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Cookieyukiさん
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Etat libre D'orange / コロン(あぁ、いい香り)

Etat libre D'orange

コロン(あぁ、いい香り)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2020/6/18 21:11:57

最近心に余裕がない。職業上、常に音楽を聞いているから、プライベートでは全く聞きたくなくなった。人と話すことが仕事の大部分なので、休日は誰にも会いたくない。食欲もないし、よく眠れない。五感を閉ざしつつあるのでは?

自分、大丈夫か?気になる。確かめたい。このコロンがいい香りに思えたらまだまだ私は頑張れるってことね、と前の方の口コミを読んで勝手に解釈。

仮説: コロン(あぁ、いい香り) が楽しめたら私は大丈夫

それでは早速検証。

ベルガモットの鮮烈な香りが僅かなグリーンを伴って弾けるトップ。ベルガモットの香りが好きな人が大喜びしそう。ここからおじ様系フゼアに転ぶかと思いきや、予想を裏切って潔くベルガモット一直線だ。

私には朝風呂に入る習慣があり、その後で色々な香水をつけて楽しむ。寝ぼけ眼でシュッと吹き付けるのだが、このコロンはなかなかいい。酸味の強すぎる香りをつけると「起きろ、コリャ」と言われているみたいだが、これなら「ねえ、起きてぇ」と優しく呟かれているみたい。

ベルガモットが入っているのはよく分かる。でもその他にレモンやグレープフルーツ以外の柑橘系が入っている。30年間毎日ほぼ完全自炊の私。食べ物の匂いを嗅ぎ分ける自信あり。蜜柑やオレンジじゃないな。もう少し香りの甘みが弱い。

クレジットを見るとブラッドオレンジとある。あまり市場に出回っていないが、皮を剥いている時の香りは蜜柑より甘さがなく多少の苦味がある印象。味はジューシーでグレープフルーツと蜜柑の間くらいの甘さだ。

私だけかもしれないが、コロンという言葉にはレモンやグレープフルーツなどの柑橘系で、シャワーを浴びたばかりのイケメン又はお姉様が、素敵な笑顔ですれ違いざまに振りまく爽やかな香りという先入観がある。それに比べてベルガモットが豪奢で重厚な感じで色っぽく、コロンとして一味違う処方だと思う。

ベルガモットを堪能するうちに思いついた。これをつけて普通の紅茶を飲むとアールグレイに化けるのではないか?発想としては小学生がカレールーと野菜とお肉を別々に食べたらお腹の中でカレーになるのでは?と思うのに似て情けない。

でも迷わず実践。お湯を沸かしてリ◯プトンの普通の紅茶を入れている間にコロンを手首にひと吹き。そして紅茶を口に含む。

うん、思った通りいける。流石にアールグレイには変身してくれないが、ベルガモットの香りと紅茶そのものの香りが重なって鼻にも舌にも美味しい。手首と紅茶の間を鼻が行き来する光景はかなり怪しい。自宅でよかった。

ミルク入れたらどうなる?ゴクッ、これもいい。

そういえば濃いコーヒーをバニラアイスクリームにかけるデザートがあったな。アフォガートだったっけ?それの紅茶バージョンはどうかな?コロンの香りと合うかな?

当然やってみる。バニラアイスに濃い紅茶をタラーリ。耳を澄ますと一瞬ジュワッと小さな音。紅茶の温度でアイスクリームが溶けて、冷たい溶岩のように少しずつ紅茶の池に沈み、透明な赤茶色とマットなクリーム色がマーブル模様を描く。コロンのベルガモット、紅茶、バニラの香りがふんわりと私を包む。手首の匂いを嗅ぎながら食す。溶けかけたアイスクリームの滑らかな甘味と紅茶の香ばしい苦味が舌の上で広がる。そういえば五感を研ぎ澄ませて食べ物を味わったことなんて最近なかったな。

アフォガートを楽しんでいるところにミドルノートのジャスミン、オレンジの花の香りが乱入。アイスクリームが少し溶けかかったとこはジャスミン&オレンジの花ソフト、ベルガモット添えだ。観光地でラベンダーソフト、薔薇ソフト、藤ソフト等があるが、それのバリエーションね。

ラストノートはブラッドオレンジの皮を思わせる少し苦味のある甘い薄い香り。それがドライなムスクと僅かなレザーと混ざって、深呼吸したくなる。

「あぁ、いい香り。」思わず声に出す。

だんだんお腹が空いてきた。アフォガートだけじゃ物足りないな。ベーコンを焼いてパンに挟んで食べる。あれ?コロンが邪魔にならない。レザーのせいかどことなく煙った雰囲気もあるラストノートが、ベーコンのスモーキーさと意外と合うのかも。

お腹いっぱいになったのでころんと横になり昼寝。コロンだけに。起きたらまた頑張ろうという気になった。

結論: 五感が蘇った。人間の三大欲求のうち食欲と睡眠欲は無事だったと判明。

私はまだまだいけそうです。

トップノート: ベルガモット、ブラッドオレンジ、グリーンノート
ミドルノート: ジャスミン、オレンジフラワー
ラストノート: ムスク、レザー

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セルジュ・ルタンス / Jeux de peau(パリのバゲット)

セルジュ・ルタンス

Jeux de peau(パリのバゲット)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:50ml・11,000円 (生産終了)発売日:-

5購入品

2022/11/12 03:02:39

トップは小麦ノートとミルクノートだなんてとても魅力的。

私は自分でパンを焼くのだが、捏ねている時も焼いている時もいい匂いだと陶酔している。しかも焼く前のパン生地は表面がスベスベ、ムチムチして弾力があって赤ちゃんのほっぺみたいだ。それを指でツンツンしてひとりで喜んでいる。他人から見たら変態と思われそうだが自宅だからいいのだ。その幸せな香りが香水で味わえるなんてとウキウキ期待しながら肌にのせる。

ん?

ふわふわの優しい香りとこんがり焼けたカリカリのクラストのパンは何処に?

確かに小麦粉を使った食べ物の匂いがする。そして油分も感じる。しかしそれはパンではない。こんな風に感じるのは私だけかもしれない。焦る。これは高級ブランド、セルジュ・ルタンスだ。こんなこと言ったら絶対ファンにしばかれる。

でも勇気出して言う。

カリントウの匂いしない?

それはそれで好きだけど。

小麦粉を牛乳で練って生地を作って油で揚げて、熱いうちにコクのあるトロリとした黒蜜を絡めて乾燥させる。。普通カリントウには牛乳入ってないけどミルク感は多少感じるので無理やり加えてみた。ああ、考えるだけでお腹すいてきた。

カリントウの黒蜜の香りが穏やかになってきたあたりでリコリスの香りが強まった。リコリスの木の枝を嗜好品として売っているお店があって買ったことがある。マッチ棒の2倍ほどの長さで爪楊枝の4倍くらいの太さの枝が箱の中に入っている。それをガジガジかじって味わうのだ。ウッディで多少スパイシーな甘みが口いっぱいに広がる。噛んでいるうちに香りも口腔内から鼻に抜けていき、その時に風味や香りを感じるらしい。かなり写実的なリコリスの再現香だ。

ミドルノートはほんのりした温かみを感じるスパイス、ウッディなリコリス、なんとなく菊に似た薬草っぽいイモーテルの香りのバランスが良い。香りにオイリーな厚みを感じるのはココナッツか。ココナッツは取り扱いを間違えるとあからさまで幼稚な印象になりやすい香りだと思うが、ここではかなり洗練されて他の香料とよく馴染んでいる。パンだからバターっぽい香料を入れる手もありだけど、それじゃ食べたら一瞬でなくなるけど作ったら半日くらいかかるクロワッサンみたいなよそいきのパンになってしまう。家庭でお母さんが焼いたようなパンのイメージから遠ざかる。

ミドルノートでようやくパンらしき香りに落ち着く。パンは西洋人にとって家庭の象徴だ。今でもパンを家庭で焼く人も多い。セルジュルタンスは孤児だったそうだが、パンの香り→温かい家庭の香り→抱きしめてくれる母親の温もりという発想なのだろう。

これは完全に秋冬の香り。特に晩秋。ツイードのジャケット、セーター、ウールのパンツで公園を散歩する。落ち葉が厚く積もった森のなかの小道を歩く。葉の中に小枝も混ざっていて時々足元からパシパシッと軽い乾いた音がする。足の裏で時々ドングリらしき小さな球がムニュッと動くのを感じる。落ち葉の匂いとJeux de peauはとてもよく合うので自然の中を歩く時につけることにしている。

感心したのはラストノートがよく作り込まれていること。最近は買い手の心を掴むためにトップノートだけに力を入れてラストノートをないがしろにした香水が多くて残念に思っている人におすすめ。

パンの狐色のクラストの僅かに焦げた香ばしい匂い、サンダルウッドの香り、人肌によく似た匂いが立ち替わり入れ替わり現れる。肌の上で香りの鬼ごっこか?

今日もよく晴れた綺麗な秋空。Jeux de peauをつけて紅葉の公園を散歩。公園のすぐ近くにあるベーカリーからパンを焼くいい匂いがプーンと漂ってくる。フラフラと吸い寄せられていく。

あーあ、みんな美味しそう!買っちゃえ!

沢山買ってしまった。必要以上に。これをつけているとパンの匂いに敏感になって困る。本当のところはパンを買う言い訳としてつけているんだけど。
 
トップノート: 小麦、ミルク
ミドルノート: リコリス、ココナッツ、イモーテル
ラストノート: サンダルウッド、アプリコット、金木犀、スパイス、ウッディノート、アンバー



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アトリエ・コロン / Rose Anonyme

アトリエ・コロン

Rose Anonyme

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2020/10/9 03:33:27

ベルガモット、ジンジャー、薔薇が第一陣として飛び出してくる重めのトップ。クラシックとまではいかないがそれに近い雰囲気がある。以前口コミしていた方が「ローズというより漢字の薔薇」と表現していて印象的だったが、全くその通り。

しかも色は黒味がかった深い紅。赤というより紅がふさわしい。厚くしっかりした花びらで、まるで蜜のような濃い香りがする。完全に私見だが、薔薇の色の濃さは加えられたパチュリの量に比例して濃くなると思う。

アロマの世界をほんの少し勉強したことがある。色々な精油を嗅ぐことから始まり、精油同士を混ぜて新しい香りを作ることが出来ると知った。面白いのはパチュリを花の香りに混ぜると深みが出ること。やがてローズ、イランイラン、ゼラニウムなど様々な花の香りにパチュリを混ぜて遊びだす。どんな花でもパチュリが沢山混ざれば混ざるほど、ノワールという言葉がよく似合う夜向きのセクシーで重厚なイメージに変化していく。それと共に花の色も濃く感じるようになる。

ローズアノニムの場合はかなりの量のパチュリと共にウードが入っている。ビロードの質感の花びらはまるで中世の宮廷の庭に咲く紅の薔薇。現代ならゴスファッションに身を包んだ人が好みそう。ゴスロリじゃなくてあくまでもゴス。膨らんだフリルのスカートなどキャピキャピと可愛さを求めない、ある意味魔女的でパンキッシュな方。もともとゴスはゴシックの略なので中世の雰囲気たっぷり。

同時に中東、シルクロード周辺の国の人から漂ってきそうな香りでもある。シングルノートだが途中で薔薇のジャムかトルコの激甘定番土産、ターキッシュディライトのような煮詰めた甘さのコッテリした香りになる。どことなくほろ苦いカラメルのようになることも。

その甘さが和らぐと瑞々しいばらの香りが現れる。気付いたら真紅の薔薇がいつの間にか淡いパステルピンクと黄色のばらになっていた。今度は「ばら」ね。薔薇じゃなくて。葉や茎の青さが混ざった、田舎風の庭に咲いているような素朴な香り。この青味はパピルスかな?パピルスの匂いを嗅いだことがないのであくまでも想像だが。

それにしても何をどうしたら普通トップとミドルで消えるはずのグリーンなニュアンスのばらの香りがラストノートで出てくるのか?アトリエコロンは欧米諸国で大人気だが、その理由はこんなところにもあるのでは。

不思議なことに最後の最後、ばらの香りが消滅した後に残るのはかなり動物的なムスクに似た香り。クレジットされていないがアンバーが混ざっている気もする。天候などの条件の違いでこの興味深い香りが出る時と出ない時がある。実のところはオポポナックスとベンゾインではなかろうか。いい意味で人間臭い、人肌恋しくなる匂い。

私は職業上、男女年齢関係なく他人に相当近づくことがある。そのため香水をつけていない男性で、こんな肌の匂いの人がかなりいるのに気づく。「おまえは彼女か!」とツッコミを入れたくなるほど接近して初めてわかる微かな匂い。決して嫌な匂いではなく、むしろ男の色気の匂い。この独特の匂いがするのは筋肉質な二十代から四十代くらいの男性だから。

これってもしかしてムスクスキンの香り?少し前に人の肌の匂いにはスイート、ムスク、ウッディ、ニュートラルなどがあるのをどこかで読んだ。

女性の場合は香水をつけていなくても、何かしら香料の入っている化粧品、シャンプー、クリームなどをつけている場合が多い。そのためこの独特の匂いを感知するのは難しいが、肌からこの匂いを放つ人が確実にいる。香り立ちは幾分女性的ではあるが。

「匿名の薔薇」というタイトルが暗示するように老若男女誰でもつけられると思う。ただし似合うかどうかはその人の持つ雰囲気によってかなり限定されそうだ。重厚、陰のセクシー、妖艶、落ち着きといったキーワードが似合う人ならいけそう。ゴスロリには似合わないがゴスにはどハマりする。

現在の職業柄絶対タブーだが、私は中世を彷彿とさせるゴスファッションに染まりたいとかねがね思っている。全般にヨーロッパ中世、近世の雰囲気のある服装が大好き。ゴス、つまりゴシックより時代は後だが、お目目にお星様がキラキラ入ったベル薔薇の世界にも憧れていた。でもなれないんだな、ベル薔薇には。

じゃあ、ゴスファッションを纏いローズアノニムをつけてなってみようじゃないか。

ゴス薔薇に。

シングルノート: 薔薇、ウード、パチュリ、ジンジャー、ベンゾイン、オポポナックス、パピルス、ベルガモット

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グッチ(海外) / メモワール デュヌ オドゥール

グッチ(海外)

メモワール デュヌ オドゥール

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:-発売日:-

5

2019/12/3 04:33:03

巨匠調香師アルベルトモリヤスの力作。「思い出の香り。」ど直球な捻りのない名前。透明な緑のアール・デコ調の瓶に金色の蓋。ひいお婆ちゃんの鏡台から拝借したような、ザ昭和一桁な感じがかえっておしゃれで良い。手触りもいい感じで、どんな香りなのか嗅ぐ前からワクワクがとまらない。渋い緑の箱の星もレトロなイメージで素敵。

プシュッ!

え.....これって何かの医薬品?(漢方薬ではない) もしかしてこっそり中身入れ替えた?香水とは思えない金属質な香り。小学校の理科室の匂いのようでもある。香りが似てる訳ではないが、メン◯レータムの蓋のリトルナースが10人くらいの集団で私の脳内で香水瓶を持って行進している。でも好き。何が入っているからこうなるのか、気になって仕方がないのでまた1プッシュ.... 癖になる。気付くと4 プッシュもしていたのにむせ返らない。拡散性はあまりないようだ。

5分ほどで謎の医薬品臭が消えるとローマンカモミールの精油の香り。アロマセラピーに詳しくない人のために匂いを無理矢理説明すると、フルーツ感50%カットの青リンゴに雑草をむしった瞬間のようなちょっとギシギシと軋むような青さのある香り。皮をむかずに青リンゴにかぶりついた時の皮と身の境目の匂いのようでもある。その奥に温かみのある香ばしい木の実のような甘さ。どうもアーモンドらしいが、出しゃばってこないところが好感がもてる。

穏やかなローマンカモミールの酸味がさらに円やかになった15分経過あたりで、サンダルウッドとシダーウッドの樹木デュオが仲間入り。そよ風が吹く見通しのいい木立の中を散歩している気分。歩き疲れたら切り株に腰掛けて青空を見上げる。そういえば樹木デュオは切ったばかりの切り株の匂いに似ている。ムスクの香りも加わって手作り高級石鹸のようなニュアンスも感じられる。ジャスミンもミドルノートに分類されているがほとんど分からない。私がつけたのが冬だからで、もしかしたら春夏ならしっかり香るのかもしれない。

ラストノートになると木の匂いとムスクが薄くなりバニラとの境目が消えるほど完全に混ざり合う。この自己主張の強くないバニラのせいで「私の肌って何もつけなくても良い匂い」と勘違いしてしまった。

ローマンカモミールの精油そのものに惚れている人にお勧め。それはカモミールティーの甘い匂いよりずっと青い。つけるなら春夏のデイタイム。芝生の上に寝転びたい衝動に駆られるので、オフの時に。これをつけて週末にヨガや瞑想なんてぴったり。ユニセックスな香りでシンプルな天然素材の普段着によく似合う。持続性は弱く肌の上で4時間、服につけると7時間ほど。

グッチのディレクター、アレッサンドロ ミケーレは古今東西愛される普遍的な香りをモチーフに、ミネラルアロマティックという新しいジャンルの香水をプロデュースした。誰もが親しんでいて(あくまでも欧米人の誰も)、懐かしい思い出を蘇らせる香り。主役に抜擢されたのはローマンカモミール。色々な香水に使われている材料だが、主役としてここまではっきりフィーチャーした香水はあまりない。ローマンカモミールがアロマなら、私が最初に感じた癖になる不思議な医薬品プラス理科室臭はミネラルか。

調香師、アルベルトモリヤスも思い切ったことをした。ブルガリのオムニアシリーズ、シーケーワン、デイジー、アクアデジオなどの大衆受け香水のヒットメーカーが、万人受けを無視して作った潔い作品。欧米でもメモワールデュヌオドゥールは好き嫌いの激しく分かれる香り。嫌いな人は薬品臭、石鹸臭、ルームフラグランスだのけなし放題。好きな人は癒しの香りとか名作とか大絶賛。

私がメモワール デュヌ オドゥールで思い出すのは子供の頃お気に入りだった詩。真似をして雑草の生えた土手の斜面に一人で寝転んで空を見上げた。さすがに日本だからカモミールは生えていない。どこまでも吸い込まれそうな青い空。ぽっかり浮かんだ綿菓子のような雲が流れていく。時々飛行機が通った跡が空に落書きしたようになるのをゆっくり目で追いかける。中学3年生だった。ずっと一緒に過ごしてきた同級生の卒業後の進路が、無意識のうちに雲の動きに重なる。新しい世界に行くことの期待感と別れの寂しさが、交互にフワフワと浮かんできては消えてゆく。
 
不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし十五の心

トップノート: ローマンカモミール、アーモンド
ミドルノート:インディアンコーラルジャスミン、ムスク
ラストノート:サンダルウッド、シダーウッド、バニラ


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  • モニター・プレゼント  (提供元:Ulta Beauty (米国))
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アムアージュ(Amouage) / オナーHonour

アムアージュ(Amouage)

オナーHonour

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2020/6/5 19:58:18

一言で言うと肌の上で開催されたホワイトフローラル世界大会決勝。前座のコリアンダー、ブラックペッパー、ルバーブリーフが30分くらいで薄まり、ホワイトフローラルが延々とつづく。前座の3人組はこれ以上ないほど完璧な縁の下の力持ち。言ってみれば餡子を作る時に少量の塩を入れると甘味と風味が引き立つのと一緒だ。その中でも特にルバーブが秀逸。ルバーブそのものというよりルバーブジャムやルバーブパイの甘酸っぱい味をそのまま香りにしたかのよう。それにごく僅かなグリーンっぽさが加えられ、嫌味にならない繊細な葉っぱ感がでている。

ミドルではチュベローズ、ジャスミン、ガーデニア、鈴蘭、カーネーションなど、様々な花が声高らかに素敵な歌を披露してくれる。でも何故か全員ドレスが真っ白という凄いコンサートだ。赤いイメージが強いカーネーションも当然白い。チュベローズのクリーミーさ、ジャスミンの華やかさ、鈴蘭の清らかさが楽しめる。カーネーションはほとんど香らない。西洋産のガーデニアの少し尖ったような煌びやかさというより、日本の梔子の円やかで情緒のある香りもする。ただし梔子よりもチュベローズの方が観客に近いところに立っているかのようで音量が大きい。

公式サイトによると有名なオペラ、蝶々夫人をイメージして作られているそう。純真で誠実な彼女に敬意を示すという意味でHonor (オナー)なのだろう。外国で何十年も過ごすと、日本人女性は結婚したい女性No1の座を国際的に競うほど人気があるのが理解できる。出しゃばらず控えめで男性をたてるところが評価されているとか。オナーウーマンの香りはいい意味でこじんまりしている。自己主張が激しい大柄でグラマラスな西洋人女性というよりは、和を大事にする線の細いデリケートな日本人女性の雰囲気がある。説明書きによれば、チュベローズは身に迫り来る危険、ジャスミンは愛着、梔子は秘密の愛、鈴蘭は心の純真さを表すらしい。確かにそんな感じ。アムアージュのフローラルは爆音オーケストラが多いが、オナーウーマンは一筆書きのような清らかな笛の音だ。

ラストノートのオポポナックス、フランキンセンス、アンバーからなる樹脂香が何とも素晴らしい。甘い蜜と僅かなスパイシー感の独特の深みがある香り。本物の無添加メープルシロップの匂いを嗅ぐと樹木の香りがするが、メープルをそれらの樹木に置き換えたかのような芳しさだ。5、6時間ほどで花の香りが消えてからこの樹脂香がさらに5、6時間とかなり長持ちする。鼻を近づけないと分からない自己満足のレベルではあるけれど。アムアージュの香水をいくつか試してみたが、樹脂香などの高価な香料の本場とあってラストノートが他に類を見ないほど魅力的。

つけすぎないことが条件だが、何故か食事の邪魔にならない。お寿司のようなデリケートな食べ物と一緒でも特に鼻につかなかった。自然いっぱいの中庭のある和食店で食事していて、微風が吹いて咲いている花の香りが室内に流れ込んできたかのようで風流。洋食、中華、エスニックで試したが、バターを使った洋食とよく合うことが判明。ケーキ、クッキー、アイスクリームなどのバニラが入ったものとは相性最高かも。

それは暖かく円やかなオイリーさを感じさせるチュベローズの仕業だと思う。どことなくバターっぽくさえある。ちょっと昔(35年くらい前ね。私にとってはちょっと昔)、アボカドが日本に紹介された時「森のバター」と盛んに言われていた。この香水に入っているチュベローズを「花のバター」と呼びたい。

和名は月下草。読んで字のごとく薄暗い月光の下で、受粉を助けてくれる昆虫達をおびき寄せる為に、筆舌しがたいほど色香を遠くまで届くように放つ。目立たない色をしているため姿は見えずとも、明け方までその香りは漂い続ける。チラチラとこれ見よがしに表面的な女性らしさを見せびらかすことはないが、芯の強い古風な日本女性のように。

正直なところ嗅いですぐそれだと分かるような個性はない。すれ違いざまに振り向かれるような華々しさもない。男性を引きつけるモテ香水でもない。でも深みと味があって飽きない。一晩の火遊び相手の若い子というより、恋女房みたいだ。どんな時にも自分に寄り添ってくれそうな優しさ、懐の大きさと同時に意志の強さがある。

愛する人を信じてずっと待ち続けた蝶々さんのような一途で純真な美しさがある。

トップノート: コリアンダー、ルバーブリーフ、ブラックペッパー
ミドルノート: チュベローズ、ジャスミン、ガーデニア、鈴蘭、カーネーション
ラストノート: フランキンセンス、ベチバー、オポポナックス、アンバー、レザー

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Cookieyukiさん
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プロフィール
  • 年齢・・・55歳
  • 肌質・・・乾燥肌
  • 髪質・・・硬い
  • 髪量・・・多い
  • 星座・・・牡牛座
  • 血液型・・・B型
趣味
  • お酒
  • ヨガ
  • 音楽鑑賞
  • 料理
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自己紹介

アロマセラピーの勉強をしているうちに香水の魅力にはまりました。皆さんの口コミをいつも楽しみにしています。外国在住のため日本で手に入りにくい香水の口コミ… 続きをみる

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