2022/9/6 13:14:15
一歩間違えると香水というよりサボンの香りにしかならないフルーティ・フローラルの革命。清潔感のある香りが好きだけど量産型の匂いは苦手という大人の女性に試してほしい。
甘く清潔なフルーティを支えるシナモンが誘惑的。この匙加減が絶妙で、軽やかなスパイスの扱い方はむしろ咲き乱れるフローラルを胸いっぱいに吸い込んだような錯覚を作り出します。
ピュアなイメージを演出したければワンプッシュ以下、シナモンの温もりを感じさせるため、夏以外がいいかも。
ミドルに移り変わり、ゼラニウム・ブルゾンが香り始めるも、面白い!トップと同じように、スパイスを用いた方がパウダリーで清潔感が増しています。
最高品質のブルガリアンローズとジャスミン特有の甘さに陶酔させられる。清潔な印象は保ちつつ、インドールの官能性が強い。ロイヤルジャスミンじゃなくて茉莉花が使われてるのかも。
個人的にはトップからミドルまでが最高に好き。
ラストは微睡むような温かみあるバニラ、紅茶のルフナを思わせるスモーキーなハニー、オポポナックスが爽やかな奥行きを与える。
このイヴは幻想的なほど清潔。誘惑に負けるのはむしろ蛇の方。悪の道へ彼女を唆そうと現れた悪魔が、生肌の眩い白さに惑わされ、思わず噛み付いてしまうのだ。
トップ:アップル、ピーチ、プラム、ラオス産シナモン
ミドル:ブルガリアンローズ、ゼラニウムブルボン、ジャスミン
ラスト:マダガスカル産バニラ、ラオス産ハニー、オポポナックス
- 使用した商品
- サンプル・テスター
- 購入品
2022/9/28 10:46:52
オレンジ・フラワーじゃなくてオレンジ・ブロッサム。どちらもビターオレンジの花から抽出された香りだけど、ブロッサムはネロリよりも果実、葉、木の感じが強い。ネロリより甘く、ちょっぴり苦い。
トップは思った以上に清廉でありながら嫌味なく、甘く魅惑的。女性向け。男性が纏っていたら要注意。その人はきっとピエロの皮を被った陽気なイタリアン・ドン・ファン(笑)
ワンプッシュした途端、肌を優しく撫でられるような感覚。
メンズだと思い込んでいた為あまりの甘さにびっくり。アルコールが飛び切るとベルガモット中心の香りだとわかります。
ベルガモットの優しいフレッシュな香りを支えている悪戯っぽいピンクペッパー、オレンジフラワーの包み込むような甘さ。うーん、心地快い…。ファーストインプレッションは完璧。
30分ほどするとビターコーヒーがじんわり漂う。傍にまったり和やかなナッツ。ミドルからユニセックスの要素が強まります。
そして存在感が強いのはオレンジブロッサムの朗らかさでいて、鼻をくすぐる甘さ。つけている自分が思わずうっとり。
ワンプッシュなら香水嫌いにも嫌われなそうな、想像よりずっと癖がなく香ばしいコーヒー・ノートへの移行でした。素晴らしく繊細でステキ。
美味しそうなのにそれだけじゃない。エレガントな香りです。コーヒーの強い香ばしさが、道化師の厚い仮面のように心中を覆い隠してくれるからかもしれない。
私はまだまだローズやジャスミンに腰が引けてしまう小娘ですが、ビターコーヒーの芳烈の前では、女性的で上品なイメージをくれるありがたい香料なのですね()。o
ミドルのコーヒーのほろ苦さが強かったせいか、ラスト・ノートのバニラがとっても心地いい。アンバー・ウッドはバニラやムスク特有の籠るような香気を抑え、ラストまで落ち着きを与えてくれる。
ミドルのオレンジブロッサムはかなり強く、ラストまで残ってくれます。オレンジフラワーや柑橘系って比較的はじめから香ると思うのですが、あのビターで爽やかさな甘さがトップからラストまで続く文句なしの逸品。
イタリア南部を連想する香りなので、甘いけれど夏場も使えそう。遊び心があるのに大人びた落ち着きがあって愛用中の香り。
この香りを纏って1番落ち着くのは自分自身。こんなパルファンが似合うような、朗らかでちょっぴりビターな機知に富んだ、優しい女性になりたいです。
トップ:ベルガモット、ネロリ、ピンクペッパー
ミドル:ローズ、ジャスミン、オレンジブロッサム、アラビカコーヒ―、ヘーゼルナッツ
ラスト:アンバーウッド、バニラ、ムスク
- 使用した商品
- サンプル・テスター
- モニター・プレゼント (提供元:未記入)
2023/2/12 18:23:57
か、可愛いボトル…!!
『モン パリ(私のパリ)』というネーミングから察せるように、女の子の憧れをぎゅっと詰め込んだみたいな誘惑的な見た目。
個人的にはこの香りは『付けこなす』ことを目的にするのではなく、最大限に『味わう』ことで真価を発揮する。
ボトルを手に取って肌に乗せる瞬間から、この香水のストーリーは始まってる。
ドキドキ、わくわくさせられる恋の始まりは、眩暈がするほど甘く纏わり付くトップ・ノート。
香水のCMって、ヤマトナデシコ(?)が思わず目を逸らしてしまうほど濃厚なフレンチ・キスの映像が流れてたりするけど、この香水に関してはそのCMもしっくりくるほど激しい甘さ。訪れた恋が非凡なものではないことを示唆するよう。
ともすれば甘くチープなだけの「恋」がテーマになる退屈な香りを、ミドルのダチュラが大胆に覆す。なるほど、明らかにモダンガール(←大正時代からある言葉じゃん)の為の香りである。
(個人的には嫌いじゃないが)『推し』に投資する量産型女子にはこの香り似合わない。誰にも見られないインポートのランジェリーに数万叩く、スラックスで闊歩するオンナノコを楽しめる香り。うーん、好き。ターゲット層であるアジア人女性の私はばっちり掴まれてしまったというわけだ。
それでも現代人の感性を的確に捉えた香りだと思う。かなりセクシーでともすれば古典的なシプレが、現代的に仕上がっている。
ラストノートはホワイト・フラワーが多用された香調に相応しいエクスタシーの香り。
ちょっぴり虚しさが残るのは私だけ? 少なくともラストノートまで来ると、むしろ「この香りみたいに簡単に足を開くもんか」と自分の中の天邪鬼が叫び出す。皆さんご存じのように、情熱的な恋が全て神聖だとは限らない。
トップからミドルが冒険心を抱かせてくれたの
で、ラストノートでちょっぴり気落ちした。でもそんなエンディングを踏まえて、これは完璧に「恋愛を忠実に再現した香り」。
ミドルから香り立っていた、まるで狂ったように(あるいは噛み付くように)絡み合う2種類のパチョリを宥めるように包み込むカシュラメン。恋人たちの迎える最高潮の悦びの香り。(はてさて、その先は?)
ピンクペッパーもグルマンも大好きな私にクリーン・ヒットしたフローラル・シプレー。
日常使いにも名刺代わりの一本にもしないけど、素敵なボトルと、ストロベリーを舌の上ですり潰したようなモダンでいて甘い香りはドレッサーに一本ストックしておくと気分を上げてくれるかも。
- 使用した商品
- 現品
- 購入品
2022/3/4 19:15:24
大自然の中を彷彿とさせる水の香り。それと野生の花。割と最後まで香りの変化が少ない。
トップはカロンが強い。きゅうりが苦手なのになぜ買ったんだと後悔したくらい。手首だと瓜感強いけど、キャミソールの下、お腹にワンプッシュで透明感ある香りに。このとき初めて、水辺に咲く花の匂いを感じた。いい香り!
ミドルになるとほんのり自然な甘さに。イメージしていた香りと違うけど、透明感が溢れてる。『人間に迎合しない』感あるくらい。オンディーヌが纏っていそうな、水の香り。
そんなわけで、意外と人によって好き嫌いがはっきりします。ある人は「クセが強い」、またある人は「上品で高潔な香り」と表現する、まさに人の手の加わらない大自然の水の匂い。香水嫌いの方、人工的な香りに疲れた方にもおすすめ。
どうしてだろう。ジャック・キャバリエの作品はいつも、間違っても剥き出しの皮膚にはつけられない。
トップノート:ロータス、フリージア、シクラメン、ローズウォーター、ピオニー、メロン、カロンミドルノート:カーネーション、ホワイトリリー、シャクヤク、スズランラストノート:オスマンサス、チュベローズ、アンバー、ムスク、サンダルウッド、シダーウッド
- 使用した商品
- サンプル・テスター
- 購入品