怜風さんのミラー ハリス / タンジェリン ヴェール オーデパルファムへのクチコミ |
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2024/5/2 14:36:28
一番映える季節は今。初夏。これは譲れない。
包み込まれるように優しい青みかんのトップ。
30分でタンジェリンのヴェールが剥がれ落ち(笑)、ミドルはマジョラムがややエキゾチックな印象へ。んんーそれでもオレンジフラワーとスイートムスクがとても優しいのよな…。
この香り、個人的には長い年月を共に過ごしてきた幼馴染にプレゼントしたくなる。将来への不安がない幼い時分、一緒に青みかんに齧り付いて、「すっぱい!」と驚き一緒に口を窄めて笑ったあのひとへ。
天然素材のみ用いることに否定的なパフューマーは多いけれど、リン・ハリスは文字通り『香りを捕まえる』。台風の後に公園へ新たな香りを探しに出掛けて行き、お気に入りの草花をチェストに閉じ込める。(もちろんコケも。Miller Harrisのモダンで陰影ある印象は、日常的に彼女がチェストから受け取るインスピレーションに違いない!)
整備された自然の一風景を切り取ったような優しさは、ミラー・ハリスのブランドそのものに根付く自然に対するリスペクトが滲んでいる。ただし自然の美しさには、手付かずにして完全な調和が潜んでいるということにご留意を。つまり香水をアートとして捉えた場合、良くも悪くも調和が取れ過ぎている。情動に訴えかけるものが少ないのである。ミドル→ラストにかけての変化の乏しさ(それも悪い方向へ)というのがMiller Harrisというブランドの最大の欠陥だと思う。(散々こけ下ろしているようでなんだけど、私はMiller Harrisが好き。いやまじ。高いなーと思いつつも何本もボトル買いしてる。理由は欠陥と表裏一体のミニマルなほど自然に優しい香り。これほど厳選された香料を用いていて、生活に溶け込めるほど使いこなせる繊細な感性を持った香水ブランドは少ない。)
厳選された天然素材のみ用いるので、良いお値段の割に香りがあっという間に飛んで行っちゃうのが難点。ただこのナチュラルな優しさと香りの揮発性を生かして、私はオーデ・コロンだと思って仕事合間のリフレッシュに使ってる。食事の予定がある日も一時間前にワンプッシュであれば全く邪魔しないのでオススメ。(ディナーの前、我慢しないといけないのに一人で香水味わいたくなるあの現象何なんだろ?)
人に勧めるなら人生の春の時期に出会えた相手へのプレゼントがいいかも。『あっという間に過ぎ去る人生の思い出を、あなたと沢山作っていきたい』的な(笑)
値段がもう少し可愛ければ、Z世代のカップルフレグランスにかなりオススメな香り。その点、ハイブランドとされる『PERFUMER H』は実は香水以外のラインナップも充実しているため、Miller Harrisよりもそちらのお値段はお手頃で、うまく選べば嗅覚の洗練された人へのプレゼントに重宝する。
Miller Harrisが創り上げる『聖域』の中で、最もノスタルジーを感じた香り。エネルギッシュなタンジェリンが再び活力を与えてくれる。
やわらかな木漏れ日に包まれて生きてほしい人へのプレゼントに。
トップ:グリーンタンジェリン(イタリア)、グレープフルーツ(フロリダ)、レモン(シチリア)ミドル:マジョラム(フランス)、ゼラニウム(エジプト)、オレンジフラワー(チュニジア)ラスト:セダーウッド(モロッコ)、モス、スウィートムスク
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