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doggyhonzawaさん
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FUEGUIA1833 / フンボルト

FUEGUIA1833

フンボルト

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

4購入品

2022/5/7 14:25:22

「自然はさながら一個の巨大な生き物だ。そこにある命は全てつながっている。」世界が生物を細かく分類することに力を入れていた頃、全く真逆の思考を唱えた偉大な探検家アレクサンダー・フォン・フンボルト。彼は全ての生物が「生命の網(ウェブ・オブ・ライフ)」としてつながり、互いに影響し合っていると説いた。ときに今から200年以上前。

「世界の成り立ちを知りたい!」とプロイセン(旧ドイツ)を飛び出し、南米やアジアを旅し続けたフンボルト。アンデス山脈を越え、オリノコ川とアマゾン川の源流がつながっていることを発見し、チンボラソ火山に登ったかと思うと、アマゾン川でデンキウナギの力を試すために馬を感電させてみたり。フンボルトはまさに好奇心の塊だった。ダーウィンの「進化論」の礎を作り、詩人ゲーテに慕われた、近代地理学の祖にして「知の巨人」。

フエギア1833のフンボルトは、その偉大な冒険家の名を冠した香水だ。

フンボルトには、彼が南米のジャングルを訪れた際、地元のインディオたちがパッションフルーツの実を割って食べたときに香ったであろう、爽やかでフルーティーな香りが真空パックされている。

ブランドによると、フンボルトのキー香料には、ベルガモット、パッションフルーツ、タンジェリンの3つが紹介されている。作品系統ではフルーティーに位置する作品。ここから、かなりシトラス系の香水かなと想像しつつフンボルトをスプレーすると、見事に肩すかしをくう。

フンボルトをつけて最初に感じられるのは、かなりスパイシーでグリーンな苦味だ。そして自分の肌では明らかにスパイシーセロリな風合いに出る。

まず何がしかの鼻をくすぐるスパイスがある。ペッパー風のキリッとした香料だ。その背後で塩みの効いたセロリライクな苦味が強く出てくる。総体として自分には「セロリっぽ!」と感じるが、よく嗅ぐと分厚いセドラやオレンジの内側の白い綿の部分、あのアルベドっぽい感じの酸味に、何か別の植物系グリーンな苦味が効いて、それにペッパー風味がのっている印象だ。正直、自分にはシトラス寄りではない。ジャングルの入口。さまざまな亜熱帯植物が太陽に温められた生っぽい匂い、土の匂いがする広大な川、それらを思わせる複雑で不思議なトップ。

5分ほどすると、ギリギリとしたグリーンな苦味の下からふんわりフルーティーな果実の香りがしてくる。酸味とふくよかなジューシー、これはパッションフルーツの果実香だ。ただ、かなりスパイシーグリーンな影をもったフルーツ香。そしてこのかぐわしい香りがどんどん強くなってくる。

船が静かにアマゾンの水面を滑っていく。インディオがジャングルのあちらこちらから船の様子をうかがっている緊張感が漂ってくる。そのスパイシーな気分とは裏腹に、酸味のある熟した果実香もまたどんどん強くなってくるイメージ。

このパッションフルーツの香りがしてくると展開はミドル。そしてフンボルトは、このミドルからがとても穏やかで美しい。ペッパーライクな辛みとグリーン系のビターノートは和らぎ、柔らかくみずみずしいパッションフルーツの甘酸っぱい果肉の匂いが立ちこめてくる。

船は未開の部族の村についた。フンボルトらは敵意がないことを知らせるために両手を挙げて、ゆっくり村に近付く。通訳者が村長に必死の説明をする。目の奥に厳しい光をたたえたインディオの長は、フンボルトの目の奥をのぞきこむ。フンボルトもまた友好的だが力強い視線を返す。

そのとき、酋長は大きく手を振って弓や槍を構えていた戦士たちの武器を下ろさせる。同時に、物陰に隠れていた女達が出てきて歓迎の宴の準備を始める。たくさんのフルーツや獣の肉が運ばれてくる。子どもたちがわらわら出てきてもの珍しげに探検隊の周りをとり囲む。

付けてから6〜8時間、ビターグリーンな植物の影に縁取られながら、フンボルトは穏やかなパッションフルーツの香りを漂わせてドライダウン。それは大自然の中を冒険しながら、植物と動物の繋がり、さらに人との繋がりも確認していったフンボルトの足跡。彼自身のシヤージュ。

全体的に見ると。同じパッションフルーツをフィーチャーした同ブランドのンブクルジャーがミルキー&フルーティーな果実香だとすれば、こちらは森のビターグリーンな香りの中にパッションフルーツを置いたようなイメージ。慣れるとこちらが好き、という方も多い人気の香りだ。30ml新キャップボトルで17600円。

褐色のインディオの手から円くてつるっとした果実が手渡される。それは親愛の印。果実を割ると、黄色のキラキラしたつぶつぶの果肉が出てきた。

森の中で共に食べる。笑顔が世界をつなぐ。パッションフルーツの爽やかな香りがしている。

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Ormonde Jayne(海外) / Tolu

Ormonde Jayne(海外)

Tolu

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

6購入品

2022/10/8 02:55:17

オーモンド・ジェインのトルーは、一言で言うなら「たまらん悶絶ソフィスティケイトバルサム!」な香水だ。これは個人的に激好き。悶絶するマジに。とはいえ、女性が使いやすい洗練されたバルサミックアンバー。50mlボトルで英120ポンド。日本円にして約2万円。

◎どんなとき、どんな方におすすめ?
・秋冬。肌寒くなってきて、温かみのある木の樹脂香(バルサミック)に包まれたい方に。「思いっきり木です!木!」的なサンダルウッドやシダーウッドでなく、「木からにじみ出るスパイシーな脂」の香りを感じたいときに。
・トルーバルサムの香りが好きな方。なじみは少ないかもしれないが、シナモン系のスパイシーな香りをもった木の樹脂香。昔ながらのニッキの香りや浅田飴水あめ、シナモンチャイ、甘くてほんのりツンとくる木の樹液の匂いなどが好きな方におすすめ。

◎この香水のよさを3つあげると
・ニッチなイギリス香水ブランドの中でも、知る人ぞ知るオーモンド・ジェインのEDPであること。特にこれまで脇役&差し色的に扱われることの多かったスパイシーなバルサム、トルーバルサムの香りをメインに据えた、清涼感ある樹脂香が楽しめる点は貴重。トルーバルサム香の確認用にも。
・一般的なバルサミックアンバリーな香りと異なり、軽やかでグリーンな爽やかさがあること。通常バルサムやアンバー系の香りはねっとり重たく、動物臭もあるメンズ向け。が、このトルーは全体にスッキリ軽やか。温かいのに柔らかく、女性が使いやすいタイプ。
・つけたところがかなりヌメヌメとテカる。これは高品質なオイルを高濃度で使っている証拠。サイトによると25%以上。つまり本当によいものを創りたくて創っている。なのに価格が法外でない点がすばらしい。

▲逆に「ここはちょっと」な点
・日本で普通に売ってない。こういう真摯な香水ブランドの作品こそきちんと日本で売って欲しいし、売れて欲しいと切に願う。

○背景 (ブランド 歴史)
オーモンド・ジェインは、2002年にロンドンで誕生した比較的新しい香水ブランド。高品質な香料を使用し、独自の哲学に基づいた香水を着実に創っている。特徴的なのは、バスマティ米やナツメヤシ、チャンパカなど、これまでの香水ブランドがあまり主役にしてこなかった香料を主役にすえた作品が多いこと。トルーにしてもここは同じ。合成アンバーのミックスでなく、トルーバルサムのシャープで甘いレジン香をうまく引き出している。

○展開
トルーをスプレーする。はじめに立ちのぼってくるのは、シトラスの酸味と軽やかさをともなったバルサムの香りだ。シナモン様の切ない辛みが広がり、コーラのシュパッ!とした泡の香りを思わせる。透明感あるスッキリ抜ける香り、ジュニパーもある。奥にはちょっと茶色いスモーキーな甘さもある。ほんのりチョコレートライクなビーンズ系の香りだ。トンカビーンだろう。レモンましましコーラに、ほんのりカカオチョコを足したようなトップ。気持ちがあがる開幕。

3分ほどするとやや青いグリーンな香りが浮かび上がってくる。この青い感じは、中音階で鳴り響くフローラルのメロディ。次第に強くなってくる。ラン系の妖しい苦み、ゼラニウムのしっとりした花香、そしてローズの清涼感。これらのフローラルアコードが静かに流れる。しっかりフェミニンなフローラルになる。だが、背後にきちんと樹木のバルサム香がベースを響かせている。甘辛スパイシーな極上の低音。

中音フローラルの柔らかくみずみずしい香り、トルーバルサムの甘辛い香り、この2つがユニゾンでメロディを奏で、ぴったりきれいに決まっている。なんと美しくオリエンタルなミドル。

やがてバルサムは静かにソーピームスクに代わり、洗いざらしの白いシャツのような清潔感ある香りが広がってくるとラスト。ゼラニウム&ローズの余韻を引き連れて、フローラルムスクの石けん香となって晴れやかに伸びやかに終息してゆく。このラストのムスキーは4時間ほど続いてドライダウン。色とりどりの花と木々の香りは、まばゆい空のようなソーピームスクでクロージング。それは遠い異国の野趣あふれるガーデンを思わせる。


亜熱帯の太陽。咲き乱れる花々。風がそよぎ、木々の葉がざわめく。トルーバルサムの木に、茶色いひょうたん型の実が揺れている。甘酸っぱい樹液の匂いがしている。ポットから注いだスパイスティーの湯気が、高い空に吸い込まれてゆく。ここには心落ち着く全ての香りがある。

それは心を安らげるための大切な真実。トゥルー。
心の傷をいやす大切な香り。トルー。

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アールフレグランス / ノーブルオーキッド

アールフレグランス

ノーブルオーキッド

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:-発売日:2017/3/1

5購入品

2022/6/18 04:03:09

R fragranceのノーブルオーキッドは、和蘭の香りをイメージして作られた、女性に人気の高いフローラル香水だ。2017年リリース。50mlボトルで18150円。

◎どんな人、どんなときにおすすめ?
・特に30代以降の女性が使いやすい、落ち着いたグリーン系フローラルな香り。
・和装の「凛」としたたたずまいによく似合うと感じる香り。香水は欧米の作品が多いせいか、日本の着物に合わせられる作品は割と少ないように思う。そういう意味では貴重な和製フローラル。
・同時に、ラグジュアリー&シックなフォーマルシーンにも似合う。ラフな軽装よりも、背筋をスッと伸ばしたいときの使用によい。

◎この香水のよさを3つあげると?
・日本の蘭、和蘭の一種である「春蘭」の香りをイメージした稀有なフローラルであること。ユリやスズラン、ジャスミンと似ているようでいて似ていない、スッキリしたグリーン香とほんのりスパイシーさをもった花の香り。
・R fragrance Japanを立ち上げた日本人調香師、村井千尋さんの繊細な感性が感じられる調香であること。R fragranceのブランドに込められた「Rin(凜)」「Rich(贅沢で豊か)」「Rare(稀少性)」という3つのRが体現された香水。
・誰ともかぶらない、自分だけのシグネイチャーを求める方に似つかわしい香水。「これ」と惚れこんだら一途にその香りを纏い、自身の代名詞となる作品を探している方によく選ばれていること。

●逆に「ここはどうかな?」と感じる点
・好き好きと思うが、ボトル。R fragranceの香りはどれも調香のバランスが秀逸で、技術の高い調香センスを感じる作品が多い。ただスクゥエア型の同一ボトルは、ブラックラベルの幾何的模様が作品によって異なるものの、個々の判別がしづらく香りのラグジュアリーさに対してやや地味めに感じる。自身のシグネイチャーを所有する悦びも、もう1ランクあげたい。個人的にはシンプルなゴールドキャップに何か一つ細工でも、と思うのは贅沢か。

〇香りの展開
ノーブルオーキッドを肌にプッシュすると、最初にとてもみずみずしい感覚を受ける。ジューシーな洋ナシのような香りにたっぷりの水分、そしてグリーンな気配が広がる。その背後からすっきりしたややシャープな花の香りがしてくる。ユリのようでスズランのようで、けれどどこか違う。インドールが少し効いたジャスミンの柔らかなフェミニンが主張している。同時に強く感じるのは涼しげなライラックノート。この2つのフローラルに先述のペア―っぽいフルーティーさが効いて、さながら水辺に咲く可憐な花といった印象のトップ。

5分ほどすると、軽めにミックスされていたシトラスの揮発が終わり、グリーンフローラルが落ち着いてくる。と同時に花の香りがより明確になってくる。これは野に咲く満開の花の香りではない。この花は、水と緑があふれる自然の中でひっそり咲いている。けれどその立ち姿はすっと背筋が伸びて気高く、そして可憐だ。これがこの香水が表現しようとした春蘭の香りだろう。

香りの変化はそれほどなく、最初に感じられる花の香がずっと続く展開。つけて2時間ほどするとわずかなローズ、ひんやり感のあるライラックが薄くなって、ジャスミンの残香が強くなる。ラストは清楚なフェミニンが強調されてくるイメージ。ほんのりウッディと相まって、若々しくふんわりしたジャスミン香でフェイドアウト。ゆうに8〜10時間は肌にたゆたう。

ノーブルオーキッドの香りは、まるで一枚の風景画のようだ。この香水はメインの花香だけでなく、ウォータリーな青い気配、目に鮮やかな新緑のグリーンなど、渓谷の滝をイメージしたとされる自然の「背景」をも香りの色彩で表現している。そしてその中に、目を凝らさなければわからない小さな野の花を置いた。全体が一枚の透明水彩画のように描かれた香り、それがノーブルオーキッドだ。

蘭には多くの種類があるか、日本の春蘭は昔から野山に自生し、愛されてきた花だ。香りがよくて真っ白な種類もある中華春蘭に比べると花姿は地味で緑系が多いが、花言葉には「気品」「清純」「控えめな美」「飾らない心」など、どれも女性にふさわしい物が並ぶ。

林や森のめだたないところでひっそりと小さな花を咲かせる春蘭。それは誰のためでもなく、ただ自分の居場所で自分を咲かせる花。ノーブル(高貴)とは、まさにそうした姿を表現した冠言葉だろう。

渓谷に鳥の声がこだまする。霧がゆっくりと水面をたゆたう。さわさわと木々の緑が鳴っている。木漏れ日が揺れる。小さな花がゆっくりと開いてゆく。

高貴な香気が広がる。山の春蘭が 今 心に一輪咲いた。

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グッチ / グッチ ブルーム アクア ディ フィオーリ オードトワレ

グッチ

グッチ ブルーム アクア ディ フィオーリ オードトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:- (生産終了)発売日:-

4購入品

2022/7/23 11:53:42

グッチの香水、ブルームのアクア・ディ・フィオーリは、ロマンティックなホワイトフローラルブーケの香りがするオリジナルに、グリーンな爽やかさをプラスした人気のオードトワレだ。2018年発売。調香師はアルベルト・モリヤス。価格は50mlボトルで税込10780円。

◎どんなとき、どんな方におすすめの香りか?
・スッキリして穏やか、邪魔にならないマイルドグリーンな香りに包まれたいとき
・親しい友との語らいや集まりに。フローラルでも石けん系でもない、つつましく落ち着く香りを選びたいときに。
・自己主張が得意ではないけれど、自分のよさや自然な感じをさりげなくアピールしたい方に。

◎この香水のよさは?
・何と言っても可愛らしく美しいペールピンクのボトル。ブルームのオリジナルEDPが出たとき、この陶器を思わせるボトルは、クラシックな色遣いとデザインで女性に大好評となった。それでも「可愛すぎて自分の年齢には合わないかも」と敬遠した女性も少なからずいたよう。そこを突いてきたのが、ラベルにも描かれたシックなトワルドジュイ風のイラスト。18世紀フランスのロココ調を思わせるこの2色で描かれたボタニカル柄は、さながら黒枠の中に映ったハーバリウムのようにも見え、クリエイティブ・デザイナーとしてグッチを蘇らせた鬼才、アレッサンドロ・ミケーレのセンスのよさに完璧に脱帽。彼は前任者と違い、ファッションブランドにとって香水こそが最も重要な「顔」であり「アイコン」となりうることをきちんと知っていた。
・甘く穏やかなグリーン香が続いて、気持ちをリラックスさせてくれること。特に昨今の女性は、どこにでもあるフルーティーフローラルにあき始めている傾向があり、最近ではこうした穏やかなグリーン系やティー系が好まれてきている。特徴はスッキリした苦味が心地よく感じられること。

▲逆に、自分的に「うーん」な点
・オリジナルのブルームの「濃厚かつクリーミーなホワイトフローラルブーケ」をベースにしつつグリーン感を押し出した作品ではあるが、もはや別物な印象があること。これほど違うならわざわざ「ブルーム」という冠はいらないのでは?と思う。
・落ち着く香り系ではあるものの、調香師アルベルト・モリヤスの昨今の特徴である「無難にまとめとこう」な感じが出たのか、周囲に与える印象が弱い感じはある。好きずきかなとは思う。

○展開
はじめに広がるのは、ほんのり甘い不思議なグリーンノート。葉の香りよりフルーティーで、わずかにスパイシー、どこかに小さな花の香りも感じられるような。グリーンというと、ガルバナムで表現された苦味やプチグレンのやや青臭いイメージがあるけれど、このグリーンはマイルドで優しい。さながら、初夏の野に広がるシロツメクサの甘い香りを思わせるような雰囲気のトップ。

5分後、グリーンは少しやわらぎ、その下から白い花の香りが現れてくる。これはジャスミンの華やかさと、やや酸味あるハニーサックル(スイカズラ)系の香りのミックスだ。このちょっとジャスミンよりかん高い蜜の香りと酸味が、このブルームシリーズで初めて用いられたというラングーンクリーパーという花の香料だろうか。同時に低音部では、じんわりとした色香が漂うクリーミーチュベローズもかすかに鳴り響いている。

このミドルは、スッキリマイルドなグリーン香がメイン、白い花が後ろでコーラスといった感じで鳴り響き、終盤になるとベース音の涼しげな木の香りも感じられてくる。鉛筆の香りっぽいシダーかなと思うウッディだが、クレジットではサンダルウッド系のようだ。このウッディが感じられてくるとドライダウン。持続時間は3〜4時間。

アクアディフィオーリというのは、イタリア語で「花の水」の意。この言葉で思い浮かぶのは、朝方、植物の花弁や葉にたまった露のしずく。その美しい水玉に光が差し始める頃、植物は葉で光合成をはじめ、葉の裏から過剰な水分を蒸散してゆく。ことに夏は、この蒸散がある種の匂いを伴い、野原で不意に青臭い「草いきれ」を感じることがある。

春から夏にかけては、庭園にさまざまな植物が生い茂り、色とりどりの花が次々に咲いてゆく命あふれる季節だ。まさにブルーミング。グッチのブルームシリーズは、女性が花のように多様な美しさをもち、そして今やジェンダーを越えてしたたかに生きていく強さを持ち合わせていることを表現しているという。四季折々の花々が咲き乱れる緑の楽園。アクアディフィオーリはそんな緑の庭園を散策したときに、花の香にまじって不意に感じる柔らかな草いきれの匂いがする。

まばゆい日射しの白。そこに咲く花々の鮮やかな緑。アクアディフィオーリは、その2色で描かれた香りのトワルドジュイだ。

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Puredistance / M V2Q

Puredistance

M V2Q

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

6購入品

2022/11/26 20:06:56

あなたにとってヒーローやヒロインは誰だろう?もしもいないなら大至急探すといい。自分の中に英雄をもつ者は強い。たとえどんな逆境にあっても、その存在が進むべき道を照らしてくれるからだ。オランダの香水ブランド、ピュアディスタンス(以後PD)の社長、ヤン・エワウト・フォス氏にとってのヒーローは、英国秘密情報部MI6のエージェント、007だったようだ。

「ボトルに入ったジェームズ・ボンド」。PD3作目の香水「M」は、そんな通り名で人気を博した。しかし近年、欧州の香料規制によって一部の香料が使えなくなり、惜しくも廃番になったようだ。そこで「M」の穴を埋めるべくフォス氏が提案したのは「Mの流れを継承しつつ、より優雅でパワフルなバージョン2(V2)の製作」だ。その困難な特別任務についた調香師は、PD香水を何度も手掛けたアントワーヌ・リー。彼の存在は、まさに007のために数々の秘密機器を作るエージェント「Q」その人だろう。かくしてMのV2は、Qの名前も織り込んで2022年に誕生した。その名も「M V2Q」。17.5mlボトルで28,100円。日本正規代理店「PDジャパンEサイト」より購入可能だ。

M V2Qはダニエル・クレイグ版007を彷彿させる、スタイリッシュでハードボイルドなウッディレザー系フレグランスだ。

M V2Qを肌にスプレーする。まず感じられるのはビターなスパイス。ひりつくシナモン。ラベンダーのシャープなアロマティック。これらが同時に香る切れ味の鋭いトップ。この疾走感あるトップは、例えるならダニエル・クレイブ版007の映画の冒頭。群衆の中、ターゲットを追跡するボンド。その奇想天外なパルクールアクション。壮絶なカーチェイスの末、毎回見事に大破するシルバーグレイのアストンマーチン。徹底的に標的を追い詰めるシベリアオオカミのような瞳の007のイメージ。

5分もするとM V2Qはミドルになる。火を噴くワルサー。流れる黒い煙。その硝煙の匂いが立ち込める。ラベンダーのクールな紫の風が、スモーキーなパインウッドの焦げた匂いをはらむ。テロ組織の重要人物を毎回平気で殺めてしまうダニエル版ボンド。MI6の女性上司「M」が「できる限り殺さないでほしいんだけど」と一刺しするも「努力はします」と返し、全く意に介さない007。仕方ない。

00(ダブルオー)は殺しのライセンスだ。

そしてM V2Qはこのミドルからどんどん危険で魅惑的な香りになっていく。まるでひと仕事を終えたボンドが次のターゲットを見つけたかのように。それは、きまって陰のある美しい女性だ。

紫と黒の煙が沈静するにつれ、ほのかなワインアコードと上質なスエード革の香りが感じられてくる。ワインというよりブドウの香りに近い。このブドウ&レザーのフルーティーなミドルは、暗くメランコリックで狂おしい。それは出会ったばかりのミステリアスな女性とグラスを傾けながら、互いの手の内を探り、相手のプライヴェートゾーンへの距離、いわばピュアディスタンスを縮めていく「瀟洒な時間」の香りだ。賦香率28%という驚異の高濃度パルファム・エクストレは、超至近距離でのみ香る一撃必殺のガジェット。ワイルド&センシュアルなこのミドルの香りに気付いたときには、すでに女の心と唇はボンドに奪われている。

ただ、この美しいフルーティーレザーの背後には、いまだスモーキーなウッディの暗雲が立ちこめている。孤独、不安、怒り、そして抑制を表すようなネガティヴな黒い煙。全ては任務のために自身の過去とともに封印してきたもの、あるいは傷。それらが黒いインセンス香となって背中に張りついている。M V2Qのミドルはそんな黒い硝煙と血の匂いを常にちらつかせながら、10 時間ほど続いていく。

ラストはオリエンタルなムードを醸し出してドライダウン。スモーキーなサンダルウッドのベースに、ほの甘いジャスミン、ヴァニラのクリーミー、レザーのドライな香りをにじませ、灰色の霧の中へ消えてゆく。それは去り去るアストンマーチンD5の排気煙。ダブルオーのためにQがあつらえた秘密装備満載のボンドカーの後ろ姿のように。

それでもM V2Qは「ジェームス・ボンドの香り」ではない。この香水は、自分にとっての強いヒーロー&ヒロインを思い出させる香りだ。時代のストレスにさらされ、孤独と不安にさいなまれながらも、自分のなすべき任務を絶対に遂行すべく、傷つき、もがきながら孤軍奮闘する者を力強く支える香りだ。

あなたにとってのヒーローやヒロインは誰だろう?もしいないなら、あなた自身が自分のヒーロー、ヒロインになれ。そんなMの極秘指令が届くはずだ。

”常に心に銃を持て。狙った獲物は必ず仕留めろ。 コードネーム「M V2Q」へ。”

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AoTukiさん
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プロフィール
  • 年齢・・・41歳
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  • 髪質・・・硬い
  • 髪量・・・多い
  • 星座・・・乙女座
  • 血液型・・・O型
趣味
  • 音楽鑑賞
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自己紹介

DIORのカウンターに行った事をきっかけにノーメイクの日が多いですがメイク熱が上がってきて、眠っていた香水熱が上がってニッチフレグランスにどハマりして… 続きをみる

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