表示
一覧
個別

絞り込み:

142件中 46〜50件表示

Cookieyukiさん
Cookieyukiさん 100人以上のメンバーにフォローされています
  • 51歳
  • 乾燥肌
  • クチコミ投稿142
エルメス / Galop d'Hermes【ギャロップ ドゥ エルメス】

エルメス

Galop d'Hermes【ギャロップ ドゥ エルメス】

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

6購入品

2021/2/5 13:17:50

「スキップってこんなに楽しいのに、どうして大人はしないんだろう」と子供の頃本気で思っていた。

スキップできるようになった時は嬉しくて、どこに行くにもスキップしながらだった。当然飽きてしなくなったが、最近スキップしたくなるほど心が弾む香りに出会った。ギャロップ・ドゥ・エルメスだ。

よく熟れたフルーツの美味しそうな香りがフワッと広がる。知っている香りだが何だろう?絶対桃、葡萄、ベリー、柑橘、トロピカルフルーツでないのは分かる。梨かな?リンゴかな?その二つが混ざったような香りで時々秋に嗅ぐ。降参、クレジットを見る。

そうか、クインスか。マルメロとも呼ばれている硬い果物。秋に八百屋さんの前を通りかかるとたまにお目にかかる、匂いはとてもいいけれど食べ方がわからない花梨によく似た黄色い実だ。生では石細胞がジャリジャリ硬く酸っぱすぎて食べられたものではないが、砂糖で煮てコンポートにしたりジャムにすると美味しいらしい。花梨シロップを作った時に部屋中に芳しい香りが充満した。クインスもよく似た匂いがする。クインスの砂糖煮を想像するだけで幸せ。サフランの暖かいエキゾチックなスパイシーさも加わって何とも魅力的なトップに仕上がっている。

30分ほどするとターキッシュローズが立ち上ってくる。生花というよりドライフラワーやローズの香りのベビーパウダーか白粉のような粉っぽさを感じる。メゾンマルジェラのレイジーサンデーモーニングと共通点を感じる少し気怠い香りだ。色で言えばくすんだ淡い色の薔薇かな。薔薇だけでなく金木犀の香りも混ざっている。その黄色い花にふさわしい陽気で華やかな香りだ。春にぴったりだが秋につけてもいいと思えるのはそのためだろう。

同時に柔らかくなめした薄手の革の香り。革の香りは野生的、男性的に傾きがちだが、こんなにエレガントで繊細になるなんて驚く。そういえば昔、イブニング用の肘まであるデリケートな白い革の手袋を持っていた。確かに同じ革でも女性的な匂いがした。もともと革の臭みを消すために香料で香り付けすることが多く、出来上がった製品から革そのものの動物臭い匂いがすることは少ないそうだ。

調香師クリスティーヌ・ナジェル氏が女性的な薔薇と男性的なレザーの対照的な香りをとても上手に組み合わせていることに感心する。ほとんどの場合、この組み合わせはレザーが薔薇を打ち負かす結果になるのに。レディースに区分されているものの男性がつけてもとても魅力的だと思う。

ラストノートはレザーとホワイトムスクのしっとりと落ち着いた香りが基調だが、トップノートとミドルノートの香りもしっかり残っている。体温、気温、湿度などの変化に応じて色々な香りが蘇るのが面白い。こんな風に個々の香料の香りがハッキリと分かる香水もいいなと思う。色々な香料を混ぜることによって何の匂いだか原型が分からないのも魅力的だが。透明感のあるムスクだからフルーティにもフローラルにもよく合う。ムスクといえば石鹸に似ていたりセクシーだったりする場合が多い中、ここまで清麗なのは珍しい。

鎧をモチーフにしたパッケージも可愛い。馬は縁起がいい動物というが、持っているだけで何かいいことが起こりそう。そういえば近所に乗馬出来る公園があったのを思い出した。突然馬に会いに行きたくなってきた。少し暖かくなったら、春になったら馬に乗ってみたいな。さすがに乗っている時にギャロップされると怖いのでパカポコ歩いてくれるだけでいいから。ギャロップ・ドゥ・エルメスをつけて爽やかな春の風を馬の背で味わってみたい。

子馬は遊び好き。気分がいいとスキップはしないものの、パカポコパカポコ早足を始めると馬を飼っている友人が言っていた。私だって子供の頃ご機嫌な子馬みたいにルンルンスキップしたかった。残念、筋肉量が少なくベビーファットが多い超ポッチャリ体型だった私。そのせいで小学一年生のクラスメイト全員がスキップ出来るようになっても私だけ出来なかった。「いつかスキップしてやる。そしてできるようになったら絶対毎日スキップするんだ」と心に誓った。

結局願いが叶ってしまった。強い念というのは怖い。現在私はスキップするのが職務の一部という風変わりな職業に着き、ほぼ毎日スキップする羽目になった。よく考えたら大人になってから31年間スキップしてる。引き寄せの法則は本物。ギャロップ・ドゥ・エルメスをつけるたびに苦笑い。

トップノート: クインス、サフラン
ミドルノート: ターキッシュローズ、オスマンサス
ラストノート: レザー、ホワイトムスク

使用した商品
  • サンプル・テスター
  • 購入品
Cookieyukiさん
Cookieyukiさん 100人以上のメンバーにフォローされています
  • 51歳
  • 乾燥肌
  • クチコミ投稿142
スキャパレリ / ショッキング

スキャパレリ

ショッキング

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2021/1/30 22:13:12

ショッキングピンクという色を初めてファッションに使用したとされるエルザ・スキャパレリが1930年代に発表した香水。

エルザ・スキャパレリはイタリア出身の服飾デザイナー。ダリなどのシュールレアリスト、ジャン・コクトーなどの前衛芸術家に影響されたぶっ飛んだ作品を発表していた。大きくて真っ赤なロブスターとパセリの模様をあしらった白いドレス、頭に被る靴(正しくは帽子)、ダリがデザインした骸骨ドレスなど話題作だらけだが、どれも完成度が高く不思議と様になっている。今では当たり前のファスナーやプラスチックなどの透明な素材をオートクチュールに使い始めたのも彼女だった。

あのココ・シャネルがその美貌と才能に嫉妬してバチバチのバトルを繰り広げていたという噂も。ココより7歳年下のエルザはココと張り合うほど美人でモデル並みのスタイルで知的。しかも超大金持ちの家庭出身で家族は教育レベルが高い人ばかり。さらに映画女優などのセレブがその斬新で個性的なデザインに飛びつき、あっという間に世界的な超売れっ子に。実際、当時はシャネルよりスキャパレリのブティックの方が人気があったようだ。そんな彼女が孤児院出身で苦労しまくったココの敵認定を受けるまでに時間はかからなかった。真偽のほどは別として、ココがエルザをダンスに誘い、ドレスに火をつけたとのトンデモないエピソードを耳にしたこともある。

ショッキングのパッケージはその頃のセクシー女優メイ・ウェストのマネキンをモチーフにしたトルソー型。赤いリボンが身体の前面でクロスされ、色とりどりの花があしらわれている。何かに似ていると思ったらジャンポール・ゴルチエのクラシックの香水瓶にそっくり。それもそのはず、後発のゴルチエがスキャパレリへのオマージュとしてそのアイデアを使用したから。ゴルチエの作品もアーティスティックなものが多く、マドンナなどのセレブに溺愛されたというあたりはスキャパレリによく似ている。

さてその香りは...

トップがベルガモットとタラゴンのハーブ感のある柔らかい柑橘系。私が手に入れたのはビンテージなので本来ならベルガモットの酸味がもっと効いているはず。それにアルデハイドが加わってシャネルN5とガチで張り合う押しの強さ。こんなところでもココとエルザは睨み合っている。このあたりはキツめの外国製高級石鹸の匂いに似ている。

すぐに蜂蜜の香りが漂う。単に蜂蜜の瓶を開けて匂いを嗅いでいるというより、舐めながら香りを強く感じているよう。蜂蜜はどんな花から採取されるかで味も香りもびっくりするほどバリエーション豊かなものになるが、これはオレンジフラワーやワイルドフラワーから取った蜂蜜の香りに似ている。よくある蓮華やクローバーとは一味違う。

そのあとで花の香りが漂ってくるが蜂蜜のパワーの方が優っている。遺伝子組み換え技術で現在の100倍の蜂蜜を出す花を作ったら匂いはこうなるのではないだろうか。薔薇、ジャスミン、西洋水仙がいいバランスでブレンドされている。それにイランイランが加わることで陽気で開放的なイメージになっている。

ラストノートはシベット、アンバー、ムスクが混ざった蜂蜜。この辺りまで長持ちしているジャスミンのインドールがかった香りも混ざって野生的。パチュリとクローブがピリッと効いていて、甘く柔らかいだけの香りになっていないあたりがとてもお洒落。

意外にもピンクイコール女性の色という認識が広まったのは、フランスロココ時代のポンパドール婦人のお気に入りだったのが由来のひとつだとか。その頃は甘いパステルピンクだった。淡いピンクよりもむしろ赤に近いショッキングピンクは染色技術の進歩によってエルザの時代に初めて可能になる。現代でこそ当たり前に多様されるショッキングピンクだが、彼女が活躍した時代には文字通り「びっくり桃色」だったらしい。ショッキングも1937年の発売当初は驚くほどセクシーで刺激的な香りとして捉えられていた。

ショッキングピンクはチャーミングで自己主張が強くて華やかで元気な色だと思う。個人的に秘密戦隊ゴレンジャー(古っ)のモモレンジャーは本来の桃色よりショッキングピンクの方が似合うと信じている。キックや空手チョップで敵の戦闘員をガンガンぶちのめす、変身前のお姉さんにショッキングを是非つけていただきたい。ゴレンジャーのリメイクの機会があったらその案を採用してくれないだろうか?

トップノート: アルデハイド、ベルガモット、タラゴン
ミドルノート: 蜂蜜、ローズ、ナルキッサス、ジャスミン、イランイラン
ラストノート: シベット、ムスク、アンバー、パチュリ、サンダルウッド、クローブ

使用した商品
  • サンプル・テスター
  • 購入品
Cookieyukiさん
Cookieyukiさん 100人以上のメンバーにフォローされています
  • 51歳
  • 乾燥肌
  • クチコミ投稿142
エスティ ローダー / ユース デュウ

エスティ ローダー

ユース デュウ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:- (生産終了)発売日:-

4購入品

2021/1/23 05:07:48

古き良きアメリカを彷彿とさせる香り。私が手に入れたのは1950年代のビンテージのコロン。なんとその頃からの超ロングセラーだ。未だにアメリカのデパートで販売されている。

ダナのタブーを確実に意識した、バルサムとスパイスが効いたフローラルと名前のギャップに戸惑う人も多いと思う。それもそのはず、ズバリ、1950年代の若さのひとしずくだから。現在の若々しい香りと言えば一般的に柑橘がアクセントになった爽やかなフルーティフローラルを想像するが、その頃の若々しい香りはこういったものだったのかもしれない。

それでは妄想力を駆使して1950年代の乙女になりきる。

今日は気になっていた男性とデート。ちょっと奮発してユースデュウのバスオイルでお手入れ。ボトルを開けると一瞬ツンとした化学薬品っぽい匂い。そこでたじろがずお湯に2、3滴垂らすとラベンダー、オレンジ、ベルガモット、ピーチに様々なスパイスが混ざった香りが広がる。最初はスパイシーだけど、残り香がパウダリーなバニラとローズなのがお気に入り。このオイルって便利。香水としても使えるから。お風呂あがりに胸元と手首にチョンチョン。

今日はオードリー・ヘプバーンが着ていたようなウエストをギュッと絞った、花のように裾が開くワンピース。赤に白の水玉模様よ。しっかりアイラインを引いてマリリン・モンローみたいな真っ赤な口紅でグラマラスに。そんな格好にユースデュウはよく似合う。

彼がコルベットで迎えに来てくれた。車の中で香水が悪目立ちしないか嗅いでみる。オープンカーだけどちょっと気になる。ミドルノートの始まりでシナモンとクローブが目立つ。ちょっとコカコーラみたい。セロリやウードっぽくもあるな。元々強くないフルーティさはさらに和らいで、花の香りに置き換わっていた。

ジェームス・ディーンの「理由なき反抗」を見にいく。彼の隣に座ってドキドキ。ユースデュウのミドルはスパイシーさ全開で花の香りはかなり抑えられている。ミステリアスだって思ってくれるかしら。第二次世界大戦中は南国原産のスパイスは手に入りにくい高級品だったのよね。とてもリッチな気分。

映画楽しかった。ジェームス・ディーン素敵。お腹すいたからダイナーに行くことに。エルビス・プレスリーの「ハートブレイクホテル」をかけてくれるところがいいな。頼むのはもちろん、ハンバーガーとフレンチフライ。ミルクシェイクにしようかコーラフロートにしようか。デザートも半分こしたいな。チェリーパイかピーチパイね。

この時スパイスの影のフローラルノートがよく嗅ぐと色々な表情を見せてくれるのに気がついた。薔薇はもちろんのこと、イランイランの陽気さ、鈴蘭の繊細さ、蘭の艶やかさ、ジャスミンの華やかさが違ったタイミングで嗅ぎ取れる。色々なノートがレイヤードケーキのように重なっていて何処を食べるかによってバリエーション豊かな味を楽しめるかのように。って訳で結局レイヤードケーキを仲良く分ける。

ラストノートはダナのタブーから妖艶さを差し引いた感じ。センシュアルではあるがセクシーではないのでお色気ムンムンにならないところがいい。柔らかなバニラとパウダリーな薔薇の香りがムスク主体のお香の香りに混ざっている。彼が車で家まで送ってくれる。車の窓を開けると冷たい夜風にふんわりとしたその香りが心地よい。

楽しい妄想終わり。

ユースデュウは1950年代の女性達が初めて自分のお小遣いで自分のために購入し、デートの前などにつけてドキドキしていたキレイのひとしずく。エスティーローダー女史の香水デビュー作でこれにより彼女のブランドはアメリカの香水ブランドとしての地位を確立した。調香したのは本人ではなくフィジーなどの名香を世に送り出したというジョセフィン・カタパノという女性。後の香水界の女帝、ソフィア・グロスマンを見出し育てたのはカタパノ氏だった。

ユースデュウの深いバルサミックでスパイシーな香りはアメリカ1980年代のカルバン・クラインのオブセッションに引き継がれる。ヨーロッパならイヴ・サンローランのオピウムと同路線か。

1950年代の女性も香水で男性の気を引くのに夢中だったと思うと親しみが持てる。ユースデュウはパックスアメリカーナを象徴する懐かしい香り。

トップノート: スパイス、アルデハイド、水仙、ラベンダー、オレンジ、ピーチ、ベルガモット
ミドルノート: スパイス、クローブ、シナモン、ローズ、イランイラン、ジャスミン、鈴蘭、カシスの葉、蘭
ラストノート: お香、バルサム、パチュリ、オークモス、アンバー、ベチバー、バニラ、ムスク

使用した商品
  • サンプル・テスター
  • 購入品
Cookieyukiさん
Cookieyukiさん 100人以上のメンバーにフォローされています
  • 51歳
  • 乾燥肌
  • クチコミ投稿142
ディオール / プアゾン オードゥトワレ

ディオールディオールからのお知らせがあります

プアゾン オードゥトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50ml・14,520円 / 100ml・21,670円発売日:-

ショッピングサイトへ

4購入品

2021/1/15 04:47:13

プワゾン →ワンレン、ボディコン→ディスコ→ジュリアナ東京お立ち台

バブルの終わり頃の世代にあたる私がプワゾンから連想するもの。

10代のころワンレンボディコンに憧れてやってみた。まずワンレン。あーら不思議、一瞬でタイムトリップ。鏡を覗くと平安時代の女性がこちらを見ている。自他共に認める平安美人のワタクシ。(死語: 二次元の面長下ぶくれで眉毛と目が果てしなく離れている歴史の教科書でお馴染みの風貌) ボディコンの方も中学生っぽい身体つきなので似合わない。萌えーな女子中学生じゃなくて男子中学生ね。申し訳程度についた胸の膨らみしかなく、逆三角形でウエストがくびれておらず筋肉質のため、部活でちょっと筋肉がつき始めた男子中学生が風呂上がりにタオル巻いているようにしか見えない。

ど田舎の出身の私。近所の道は全部あぜ道。高校生の頃あぜ道を歩いていると畑を耕しているおばあちゃんが、「大人になってもボデコン着てデスコなんて行っちゃいかんよ」と私によく言っていた。ボディコンじゃなくボデコン、ディスコじゃなくてデスコというところがすごい。ボデコンの綺麗なお姉さんは都会に出ないと拝めない。あぜ道はハイヒールで歩けないんだよ。そしてそのデスコとやらはバスと電車を乗り継いで1時間半程のところにショボいのがある。

その頃の私には香水をつけるという発想がなかった。でもプワゾンを知っていてつけていたとしたら、私の惨めなワンレンボディコンの魅力を底上げしてくれたかもしれない。素敵な男性が沢山群がってきたかもしれない。そんな妄想を抱かせるプワゾンの香りとは...

トップは派手で妖艶な香り。プラムとワイルドベリーの甘さにピリッとしたコリアンダー、清涼感があるアニスが効いている。スパイスの催淫作用全開。夜の蝶がキラキラ光る鱗粉を振りまいて誘惑しているよう。ディスコで踊るワンレン、ボディコン、羽根つき扇子のお姉さん達にピッタリ。ローズウッドは少し酸味のあるウッディで、下品になりがちな官能性をうまくコントロールしている。

ミドルも派手で妖艶な香り。チュベローズを筆頭とする花々に、蜂蜜の甘さ、シナモンのスパイシーさ、オポポナックスの深みが加わる。この辺りは成熟した女性性を見事に描いていると思う。受精の準備ができた夜だけ咲く花が、短い命を燃やして全力で虫や鳥を香りで誘き寄せている感じ。

ラストも派手で妖艶な香り。かなり動物的なムスクと深い闇に沈んでいくようなアンバー。ムスクは合成のはずなのに野生的な動物感が奥底に潜んでいる。ジャスミンに含まれているインドールが手伝っているのかも。そこにミドルから続く蜂蜜とオポポナックスのじっとりと湿った甘さが溶け込んでいく。

消えていく前の残り香は派手ではないが妖艶。微かなバニラの甘さ、サンダルウッドとシダーの落ち着きがムスクとアンバーに加わった。ここで時々自分以外の肌を感じさせる匂いがしてドキッとさせられる。何がどうなっているのかさっぱりわからないが、触れそうなほどの筋肉、皮膚、体温のニュアンスがある。この奇妙な質感が最初から根底にあるから色っぽいのか。無意識にこの匂いを嗅ぎ続けているからサブリミナル効果でセクシーに感じるのだろう。

一度嗅ぐと忘れられない個性的な香りで、80年代のディオール を代表する香水とも言えると思う。「香りは心の毒である」というところからきたネーミングセンスもとても素敵。毒林檎みたいなボトルも好き。今まで持っていなかったタイプで、たまにつけたい。難しいが上手に香らせるとしっとりと甘く優雅。下手をすると「今日の夜のお相手待ってまーす。誰か私をお持ち帰りして」な下品な香りになる。

仕事との相性は最悪、好き嫌いがハッキリと分かれそうなので迂闊につけられない。オードトワレなのに何故か朝つけて夜まで長持ち。つけるとしたら自分1人でいる時だけのお楽しみ用。人をかなり選ぶ香水で、ザ・平安美人な私のイメージとは当然釣り合わない。

でも人前でつけたい。あわよくばモテたい。確か平安時代は短歌が咄嗟に上手に読めるような教養がモテる条件のひとつだったな。現代でも知性の魅力は通用するのかも。光源氏みたいな殿方が寄ってこないかしら。

それでは私も諦めずに一句。

ぷわぞんの かほり纏ひし 平安の
美女が舞うらむ じゅりあなの夜

使用した商品
  • サンプル・テスター
  • 購入品
Cookieyukiさん
Cookieyukiさん 100人以上のメンバーにフォローされています
  • 51歳
  • 乾燥肌
  • クチコミ投稿142
イヴ・サンローラン / リブゴーシュ オーデトワレ ナチュラルスプレー

イヴ・サンローラン

リブゴーシュ オーデトワレ ナチュラルスプレー

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:- (生産終了)発売日:2003/10/1

ショッピングサイトへ

6購入品

2021/1/10 13:34:49

「夢は夜見るものだ」

それが父の口癖だった。私が将来の夢を熱く語る度にそれを繰り返していた。そんな超現実主義の父が母に贈った香水。結構ロマンチックじゃん。でも超実用主義の母はそれをつけなかった。

そんなわけで引き出しの中にリブゴーシュを始め、父が母にプレゼントしたらしき香水の瓶が幾つも眠っていた。どういう訳だか幼稚園児だった私がそれを見つけて、匂いを嗅いで楽しみだした。その液体をどう使うのか全く知らず、いい匂いの水と呼んでいた。

トップはガツンとくるアルデハイド。少女戦士が出てくる漫画かアニメで、いきなり必殺技を喰らったかのような衝撃が走る。悪役が悪いことする前に先制攻撃しちゃいました、お仕置きよ、うふっ、みたいな。確かに攻撃は最大の防衛とも言うしね。シャネルN5のアルデハイドと同レベルの強烈さ。ここでかなりの人が苦手と思うこと間違いなし。

アルデハイドの中からグリーン、フルーティ、フローラルの要素が入り混じった華やかで若々しい香りが広がる。グリーンは何が入っているかわからないが意外と癖が無く爽やか。フルーティさはピーチのはず。でもそれらしくない。レモンとベルガモットはやや控えめ。フローラルは私の肌の上だと入っていないはずのフリージアが一番強く出る。本当はハニーサックルらしい。

そういった色々なノートが集まって、私の中で何故かペアーとして脳内再生される。日本の梨じゃなくて西洋梨、ペアーね。販売されている洋梨味のお菓子や飲み物は大体香料でそれらしく誇張されているが、飾り気のない生のペアーだ。ちょっぴり青さのある表皮の匂い、滑らかでクリーミーな果実、日本の梨の石細胞ほどではないが、ざらっとした種の近くの質感が蘇る。

ミドルでは花の香りが強くなる。一番強く感じるのはローズ。これが色々な表情を見せてくれて面白い。ローズのハンドクリームかと思いきや、ドライフラワーの薔薇の香りになったり、いきなりローズのベビーパウダーのようになったり。時によっては金属質に感じられたり。たまに生花っぽくなってびっくりすることも。

ラストはかなり複雑で近くで嗅ぎたくなる香り。いわゆるスキンセントと呼んでもいいほど肌にしっとりと馴染む。何が入っているか説明を見るまでさっぱりわからないがとても魅力的。「KGBの女スパイが007を誘惑するのにつける香り」という評があるのが納得できる。007が抱き寄せて嗅いでみたくなってもおかしくはない。

リブゴーシュは70年代を代表する香りとして大ヒットした。イヴ・サンローランが60年代に発表したパンタロン、タキシードなど男女の垣根を取り去ったセンセーショナルなファッションは70年代には一般に受け入れられていた。そうした服装によく似合う香り。CMやポスターを見ていると活発、知的、都会的で健康的な女性が多用されている。みんな気が強そう。下手に肩に手を回したら速攻でビンタが飛んできそうなスリルがたまらない。映画の中で女スパイが鏡の前で化粧をするシーンの小道具として使われていたことも。

実際リブゴーシュは自由奔放で自立した女性をイメージして作られた。リブゴーシュという名前自体はパリを流れるセーヌ川の左岸のことを指している。保守的なブルジョワが多い右岸と比べて、革新的で芸術家、作家、ボヘミアン、学生、LGBTが左岸に好んで住んでいたらしい。それを踏まえるとリブゴーシュはいかにもイヴ・サンローランが作りそうな香りと言える。

何故父はこの香りを母のために選んだのか不思議に思う。父は右岸を代表するような保守的な人物だったし、母も然り。もしかしてリブゴーシュの意味を全く知らなくて、青と黒が好きだったからパッケージの色に惹かれて選んだのかもしれない。

私が将来の夢を語るたびにそれは昼に見る夢物語で実現なんて不可能だと言い続けた父。母もそれに同意し続け、それが原因でよく私と喧嘩した。

大人になるにつれて私は昼に見る夢の遠さを知った。それでも自己責任で自分の歩みたい道を行くことにした。今、私は昼に見た夢を仕事にしている。

リブゴーシュは仕事の時に纏う。それは陽気で自由奔放で少し切なくなる香り。

トップノート: アルデハイド、グリーンノート、ハニーサックル、ベルガモット、レモンピーチ
ミドルノート: ローズ、アイリス、ゼラニウム、イランイラン、鈴蘭、ジャスミン、マグノリア、ガーデニア
ラストノート: オークモス、ベチバー、ムスク、サンダルウッド、アンバー、トンカビーン


使用した商品
  • サンプル・テスター
  • 購入品

142件中 46〜50件表示

Cookieyukiさん
Cookieyukiさん 100人以上のメンバーにフォローされています

Cookieyuki さんのMyブログへ

プロフィール
  • 年齢・・・54歳
  • 肌質・・・乾燥肌
  • 髪質・・・硬い
  • 髪量・・・多い
  • 星座・・・牡牛座
  • 血液型・・・B型
趣味
  • 音楽鑑賞
  • ヨガ
  • 料理
  • エクササイズ
  • お酒

もっとみる

自己紹介

アロマセラピーの勉強をしているうちに香水の魅力にはまりました。皆さんの口コミをいつも楽しみにしています。外国在住のため日本で手に入りにくい香水の口コミ… 続きをみる

  • メンバーメールを送る