新真昼さんのディオール / メゾン クリスチャン ディオール サクラへのクチコミ |
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:40ml・14,850円 / 125ml・31,680円 / 250ml・45,100円発売日:-
2020/5/30 17:51:59
ドゥマシーが日本通であるせいだからかはわからないが、メゾンクリスチャンディオールには日本からインスピレーションを受けた香りがふたつある。ひとつはローズカブキ、もうひとつはサクラだ。薄いピンク色のジュース、透明感のあるシンプルなボトルに「サクラ」なんて名が付いていたら、日本的なわびさびも感じられて思わず手に取ってしまうのではないだろうか。
“日本に滞在していたある春の日、私ははっと息をのむような桜と出会いました。その桜の木は小さく華奢でありながら、何千本もの桜が咲く絶景を想起させるような驚くほど存在感のある香りを放っていました。繊細で心惹かれる香りはどこまでも私のあとを追いかけてきました。サクラは、その長く漂うやさしい調べにローズのニュアンスを添え、あの時の桜へオマージュを捧げたいと思い創った香りです。”(公式サイトより)
一瞬春の訪れを感じさせるグリーンが香るものの、すぐにパウダリーなフローラルブーケの香りとバトンタッチする。私の中で桜をイメージした香りというと、クマリン系(桜餅っぽい)かサクランボ系(フルーティフローラル)に別れるのだが、こちらは前者だ。クマリンの甘さを中心に、ローズやジャスミンがその脇を固める。ときおりウォータリーな感じもするのはミモザだろう。ひらひらと散った桜の花びらが流れていく春の小川といったところか。
ドライダウンになると、クマリンに粉っぽいムスクのベールがかかって締め。MCDのライトフローラル系は本当に淡い香りが多いのだが、これはその中でも特に淡い。持って2〜3時間ほど。桜の花と儚く散ることはセットだからこれは致し方無いと言えよう。香りとしては、付けたすぐ後の香りがあまり変わらずそのまま減衰していくような展開だ。
「サクラ」が桜っぽい香りかといわれると、クマリンが中心の香りのため「まあそうですね」くらいの返事はできるが、どうもしっくりこない。どっちかというと桜風味の二〇ア的な香り。
香水好きな人はご存じだと思うが、基本的に桜からは精油も香料も採取することが難しいため、調香師はそれぞれのイメージを香水に投影する。日本人が桜と聞いて真っ先にイメージする品種はソメイヨシノだが、ソメイヨシノには際立った香りはないし、桜の中では大型化する部類。ドゥマシーの言うような“小さく華奢でありながら驚くほど存在感のある香りを放つ”という特徴には当てはまらないのだ。彼はいったいどこでどんな桜を見たのだろう?
ひらひらと風に舞う桜の花びらを掴んでみようと思ってもなかなかうまくいかない。サクラはそんなとらえどころのない淡く儚いフローラルだった。
トップ:グリーンノート
ミドル:ジャスミン、ローズ、サクラ、ヘディオン
ベース:ミモザ、バイオレット、ホワイトムスク
調香師はフランソワ・ドゥマシー。
(フレグランティカより)
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