新真昼さんのゲラン / リウへのクチコミ |
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2022/3/25 11:33:01
リウ。プッチーニの未完のオペラ「トゥーランドット」に登場する女奴隷の名。そんな名前を付けられたこの香水は、1929年発売と意外に古い。ジャック・ゲランが奥さんのためにせっかくルールブルーを作ったのに、いつの間にかジャック・ゲラン夫人はシャネルのNo.5を愛用するようになってしまい、それに怒った三代目がなんたらかんたら。
色々逸話には事欠かないフレグランスなので、気になる方はゲランカウンターで聞いてみることをオススメする。
パトリモワンヌシリーズとして廃番になったり復刻したりを繰り返したのち、オートパフューマリーの再編に伴い夜間飛行やミツコと同じくレジェンダリーフレグランスという区分に入れられてラインナップから外れることをなんとか免れた。今は逆さハートのボトルに入れられている。
で、肝心の香りはというと、
ゲランらしいみずみずしくて明るいベルガモットの酸味に、すっきりしたネロリ。そしてそれらをリフトするように拡がるソープ調のアルデヒド。昔はこの手の香りは「なんかよくわかんないけどデパートのコスメ売り場の香り?」としか感じなかったが、今ではクラシカルな石鹸調の心地よい香りだと思える。
続いてメインのフローラルだが、ジャスミンのホワイトフローラルでとても静謐な印象、よく言えば控えめ、悪く言えばちょっと地味過ぎる感じもあるが、ふとしっかり花弁の滑らかな手触りが感じられるときもある。
ドライダウンになると、ジャスミンの残り香にふんわりとアイリスがパウダリーなベールを被せる。そこに若干のウッディムスクが加わって終了。持続は4、5時間ほど。
このリウは当時のゲランとしては明らかに他社の追随、二番煎じ感の否めない香水ではあるが、それでもその他大勢の「No.5に似た何か」の中では(売れたかどうかはさておき)珠玉の出来だと思う。ライバルが強すぎるだけだ。ギラギラと光り輝くNo.5はまさに主役、三歩下がってついていく従者のリウと捉えれば納得はいく。
果たしてリウはジャック・ゲラン夫人の愛用香水の座を奪い返せたのだろうか?
その答えは、リウだけが知っている。
トップ:アルデヒド
ミドル:ジャスミン、ローズ
ベース:アイリス、バニラ、ウッディノート
調香師は、ジャック・ゲラン。
(fragranticaより)
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