルトラ級の可愛さだった。要するに私に恋のキューピッドになって欲しかったのだ。

彼らは気になる女の子がいるとまず彼氏がいるか探ってくれと私に頼んだ。誘導尋問が上手かった私は相手の女の子に気付かれないように探って彼らに伝える。するとお菓子がもらえる。私はそれを貢ぎ物と呼んでいたが、彼らにとっては単なる賄賂だったのかも。とにかく彼らの心は可愛い女の子にときめき、私の胃袋は美味しそうなお菓子にときめいた。

私に諜報活動を依頼してきた男の子たちは時々お洒落な高級菓子を持ってきてくれた。今から思えば十代の男の子が買うような代物でなかったので、親が誰かから貰ったお歳暮やお中元での頂き物の一部だったのかもしれない。どことなくアンソレンスの香りに似ているものも沢山あった。

トップのレッドベリーはラズベリー、苺、クランベリーを混ぜたような香り。レモンかベルガモットかの柑橘系の香りが薄っすらすることもある。ゼリーかグミみたいだけど大人向けだ。少し洋酒が入っているみたい。これに近いものをくれた男の子がいたな。

スパイラル構造というだけあって色々な香りが入れ替わり立ち替わり現れるがこのトップだけは常に同じ。そのあとはスミレの砂糖漬け、アメリカで売っているC.Howardのバイオレットキャンディ、ベリー系の赤いジャムが乗ったミニタルトなどの甘いお菓子を思い起こさせる香りが現れては消えていく。クランベリージュースとラズベリージュースを混ぜてウォッカを入れたカクテルのように思えることも。

「女を感じさせる」とか「ムラムラ系」とかの評も多いアンソレンス。2年前に旅行した時、空港でムエットをもらって、その可愛らしさとセクシーさが同居した香りにずっと憧れていた。ついに購入にいたったが、どうしたわけか私がつけると女を感じさせる色っぽい香りは全く出現しない。

その代わりちょっと捻りを入れた大人向けの高級菓子のオンパレード。トンカビーンズにはクマリンという塩漬けの桜の葉と共通の成分が含まれている。それが私の肌とミラクルな化学反応を起こして、バニラエッセンスの入らないクッキーやタルトなどの焼き菓子系の匂いに化ける。キャラメルやトフィーに似ている時さえある。

だから他人が何と言おうと香水は肌に乗せてみないとわからない。女性ホルモンを刺激してくれることを期待して買ったアンソレンスは食欲を刺激してくれた。他人に当てはまるかどうかはわからないけど、私がつけるとコーヒーに合いそうな洋菓子かベリー系カクテルの香りに化ける。フェロモン系成分はいったい何処へ?

そんなアンソレンスには意外な使い道がある。おゲラン様と熱狂的ゲランファンの間で炎上しそうな大反則だけど。

入浴中お湯にプシュッ。

立ち登るスミレ、レッドベリー、ウッディの混ざった色っぽい香り。ああ、素敵。うっとり。普通だったら古くなったり、あまり好きでない香水の消費方法として推奨されること。どことなく背徳感もある。

でもいいの。私は女王様と呼ばれた女。昔から女王様は◯◯風呂というゴージャスな入浴を楽しんでいた。クレオパトラやマリーアントワネットの薔薇風呂などの花であることが大半だが、西太后は母乳風呂で女を磨いていたとの説も。それだけのフレッシュな母乳を集める過程を想像するとある意味コメディでもホラーでもある。それに比べると私のスペシャル風呂なんてまだ可愛いじゃん。

「きゃーっ、いやーっ、アンソレンス勿体ない!やめてえ」という声は傲慢に無視。女王様は今日も入る。

スミレ風呂

トップノート: レッドベリー
ミドルノート: バイオレット、アイリス、アフリカンオレンジフラワー
ラストノート: トンカビーンズ、サンダルウッド、ウッドノート

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アトリエ・コロン / Oolang Infini

アトリエ・コロン

Oolang Infini

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

7購入品

2020/9/19 06:46:11

そういえばお茶系の香水をひとつも持っていない。お茶の香りが人気と知ると避けたくなる天邪鬼な性格が手伝って今まで試さなかった。

早速取り寄せたウーロンアンフィニをひと吹き。ベルガモット、ネロリ、ジャスミンがふんわり広がる。ゲランなどに代表される古典的で自己主張が強いものとは違い、柔らかさのある気取らない香りだ。ネロリの微かな酸味のあるフローラルノートも優しい。ジャスミンも穏やかでインドール臭が弱く万人受けしそう。

万人受けを嫌う私の心の中で葛藤が。本心は大好きだと言っているのに、ひねくれた自我がこれを嫌いと言えとささやく。どうしようと思っているところにお茶のいい香り。甘味、苦味、渋味、酸味のバランスが取れていて美味しそう。

あーいい香り。思わず深呼吸。

でも烏龍茶って香りあったっけ?

その瞬間ふっと90年代初めのある場所の記憶が蘇った。この匂いは確かにそこで嗅いだ。アメリカに来て間もない頃だった。

ニューヨーク、チャイナタウン。なんとしても生き抜いてやるという情熱が渦巻くパワフルな場所。

警察官の友人から聞いた、中華街とんでもエピソード。ある事件捜査のため上官命令でアパートの一室に踏み込んだら、十畳ほどの部屋に三段ベッドがぎっしりあって、20人ほどがそこで寝泊まりしていた。彼らはひとりっ子政策で戸籍さえ持たない貧しい人達。生存を懸けて10万ドルで悪徳業者に身売り。アメリカに貨物に紛れて密航し、治外法権な中華街で無賃金で朝から晩まで労働。彼らの賃金は代わりに悪徳業者に支払われ、それが10万ドルになったら晴れて自由の身という契約らしい。

言葉も習慣も違う場所に来て、八方塞がりに思えて落ち込んでも、チャイナタウンに行くと勇気が出た。そんなふうに命からがら異国に来て、朝から晩まで必死に働く彼らより、ずっと恵まれている私は甘えていると思った。

ひしめき合う人混みの中をぶつからないように歩く。小綺麗な横浜の中華街とは異なりゴミがたくさん散らばっていて、怪しい偽造品を売る店の呼子の声がうるさい。下手に横道に足を踏み入れると生きて出られそうもなく、昼間でも薄暗く感じる。しばらく歩いていると何処からかお茶のいい香りが漂ってきた。日本のお茶屋さんとはまた違った、お茶を炒るような香りが道路まで広がっている。そこだけ透明な空気に包まれたかのように。

今思えば高級なジャスミン茶や烏龍茶の混ざった匂いがウーロンアンフィニのミドルにそっくり。ふらふらと吸い込まれるように店内に入る。量り売りのお茶の入ったガラス瓶がずらりと並んでおりその前にサンプルのお茶葉が置かれている。中国系の他のお客さんの真似をして私も片っ端から嗅ぎまくった。100gあたり数万円するお茶のサンプルも出ていて容赦なく匂いだけ味わった。

値段もピンキリで高いものは茶葉の段階からフルーツのような僅かな発酵臭を伴った不思議な清涼感がある。ウーロンアンフィニからはお茶だけではなくて古びた、でもよく手入れをされたカウンターのような木の香りも感じられる。ガイアックウッドらしい。ベチバーが渋味と苦味のある調味料的に僅かに使われていて、ガイアックウッドとお茶をうまく結びつけている。レモンに似た柑橘系の香りがドライダウンで蘇ることも多々あり。

大人気を博した漫画「美味し◯ぼ」にあった「いいかい学生さん、トンカツをいつでも食えるくらいの身分になりなよ」という名言と自分がかぶる。その時私はお茶屋さんで高級茶をいつでもサラッと買えるくらいの身分になりたいと思った。

今チャイナタウンはどうなっているんだろう?

早速行ってみるとシャッター街と化し全く元気がない。前述のお茶屋さんは閉まっていたが、ポツポツと営業している店もある。そこそこの品質のお茶を売っている店を見つけて、昔飲んだことのある凍頂烏龍茶を少し買った。

家に帰ってお茶葉にお湯を注ぐ。手揉みで丸めた濃い緑に焦げ茶色が混ざった葉がゆっくり開いていく。マスカットやジャスミンに似た芳香が立ち昇る。途端に透明な空気がサッと広がる。

緑色がかった薄黄色の透き通ったお茶をすする。ほんのりした甘味の奥底にある心地よい苦味。ウーロンアンフィニは高級烏龍茶の芳香、味、透明感を香水として見事に再現したようだ。

お茶を味わいながらウーロンアンフィニをつける。私を奮い立たせてくれたチャイナタウンが立ち直ることを願いながら。

トップノート: ベルガモット、ネロリ
ミドルノート: 烏龍茶、レザー、ジャスミン
ラストノート: ガイアックウッド、ベチバー、タバコフラワー

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ゲラン / ナエマオーデパルファン

ゲランゲランからのお知らせがあります

ナエマオーデパルファン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

7購入品

2021/7/1 04:48:19

薔薇の香りは好きだけど嫌い。良家のお嬢様のどこか気取った雰囲気があるから。淑女のイメージが強すぎてつまらない。自他ともに認めるフリーダムな雰囲気の自分には似合わないと思っていた。

でもナエマは特別。サンプルを試した後で100mlのボトルを衝動買い。身も心も焦がすような情熱的な恋の香りがするから。

トップは切ったばかりの薔薇の茎を思い起こさせるグリーンな香り。シャネル19のトップのグリーンを柔らかくしたよう。この苦い香りは比較的早く消える。ベルガモットとアルデハイドがうまく華やかさを醸し出している。

私の肌の上だとこの後ピーチが強く香る。熟しきって今まさに食べごろのジューシーな桃。白桃と外国のピーチの丁度間くらいの、成熟した女性を思わせる甘い香り。香水をつけ始めたばかりの若い女の子のモテ香水によくある可愛いピーチとは全く違う上品なセンシュアルさがある。

そしてややパウダリーな薔薇の香りが少しずつ現れる。薄い花びらのビロードのようなしっとりした肉感、触った時のヒヤッとした感触まで表現されている。その薔薇の花弁が一枚一枚開くのを撮影して高速で再現したかのよう。色で言うと赤というよりオレンジがかったピンクかな。いかにも口紅にありそうなモテを狙ったような色の。薔薇から蜂蜜が取れるかどうかは知らないが、花の中心にこっそりと甘味な蜜を蓄えているのではと錯覚する。

イランイラン、ジャスミン、ライラックなど輝くばかりのフェミニンさ。それでも色気止まりで安っぽいセクシーさにならないところは鈴蘭の清潔感のある香りが効いているからだろう。手を伸ばせばすぐ届きそうではなくて、男性の狩猟本能を掻き立てるようなちょっとした距離を感じる。明らかに自分に興味を持って近づいて来ているのだが、手を伸ばして抱き寄せようとするとその腕からするりとすり抜けていきそうな。

ラストにはパッションフルーツが使われているが、これは割合早くから香り始め、ミドルとラストの橋渡しをスムーズにしている。サンダルウッドは人肌に似たニュアンスがあって男性的にも女性的にも転ぶ香料だが、ここでは明らかに女性度マックスだ。バニラが使われているが食べられそうというより、明らかにインセンスに使われていそうな少し乾いたバニラ。

ナエマをつけていると自分の女性性を素直に受け止めようという気持ちになる。普段だと小っ恥ずかしくなるほどフェミニンなシルエットのドレスを纏い、いつもはピッタリと束ねている長い髪を下ろして、ヒールを履いて歩いてみる。風になびく髪に長いドレス、そしてナエマの香り。こんな一面がわたしにもあったなんてと正直驚く。感情と官能が自由になった感覚は慣れると心地よい。

日本では想像できないかもしれないが、私の住んでいるアメリカでは女性はいくつになっても恋愛を楽しむ。そもそも「おばさん」「おじさん」にあたる言葉がなく、女性は死ぬまで女性で男性は死ぬまで男性という認識だ。歳の差カップルも当たり前だし、日本では老人のカテゴリーに入れられる人もパートナーを探している。どんな年代でも男女問わずセクシーであるために努力をする。まあ、これは人にもよるが。

誰にも言わないけれど女の胸には時々花火が上がっている。長持ちする愛ではなくて、夜空に一瞬だけ大輪の花を咲かせ、儚く消えていく打ち上げ花火は恋のよう。男性の心に鮮やかな印象を残して潔く消えていく。

ナエマはそんな熱い恋の香り。

トップノート: 薔薇、ピーチ、アルデハイド、グリーンノート、ベルガモット
ミドルノート: 薔薇、イランイラン、ヒヤシンス、ジャスミン、ライラック、鈴蘭
ラストノート: サンダルウッド、バニラ、トゥルーバルサム、ベチバー、パッションフルーツ

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シャネル / ココ オードゥ パルファム (ヴァポリザター)

シャネルシャネルからのお知らせがあります

ココ オードゥ パルファム (ヴァポリザター)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50ml・15,400円 / 100ml・21,560円発売日:-

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7購入品

2020/1/10 14:22:11

Little girls are made of sugar and spice, and everything nice.

小さな女の子はお砂糖とスパイスと全ての素敵なもので出来ている。

COCOのトップはオレンジ、熟しきって洋酒になりかけた桃、クローブ、コリアンダー等の温か味のあるスパイス。それらが甘い蜜のようにとろりと煮詰められている。

ミドルからは体調、温度、湿度、季節によって色々に変化。豊潤な薔薇とジャスミンを中心としたフローラル、子供の頃憧れた外国の白粉、エキゾチックなスパイシーアンバーと万華鏡のようにくるくる表情を変える。時間差でその全部が味わえる時も一種類だけの時もあり、それが楽しくて冬の定番の一つになった。

ラストノートも然り。バニラ、オポポナックス、トンカビーン、サンダルウッド、シベット、ムスク、アンバーが毎回組み合わせを変えて香り立つ。

活動的でエレガント。知的で官能的。フォーマルで親しみやすい。古典的で現代的。甘くて辛い。柔らかくて刺激的..... 香りから次々と出てくる矛盾する言葉。

ジャックポルジュは調香の依頼があった時にココのアパートを訪れた。バロック調インテリアのとても現代的な部屋。装飾的で機能的。曲線と直線の織りなす美。相反する魅力が押し寄せる。孤児だったココが登ってきた険しすぎる道のイメージは微塵もない優雅さ。

才能、ルックス、野心のある若い子なんて古今東西掃いて捨てるほどいる。当然ココの生きた時代も。それなのになぜココが歴史に名を残すような名士と交流して浮名を流し、デザイナーとして大成功を収められたのか。それは頭の良さだと思う。

アメリカのあるセクシー系女性雑誌の記者が大会社の社長やCEOにどうしたら彼らと結婚できるか聞いた。驚くべき答えは「知性と教養があること。綺麗で優しいだけの子なんていくらでも寄ってくる。一晩の遊び相手ならいいけど結婚は絶対無理。僕が一生懸命稼いだお金を浪費する奥さんはいらない。資産管理流用できる頭の良さと僕の相談相手になれる知性が欲しい。」
 
頭が良いイコール高学歴と思った人、それは全く違う。

人類文化学者の欧米人女性がアフリカの奥地にフィールドワークに行き現地人と仲良くなった。そこで男性が集まってお喋りしているところに行って軽い気持ちで質問してみた。「自分より遥かに頭のいい女がいたらどうする?」「当然結婚する」と彼ら全員が即答。「一緒に住んでどうやったら賢くなれるか教えて貰う」すぐ誰かが仲間を呼びに行き、彼女はあっという間に村中の未婚男性に囲まれた。「ねえ、その頭のいい女どこにいるの。すぐ連れて来て」とせがまれて彼女は困ってしまった。いつ猛獣や自然災害に襲われるかもしれない、隣の部族が攻めてくるかもしれないアフリカの奥地では頭がいいと生き延びるチャンスが増えるのだ。

頭の良さ、知性、教養とは強くしたたかに生き抜くための知恵。孤児院出の彼女が頼れるのは自分だけ。ココは必死で教養を身につける努力をしたのだろう。「男の人には小鳥の重さほどの負担もかけたいと思ったことはないわ。」と、名誉も地位もある男性にプロポーズされまくり断りまくったココ様の素晴らしいお言葉。しかも「公爵夫人は何人もいるけど、ココシャネルはただ一人」と言い放つ潔さ。帽子作りからキャリアが始まったが、帽子が作れるだけなら成功出来なかったはず。本人も男好きのするルックスで最初は運良く金持ちに囲われた程度だったかもしれないが、知的なボーイ カペルに影響されてココは変わった。彼女のアパートにある膨大な量の本は彼女の優れた知性と若い頃からのたゆまぬ努力を物語っている。

事実ココはストラビンスキー、ディアギレフ、ジャン. コクトー、ウェストミンスター公、チャーチル等と親交が深かった。その時代の芸術家、政治家、名士と交流できたのは彼女に彼らに匹敵する知性と教養があったから。

知的で艶やか。貴婦人のように上品で野生動物のような美しい危なさ。人に見えないところで努力しまくり、用意周到に相手のことを調べて、なにくわぬ涼しい顔をして近づきチャンスを待つ。茂みに隠れて息を殺し獲物を狙う雌ライオンのように。COCOは獅子座の女を地でいく彼女に似つかわしい。

大人になった女の子も相変わらずお砂糖とスパイスと世界中の素敵なもの全てで出来ている。でも...

お砂糖とスパイスはスーパーマンと同じくらい強くて、アインシュタインくらい賢くて、ナポレオンほど策略家でもいい。COCOは男性に甘えて頼るのではなく、切磋琢磨しながら共に生きることを選んだココ シャネルの気高く美しき香り。

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フレデリック マル / アン パッサン

フレデリック マル

アン パッサン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:10ml・6,600円 / 30ml・18,150円 / 50ml・23,100円 / 100ml・33,000円発売日:- (2018年11月追加発売)

7購入品

2021/5/22 03:55:44

去年の冬に手に入れたものの、ライラックの季節まで待つつもりで今までつけなかった。近所に生えているお気に入りのライラックと嗅ぎ比べしたいと思っていたから。

つけたてはウォーターノートと微かなキュウリの匂い。あからさまにキュウリを切った時の匂いがするわけではないので、瓜系が苦手な人もこの部分さえやり過ごせばOK。とはいえ始めてつけた時はこれって本当にライラックかと心配になった。5分ほど待つとライラックのグリーンさのある甘い香りが広がりだす。花だけでなく茎と葉の匂いも混ざっているようだ。アンパッサンは通りすがりという意味らしいが、その名前通り風にのって運ばれてくるライラックのごとく爽やか。見事な再現香だ。

ライラック全般の花言葉は「思い出」。紫のライラックに限っていうと「初恋」。薔薇やジャスミンのように華やかであからさまに官能的ではない、静かで穏やかな美しい香り。

バレエの好きな人は知っている「リラの園」という有名な作品がある。このバレエ作品を香水で表現したらアンパッサンの香りそのものだと思う。ライラックのことを日本ではフランス語読みに従ってリラと呼ぶ。愛する恋人がいながらも親の決めた男性と結婚することになったキャロラインという若い女性の心情を美しい音楽と共に綴ったものだ。

舞台はキャロラインのお別れパーティ。ライラックの咲く庭に友人やお世話になった人が訪れる。彼女が一番会いたいのは恋人だ。彼女の着ている純真さを表す白っぽいドレスはアンパッサンに含まれるプチグレンの透明感を視覚化したよう。当然、未来の花嫁の暗示もある。面白いことにプチグレンはビターオレンジ、ネロリと同一の植物で、ビターオレンジが皮、ネロリが花、プチグレンは葉、茎由来だ。それなのにプチグレンには若々しいフルーティフローラルのニュアンスがある。

未来の夫は冷静で物腰が柔らかいザ・紳士で、彼女が心を開いてくれるのを待つ余裕があるように見える。服装からするとキャロラインの身分より上でかなり年上っぽい。これは玉の輿結婚か。

そこに彼の元カノ登場。衣装からするとキャロラインよりも少し年上だと感じた。ライラック色の入ったドレスは(バレエ団によっては他の色の場合もあるが)思い出になってしまった人だからだろうか。まだ未練たっぷりで元カレが結婚して自分以外の女性のものになってしまうのを悲しんでいるようだ。バレエに台詞はないがキャロラインに対して「あなた、本当は恋人の元を去りたくないのよね。考え直して。」という感情と嫉妬が動きから垣間見える。

キャロラインの恋人は爆発しそうな愛情と悲しみを懸命に抑えている。沢山の人に囲まれているのでその感情の赴くまま彼女に接することはできない。色々な人が彼女にお別れを告げる中で四角関係の心理劇が進行する。身分、バックグラウンドはわからないものの、キャロラインはライラックのように素朴で純真な女性として描かれている。アンパッサンの中核をなすライラックとプチグレンも人の手を加えない大自然を思い起こさせる。わざわざ花屋で買ったというより庭や野原に生えていたものだ。

最後のシーンで登場人物の動きがキャロラインを除いて全員フリーズする。まるでリモコンのStopボタンを押したかのように。彼女は婚約者の腕をすり抜けて恋人の元に歩み寄る。まるでマネキンのように静止した恋人に触ろうとしてためらう動作が切ない。「もうこの人に触れてはいけないんだ」と自分に言い聞かせているのだろう。

結局ビデオを巻き戻したかのように婚約者のところに戻る。それと同時に全ての登場人物がまた動き始める。まるで何もなかったように。パーティーの終わりにキャロラインに恋人がこっそりとライラックの花を手渡すところで幕を閉じる。貴方は思い出になってしまうけれど一生忘れませんという気持ちが胸に刺さってきて痛い。

アンパッサンのラストでは小麦のノートが香る。小麦といっても収穫を迎え房を垂れたものではなく、まだ成長の途中で穂の中に養分を蓄え出した青い小麦だ。草のような香りと穀物の香りの丁度中間。人間の一生で言えば思春期を超えて結婚を考える年齢になった頃の時期か。

思い出になってしまった若い頃の切ない恋の経験は誰でもあると思う。風のように心の中を吹き抜けていったライラックの香りみたいに。そんな甘酸っぱくてちょっぴりほろ苦い青い恋愛を思い起こさせるアンパッサン。
 
シングルノート: ライラック、ウォーターノート、キュウリ、プチグレン

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プロフィール
  • 年齢・・・55歳
  • 肌質・・・乾燥肌
  • 髪質・・・硬い
  • 髪量・・・多い
  • 星座・・・牡牛座
  • 血液型・・・B型
趣味
  • 音楽鑑賞
  • ヨガ
  • お酒
  • エクササイズ
  • 料理

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自己紹介

アロマセラピーの勉強をしているうちに香水の魅力にはまりました。皆さんの口コミをいつも楽しみにしています。外国在住のため日本で手に入りにくい香水の口コミ… 続きをみる

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