- doggyhonzawaさん 認証済
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- 52歳
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2018/6/2 18:22:09
セーヌ川の岸辺一人、何度も立ち去りかけて、古いトランクを胸に夕暮れを見つめている。夕映えのパリ。茜色の夕日が、オルセー駅の巨大な長屋根を赤々と照らし出している。
今日の仕事を終えて家路へ急ぐ人々。ロワイヤル橋のたもと、語り合う恋人たち。ぬるびた風が川面を渡ってくる。遠く響く鐘の音。また一日が終わる。どこかもどかしい思いに胸がかき乱される。夜のとばりが心に静かにおりてくる。暗いシルエットになった下流の橋にも、もうすぐ灯がともるだろう。彼方のエッフェル塔は、堕天使の黒い矢のように、群青色の空を突き刺している。
やがて陽が沈む。残照が赤紫のインクを空と川面ににじませる。あたりは急速に光量を落とし、不意にひとときの静けさに包まれる。そして世界は一瞬、全ての光を失い、静寂の蒼に包まれる。
ルール・ブルー。
精一杯生きたとしてなお、たかだか100年にも満たないであろうこの命の道行きで、こんなにも切なくて美しい香りにめぐり会えたことを心から感謝している。
1912年、ゲラン3代目調香師ジャック・ゲランによる入魂の逸品。本レビューはオーデパルファム(EDP)の物。ルール・ブルーはパルファム(P)もオードトワレ(EDT)もあらゆる意味で他の作品を凌駕しており、どれも甲乙つけがたい。ただ、香りの変化が特に顕著で、黄昏どきの光と影の移ろいを表現しきったように思えるEDPが、個人的には一番のおすすめだ。自分がこれまで出会った中でも、最もドラマティックな映像美をもったフレグランスだと思う。さながら、時代の常識を塗りかえた印象派絵画の様式を香りにも取り入れたような前衛的作品。EDPは日本では未発売ながら、並行輸入品や海外通販により75mlボトルが1.3万前後で入手可能。
「たくさんの秘密が守れるように。」そんな意味深な思いをこめて中をくり抜いたという逆さハート型のキャップを外し、パフスリーブつきの女性用ドレスを模したアールヌーヴォー調ボトルからEDPをスプレーする。その瞬間の衝撃。
ベルガモットの酸味、ヘリオトロープの花粉の甘さ、カーネーションのスパイシー、薬っぽい樹脂香、ス―ッと引くようなアニスの冷たい香り。それらが渾然一体となって狂おしく空気を攪拌する。1つ1つの香料がクロード・モネの原色の点描のように明確にカラーを主張し合っている。それでいて、拡散力の強いアルデヒドによって各色の境界はぼかされ、全体的にはオレンジの光を照射しているイメージ。さながら沈む間際の太陽が、あたりを最も強い光で染めている情景。そう感じるトップ。
夕暮れ時は刻々とその光と影のバランスを変える。同様にルール・ブルーはつけてから5分までの間に、最も複雑に香りの様相が変化する。心がとらえられ、常に香りを確認していないと気がすまないほど、前述の香料がたえず色と濃さと輝きを変えて明滅してゆく。その千変万化の洒脱さ。本当にうなるしかない。ライトな香りが好きな方にはこの複雑にゆらめくトップは敬遠されがちだろう。香水の秘密と深淵をのぞきこみたい者にのみ、ルール・ブルーは閉ざされたドアを開く。
強烈な残照を放っていたワックス香のようなアルデハイドと、アニスの暗い清涼感が次第に消失すると、ルール・ブルーは一転、静寂のミドルを迎える。メランコリックで静謐なアイリスのパウダリーな香りが、風景全体を青白く染め上げてゆく。それは、快活な昼と抑制の夜の狭間。一瞬の蒼い空白のとき。自分の全ての肩書を捨て、ただ一人、闇の中で己の深淵と向き合う時間。冥色の逢魔が時。
このアイリスの切なく美しい粉っぽさは、まるでクロード・モネが放った作品「印象・日の出」そのもの。対象を写真のように写実的に描くのでなく、全体の印象を光の具合で表そうと原色の絵の具を塗り重ねたモネ。彼のように、アイリスとヴァイオレットのくすんだ香り、ヘリオトロープの甘さ、樹脂のインセンス香、トンカビーンの甘苦み、ヴァニラのクリーミーさ、それらの色を虹のパレットから直接キャンバスに置いたような印象。その点描は、近くから見れば各色が明瞭に分かり、離れて見ると全体が蒼の風景に映るという、印象派が描く夕闇の抽象。甘くせつなくたゆたう至福のパウダリー。
そんな柔らかく穏やかなミドルが6〜7時間、静かに続く。それは、すっかり夜の闇が下りたパリの街にさまざまな色の灯火がともり、心が再び落ち着きを取り戻した夜の情景のよう。パリの街の灯が煌々と夜を彩り始める。橋上の街灯がセーヌの水面を映し、金色の波をゆらゆらと燃やす。
天上からおりたヴェールはいよいよ蒼を増し、星々が夜空にまたたき始める。そして人々は再び家路を急ぎ始める。
一人歩く夕闇のプロムナード。愛しい君が待つ家へ。ルール・ブルー。
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2017/3/6 13:59:20
水をたたえたようなツヤ、しっとりしてるのにすべすべした感触。毛穴もつるんとキレイに隠れます。
リキッド超えともいえる『新しさ』に惹かれて購入しました。
この春夏はパウダーファンデ旋風が巻き起こってますよね。どこも目白押し!
いつもはリキッドをメインに使うことが多くて、現在パウダーはバーバリー カシミアとクレド タンナチュレールを持ってますが、今回はひとつで完成する艶肌仕上がりのものを求めて旅に出ました。※バーバリーはセミマット、クレドは薄づき。
パウダーファンデを試す中ギャップを感じたのが、広告ではパウダー推しなのに、実際カウンターに出向くとBAさんの推しはやっぱりリキッド。
BAさん自身がパウダーをお直し用、もしくは休日用で使用しているという話。
私もBAとして店頭に立っていた時は、リキッドやクリームを使ってたのでその話も納得できるんですが、今回は今までにない新しいパウダーを期待していたこともあり・・・。
ベースメイク在庫過多のいま、せっかく買うならリキッド超えしてくれないと意味がない・・・!!
こちらはツールで仕上がりを変えられるのですが、それはパウダーならではのメリット。
※YSLのアンクル ド ポー コンパクトもそんな感じでした。
【購入の決め手】
BAさんもこれひとつで、と自信を持って勧められていて、リキッドにはない新しさを感じたこと。
【前作との違い】
前作のルブランパウダーよりカバー力増してる感じはしますが、ツヤ感で厚ぼったさが出ず、またツールでカバー力の調整が自在なので、シーンや気分で仕上がりを変えられます。
ルブランのリキッドも使ってたことがあるのですが、リキッドだとパール剤がたまって肌のコンディションによって毛穴が目立つと感じることもあったけど、こちらは光を反射しつつふんわりとカバー。
【仕上がり】
重複しますが、水をたたえたようなツヤ。
圧倒的な白、ともいえるオーラのある肌が作れます。
ナチュラルというより、どちらかというと丁寧に作り込んだ正装肌。
毛穴カバー、くすみにくさに関しても◎。
【色について】
シャネルの他のファンデより明るめです。
しっかりカバーで使いたい場合は白浮きしないように一段暗めでもよいかも。
私は逆に、ファンデをふんわりと薄くつける&ルブランベースのミモザを使うので、ぎりぎりの明るさ20 ベージュ(標準色)を選びました。
【ケース】
ファンデーションの形が正方形に変わったので、以前のものは合わなくなりました。
とってもコンパクトですが(レベージュ白版みたいで並べると可愛い♪)スポンジを上にのせる感じになってて、それがプラの薄いトレーみたいになってるのが若干残念です。
厚みが出てもいいので、二段式だとよいなぁ〜というところでマイナス1。
【つけ方】
コツは、肌を磨き上げるようにタッチしていくこと。
1.スポンジがふわっと少し起毛した面としっとりした通常の面があるのですが、まずふわっとした方でパウダーをとる。
2.スポンジは盛りあがるようにグニッと持って、圧をかけないようにファンデをとると三角形にスポンジのります。
3.そのまま盛りあがってるところでナイキマークを描くようにシュッとスポンジを滑らせる。
ちょっと上に引き上げるようにつけることで、顔が上がって見える効果もあり☆
私は何度か試すうち、ブラシで入れる方が簡単でキレイにできるような気がしてきました。
シャネルのヴィタルミエールについてたパウダーファンデ用のブラシを使ってます。
鼻の横、口の周りなど細かい部分はブラシを立てるとキレイにつきます。
4.スポンジのしっとりしてる面でカバーしたい部分(目の下の三角ゾーンと言われているところ)をポンポンをおさえていきます。
下から上に向かってタップすると、毛穴がキレイに隠れます。
カバー力を出したいときは、最初からスポンジのしっとりしてる面でいつもの要領でつけていきます。
ものすごいカバー力です。
でも、どうしてもカバーしたいとかでなければ、起毛面をうまく使ってふわっと仕上げた方がトレンドの肌に☆
@beautistの記事は画像つきで載せてます。
【総評】
リキッド愛用者で、サブではなくメインで使えるパウダーお探しの方にお勧め!
ふんわりしたナチュラル仕上がりがお好きな方には向かないかも。
しっとりしてるので、パウダーだと乾燥するという方にもお勧めしたいです。
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[化粧下地]
容量・税込価格:30g・4,730円発売日:2017/2/24
2017/2/25 12:37:05
話題に肖ってサンプル試しました。
うーん、これはなんていうか、第1印象、とても扱い難いプライマー、中年の肌には向かない下地。
スキンケアも念入りに頑張ってきたので、今では30代半ばの頃より肌が綺麗だと言われるようになった私でさえ、もろに毛穴が悪目立ちします。特に小鼻横の涙毛穴。
付けたては綺麗ですが、経過と共に赤黒くなって実に汚い。
しかし、それでは困るんですよ。付けたてが綺麗なのは当たり前でしょう。
そもそも、パールのツヤ感が不自然で浮いた感じにも見えます。
アラ探しの発見器かよ!とツッコミそうになった。
私なら、こんなワザとらしいパールやラメで誤摩化すより地から綺麗になれるようにスキンケア頑張るな。個人的には、ここまで話題にされるほど大した商品じゃないというのが正直な感想でした。
有名なメイクアップアーティストとのコラボだか何だか知らないけれど、話題性だけが先走ってやしませんか?
どちらにしても、これはお若い方向けのアイテムなんじゃないですかー?
お若い女性ならきっとジャストフィットすると思うし、このツヤ感が様になるのかも。
私は、元祖のベアミネラルの方が好きです。
お好きな方には申し訳ないけど、ここはファンクラブでも何でもなく率直にクチコミしにくる場所だからね。。。色んな意見があって当然ですから。
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- モニター・プレゼント (提供元:未記入)
2015/12/8 08:39:36
美容家電オタクです。
今さらな話ですが、こちらの商品は一般的に言う”イオン導入器”’(美容成分をイオン化して肌の奥まで届けるもの)とは少し違うような気がします(角質層までしか届かないとのことなので原理からしてもハダクリエと同類だと思います。* ハダクリエはイオン導入器ではありません…公式サイトで謳われていますので興味あれば検索してみてくださいね)
何が言いたいかというと、イオン導入 = ビタミンC誘導体の化粧水を使って美白!みたいなイメージや用途を持って買おうとされている方はご注意を。
「ビタミンC誘導体の化粧水を使うと良いらしい!」みたいな口コミを見ますが、そもそもこの商品では真皮層には届きませんのでそういった用途は「???」です。(余談ですが水溶性ビタミンC誘導体配合の化粧水は皮脂を抑える分乾燥しやすいというデメリットがあるのもお忘れなく…)
こちらは普段使っている化粧水や乳液の浸透を助けるものであって、保湿の効果を期待する方向けの商品です。真皮層には届かなくとも化粧水や乳液の効果を最大限に高めるようなイメージでしょう。
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普段、ハダクリエ(CM-N820/温冷機能のついていないもの)を使っていて、特に不満があったわけではないのですが、新しいもの好きのミーハーなので(笑)飛びついて買ってしまいました。
というわけで比較しながらのクチコミです。
手順は
(1)クレンジングモード(ふき取り化粧水+コットン)
(2)保湿モード(化粧水+コットン)
(3)リズムモード(乳液やクリーム)
とあるのですが、見事にハダクリエとほぼ一緒(笑)
・付属品の簡易的な説明書(取扱説明書とは別、手元に置いておけて便利)
・無くしやすいコットンを止めるリングのパーツを蓋の裏に収納できる点
もほぼ同様、細かなところで気が効いてます。
イオンエフェクターの素晴らしい点は
◎1ステップ3分!合計9分で終了
……あっという間です。
→ハダクリエは1ステップ5分なので最後の方はちょっと飽きてしまいます^^; 続けるにあたってこの2分の差は大きいですね。
◎温感機能がきもちいい!
まるでお風呂あがりのようなやわやわした肌になります。
◎見た目以上に軽い!
こういう機械って少し重そうに見えるんですが、見た目に反してとても軽いので手が疲れるようなことはないです(個人主観)
◎リズムモードにバリエーションがあって飽きない!
乳液を使うリズムモードには3パターンのリズム(振動)から選べます。
ハダクリエはリズムのバリエーションが一定で選べなかったので、これはおもしろいな〜と☆
◎ヘッドの形が良い!
完全にハダクリエとの比較になってしまうのですが、ヘッドの形が「ちょっとぷっくりした逆三角」(ハダクリエは平たい円形)なので角を使って小鼻などの細かなところに当てられます。
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これ、ほんと買ってよかったな〜〜
…同じような美顔器を持っていてもそう思いました(笑)
使うとやはり肌の調子がいい!
使った日と使ってない日の差がはっきりわかる程みずみずしくやわやわになります。
クレンジングモードのコットンの汚れもギョッとする程すごいです(笑)
ちなみに化粧しない日でもちゃんとクレンジングをして、洗顔ブラシで洗っているんですけどね(^^;
「コードレス・軽い・時短」の三拍子が揃っているおかげで、ちゃんと続けられそうだなと思います。
TV見ながら、雑誌読みながら、スマホ触りながら……片手で簡単に出来て、贅沢な気持ちになれる最強の「ながら美容アイテム」ですね!
毎日の約10分がとても楽しみです。
↓ 2015.6.10追記 - - - - - - - - - - - - - -
肌の調子(具体的には柔らかさとキメ)良いです!
最近のお気に入りはドラッグストアの安めの化粧水をコスデコのコットンマスクにひったひたにして顔に乗せて、上から温かいイオンエフェクター!
バシャバシャ使える安い化粧水でもプチ贅沢&時短に。
↓ 2015.12.8追記 - - - - - - - - - - - - - -
毎年この時期はとっっても乾燥しますが、今年はこれを使っているおかげか水分も油分も程よく、肌も明らかに柔らかい!
最近はスチーマーの後にこれを使ってます。
乳液先行のスキンケアなので、スチーマー→クレンジングモード→リズムモード→保湿モードですが調子いいです。
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2017/12/2 10:21:06
かつて「世界一高価な香水」「香水の女王」と呼ばれ、稀少な花の精油をふんだんに使用した最高に贅沢な香り。それがジャン・パトゥのJOYだ。
1929年世界恐慌の年に発売され、今なお世界中の女性に「歓喜」を振りまくJOY。このレビューはオーデパルファンのJOY、かつてオーデ・ジョイだったものだ。処方はパルファムと似ているものの、印象的に異なる部分はある。ではJOYのEDPは、一体どんな香りだろうか。
豪奢なガラスボトルは、アールデコ建築家ルイ・シューによる美しく落ち着いたデザイン。キャップもラベルも液色も金色で、ゴージャスこの上ない。そんなボトルから1プッシュすると。
トップ。花々の香りにきらめきのヴェールを与えるアルデハイドの香りが一気に拡散する。一瞬、シャネルの5番に似ていると感じるクラシカルな開幕。ツンとするようで、けれど花々が朝露に濡れたような雰囲気を感じさせるインパクトのあるオープニング。
2分後、かなり強いジャスミンの香りがしてくる。超濃厚。同時にやや甘いアニマリックな匂いが感じられてくる。一歩間違うと、し尿や体臭を思わせるインドールの匂い。インドールはどんなジャスミンにも含まれていているが、特に多く含まれているのはグラース産のジャスミンだ。金塊の2倍の額で取り引きされるという高濃度インドールを含むグラース産ジャスミン。それは世界のどのジャスミンよりも人の嗅覚に潜在的に働きかけ、リッチでフルーティーながら強く官能を呼び覚ますという。その濃縮されたエッセンスが、これでもかというくらい主張してくる。くらくらするほどに。
ほどなく、濃厚なインドールジャスミンの香りに他の花々のニュアンスが重なってくる。ユリの花粉のようなグリーンな苦み、チュベローズの妖しい華やかさ。さらにイランイランの蠱惑的な香りも感じられ、ホワイトフラワーの濃密な饗宴となる。これがジャン・パトゥの「花」の香り。まるで生花のエッセンスを凝縮したかのような強い出力に驚く。
さらに10分ほどすると、ホワイトフラワーブーケの陰から静かにクールフラワーノート、ローズの香りが感じられてくる。クレジットによると、こちらも稀少なグラース産ローズ・ドゥ・メ。このセンティフォリア・ローズの爽やかな香りが、ふわふわと垣間見られるようになる。ジャスミンが「私を見て。感じて。」と強く主張してくるのに対し、このスッキリした青みのあるローズは、物陰から時折そのピンクのドレスの一部をちらちらと見せるような現れ方だ。かつて中世の時代、ヨーロッパではジャスミンは娼婦の香り、ローズは貴婦人の香りとされていたが、強い誘惑の香りの後にこんなにも清楚で柔らかいローズが感じられると、逆に心が囚われてしまう。
このミドル後半の香りの変化はとても美しい。ジャスミンがデクレッシェンドしていくにつれ、わずかにハニーのような甘みを伴ったローズ香がムスクのソーピーさと溶けあい、高級な薔薇石鹸の香りになって人肌に清潔さをしたためていく。ラストはこのクレオパトラが愛したというローズオイルとムスクのミックスでフェードアウト。EDPながら時間は短めだ。体温高めの自分の肌で3〜4時間くらい。
全体的にトップのアルデヒドの拡散から、ミドル前半のインドールジャスミンの濃厚な爆発、そして、ミドル後半からラストにかけての美しくつつましいローズ石鹸の香り、という黄金ピラミッド的展開の名香。過剰投与されているのはジャスミンで、しかもそこらの物とははっきり異なるクオリティだ。ただ、それが好きかどうかは別問題。全体の雰囲気はクラシカルだし、主張も強い。ライトでフルーティーな花の香りが好まれている今の時代には、敬遠する向きもあるだろう。
それでもこのJOYが見せてくれる女性らしさ、その優雅な柔らかさは、特筆すべきものだ。ジャスミンもローズもチュベローズも、付けるたびに出てくる花の色や香り立ちが異なっていておもしろい。1929年、世界恐慌によりこの天上に絶望と不安という暗雲が立ちこめた時、JOYはその黒雲を突き抜ける一条の金色の光のごとく世界を席巻した。まさに歓喜という名の香りで世界の色を塗り変えたのだ。
バラの花のクールで高貴な香りをかぐとき、ジャスミンのふくよかで濃厚な香りを感じるとき、女性は知らず知らず優しい表情になる人が多いという。女性はいつの時代でも華で、そしてどんな暗い時代でも花の香りに包まれていてほしい。それはきっと世界全体が見る夢だ。
ジャン・パトゥがJOYのボトルに詰めたのは、1万本のジャスミンと336本のローズ・ドゥ・メ。小悪魔の悦びと天使の歓び、そして、女性の永遠の喜び。
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