新真昼さんのゲラン / ミュゲ2020へのクチコミ |
---|
2020/6/21 18:49:14
ゲランでは5月1日のスズランの日に向けて一部店舗にて「ミュゲ」が販売される。その年ごとにボトルデザインが違い(近年はビーボトルのアレンジが続いている)、今年のボトルは日本で限定復刻されたチェリーブロッサムのボトルと同じ、ジュエリースタジオのメゾンマシヨン製。容量はビーボトル分125ml+ドロップ(プレフィルドアトマイザー)20mlの合計145mlで本体価格77000円。
トップはシトラス+グリーン。
水分をたっぷり含んだ葉を摘んでそのまま顔の近くに持ってきたような、清々しい青さ。その青さと同時に、ベルガモットのような酸味がやってくる。
酸味が抜けるとミュゲのふんわりとしたホワイトフラワーの香りだ。クレジットにあるライラックやローズ、ジャスミンは言われてみればなんとなく存在するような…という感じであまり個々の輪郭ははっきりしない。価格が価格なだけあって、ここのスズラン香は嫌味がなく、かといって上品ぶった柔軟剤的な印象もなく(高いからそう思いたいだけかもしれない)上質。
ドライダウンはミドルのスズランの香りがそのまま減衰していく展開で、持続は三時間程度。トワレ濃度&元々軽い香りなので文句は言えない。
「ミュゲ」は、グリーン、ベルガモット、ミュゲ、ライラック、ジャスミン、ローズの要素をその年毎の原材料の質に合わせて足したり引いたりしてベストバランスになるように調香されているようだ。今年のものは昨年と比べてグリーンが控えめ、酸味が強めのように感じた。ワッサーもきっと毎年血の涙を流しながらオレンジブロッサムもホワイトムスクも我慢しているに違いない。
ゲランでフレグランスコンサルテーションを受けた際に担当者様にミュゲについて尋ねたのだが、「たしかにいい香りではあるが、香りそのものだけにその値段までの価値はない。ボトルデザインの美しさやシリアルナンバー入りといった付加価値も含めた価格。」とおっしゃっていた。たしかにトワレ145mlでこの値段は高過ぎである。コレクターズアイテムとしての香水なので、毎年集めているとか、熱心なゲランファンだ、とかそういった特別な思い入れがないのならあまりオススメはしない。私はゲランのファンだが、ボトルコレクターではないのでよほどボトルデザインが好みか、決定的な調香レシピの違いがない限りもう買わないと思う。
なんだかんだ毎年売り切れてはいるようだが、昨年のミュゲは発売以降、秋の伊勢丹サロンドパルファンの頃、さらに年末まで残っていた。その原因は、やはり日本には強力なスズランの香りのライバルがいるからではないだろうか。
ディオリッシモ?
違う違う。
キン○ョール……
トップ:グリーンノート
ミドル:スズラン、ライラック
ベース:ジャスミン、ローズ
調香師はティエリー・ワッサー。
(フレグランティカより)
- 使用した商品
- 現品
- 購入品