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Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン)Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン)からのお知らせがあります
[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:30ml・11,000円 / 100ml・21,560円発売日:2012/9/1
2020/5/22 20:25:58
個人的にはこのブラックベリー&ベイ(2012年)こそが、ジョーマローンの代表作ではないかと感じている。いくつかあるジョーマローンの香りのなかで、圧倒的に使用頻度が高いのが、このブラックベリー&ベイだ。
その理由として、かなりキャラクターがしっかりしている点、またフルーティメインでありながら甘さが抑えられている点、季節を問わずに使いやすい点などが挙げられる。特に男性にとって、甘くないフルーティな香りはとても貴重ではないだろうか。ジョーマローンのなかでも常に人気上位なのもうなずける。
トップはシトラス・フルーティ。スプレーすると、グレープフルーツと甘酸っぱいカシスのとてもフレッシュな香り。最初は果皮感の強いグレープフルーツから、ほんのりとジューシーな甘さが滴る。グレープフルーツの存在感が大きく、かなり男性的な幕開け。
ミドルはスパイシー・フルーティ。トップのフレッシュな印象から、カシスの香りが前に出てくるが、ピリッとしたベイのスパイシー感や、青臭いグリーンで強引にフレッシュさを持続させたような香り。奥から男性的なアロマティックなウッディがしっかりと香る。
ベースはアロマティック・ウッディ。グレープフルーツやカシスの甘さをうっすらと残しながら、少し埃くさいセダーウッドとベチバーの香り。かなり男性的なウッディベースでありながら、アロマティックなラズベリーとムスクが、何となくおしゃれな印象に見せる。
全体的にみると、甘さを抑えたフレッシュなカシスと、アロマティックなウッディを組み合わせた、非常にキャラクターの立ったユニークな香りだと感じる。
トップ、ミドル、ベースのどの部分を切り取ってもかなりメンズの骨格でありながらも、フレッシュなカシスや、可愛らしいラズベリーが上手く嗜好を底上げしている。これだけメンズな香りにもかかわらず、女性が付けても全く違和感のない香りに仕上げられている。
特に、かなりカシス感の強いこの香りを、ブラックベリーの香りと名付けた点にうまさを感じる。カシスを効かせた香りは、一緒にラズベリーのような甘さも連れた香りも多く、このブラックベリーという名前がとてもしっくりくる。
私の場合、カシスのフレッシュな青さやアロマティック感が好みであるが、アロマティック感と甘さの組み合わせはかなり苦手で酔ってしまうため、甘さを抑えたブラックベリー&ベイのカシスの香りはとても重宝していて、特に春から夏の端境期に、青っぽくそしてフレッシュなこのカシスの出番が多くなる。代表作と考える所以だ。
ところで、最近限定品で発売されたラベンダーシリーズのシルバーバーチ&ラベンダー。これもどこからみてもアロマティックなメンズの香りを、強引にユニセックスに仕立てたタイプであるが、残念ながらこちらはやりすぎだったと感じている(★★)。
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:40ml・14,850円 / 125ml・31,680円 / 250ml・45,100円発売日:-
2020/3/16 21:09:12
2017年10月、メゾン クリスチャン ディオールが特別感満載で登場した。
当初は世界3店舗限定、そのうち1店が何と日本(表参道)、さらにその日本の桜をイメージした香りがこの「サクラ」だ!
「何という特別感!」と期待通りの反応して入手したものの、特別感のないこの香りにがっかりした記憶がある。
とはいえ、桜が好きとしては、毎年お花見の時期に一度は手に取る香り。
トップはフローラル。パッとフレッシュなグリーンローズが香るものの、奥からクマリンのパウダリーな甘さがほんのり香ることで、クリーミーな優しい印象にまとめられている。
ミドルはフローラル。そのクリーミーな香りを背後に、華やかなジャスミン、少しもったりしたリラ、キーンと硬めのミュゲへと香りが移り変わっていく。全体的にはフェミニンなホワイトフローラルブーケの香りだ。
ベースはウッディ・ムスキー。ホワイトフローラルの残香と、柔らかいムスクとクマリンを、淡いサンダルウッドが優しく包み込む。
日本の桜の香りという先入観さえなければ、とても女性らしい、クリーミーなフローラルブーケの香り。
いわゆる4大フローラルの要素が次々と香り立ち、その豪華なフローラルブーケをクマリンやムスクで白イメージでまとめ上げられている。
パウダリーな印象もあり、おそらくこの香りはフレグランスよりもボディーミルクの方が向いているのではと感じる。
でも、日本の桜をイメージした香りと言われると、かなり違和感がある。日本人がイメージする桜の香りは、こういう香りではない。
ひねりがなく、良い香りの範疇を超えていない、、、。
日本人にとって、桜は特別な花だ。
桜の花に魅せられ、そして特別な思いを感じるのはなぜだろうか。
春の訪れ。卒業式、入学式など新しい1年の節目。
ほぼ白色の淡いピンクの色や、咲いている時期の短さ、そして潔く散っている儚さ、など。
そういえば、子供が小学校に入学した年、入学式の数日前の桜が満開の日に、入学式の衣装に着替えさせて、ランドセルを背負わせて、満開の桜をバックに写真を撮りに行ったことがあった。
やはり桜は目で楽しみ、まだ肌寒い気候を肌で感じるもの。
香りを楽しむ対象ではないため、その香りを求めるのは酷かもしれない。
でも、今年はお花見自粛して、せめて桜の香りを楽しもうと、フローラル感の強いディオールのサクラではなく、ウォータリ―でフローラル感の薄いジョーマローンのサクラ チェリー ブロッサム コロンを手に取る今日この頃。
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:90ml・20,900円発売日:2014年
2020/2/22 15:28:28
ニュイ マグネテイック(2014年)のフルーティが主体の、ナチュラル感が乏しい香りに魅せられるのはなぜだろうか。
病みつきになるとか、クセになる香りではなく、とにかく魅せられる香り。
そう、磁石のように引き寄せられる魅惑の香り。
トップはフルーティ・スパイシー。甘さのあるブルーベリーとフレッシュなジンジャーを軸に、ややグリーンな印象のベルガモット、そしてベース部分のアンバーやパウダリーなバニラが融合した、オリジナリティ溢れる香り。乾燥の強い秋冬に使うと、ジンジャーのキリッとした香りが前に出るため、冷たい空気と調和しながらも、フルーティな甘さを連れて来てくれる感じがとても好みだ。
ミドルはフルーティ・フローラル。トップのブルーベリーとジンジャーの香りをしっかり残しつつ、プルーンの酸味が強くなることで、フレッシューフルーティな印象は変わらずに、奥から華やかなチュベローズ、さらに奥からは静かなジャスミンを合わせた香り。そしてこのフルーティ-フローラルの香りを、アンバーバニラがうっすらと包み込むようなイメージ。
ベースはバルサミック・アンバー。ミドルの印象が残しながら、ベンゾインが洋酒のような甘さを添え、パチョリがパロマティックな余韻を与える。さらにアンブロクサンやバニラやムスクが全体を柔らかく仕上げたような香りが最後まで続く。
トップの洋酒を思わせるフレッシュなフルーティな香りを最後まで崩さずに、時間が経過することで熟成していくようなイメージがとても素晴らしい。特に秋冬はジンジャーの香りがピーンと立ち、甘ったるくならず、緊張感のある甘さになるため、重宝する香りだと感じる。
同じクリスティーヌ・ナジェルの作品のツイリー ドゥ エルメスも、同じジンジャーをメインに使いながらも、こちらのニュイ マグネティックの方がフルーティが強いため、はるかに使いやすい。そして、このジンジャーと、ベリーやプラムといった嗅ぎ慣れないフルーティと組み合わせることで、他にないキャラクターを作り上げているため、いつもと香りを変化させたいと感じた時には、決まってニュイ マグネティックを手に取る。
酒をイメージさせるフレグランスは、豊潤な甘さや、爽快な清涼感を漂わせる香りが多いなか、渋さ、若さ、甘さ、辛さ、その全てを兼ね備えた孤高の香り。
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2020/2/15 16:15:37
私にとって、ゲランのドゥーブルヴァニーユ(2007年)は究極のバニラの香りだ。
芳醇なバニラの甘さに酔いしれつつも、フレッシュ、アロマティック、華やか、大人らしいビターな味わいなど、様々な表情を見せてくれる。飽きることのないまさに究極のバニラ。
トップはスパイシー・アロマティック。フルーティなベルガモットと、ピリッとしたピンクペッパーが弾け、背後からはとてもアロマティックなバニラが甘さを添えることで、洋酒を思わせるフレッシュな香り立ちに。
ミドルはウッディ・フローラル。表面ではピンクペッパーを効かせたフレッシュなバニラが、艶のあるイランイラン、そして華やかなローズに深みのある甘さを与えた香り。その奥から、ドライなセダーウッド、スモーキーなインセンスと合わさった大人っぽいビターなバニラが香る。
ベースはバルサミック・アンバー。軽やかなバニラとベンゾインのビターな甘さが合わさることで、まさにラムのような芳醇な甘さ。やがてベンゾインが減退してくると、濃厚なバニラとドライアンバーの香りがずっと続いていく。
トップからミドル中盤までの軽やかなバニラが2時間くらい、そこから甘さや深みが加わりながら、8時間以上持続する。
ドゥーブルヴァニーユの最初から最後まで、骨格となっているバニラの香りは、通常のバニラとはまったく異なると感じる。
特にトップからミドルにかけては、軽やかでフレッシュ、アロマティックで透明感のある、とても芳醇なバニラの香りだ。スパイシーやフローラルがこのバニラ素材の特徴をうまく引き出している。なかでも、スパイシーなバニラから、フローラルなバニラへ移ろう瞬間、その意外性あふれるバニラの香りに浸り、そして酔いしれる。
そしてミドル中盤からはなじみ深いバニラの甘さ。しかしながら、重厚で深みのあるウッディバニラ、さらにはアンバーバニラへと変わる一歩手前のラム酒のようなアクセントが心憎い。
軽やかなバニラとビターなバニラの二重奏。まさにDOUBLE VANILLEの名前にふさわしい香りで、もっとも新しいジャン-ポール ゲランの傑作だと思う。
さらに、このドーブルヴァニーユは、ゲランのエクスクルーシブフレグランスのラール エ ラ マティエールのなかで、唯一重ね付けを推奨している香り。
個人的にはローズバルバルと合わせて、ビターな甘さが加わることで、ローズバルバルの粗を整え、もうワンランク上の香りに仕上げてくれる。
次はどの香りに合わせてみようか。楽しみは尽きない。
乾燥の厳しい冬に、究極のバニラの甘さを楽しみつつも、世界に一つしかない香りを作ってみるのはいかがだろうか。
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2020/2/6 00:14:41
セルジュ・ルタンスのフェミニテ ドゥ ボア「木のフェミニン」(2009年)は、女性が似合うウッディの香りを表現した初めての香りとされる。
それもどこからみてもメンズ色の強いセダーウッドとスパイシーの香りを軸にして。
公式HPでも、
「木の香りの中にある女性的な面を見出したことにより、この香りは革命を起こし、そして伝説となった」と誇らしげだ。
トップはスパイシー-フルーティ。シナモンやジンジャーなど、強いスパイシーな香りを軸に、プラムやピーチの甘さの強いフルーティを合わせた香り。一瞬で嗅覚を掴んでくるような、素晴らしいトップ。奥から鼻につくクローブやクミンと調和したドライなセダーウッドが香ってくる。
ミドルはスパイシー-フローラル。プラムやピーチの残香はそのまま、ツンと鼻につくシナモンとローズ、そして甘さの強いイランイランに変化していく。そこに辛さの強いクローブやジンジャーのスパイシーを合わせたような香り。このスパイシーとイランイランの組み合わせが斬新で、イランイランの甘さがすっきり感じるほど。奥からはピリッとスパイス感の効いたセダーウッドが漂う。
ベースはウッディ。シナモンやクローブ、イランイランやローズの香りが減退し、ビターなサンダルウッドと、籠もったセダーウッドが前に出てくるようなイメージ。奥からバニラやベンゾインの甘さが加わるため、インセンスぽくも感じる。とはいえ暗いウッディノートに負けないくらい、シナモンやプラムの香りも残っているため、強引に明るくしている印象を受ける。
非常にキャラの立ったウッディスパイシーな香りで、正直、好き嫌いが分かれる香りだと思う。
ビター&ドライなウッディと埃っぽいスパイシーを合わせた男性的な香りと、女性らしいフルーティ-フローラルを、甘辛いシナモンで融合させることで、確かに女性らしいウッディの世界が作られている。このパンチの効いたシナモン、そして埃っぽいクローブが嫌いでなければ、唯一無二のスパイシーウッディに映るかもしれない。
個人的には特にクローブとセダーウッドの組み合わせが好みではなく、さらに肌に合わせるとこの部分が立ちすぎてしまう。そのため「女性が似合うのウッディ」ではなく、「女装したようなウッディ」のような香りとなり、結果、使うことに躊躇してしまう。
と考えると、やはりこのフェミニテ ドゥ ボアは名前のとおり、女性にこそ似合う木の香りなのかもしれない。
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