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doggyhonzawaさん
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アムアージュ(Amouage) / JUBILATION XXV

アムアージュ(Amouage)

JUBILATION XXV

[香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2021/9/11 09:30:58

本当にすごい香りなのに、つけると周りから煙たがられるタイプの香水がある。特に日本では。そのタイプの香水をつけていると、周囲から「お香の匂いがする」「お寺の匂いかな?」「こげくさい」などと言われるシリーズ。もっとひどいときには「くさっ!何燃やした?」とか、「う」と言って鼻をつまんで走ってロングディスタンスを取られたり。←いろんな経験してますね

全く失礼だな。

そんなとき本当は追いかけていって

あのね!君は「くさっ!」って言って逃げたけどね、これ世界最高の香水、アムアージュのジュビレイションXXVなんですよ!!いいですか?今からこの香水がどれだけすごいかその頭にたたきこんであげるから耳かっぽじってよく聞きなさい!

と激しく語ってあげたいところだが、死ぬほどウザがられるだろうから毎回地団駄を踏みつつ自重している。←正しい

ということで「本当はすごい香水なのに付けると結構な確率で周囲からディスられて地団駄踏んでしまう香水コンテスト」で確実に上位に入ると思われるジュビレイションXXV。これがどんな香水かと言うと。←結局語りたいんだな

まず

「世界で最も高価な香水」と言われたオマーンの香水ブランド、アムアージュの作品であること。これはオマーン王直々の命令で、かつて金と同価値とされた特産品の乳香(オリバナム)のすばらしさをアピールすべく作られた国家プロジェクト的香水群。今でこそ中身はたいしたことないのに価格だけ異常に高い香水はあふれているが(←言ってしまったね)アムアージュの香水に関しては「金に糸目はつけん!世界最高の素材をガンガン使って本当に最高の香水を創るんだ!ただし乳香は絶対使え!!」と言ったかどうかは知らないがそんな感じ。だからとにかく使われている香料がものすごい高価で稀少な物ばかり。これがすごい。

そして

そんなアラビアンナイトな豪華香水群にあって、この作品は周年記念作であるということ。2008年、アムアージュ25周年を記念して作られた特別な作品、それがジュビレイション。「歓喜」という名のこの作品はメンズ用に「XXV」、レディース用に「25」の2つが用意された。ここで紹介しているのはメンズ作品のXXV。調香に携わったのはアヴァンギャルド・ロッカー、ベルトラン・ドゥショフール。まさに「ブランド25周年の喜び」にふさわしい人選。

では、その香りとは?

金の王冠キャップを外してジュビレイションXXVをスプレーする。瞬間、まず鼻に抜ける透明でスパイシーな香りがある。コリアンダーだ。その10秒後、ムワッと温かみのあるくぐもったアニマリックな気配、同時にそれを中和しようとするかのようなスッキリした樹脂の酸味が広がる。思いきりアラビアン。頭にターバン、長いあごひげ、湯水のようにお金を使う中東の大富豪の姿が脳裏をよぎる。乳香(オリバナム)とミルラの爽やかな酸味とグリーン、ラブダナムのスモーキー&アニマリック。よくも悪くもこのトップだ。この樹脂&バルサムてんこもりMIXが好きか嫌いか、それがこの香水のあなた評価になる。

3分後、煙たいロースティーな香りがじわじわと下からせりあがってくると香りはミドルになる。ものすごい香料の重層。超ミルフィーユ状態。複雑で多層的な香料のせめぎあいを感じる。それでも主旋律は、爽やかな酸味と香ばしさが特徴の乳香の香り、アムアージュの代名詞ともいうべき「オマーンの乳香」だ。そこにわずかなローズ、大量のインセンスの煙と重厚なウッディがベース音を奏でて共鳴し、荘厳なシンフォニーのように感じられてくるミドル。なんというバランスのよさ。超ドライ、そしてスモーキー。

…ああ、お母さん。砂漠の蜃気楼が見えるよ。のどが乾いたな。何か木が焦げているよ…

は! いかんいかん。思わず香りで変なトリップをするところだった。気を取り直して。

ミドルは本当に複雑で、時間がたつにつれてインセンスの乾いたスパイシーな香りが強くなってくる。その下からミルラの酸味、ウードの黒いウッディ、パチュリの苦味、ベチバーの干し草感などが、これでもかこれでもかとフワフワ片鱗を見せながらドライダウン。つけて3〜5時間程度。海外では「こんなにすごい香りなのにサイレージが短い」という意見も多いようだ。ただ香料は本当多い。どんだけ天然香料を入れたんだと思う展開。確かにこれはそのへんの庶民がカジュアルにつけこなせる香りではない。温かく、包容力があって、複雑なのにシャープでスッキリ。まさにこれは「王の香り」だ。

ジュビレイションXXVをつける。複雑で、パワフルで、スモーキーな薫香に酔う。ぜひ機会があったら肌にのせてみてほしい。これは本当にすごい香りだ。ほら。


なんで逃げる!!

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FUEGUIA1833 / ムスカラ カカオ

FUEGUIA1833

ムスカラ カカオ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2021/9/4 02:06:22

「チョコレートの匂いがする香水」というカテゴリがある。そんなキーワードで検索すると、まず必ずと言っていいほど出てくるのが、モンタルのチョコレートグリーディー。こちらはミルクチョコウェハースみたいな香りとも言われるが、それ以上にガツンとビターなチョコレートの香りを感じたい場合は、フエギア1833のムスカラカカオがおすすめだ。

フエギア1833は、もともと南米パタゴニアの自然や歴史、文化へのリスペクトから生まれた香水ブランド。瞬く間に100種類を超える香水作品をリリースし、人気を博している。

中でもフェロモンと類似した分子構造をもつ「香りのない分子」を採用したというムスカラシリーズは、一人一人の肌本来の匂い分子を吸着することで揮発を促し、その人の肌の香りを引き立てるというアナウンスで注目されている。ほんのりウッディに香る人もいれば、柔らかなフローラル系の香りを醸し出す方もいるという。ちなみに自分の場合ムスカラはややくすんだウッディになる←昭和枯れすすき

そのムスカラに選りすぐりのカカオ香料をプラスした作品、それがムスカラカカオだ。かつては限定品であり、一部のフエギア沼な方がこぞって購入したレアな一品だったが、現在は通常ラインとして販売されている。人気があると見るやどんどん売り方を変えていくテンポの速さも、このブランドの特徴といっていいだろう。基本、攻めは強めだ。

2019年2月にリリースされた当時は、800sのカカオ豆からわずか1sしか採取できない貴重なカカオ香料を用いたこと、エクアドル産とメキシコ産のカカオにこだわってブレンドしたことなどで話題を呼んだ。

では、巷でビターチョコレートの香りと言われるムスカラカカオ、一体どんな香りなのか?

ムスカラカカオをプッシュする。ジュース色がロットを経るごとに濃くなっているように思うのは気のせいか。肌にのせるとその瞬間、ダークラムの冷たく芳醇な洋酒香が立ち上る。このへんショコアトルを思わせるイントロ。すぐさま、鼻にキュンとくるほどロースティーでドライなカカオの香りが立ち上がってくる。これは思いきり天然のカカオの香りだ。チョコレートというよりビターカカオ。ミルクのまろやかさも砂糖のカラメル香もない。ギリギリ苦い。発酵させ、丁寧にローストし続けたカカオ豆の黒く焦げた香り。

このカカオブレンドの香りには、幾つか特徴がある。まずは苦みの中にもフローラルなふくよかさが感じられる点だ。これは明治製菓の「産地別カカオで作ったチョコレートの風味」分析データによると、エクアドル産のカカオの特徴だ。また、高音部でコーヒーにも似た酸味と強い苦みが出ている。このあたりは、同ブランドの「チョコレート効果cacao 86%」のようなカカオ成分が高いチョコレートの香りに近いものがある。むろん本物のチョコやココアと比べると、ギリギリとビターで、大人向けなカカオ。これは本当にパワフルな苦みと渋みをもった黒いカカオの香水だ。

賦香率は高めで、付けてからゆうに7〜8時間は香りが続く。ムスカラシリーズは厳選した単一香料をムスカラと合わせるので、展開はシングルノートだ。したがって調香じたいはシンプル。だから次々に作品を出せるのだろう。調香技術よりも素材じたいのよさで勝負。フエギアの作品には全体的にそんな印象がある。

ただ

それにしても値段は高すぎないか?

このムスカラカカオ、100mlボトルを買うには68200円必要だ。なぜ50mlをやめたのだろう?むしろ10mlを出してほしいくらいなのに、と庶民はカカオ高配合のチョコをかじりながら思う。さすがに86%は苦い。ムスカラカカオの価格を思うと、つい心も苦みばしる。

口直しとばかりに少し甘いチョコレートも口に放り込んだ。お、エクアドル産のカカオ豆を使ってる明治の「ALMOND 香るカカオ」は酸味の感じがムスカラカカオに近いな。甘いし、アーモンドも香ばしい。対して「チョコレート効果72%」の方は、苦みは強いもののミルクの香りが少しあって、これはムスカラカカオにキロンボをのせた感じだな、などなど…。

いろいろなチョコレートの味と香りを比べながら、紀元前から人々の食を支えてきたカカオ豆に思いをはせる。「テオブロマ(神の食物)」と呼ばれ、珍重されてきたカカオ。その豊かな香りと味は、いつの時代も人々を魅了してきた。

気温が下がってくると、不意に思いっきりチョコレートの香りが恋しくなることがある。そんなときはカロリーを気にしながら我慢するよりも、ムスカラカカオを身体中にプッシュしてみるのも一興かもしれない。

黒くて 苦くて 心地いい。 神のカカオの香りに包まれて。

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イヴ・サンローラン / リブレ オーデトワレ

イヴ・サンローラン

リブレ オーデトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:30ml・9,570円 / 50ml・13,750円発売日:2021/7/2

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4購入品

2021/8/28 12:06:14

「これ何の香りか知ってる?」
「ん?どれ?」

娘が左腕を出す。綿あめライクな甘さ。鼻に抜けていく清涼感。ホワイトフローラルだな。そこにパチュリの苦み。そこまではわかった。フェミニンだけどどこかマニッシュ。んー、わからん。どこかで嗅いだ系ではあるものの、全然わからん。

そこで推理した。

大学生の娘が香水をつけて喜んでいる。彼女の交友範囲、行動範囲を考えれば、2万も3万もするニッチ系ではないだろう。となるとおそらくデパコス。しかもカウンターに商品を出している比較的新しめの作品なはず。だとすれば…。

「わかった。ジバンシィのランテルディの新しいやつだろ?」
「ぶっぶー。正解はこれでした!」

そう言って水戸黄門の印籠のようにドヤ顔で俺の眼前に突きつけたのは、

「あー、サンローランのリブレかー。確かそれトップにラベンダー使ってたな。ゲランのモンゲランに対抗して。」
「さあ、それはわかんないけどラベンダーは入ってる。でもこれリブレの新しいやつ。最近出たオードトワレだよ。ほら。」

よく見ると確かにジュース色がオードパルファム(EDP)版と比べてピンク系統だ。おー、YSLもリブレのシリーズ展開はじめたか。

「このEDTはね、ミドルでホワイトティーの香り使ってるんだって。だからEDPとは香りが少し違うんだよ。」

ほうほう。言うようになったな。ついこの間まで500円のボディファンタジーつけて遊んでたJKだったのに。そんな感慨に浸ったのは約1秒、気が付くと娘から奪い、左腕にリブレの新作EDTをプッシュして鼻を近づけていた。同時に基本情報をスマホで洗い出す。自分がふだんあまり使わないタイプの香水だけに興味津々。

リブレEDT。2021年7月リリース。調香師はアン・フリポとカルロス・べナイム。香料イメージ構成は次のとおり。

トップ:ラベンダー タンジェリン ベルガモット
ミドル:オレンジブロッサム ジャスミンアブソリュ ホワイトティ
べース:ムスク ヴァニラ アンバーグリス

なるほど。確かに「ラベンダー&ヴァニラ」コンボのモンゲランに対抗した感はある。もう一度腕にプッシュして香りの変化を確認する。

トップ。つけた瞬間、フルーティーでみずみずしい香りが一瞬だけ流れる。これは洋ナシだ。クレジットにはないけれど、アン・フリポの大ヒット作、ランコムのラヴィエベル、ジバンシィのランテルディのトップで使われているお得意のスイートな開幕。

10秒後、水っぽいミカン香タンジェリンと清涼感のあるクールなアロマティックがスーッと鼻を刺激してくる。あー確かにこれラベンダーだと感じる瞬間。ラベンダー香料は多いが、ここで使用されているのはフレンチラベンダー系のフローラルタイプのよう。とがったところなく、スッキリ鼻の奥に抜けていく柔らかなラベンダーだ。このトップのラベンダーを用いたアコードがとてもいい。

つけて5分ほどするとラベンダーとシトラスは落ち着き、香りはミドルになる。ミドルはやや甘さの強いオレンジフラワーとほんのりジャスミンといった風合い。そこに下からグイグイとドライで透明感ある苦みが出てくる。これがホワイトティの香りだろう。ジュニパーベリーのようにも感じられるスッキリドライな香りが各香料の揮発を押し上げてくるイメージ。このティー&白い花のミドルがゆっくり続く。甘くフェミニン、それでもスッキリ乾いた香りが3〜4時間ほど続く。

ラストはわずかにクリーミーな香りを呈したホワイトムスクと、影となって寄り添うパチュリのスパイシーな苦みが感じられたままドライダウン。人によるが全体で5〜7時間ほど持続する。そうか。こういう香りが好きなんだ…。チラリと娘の横顔を見る。

リブレEDTの香りを漂わせながら、娘は鼻歌交じりでネイルを作り始めている。いつの間にかそんな歳になったんだなと今度は2秒ほど感慨に浸る。でもよかった。今度は娘からもどんどん香水を調達できそうだ。←お前は

考えてみれば

成人式も中止になった。友達ともなかなか会えない。そんな中、家で香水を楽しみ、ド派手なネイルを作って遊んでいる娘。そんな姿を見ていたら、何となく顔がほころんだ。

そうだ。人生はできる範囲で楽しむべきだ。リブレ。自由に。リブレのボトルに施された横向きのYSLが、まるで金色の水引のように見えて、全ての女性の未来を祝福しているかのように思えた。

なかなかいいセレクトじゃないか。そう声をかけようとしたとき、娘がネイルをしながら言った。

「JO1っていう若いイケメングループがあってね、リブレの宣伝してるんだよ!」

は?
  

それか!!!!

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ゲラン / ロム イデアル クール オーデトワレ

ゲランゲランからのお知らせがあります

ロム イデアル クール オーデトワレ

[香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:50ml・9,350円 (生産終了)発売日:2019/7/1

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4購入品

2021/8/21 09:38:52

ムワリと暑い夜、どうにも眠れない乾きがあって、キレのあるクールな飲み物が欲しくなった。作ったのはモヒート。グラスに氷を入れ、バカルディモヒートを注ぎ、ソーダで割ったイージースタイル。すりつぶすミントの葉もライムもなかったので、モヒート用フレーバーシロップで香りを増し増しして一口すすった。

あー、うまい。

スーッと鼻から抜けていくミントの爽快感。ライムの爽やかな苦み。そしてホワイトラムの冷たい甘さが身体の奥まで沁みわたった。

モヒートといえば、ゲランオムだな。そう思って引っ張り出してきて、左腕にゲランオムをつけた。2008年、ゲラン5代目調香師ティエリー・ワッサーが、メゾン専属となって初めてクリエイトしたメンズ香水。当時、モヒートの香りをフィーチャーしたことが話題となって世界中で売れた香り。

ただ

爽快感あるクールなモヒートの味に比べると、腕につけたゲランオムはどこかうわついて感じられた。そうだった。ゲランオムは、ミントのクールさがあまり感じられず、どちらかというとホワイトラムの穀物感とホワイトムスクの熱が強い香りだったと思い出した。

もっとクールな感じがないとモヒートに合わないな。そう思ってチョイスしたのは、ロムイデアルクール。ゲランいわく「理想のチャーミングな男性」をイメージした香り。(←は?)2019年にリリースされたロムイデアルシリーズ6番目の香水。このシリーズは毎回「理想の〇〇な男性」という冠をつけて押してくるのが注目ポイントで、シリーズを通して感じられるのは、ハートノートにアーモンドのビターな香りをもってくる点だ。

ではどんな香りかというと。

ロムイデアルクールをプッシュする。いつ見てもミンティグリーンのジュース色がいい。ただ水色ジュースの香水は香り評価が今ひとつなので色でカバーしている作品が多いことは心の中に留めておく。(←言ってる)

吹きつけた瞬間、広がるのはシトラスとハーブのアロマティックな香り。ベルガモットの爽やかさ、オレンジの甘さ。そこにほんのりミント香とグリーンティーライクなハーブが混じっているトップ。

シトラスは配合量が少なく、つけて1分ほどで消失。次第に下からギリリと苦みばしったアーモンドノートが出てきたら香りはミドル。

ミドルになると、スーッと鼻の奥に抜けていく透明感あるアニスの香りが強く感じられるようになる。ミントよりアニスのクールさだ。そしてビターアーモンドの引きこまれるような強い苦み。オリジナルのロムイデアルEDTのアーモンド香は本当に強くて、どこか病院で使われる薬品の匂いっぽく感じるところもあるが、オリジナルに比べるとアーモンドノートは抑えめ。代わりにティーっぽいスッキリしたウォータリーな香りが出ている。このウォータリーな香りとアーモンドノートに、ほのかなオレンジフラワーのふくよかさが混じるミドル。

ミドルが30分ほど続くと、下からパチュリの黒い土っぽさ、ベチバーの干し草な香りが静かに出てくる。全体的なバランスは、アニス&アーモンドの清涼感と苦みが強め、次にティー系ウォータリーのみずみずしさとウッディ系のスパイシー感が同じくらいで出ている感じ。このバランスのまま5〜6時間ほど続いてドライダウン。

全体的に見ると、モヒートを思わせるゲランオムよりもクールで、アーモンドノートの苦味が楽しめるキレのある香り。シリーズで見るとこの6作目の特徴は、ミントとアニスの清涼感をトップに配置しつつ、ミドルでアーモンドノートにウォータリーをプラスした点が挙げられる。オリジナルEDTに清涼感と清冽さをもたせてデイタイムに使いやすくした作品といった風合いに仕上がっている。

モヒートを飲みながらロムイデアルクールの香りを楽しんでいると、2杯目はアマレットを使ったカクテルを飲みたくなった。アマレットは杏仁を使った甘くて苦いリキュール。ロムイデアルじたいがアマレットを思わせるトンカビーンのクマリンを強く持っているせいだろう。一番口当たりがよくて美味しいのは、アマレットをオレンジジュースで割ったイタリアンスクリュードライバーだが、ロムイデアルクールの香りに寄せたくて、アマレットベースでミントジュレップを作ってみた。

グラスにクラッシュアイス。ミントの葉の代わりに少量のミントリキュール。杏仁味のアマレットを注いでソーダで割る。あっという間にアマレットミントジュレップの完成。ひとくちすする。

あー、うま!

心と体が乾いて眠れない夜。クールなミントのカクテル。冷たいアーモンドの香り。お。少しフラつく。いい気分だ。

酔いどれ野良犬、一丁あがり。理想のチャーミングな男性には、どうやら1万光年ほど遠いらしい。

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キリアン / イントキシケイテッド オード パルファム

キリアン

イントキシケイテッド オード パルファム

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50ml・37,400円発売日:-

5購入品

2021/8/15 07:19:19

「〇〇中毒」という言葉を聞くと、真っ先に何を思い浮かべるだろう?食中毒、アルコール中毒、ニコチン中毒。さまざまある。毒物の摂取のみならず、広範囲に捉えるなら「〇〇依存症」という意味もあり、ネット依存や恋愛依存といったことも含まれてくるだろう。キリアンのイントキシケイテッドという香水は、そうしたニュアンスをもつ「中毒性」と名付けられた作品だ。

イントキシケイテッドと言えば、香水中毒の方々には、「コーヒーノートの香り」として認識されていることが多いと思う。ブランドのイメージ説明にも「コーヒーの香りは五官を魅了する」「コーヒーは覚醒効果と中毒性を持ちながら、眠りへと誘う」など、コーヒーノートを主語にした表記が目立つ。ここで語られている魅惑的なコーヒーとは、トルココーヒーのことだ。

トルココーヒーは最も古いコーヒーの淹れ方の1つで、ユネスコの世界無形文化遺産にも登録されているほど有名だ。深擦りにしたコーヒーの微細粉末を水や砂糖と一緒に小さなひしゃく型の手鍋に入れて煮出し、泡と上澄みだけを飲む。こうすることで、コーヒー本来の旨みが泡に凝縮され、豊かな味わいが感じられるという。

イントキシケイテッドは、このトルココーヒーから着想を得て創られた香水だ。では、どんな香りなのか?

キリアンの黒ボトルからプッシュすると、まず鼻を通り抜けるのは、スッキリしたレモン様のスパイシーな香りだ。一発でカルダモンと分かる。その5秒後、かぐわしいコーヒーのロースティーな香りが追いかけてくる。ぐいぐい出てきて黒く焦げた香りが広がってくる。これはカルダモン増し増しのカルダモンコーヒーの香りだ。

カルダモンの香りは、スッキリしていて鼻に抜けていく清涼感ある辛みが特徴で、ここではややグリーンな爽快感がある。同時にハンバーグを作る際に入れるナツメグの独特な香味もミックスされている。これがコーヒーの焦がし風味を上から抑えるほど強く出ていて、とても清冽なスパイシーさを奏でている。割合で言うなら、カルダモン&ナツメグ:コーヒー=7:3くらい。イントキシケイテッドのトップ5分は、カルダモンなどのスパイシーノートがとても強めだ。

やがてカルダモンが和らいでくると香りはミドルになる。クールなスパイス感に、ふんわりカラメリゼした砂糖の甘さが出てくるようになる。その下でじんわりとブラックコーヒーの低音が響いているといった風合い。このミドル以降は、ときに柔らかいフローラル、ビターチョコ風のカカオノート、鼻にキュンとくるドライなシナモンの香りなども感じられることがある。これはさながらスパイスチャイの香りだ。ミルクティーの代わりにコーヒーとカラメルを使ったような。

ミドルはかなりしっかり作りこまれたアコードとなっていて、これ以降はずっと香りが変わらない。クールなスパイス&カラメルな香りが続き、低音でコーヒーベース。そのまま減衰していく。ラストにほんのわずかヴァニラっぽいクリーミーマイルドを残しつつドライダウン。全体で7〜9時間ほど続く。人によってはそれ以上ほんのり香り続ける。

全体の印象としては「清涼感のあるスパイシーな黒い香り」という感じで、コーヒーノートを期待し過ぎると、やや肩透かしを食うところもあるかもしれない。クラフトコーラにコーヒーを混ぜたような香り、というのも近いように思う。同じキリアンのブラックファントムやストレイトトゥヘヴンあたりがお好きな方、トムフォードの暗めの香りが好きな方は試してみるといいと思う。調香師はすでに大御所となったカリス・ベッカー女史。彼女独特の「怜悧なロマンティシズム」とも言うべき感性が、冷たいスパイシーアコードと温かいコーヒーノートの対比に現れているようだ。50mlで37950円。←香水中毒者には普通?

現代の人は、心のどこかに「依存」を抱えている人が増えているという。何かに熱中するヲタ気質もまた「〇〇中毒」や依存の裾野なのかも知れない。自分もかつてはニコチン中毒だったし、カフェイン中毒だった。気温が下がってくる季節には、今も美味しいコーヒーや紅茶が無性に恋しくなる。

トルココーヒーの淹れ方を動画で楽しむ。便利な時代になった。毎日YouTube漬けになってる方が多いのも分かる。銅のひしゃくにコーヒーの粉末と同量の砂糖を入れて、熱した砂の中にいれると、あっという間に泡を吹いて沸騰してくる。その瞬間にひしゃくを砂から取り出してデミタスカップに泡をすくいとる。それを何度か繰り返してたっぷりのコーヒー泡を作り、粉ごとコーヒーを注ぐ。粉を飲まないよう、ゆっくりじっくり泡と上澄みを味わう。それがトルココーヒーの楽しみ方だ。

う。トルココーヒー飲みたい。←中毒

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プロフィール
  • 年齢・・・58歳
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  • 髪量・・・普通
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  • 血液型・・・O型
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自己紹介

いつもご覧いただき、ありがとうございます。香水について細々とレビューしています。 最近はTwitterでも時折つぶやいています。香水好きな方がた… 続きをみる

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