Cookieyukiさんのエルメス / ヴァニーユ ガラント(HERMESSENCE VANILLE GALANTE)へのクチコミ |
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- Cookieyukiさん
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- 52歳
- 乾燥肌
- クチコミ投稿142件
2022/2/13 22:04:17
ジャンクロードエレナは香水界の水彩画家だと言われている。ナイルの庭に代表される繊細で透明感溢れる作品には特筆すべきものがある。
そんなエレナ氏が作ったバニラ香水。うーん、バニラってアイスクリーム、プリン、ケーキなどを連想するせいか脂分を感じるので水彩画には合わないんじゃないだろうか。むしろ盛り上がるほどキャンバスにコテコテ塗った油絵具って感じがする。それでも透明感を貫き通せるのか?
プシュ!
あれ?
エレナ様にこんなこと言って良いんだろうか?
でも言う。正直な感想を述べるのが口コミの醍醐味だもの。
バナナ入れてない?
バニラとバナナ間違えてない?バニラどこよ?
すぐさま追いかけてくるブランデーのような香り。ブランデーの樽のようなウッディな香りも僅かにする。ずっと先祖代々使い続けたかのような複雑な木の樽の香り。バナナにブランデーをかけて火をつけてアルコール分を飛ばして食べるデザートみたいだ。エルメスの名前に恥じない高級感が溢れる。あまおう、章姫、紅ほっぺなどなど日本のイチゴみたいにバナナにも高級ブランド品種があるのかもしれない。常夏むすめとか?(勝手に命名してみた。実際にはありません) 。でもやっぱりバナナだ。
何回かつけているうちに自分の肌の上で2パターンの展開があることが判明。
パターン1. バナナのブランデーフランベ、バニラアイスクリーム添え→途中で花束出現→火をつける前の高級煙草とアンティークの木製家具。ほのかな香りのお菓子に使うスパイス。
パターン2. 洋梨入りブランデーカクテル→百合を主体とした花束→火をつける前の高級煙草とバニラの混ざった柔らかい香り
どちらにしてもフルーティ→フローラル→煙草のルートを辿る。面白いことにトップとミドルはフルーティと思いきやフローラルにシフトしたりその逆になったりで摩訶不思議な感じ。調べてみるとフルーティとフローラルには共通の芳香性化学物質が含まれているらしい。だからフルーティとフローラルの間を行ったり来たりできるのだ。
ラストになってようやくバニラらしいコクが出てくる。バニラは初めからそこにいたのだが最後になるまで意識が向かないのだ。よく熟成した煙草の葉としっくり馴染んでいるため、バニラといってもお菓子っぽさは皆無だ。ほのかに甘い心地よい香りに仕上がっている。お日様の下で乾かしたフカフカの布団を思わせるようなホッとする香りだ。
どこかでエレナ氏はバニラが好きではないと言う記事を読んだ。バニラの香りから知性を感じられないからだとか。そういえばエレナ氏の作品はかなり知的だ。オスマンサスユンナン、ナイルの庭、イリスウキヨエ、ローズイケバナ….. どれをあげてもインテリの匂いがプンプンする。(学歴ではなくて理性的な文化人という意味でのインテリね)。それらをつけて街角でナンパする気分にはなりそうもない。確かにバニラアイスクリームは食欲は刺激してくれるが知性は刺激してくれないな。
そんな彼が一体どういった経緯でバニラの香水を作るのを引き受けたのかはよく分からない。とにかくバニラの花の香水を作るということで話が落ち着いたらしい。
バニラの花の匂いなんて嗅いだことがない。バニラと花の匂いが合体したようなものなのか?バニラはラン科だからランの花とバニラが合体した香りかな?梅の花は梅酒の梅を彷彿とさせる匂いだ。山椒の実、山椒の葉と山椒の木はやはり同じ一体の植物だと納得できる共通のツンとした刺激性の香りを持っている。バニラ自体が熱帯にしか生息していないのでその花の匂いを嗅ぐことは難しいのだが、あれこれ考えをめぐらすと楽しい。
で、調べてみた。
バニラの花には匂いがなく鞘と種だけにあの良い香りがあるそうだ。1日で枯れてしまう花なのに花言葉が永久不滅という矛盾。鞘と実の芳香はかなり長持ちするので永久不滅はそちらのほうを指すのだろう。
ジャンクロードエレナ氏はやはり水彩画家だった。普段はバニラをつけない人も先入観抜きで彼の描ききった透明感溢れるバニラをつけてみて欲しい。へーえ、バニラを使ってこんなこともできるのねと感心すると思うから。
ノート: フローラルノート、バニラ、コニャック、ウッドノート、スパイス、煙草、ホワイトムスク、カカオ
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