2023/1/9 21:32:45
オレンジとレモンフラワー、外れなしの組み合わせ。うっとりするほど澄み切った、甘く爽やかな香り。トップノートからこんなに心を鷲掴みにするフレグランスって、あまりない。
ミドルでアミリスが顔を覗かせる。
個人的にウッディの要素がチラつくレディースの香水は避けていたのだけれど、高品質なニオイイリスで支えられたアミリスは秀麗そのもの。
クルジャンのムスクは鮮烈に清々しい。
アミリス・ファムもまた例外でなく、ラストノートまでくると毎回勝手にノスタルジーを感じてます。
冷静でフレッシュな心地でありたいオフィスで、私のお守りになる一本。
彼のクルジャンの作品なだけあって、良質な天然香料の香り立ちは清らかにして控えめ。ワンプッシュに留めておけばレストランでも邪魔しなそう。誘惑的でなく、むしろ内省を促すような明媚な香りなので、クリーンな関係でいたい男友達とのディナーに是非(笑)
フランシス・クルジャンのどこまでも素材を削ぎ落とすスタイルを、私は理解できない。一人のクリエイタとして、数値や戦略が如何に市場を制するかの頑迷な固定観念を持っているから。
それでもアートを創り出さないという彼の信念に基づき生まれた作品は、極静かに、だからこそ何より強く私の心を揺さぶって止まない。
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2023/2/14 16:24:57
雪のことを不香の花というけれど、匂いを持たない雪花が香りを放つなら…と想像したら、きっとこんな香り。
子どもの頃、「雪って舐めたらわたあめの味がするのかな?」とワクワクしながら想像していた、ロマンティックな憧れの"雪"の香り。
ややアーシーなスノードロップの匂い。俯き加減に、凍えそうな冬の寒さに耐える、芯の強い可憐なスノードロップ。
キラキラ輝くシトラスに、フローラルフルーティの瑞々しい可憐な印象をぎゅっと詰め込んだ香り。
同じ雪がテーマになった香りのブランシュより触れた際の冷たさは感じられず、こちらは棘がなくフェミニン。
そういう意味で、こちらが1番映えるのは芯の強い中高生の女の子だと思います。もしくは大人になってもJILLSTUARTがばっちり似合う、ロマンティストと現実主義の狭間の女性。(今時は小学生の女の子たちも付けるのかもしれないけど、この香りは小学生のお転婆な女の子たちには可憐過ぎ、たおやか過ぎる。)
ふんわり甘いJILLSTUARTの世界観を忠実に再現した、おとぎ話のような銀世界の香りのトップ。正直私にはやや退屈かなあ、と思っていたところで、ミドルで"力強いスズラン"へ。わー面白い!
鋭いグリーン調、ヴィヴィッドなスズランは割とある。でもこのスズランは雪の下、しっかり根を伸ばし、力強く春を待っている。スズランは耐寒性の高い花。
ローズとジャスミンが雪化粧の甘い空想の一面を演出するけれど、芯の強さが隠し切れてない。量産型女子より大和撫子が似合いそうなJILLの香り。
素敵!大和撫子じゃないけどそうなりたい私も購入(ドレッサーにあると可愛いボトル)。
雪がテーマの筈のこの香水、トップはスノードロップという「春を告げる花」、ミドルではマグノリアとスズランというやっぱり「春の花」から採取した香料を用いている。
やがて大輪の花を咲かせる為に、静かに根を張り春を待つ女性を応援してくれる香り。
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2023/1/23 17:13:28
えーっなんで誰も口コミ書いてないの!?
個人的にメンズのブルガリはブルーより、断然グレイシャル・エッセンス派(そんな派閥ないけど)!
トップの他人を寄せ付けないアイシーな感じ、好き!
潔いほど透き通ったジュニパーベリーと合わさるジンジャーがここまで涼しげ(いっそ冷たい)イメージを作るのはびっくり。ミンティーなゼラニウムと合わさったから?
ミドルになると冷たさが和らぎ、円やかなサンダルウッドの影に、情緒的なアルテミシアの香り。イリス・コンクリートがトップで感じた清潔な印象を保ってくれる。
うーん、好き。日本人が受け入れやすい香りだと思う。
そういえばこの香りのテーマは氷ではなく空気(air)だった。
ブルガリの広告も氷のような男、ではなくて氷河で覆われた絶壁を身一つで登り切り、頂点に立つ男のイメージだったっけ。そう思うと殊更に美しく感じられてしまうな。
壮大な夢への情熱を内に秘めたリアリストに似合いそう。
凍てつく世間の荒波に揉まれるトップ(尚希望を失わず静かに好機を待つような、余裕と自己信頼に基づくスマートさが素敵な香り!)。
ミドルになると、完全な失望からしか見えてこない、自立心に満ちた無二の希望が顔を覗かせる。このキラキラ瞬くイリスが、決して損なわれない生命力の煌めきを象徴してるみたい。
ラストは『真っ白に燃え尽きたぜ…』の香り。安寧の感じられるシダーウッド。とはいえ世代じゃないので(笑)、個人的にはトップからミドルまでが最高潮。夢は叶える前が最も美しく輝くのである。
もしくはこの香りは、第一印象が無機質なほど怜悧な男が、あざといほど巧妙に母性本能を刺激する微笑みのイメージかもしれない。
ラスト・ノートの微睡みは、既に心はそこになく、次に獲らえる山はどれにしようかと、次を期待し至高の悦楽を夢見るロマンを思わせる。笑
(でもこの香りは軽薄なだけのプレイボーイには似合わなそう。女には冷徹でもいいけれど、仕事か趣味へ向けたパッションがない限り、背伸びしてるわね?と思われそう。それはそれで素敵かもしれない。)
変な喩えのせいで伝わらなかったでしょうが、ラスト・ノートのシダーとムスクの組み合わせをありきたりで終わらせない、ラストのクリアウッドがとてもモダンで魅力的。
その辺りも"香害"に疲れ果てた時代を経た日本人に受けそうな香り。
男性にそこまで香水文化が浸透していない為あまり使っている人を見ないけど、もうちょっと広まっても良さげ。
女性がつけるにはあまりに清潔過ぎて奥行きに乏しいイメージを与えてしまうかも。ミドルのアルテミシアを嗅ぎながら、ふとそう思った。
貞潔の女神、アルテミス。従順そのもののカリストーさえ、掟に従い追放した彼女の内には、きっと誰より強く、ひたぶるに信念へと情熱が迸っていたに違いない。
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2023/2/3 21:03:07
同じスノードロップが用いられたJILLのクリスタルブルームスノーのトップが連想されるけど、こちらはネロリが含まれているからか、イメージは完全に春。甘いネロリのイメージを強調する優しいオレンジ。
JILLSTUARTのオレンジの使い方、大好き!フローラルの甘さを強調するオレンジの使い方はJILLのファッション・ラインナップを象徴するような上品さ。
とはいえ中高生に一番似合いそうな香りではある。
JILLSTUART BEAUTYの少なくともフレグランス・シリーズはそういう、未熟さが魅力になる香り。
私が纏ったら絶対に「あざとい」と思われてしまう。
チュールドレスをイメージして作っているらしいので当然かも。逆にいえば大人になってもチュールドレス(ロング丈の香りじゃない。膝だけの、パニエを着用しバレリーナ並にふわふわに広げた膝丈orリトル・チュールドレス)が似合う方なら付けこなせるのかもしれないが。
ミドルはJILLSTUARTが謳う「大人のセクシーさ」が徐々に顔を出す。とはいえニッチ・フレグランスのようなダーティさは全くなく、「少女が憧れる大人の女性のセクシーさ」。そういう意味でもこのEDPは少女への気軽なプレゼント向きかも。プチプラでボトル可愛いし。
ラスト・ノートが一番好みだったかも。エスティーローダーのBeautifulに似てる(イランイランが強く主張するこちらより、あっちのほうがラスト・ノートのベチバーの落ち着きが強い。個人的にはBeautifulの方が好み)。
花咲き光溢れる森林を思わせる、アンバーとフレッシュなシダーの溶け合う甘い香り。
ボトルと同じペールトーンのピンクな香り。巷で流行りの万人受けする香りといえば、恐らくスノーよりこっち。
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2023/2/15 15:57:48
朝露の滴るような柚子の香りのトップ・ノート。ひえー爽やか。
シトラスを引き立てるカロンはロードゥ・イッセイの看板娘だけれど、個人的にはこのカロンがキツすぎないプールオムの方が遥かに好き。はーーーー落ち着く…!!!日本を離れるときが来たら絶対この香水持っていく。
トップで花開いたセージとタラゴンの奥行きは、大都会を自然体で生きる稀有な精神を表すかの如く、奇跡のように美しい。この香りは教えてくれる。『漂白されていない』ものが本当に美しいのであって、『汚れてない』ものは上辺だけの清潔さなのだと。(「きれいは汚い、汚いはきれい」。)
この香りのキー・ノートはモクセイソウ。レディースの香水に使われていたらあまり好まない香りだったと思うけど、オスマンサス好きの私にぐさりと刺さったわけだ。モクセイソウ、属名はReseda。ラテン語の『Resedo(癒す)』に由来。その名の通り、この香りは日本人なら誰しもが癒されてしまうと思う。毒がないくせに『ズルい』香り。
ジャック・キャバリエのスパイスの使い方って、ほんとに天才的だと思う。こんなにも本来の温かみある香りを引き出しておいて、全くダーティじゃない。
ミドルで顔を覗かせるのは、漲る様な力強さ。穏やかな水面の下に滾る生命力を思わせるカロンは、合成香料の強みだろう、ミドルで尚強くその存在を主張する。しかしメンズの香水にありがちな、マッチョな(肉体のマッチョはウェルカム!)自己顕示欲のように鼻につく感じが全くない。
感じられるのは天衣無縫の子供時代に対するノスタルジー、軽やかで活力的なスズランの優しく香るオゾンノート。
トップからミドルまでが至高の美しさだった為、期待値が上がり、ラストノートの印象の薄さで?1。この変化のなさはともすれば「安心感」として好感を与えるのかもしれないけど、うーん。星7を付けたかったなあ。
それでもラストノートさえ包み込まれるような心地よさであることは確か。
大自然が全てを許容するなんて、生きる不確実性への恐怖を上書きする為に生まれた便宜主義的な信仰心。わかっていて尚、心が疲れた夜は、この香りに包まれて眠りたい。
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