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税込価格:-発売日:-
2022/5/7 14:25:22
「自然はさながら一個の巨大な生き物だ。そこにある命は全てつながっている。」世界が生物を細かく分類することに力を入れていた頃、全く真逆の思考を唱えた偉大な探検家アレクサンダー・フォン・フンボルト。彼は全ての生物が「生命の網(ウェブ・オブ・ライフ)」としてつながり、互いに影響し合っていると説いた。ときに今から200年以上前。
「世界の成り立ちを知りたい!」とプロイセン(旧ドイツ)を飛び出し、南米やアジアを旅し続けたフンボルト。アンデス山脈を越え、オリノコ川とアマゾン川の源流がつながっていることを発見し、チンボラソ火山に登ったかと思うと、アマゾン川でデンキウナギの力を試すために馬を感電させてみたり。フンボルトはまさに好奇心の塊だった。ダーウィンの「進化論」の礎を作り、詩人ゲーテに慕われた、近代地理学の祖にして「知の巨人」。
フエギア1833のフンボルトは、その偉大な冒険家の名を冠した香水だ。
フンボルトには、彼が南米のジャングルを訪れた際、地元のインディオたちがパッションフルーツの実を割って食べたときに香ったであろう、爽やかでフルーティーな香りが真空パックされている。
ブランドによると、フンボルトのキー香料には、ベルガモット、パッションフルーツ、タンジェリンの3つが紹介されている。作品系統ではフルーティーに位置する作品。ここから、かなりシトラス系の香水かなと想像しつつフンボルトをスプレーすると、見事に肩すかしをくう。
フンボルトをつけて最初に感じられるのは、かなりスパイシーでグリーンな苦味だ。そして自分の肌では明らかにスパイシーセロリな風合いに出る。
まず何がしかの鼻をくすぐるスパイスがある。ペッパー風のキリッとした香料だ。その背後で塩みの効いたセロリライクな苦味が強く出てくる。総体として自分には「セロリっぽ!」と感じるが、よく嗅ぐと分厚いセドラやオレンジの内側の白い綿の部分、あのアルベドっぽい感じの酸味に、何か別の植物系グリーンな苦味が効いて、それにペッパー風味がのっている印象だ。正直、自分にはシトラス寄りではない。ジャングルの入口。さまざまな亜熱帯植物が太陽に温められた生っぽい匂い、土の匂いがする広大な川、それらを思わせる複雑で不思議なトップ。
5分ほどすると、ギリギリとしたグリーンな苦味の下からふんわりフルーティーな果実の香りがしてくる。酸味とふくよかなジューシー、これはパッションフルーツの果実香だ。ただ、かなりスパイシーグリーンな影をもったフルーツ香。そしてこのかぐわしい香りがどんどん強くなってくる。
船が静かにアマゾンの水面を滑っていく。インディオがジャングルのあちらこちらから船の様子をうかがっている緊張感が漂ってくる。そのスパイシーな気分とは裏腹に、酸味のある熟した果実香もまたどんどん強くなってくるイメージ。
このパッションフルーツの香りがしてくると展開はミドル。そしてフンボルトは、このミドルからがとても穏やかで美しい。ペッパーライクな辛みとグリーン系のビターノートは和らぎ、柔らかくみずみずしいパッションフルーツの甘酸っぱい果肉の匂いが立ちこめてくる。
船は未開の部族の村についた。フンボルトらは敵意がないことを知らせるために両手を挙げて、ゆっくり村に近付く。通訳者が村長に必死の説明をする。目の奥に厳しい光をたたえたインディオの長は、フンボルトの目の奥をのぞきこむ。フンボルトもまた友好的だが力強い視線を返す。
そのとき、酋長は大きく手を振って弓や槍を構えていた戦士たちの武器を下ろさせる。同時に、物陰に隠れていた女達が出てきて歓迎の宴の準備を始める。たくさんのフルーツや獣の肉が運ばれてくる。子どもたちがわらわら出てきてもの珍しげに探検隊の周りをとり囲む。
付けてから6〜8時間、ビターグリーンな植物の影に縁取られながら、フンボルトは穏やかなパッションフルーツの香りを漂わせてドライダウン。それは大自然の中を冒険しながら、植物と動物の繋がり、さらに人との繋がりも確認していったフンボルトの足跡。彼自身のシヤージュ。
全体的に見ると。同じパッションフルーツをフィーチャーした同ブランドのンブクルジャーがミルキー&フルーティーな果実香だとすれば、こちらは森のビターグリーンな香りの中にパッションフルーツを置いたようなイメージ。慣れるとこちらが好き、という方も多い人気の香りだ。30ml新キャップボトルで17600円。
褐色のインディオの手から円くてつるっとした果実が手渡される。それは親愛の印。果実を割ると、黄色のキラキラしたつぶつぶの果肉が出てきた。
森の中で共に食べる。笑顔が世界をつなぐ。パッションフルーツの爽やかな香りがしている。
2022/5/14 06:11:43
「フィジーっていう香水をつけるとモテるんだって。」
今も忘れない。今から40年前。俺は16才だった。何にも増して「モテ」という言葉に敏感な青いガキだった。ちまたでは「青い珊瑚礁」で大ブレイクした松田聖子さんのクルクル巻髪をした女性たちがそこら中にあふれかえり「このブリッ子が!」と野次られながらも、その実したたかに生きていた。
おう、昭和だよ。そらもう、めっちゃ濃い昭和だったよ。
髪を赤くして、ツンツンおっ立てて、野良犬パンクスのくせにちょっとチェッカーズのフミヤ君の前髪意識して垂らして、バンドやってライブハウスに出入りして、喫茶店で仲間と落ち合って悪いことばっかやって。そらもう全部「モテ」たかったからだろうよ。認めるよ。
そんなとき、女子高生の会話を聞いたんだ。「フィジーって香水つけるとモテる」って。そら気になるさ。モテたかったもん。失恋して1年グダグダ荒れてたもん。気になるさ。あの娘を振り向かせられる?そんなこと毎日考えて、勉強もしねえで窓の外ばかり見てたもん。
フィジー。名前もグッときたよ。南太平洋の諸島。青い空、どこまでも続くエメラルドグリーンの海、白い砂浜。揺れるパームツリーの木陰で、優雅に過ごすひととき…。そんなステレオタイプな「南海の楽園」ムードにみんな憧れてたから、どストライクな名前だった。ちょうど大滝詠一さんの「君は天然色」とか「カナリア諸島にて」とかが大ヒットしてて、どこか遠くの南太平洋の島とか高跳びしてさ、優雅に過ごす。そういうバカンスってのがブームだったんだよ。ハワイとかグアムとかめっちゃ人気で、日本人が海外に出かけ始めてた。そんな時期だったから。
で。フィジー買ったよ。買うさ。青くさい飢えた野良犬だから。車も金も地位も、何一つ男の武器をもっちゃいない青くさいガキなんか、そんな万能薬みたいな魔法のアイテムがあると聞いたらイチコロなんだよ。イチコロ。
初めてつけたフィジーの香り。今もはっきり覚えてる。
トップ。パーンと広がる青い草の香り、でもそこにしっとりした低い花の香りが寄り添ってた。今嗅ぐとはっきり分かる。ヒヤシンスノート。強くてしっかりしたブルーな開幕。それがシャネルN°5っぽい透明なアルデヒドで思いきり拡散される。なんていうか、アルデヒドって油絵の絵の具を溶かす「溶き油」みたいな感じ。香料どうしを上手くミックスさせて香りを拡散するような。そんな脂っぽい香りのアルデヒドの下から、ヒヤシンスともう少しグリーンなガルバナムが出てくる。アルデハイディックで、グリーンで、冷たく青いローラル。
だけど
すぐさま、香りの奥からパワフルなムスクの香りが押してくるんだな。パウダリーが7、ソーピーが3くらいの割合で。アルデハイドの効果でムスクも浮き上がってくる。なんか女性の色香を感じる複雑なトップ。派生としてはN°5系統とすぐわかる。
5分もするとアルデハイドは消えて、わずかなグリーンの影から花々が咲き乱れてくる。ヒヤシンス、イランイラン、ジャスミン、そしてほんのりローズ。ジャスミンとイランイランの妖艶さが強く出てくる印象。下からはパウダリーでほんのり蜜の香りも漂ってきて、もう昭和用語で言ったらこの一言に尽きる。
色気ムンムン! ←死語な
このグリーンフローラル&エキゾティックなミドルが3時間ほど続く。意外にスッキリ消えていくのはクラシカルなオードトワレの特徴。トップからガツンとフローラルをアピールするけど、ラストは意外に清潔感あるパウダリー&クリーミーなムスクで終息。
久しぶり。ほんと久しぶりにフィジーをつけたら、40年前の自分が蘇ってしまって、やたら堕ちた。あの頃の空気感、日本という国がどんどん経済成長して、日々ビルが建ち並び、人と街が流行を追いかけて活気づいていた頃を思い出した。そして
結論。フィジーをつけても自分はモテなかったな。がっかりだよ。(←女性用香水だぞ)
コンテンツの少ない時代に生まれた。テレビで情報が伝わると、一夜にして大流行し、みんなが真似する昭和に育った。みんな同じ歌を口ずさみ、髪型も同じ、そして「この香水が人気!」と聞けば、みんながそれに飛びついた。フィジーはそんな昭和に爆発的に売れた香水。誕生は1966年。奇しくも自分と同い年だ。そして今なお世界中で愛されている香り。50mlで3500円ほど。安いよね。でも昔はこれが当たり前だった。クラシカルだけど、とてもバランスがよくて、気分をあげてくれる香り。これをつけて、いつか南海の楽園とやらに行ってみたいと、憧れを募らせた思い出の香り。
「フィジーをつけるとモテるんだって。」
あの声、今も覚えてる。そりゃもう、見事に昭和だったよ。
2022/5/6 18:48:04
2007年の発売以来、一度もアクアアレゴリアのラインナップから外れたことのないマンダリンバジリック。シリーズのNo.1としての立場はペラグラニータに譲ってしまったようだが、その人気はいまだ顕在で、今年のリニューアルの波も当然のように乗り越えた。外観の違いやリフィラブルになっただけでなく、シリーズ全てがビーツ由来のアルコール使用になったそうだが、果たしてリニューアル以前のものと香りは同じなのだろうか?
シュッとひと吹きすると、甘酸っぱくてみずみずしいマンダリンオレンジの香りが拡がる。そうそうこれこれ、これがマンダリンバジリックだ。頬張ったら果汁が滴り落ちてしまいそうなほどジューシー、とても嗜好性が高い。奥から少しだけ香るバジルとアイヴィーのスパイシーグリーンが、よりナチュラル感を添える。
トップが続くのは5分ほど、みずみずしいマンダリンの香りは酸味がややトーンダウンして丸くなっていく。ネロリのフローラル感が出てきたせいか。原色のオレンジに、少しホワイトが混ざってまろやかなペールオレンジの色に変わるイメージ。ここの香りが2時間ほど続く。
ドライダウンになると、色褪せたオレンジの残香に、粗いサンダルウッドとアンバーが加わって半ば強引に香りをまとめていく。このあたりは香調が崩れていく印象が強いが、アクアアレゴリアはゲランとしては安価なライン、多くを求めてはいけないだろう。ドライダウンは1時間ほどであまりしつこく残らないため、付け直しをしても邪魔にはならない。甘酸っぱいシトラスを主役にしたフレグランスは、日本人なら嫌いになる人は少ないと思う。
今回リニューアル品のレビューをするにあたって旧品と比較してみたが、旧品はリニューアル品よりバジルやアイヴィーのグリーン感が強めに出ているように感じ、マンダリンのみずみずしさはリニューアル品の方がダイレクトに感じやすくなった。リニューアル品は「マンダリンバジリック」というより「マンダリンマンダリン」。このあたりは大衆の好みに迎合した結果かな。ただ、トップのオレンジの嗜好性が高い分、ドライダウンの粗さは気になる。
値上げというわかりやすい変更にばかりフォーカスされがちだが、新旧香りをよく比べてみると面白いかも。
トップ:クレメンタイン、ビターオレンジ、オレンジブロッサム、グリーンティー、アイヴィー
ミドル:マンダリンオレンジ、バジル、カモミール、ピオニー
ベース:サンダルウッド、アンバー
調香師は、マリー・サラマーニュ。
(fragranticaより)
イヴ・サンローランイヴ・サンローランからのお知らせがあります
税込価格:125ml・38,500円発売日:2020/6/5
2022/5/7 10:32:56
購入していないので評価はつけませんが、いつかは絶対買うのでクチコミ残しておきます。
買ったら☆6つけます!
このシリーズは125mlの大容量なので、買うには使い切る自信が必要です。
あと予算も必要!unit priceはむしろ良心的です。
もう5回くらい通りすがりに試させてもらっています。
他にも素敵な香りがたくさんあって、つい長居していまいます。
好きな香料ばかりなので、ムエットも、肌のせしても好印象変わらずでした。
トップは柑橘が入るので、苦みのないグレープフルーツジュースのような香り、そこからピーチ+マグノリアに変わります。
ピーチは甘ったるくないし、日用品のようなチープさもありません。
ラストは外資デパコスフレグランスにありがちなムスクで、そこまで主張しません。
レビューを見るとジェネリック(≒ノーブランド)だとかドラッグストアコロンとか書かれていて、確かに複雑さもなくて、売り方(店舗超限定、大容量)に疑問を持つ人もいそうです。
香りの変化も同系統で穏やか、パチュリのような苦みやグリーンもなく、バニラもないです。
売り方に似合わず嗜好性が高く、季節も場所も選ばない香りだと思います。
YSLのこちらのラインは改廃も多いようなので、なくならないうちにボトル買おうと思います。
持ちもいいのでこのボトルどうやって使おう、、
誰かと分けたい、、
トップノート:ピーチ、ベルガモット、プチグレン
ミドルノート:マグノリア、ジャスミン、ピオニー
ベースノート:ホワイトムスク、サンダルウッド
2022/4/29 03:47:18
思い出は美しすぎる。
当たり前だ。時間というフィルターを経て美化されてるんだから。
出だしのレモンの酸味とベルガモットの甘い苦味が一緒になった、我を忘れて嗅ぎいりたくなる香り。それに加えて白粉よりも軽めのパウダリーさ。もし天使の羽毛に香りがあったらきっとこんなものに違いない。
でもどことなくラムネの粉っぽさに似ているような気も。アニスの多少の清涼感が加わるためか。すみません、ゲラン様。そしてゲランファンの皆様。一瞬、子供の頃憧れだった薬のような包装のレモン味のお菓子を思い出した。
それって駄菓子じゃん。大人が美化するものでもないけど、心の中にその爽やかで甘酸っぱい香りが広がった。外国暮らしでそのお菓子が手に入らないために、ランスタンマジーのトップノートと同じくらい素敵な香りとして増幅されて頭にインプットされている。
トップノートの酸味が和らぐ頃パウダリーなミドルノートが優しく広がる。幼い頃の記憶にある母親の白粉とベビーパウダーを思い出す。実際にはそのどちらもこんな香りではなかったかもしれないけど、イメージだけが記憶に残っているのだろう。
幼い子供にとって白粉の匂いは憧れでもある。ランスタンマジーの薔薇の主張の強い華やかさ、スミレの優しさ、フリージアの清麗さ、カーネーションの微かなスパイシーさが入り混じったその香りは美しい大人の女性に相応しい。そういえば化粧をする時鏡の中を見つめる母の顔は母親というよりひとりの女性の顔だった。
ラストノートもパウダリー。細かい粒子の粉を感じさせるアイリス、お香の煙のようなサンダルウッドにアーモンドが加わる。ナッツとしての香ばしいアーモンドではない。イースターのお祝いや結婚式でお目にかかる、砂糖の衣でアーモンドを包んだドラジェというお菓子を連想させる。そうなると香ばしさよりも粉砂糖と共通する甘いパウダリーさが前面に出てくる。
このラストノートから幼い子供を見つめるような温かい眼差しの女性を想像するのは私だけ?ランスタンマジーは男性の気を引くためにつけるというより、女性が自分の女性性を楽しむためにつけるのが相応しいと思う。
ランスタンマジーの香りから全体として感じられるもの。女性のセクシーさだけではなく母性も。まるで女性の一生を包括したかのようなスケールの大きな香り。女性性を一括りにしてボトルの中に閉じ込めたかのような。とは言え仰々しい訳ではなく穏やか。
それは男性が心の中で求めている一緒にいて心から安心できる女性の香り。時には母のように厳しく、恋人のように優しく、友人のように親しげで、どこか姉のようでもあり。
で、そんな女性いるのか?
いるじゃん。
アニメの中だけど。
銀河鉄道999のメーテル。(古っ!知ってる人少なそう)
母を殺された少年、鉄郎が永遠の命を手に入れるために銀河鉄道999に乗って色々な惑星に行くという話。謎の美女メーテルは彼に超高額な列車のパスを与えて一緒に旅をする。その過程で鉄郎は成長していきメーテルに対して愛情と友情の入り混じったような感情を抱くようになる。
男性にとっての女性性の象徴メーテル。ランスタンドマジーも似合いそう。
鉄郎とメーテルは未成年と保護者の関係だと思い込んでいた。子供だったとはいえワタクシ、とても浅はかでした。
トップノート: アニス、ベルガモット、レモン
ミドルノート: バイオレット、ミモザ、ローズ、フリージア、カーネーション
ラストノート: アイリス、アーモンド、バニラ、ホワイトムスク、サンダルウッド、シダーウッド
DIORのカウンターに行った事をきっかけにノーメイクの日が多いですがメイク熱が上がってきて、眠っていた香水熱が上がってニッチフレグランスにどハマりして… 続きをみる