TOP > ナツメグジンジャーさんのLikeしたクチコミ(おすすめ度順)

166件中 1〜5件表示

doggyhonzawaさん
doggyhonzawaさん 500人以上のメンバーにフォローされています 認証済
  • 48歳
  • 乾燥肌
  • クチコミ投稿426
セルジュ・ルタンス / フェミニテデュボワ (Feminite du bois)

セルジュ・ルタンス

フェミニテデュボワ (Feminite du bois)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50ml・14,300円 / 100ml・22,000円発売日:-

7購入品

2014/1/24 00:42:07

「自分が本当にうっとりとするような香りは、どこを探してもないんじゃないか?」
「たとえ見付けたとしても、それが周りからよいと思われることはないんじゃないか?」
「ならば、自分は何のために狂ったように香りを探し続けているのだろうか?」

二律背反である。二つの相反する推論が、等しい合理性・妥当性をもっている。そしてそれゆえに自己矛盾に陥っている。堂々巡りである。ドグラ・マグラだ。

そんなとき、この「フェミニテ・デュ・ボワ」に出会った。一瞬、息が止まった。

これまで味わったことのない香り。冷たく、清々しく、たおやかで静謐な、とても美しいウッディの香り。

プロデュースは、資生堂で1980年から20年間イメージクリエイターをつとめたセルジュ・ルタンス。調香は、ルタンス自身の右腕とも言うべきパフューマーのクリストファー・シェルドレイクと、ダビドフの「クール・ウォーター」やディオールの「ドルチェ・ヴィータ」などを手がけたピエール・ブールドンによる合作。

「フェミニテ・デュ・ボワ」。その意は「木のフェミニティ」。言いかえれば、「木のもつ女性らしさ」。その名のとおり、女性用フレグランスでは珍しいウッディノート。

初めての出会い。何の前知識もないまま。

トップ、付けたて2分まで。品のいいウッディ香が鼻の奥を刺激する。ウッディがトップでくることに少し驚きつつ、このあと濃くなるんだろうなと警戒。鉛筆っぽさも少なく、樹脂の清涼感も少ない。ややひんやりとしているが、固くて上質な木のイメージ。ローズウッドっぽいかなとも。

2分後。奥から出てくるややスパイシーな風合い。あれ、今頃、針葉樹系の清涼感?ん、ちがうな、これは調味料系スパイスだな。きつくはないものの、空気を押し広げるようなじんわりした重みが少し感じられる。けれど、下の方で先ほどのまろやかなウッド香も同時にしている。

そして10分後  「!!」
驚きの展開。スパイスのデクレッシェンドとともに現れたのは、バイオレット(スミレ)と淡い葡萄のような香り。ほんのり甘く、けれど暗く静かな、冷たいフローラル&フルーティ。このバランス!「目を疑う」という言葉があるが、自分の鼻を疑った。

まろやかで、けれどすっきりしたウッドの香り。その上にそっとベールをかぶせたような、淡いバイオレットフィズの風味にも似た、やや内省的な紫のフローラル。なんていい香り。なんていいバランス。静かで、落ち着いていて、すっきりと透明で、優しく時間がまどろむような、儚く直線的な香り。

それがずっと続く。オードパルファンだけれど、いたずらに濃い香りをこれでもかと自己主張するのではなく、柔らかく長くたゆたう。ほの暗く、涼やかに。

ずっとこの香りに包まれていたい。男であることも、自分の年齢も、顔や体型も、社会的地位や立場も、全くこの香りの前では意味をもたない。気にする必要がない。この美しい香りをいつまでもかいでいたい。この香りにずっと染まっていたい。久々にそう思える香りに出会ったことをはっきりと知った。

自分の印象を確かめるべく調べまくる。香りの構成は、ピラミッド型三段階ではなく、どうやら2段階。ミドルとラストが似ている変調子。どうりで同じ香りがずっと長く続くと感じたわけだと納得。構成は諸説あるようだが、大体次のように感じた。

トップ:アトラスシダーウッド、ジンジャー、クローブ、カルダモン、オレンジブロッサム、
ミドル:アトラスシダーウッド、プラム 、ピーチ、バイオレット、ローズ、ハニー(蜜蝋?)
ラスト:アトラスシダーウッド、ムスク、サンダルウッド、ベンゾイン、ヴァニラ

特筆すべきは、トップからラストまで、ずっとアトラスシダーウッドが優しいウッディを香らせていること。その音階と混じり合うことなく、もう1つの音が、スパイス〜フルーティ・フローラル〜オリエンタルへと変化していくような。つまり、混じり合うことのない上下のハーモニーが、絶妙なバランスで平行線を紡ぎ合っているような印象。

わかった。だから、突き抜けたんだ。

二律背反。「自分の一番いいと思う香りを見つけたい。」「自分の見付けた香りを人にもいいと思われたい。」相反すると思われた2つの欲望は、セルジュ・ルタンスの魔法の前に瞬時に消滅した。2つの思いは常に同次元に同列で存在していい。いわんや、それらが交わる事なき、平行線であったとしても。自分という存在同様、香りもまた「自分の絶対」であり、「相手の相対」という実存なのだから。

答えの1つをフェミニテ・デュ・ボワで見つけた。俺は、この香水に包まれている自分自身をこれまで以上に自己肯定する。たとえ君がこの香りを否定しようとも。

使用した商品
  • 現品
  • 購入品
doggyhonzawaさん
doggyhonzawaさん 500人以上のメンバーにフォローされています 認証済
  • 53歳
  • 乾燥肌
  • クチコミ投稿426
Puredistance / WHITE

Puredistance

WHITE

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

7購入品

2019/12/8 12:29:34

ピュアディスタンスのホワイトを知らなければよかった。この香水に出会わなければ、今も目の色を変えて世界中の香水を集めまくり、あれこれ試してはあーだこーだとくだらない能書きを垂れることに夢中になっていただろう。でもこの香水と出会って変わった。もうそんなにあれこれ探さなくていいかもしれない。そう思うようになった。だからちょっとだけこの香水に対する思いは複雑だ。この香水はあまりに美しくて少し哀しい。

ホワイトの第一印象は驚くべきものではなかった。初めて手首の内側にのせたとき、「柔らかくて、とてもなめらかで、どこかでかいだことがある香りだな。」と思った。静かに始まって、一日中ほんのり甘いパウダリーフローラルな香りが鼻を喜ばせ、自分の周りだけが特別な白いヴェールに包まれたように感じた。賦香率38%はすごすぎる。付けた手首をハンドウォッシュで洗ってもいい香りが残っているほど。この香りをウェディングドレスに例える方が多いのも頷ける。永遠の白。永遠に続く幸せ。欧米では、結婚される女性にプレゼントする方も多いと聞く。わかる。この香水はあまりに美しくてやさしい。

ホワイトの香りに包まれていると、どこか近くで聞こえないくらいの美しい音色が優しく鳴り響いている。そんな感じがする。まるで一流の交響楽団の音出しのようだ。弦楽器が静かにフェードインして、個々の楽器の高さでチューニングをはじめる。やがて木管や金管が唇の湿り具合と空間の響き具合をみるようにゆっくりと楽器に空気を送りこむ。あの静謐で、まろやかで、上質な音空間にふわりとそよぐノーブルな香りだ。あるいは幼い頃に添い寝してくれたあたたかな母の匂い。この香水はあまりに美しくてほんのり切ない。

きっとこれを創った人はとても優しい人だ。ホワイトの香りをかぐたびにそう思うようになった。そのシームレスでどこまでもスムースな香料のシンフォニーに耳を傾けていると、いつしか調香師の魂にシンクロしていく。これを創った方は、とても繊細で傷つきやすく、それでもその分、弱い相手の気持ちをおもんばかれる人だろう、そう思う。調香はアントワーヌ・リー。少しワイルドな見た目の男性調香師だ。2004年にアルマーニコードを発表したことで一躍注目され、以後多くの作品を手がけている人気調香師。彼が一年をかけてじっくりと取り組んだ作品、それがこのホワイトだ。

だが、真に熱狂的な方は別にいる。彼のような人気調香師をして一年かけてじっくり納得いくまで作品を創らせ続けたピュアディスタンス社長、ヤン・エワウト・フォス氏だ。このホワイトは彼の情熱の賜物だと思う。アントワーヌ氏は、フォス氏の強烈な圧しと情熱に全身全霊で応えたのだろう、そう思う。本当にすごいのは彼だ。

フォス氏はこの世界にただすばらしい物を生み出したいと願うパッションの塊のような人だと思う。たとえ自分で調香はできなくとも、持ち前の感性で本物を明確にかぎ分けられる天性の芸術家なのだろう。そして最高の作品を創るためならつぎこむ資金にも糸目をつけないような。だからすごい香水ができるのは必然なのだ。彼がお金儲けのために香水を創っていないことは、その美しい化粧ケースに触れた瞬間からはっきり分かる。彼は仕事に一切の妥協を許さない方だろう。ピュアディスタンスはたとえサンプルセット一つをとっても、天蓋付きのふかふかのベッドに横たわった美しい宝石のように大切に大切に提供している。ボトルの箱の方には社長自らのサインを入れて。彼はそうやって作品に魂を注いでいる。だから、この香水はあまりに情熱的すぎてぐっとくる。

最高の調香師に最高の香料を与えて、何度も納得いくまで作品を創ってもらう。香水好きな方にとってこれ以上の喜びはないだろう。そして生まれた美しい香りを世界中の人に届ける。そこにあるのは拝金主義とは全く逆の志だ。それは愛を与える行為そのものだから。

興味を持たれたらホワイトについてぜひ調べてみてほしい。この香水に関しては、香料がどうだとかトップがどうだとか言うつもりはない。ただ、ただ、試してみてほしいだけだ。自分の肌から立ちのぼる世界最高クラスの香りを。そして感じてほしい。そのとき見える世界の美しさを。そばにいて微笑んでくれるかけがえのない人の大切さを。

一人でいてはいけない。一人心を閉ざしてうつむいていてはいけない。嫉妬や憎しみで心を黒くしてはいけない。あなたがこの美しい世界にいられる時間はとても短い。愛する家族、友人、恋人と手をたずさえ、心を抱きしめ、その笑顔とともに、あなたにはいつも笑顔でいてほしい。

ピュアディスタンスのホワイトはそう語りかける。この香水はあまりに美しくて、あなたが愛しい。

使用した商品
  • 現品
  • 購入品
doggyhonzawaさん
doggyhonzawaさん 500人以上のメンバーにフォローされています 認証済
  • 52歳
  • 乾燥肌
  • クチコミ投稿426
ザ・ディファレント・カンパニー / ニュイ マグネティック オードパルファン

ザ・ディファレント・カンパニー

ニュイ マグネティック オードパルファン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:90ml・20,900円発売日:2014年

7購入品

2018/12/15 11:07:43

すばらしい香り。比類なきオリジナル。「磁石のように引き寄せられる魅惑の夜」の名にふさわしく、洗練され徹底的に作りこまれた調香師入魂のオードパルファム。その名はニュイマグネティック。

ニュイマグネティックがなぜすごいのか。そこには2つの理由が挙げられる。

1つ目は、現在世界最高の調香師TOP6に名を連ねるクリスティーヌ・ナジェルの繊細かつフェミニンな調香の実力に依るもの。ちなみにナジェルは仏語読み。(ナゲルは独語読み。)彼女の作品の特徴は女性らしい柔らかなフローラル使いとムスクを基調とした独特の透明感だと感じる。初期の名作はナルシソ・ロドリゲスのフォーハー、ディオールのミスディオールシェリー。2010年以降はジョー・マローン作品を数多く手掛け、現在はエルメスの専属パフューマ―として活躍している。このニュイマグネティックは、彼女がエルメス専属になる直前、同マスターであったジャン・クロード・エレナのために捧げた極めてプライヴェートなフレグランスだ。

2つ目の理由は、このニュイマグネティックがエレナに捧げた香りであるが故に、彼女のあふれんばかりの気持ちと調香力の全てがこめられたギフトだからだ。スイスで生まれたクリスティーヌは、グラース派閥でもなく専門的な調香を学んだわけでもなく、シングルマザーとして苦労しながらさまざまな香料会社で働き、その中で一流調香師たちに認められ育てられてきた異色の実力派だ。そんな現場たたき上げの彼女にとって、エレナの後継者としてエルメス専属調香師に選ばれたということは栄冠以外の何物でもなかったろう。その道を開いてくれたエレナへの感謝と尊敬、愛情の全てを注ぎ込んだ渾身の一作だからだ。

誰のためでもない。エレナへの思いの全てをこめて作った香り。ではどんな香りかというと。

ディファレント・カンパニー独特のピラミッドキャップをとってスプレーする。その瞬間、かぐわしいプラムワインのような香りが立ちこめる。ありそうでなかなかないトップ。だが知っている。これはセルジュ・ルタンスのフェミニテドゥボワを思わせるイントロだ。調べてみて納得。彼女が最も好きな香水の1つにフェミニテドゥボワが挙げられている。クリスティーヌはかつてこの名作を創った一人、ピエール・ブルドンの後継者として同じ香料会社に勤務していたことがあった。

ニュイマグネティックのトップは、そんなプラムのフルーティーな香りにもう少しコクのある葡萄のような香りが混じってくる。それはブルーベリーの甘さだ。下ではややこんもりとした薬っぽいアンバーも香っている。彼女がフェミニテ同様偏愛しているというアンブルスルタンを彷彿させるオリエンタルさも見え隠れするトップ。ふわりふわりとさまざまな香料が複雑に香り、ベルガモットのさっぱりとした酸味も感じられ、濃厚なのに心地よい。特に秋冬などに似合う甘くせつない感じのオープニング。これはたまらない。

10分ほどして香りはホットなジンジャーの辛みとジャスミン系〜ガーデニア系を思わせるホワイトフローラルが明確になってくる。ローズの清涼感、ジャスミンのふくよかさにクリーミーなベールがかかってとても柔らかくて穏やか、それでいて温かい。この調合も絶妙だ。一つの香料が突出するわけでなく、フルーツの残香がフローラルと重なり、フルーツリキュール香のようにセンシュアルなミドルとなっている。このへんはクリスティーヌに調香師の道を開いた師匠、フィルメニッヒ社で出会ったアルベルト・モリヤスから学んだフローラル合わせ技の極意ではないかと推察する。しっとりしていて気持ちもとろけそうになる。

やがて4〜5時間するとフルーティーなホワイトフローラルは終息し、後にはややドライなシプレ調のジンジャーが残る。この頃には香りも薄らぎ、透明感のあるムスクがソーピーで清潔な印象を保ちながらジンジャーをたなびかせて消えていくイメージ。香りこそ違うものの、彼女がクエスト社にいた際、フランシス・クルジャンと共作したフォーハーのムスク使いを思わせるラスト。最後まで全体の香調イメージをくずさずムスキーにフェイドアウト。

してみると、やはり愛だ。この香水に一番多くこめられた香料は愛情だろう。そう思う。

この香りに包まれた愛しい人を自分の全てで抱きしめられたら。そしてそれが互いに思い焦がれて抱き合えたのだとしたら。もう2人は引き離せない。磁石に鉄がついたのでなく、磁石どうしが互いに引き合ってしまったのだから。

琥珀色のベッドランプ。温かいブランケットにくるまれて密着し合う2人。窓の外は満天の星空。ニュイマグネティックの香りが2人の体温と共にシンフォニーを奏で始める。

離れられない2人。all night long.

使用した商品
  • 現品
  • 購入品
doggyhonzawaさん
doggyhonzawaさん 500人以上のメンバーにフォローされています 認証済
  • 55歳
  • 乾燥肌
  • クチコミ投稿426
Puredistance / No.12

Puredistance

No.12

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

7購入品

2021/10/9 11:55:41

ナンバー・トゥエルヴ。ピュアディスタンス12番目の使徒。この香水をつけると、体温でなめらかに溶け出し、ソフトでリッチな香りが肌とひとつになり、甘美なオーガズムをもたらす。この香水には、たとえ拒もうとしてもどこかあらがえない不思議な力がある。No.12。これはあなたの肌とSEXする香水だ。

No.12を肌にのせる。その瞬間広がるのは、シアーでスパイシーな風。カルダモンの透明な清涼感、コリアンダーの温かみある香り。それらが荒波のようにはじける。紺碧の海からスパイスミックスの波しぶきが押し寄せる。冷たく温かい背反したスプラッシュ。彼方には斜陽の黄色い光がぼうっとかすんでいる。それはベルガモットの酸味。ヘスペリディックの風が波をうねらせ、押し上げているトップ。

やがて香りの気配が真夜中の庭園のように思えてくる。深く青い闇が、秘密のささやきに満ちた森を黒く染めている。まばゆい月の光が、木々の葉や庭園の花々をぼうっと青く浮かび上がらせている。

青白い薔薇がかすかに揺れている。エレガントでクールな、孤高の薔薇の香りがしている。あたりにはセンシュアルなジャスミン、フルーティーなイランイラン、クールなゼラニウムの香りも漂っている。その月明かりの庭園を歩く。スパイスの風を胸に、青いフローラルミックスの花園の香りに心を酔わせながら。

時間がたつにつれ、森の気配が強くなる。黒い森の上方に、金色にライトアップされた聖堂のファサードが浮かび上がる。その金の威容と、暗闇の庭園に咲き乱れる花々の青が、美しいコントラストを醸し出す。歩を進めるたびに、あたりにはパチュリの湿った土のスパイシーと、モスのビターインクの香りが濃くなってゆく。次第にメランコリックな気配が強くなる。

自分の肌からスパイスとモッシーとホワイトフローラルと薔薇の香りがしている。そのミドルに酔いしれる。そしてそこには、秘めやかな快楽に堕ちてしまう懺悔のブルーの色が添えられている。

時計台が真夜中の12時を静かに告げる。12番目の使徒は白い香りに包まれる。自身の快楽への堕落も、心からの懺悔も包み込むように、ほんのり甘くふんわりとしたアイリスのパウダリーな香りに抱かれていることを知る。見上げると月が主のように自分を照らし出している。甘いヴァニラの光を投げかけ、いよいよ白くなって青い闇夜の中に浮かんでいる。時は止まり、スパイシーフローラルの残香が、白い月のパウダリーと青いムスクの空に静かに流れ、夜はふけてゆく。

つけてから8時間。夢のように香りはたゆたい、サファイヤブルーの背景に彩られた風景を次々に見せてくれる。きっとNo.12は最高の寝香水になるだろう。この香りはスパイシー&フローラルを基調としながら、ラストは白くパウダリーに終息してゆく。リッチではあるが派手でなく、センシュアルであるが扇情的ではない。肌にのせるたびに、毎回違った快楽がおとずれ、どの香料も突出せず、見事シームレスに溶け合っている。

シアーで、アンニュイで、ほんの少しセンチメンタルで。クールでフェミニンで、エレガントでシャープ。クラシカルなのにモダン、タイムレスかつシック。そして何よりビューティフル。そんな12の形容がふさわしい、とてもとらえどころの難しい香水。

ただ 美しいブルーだ。

オランダ初の香水ブランド、ピュアディスタンス。このたび、正式にピュアディスタンスジャパンが正規代理店として認証を受け、商品はe-storeの注文を受けて日本から発送される流れとなり、よりホスピタリティがグレードアップした。日本ではまだ実店舗に商品を置いているところはないが、ぜひ実現して、誰もが気軽にこの作品群を試せる時代になってほしいと心から思う。

なぜなら一度でもサンプルセットでも購入してみれば、理由はすぐ分かるはず。その対応の迅速さ、パッケージングや封入物の豪華さと丁寧さ、そして何よりフォス社長のセルフポートレートのドヤ顔(←それは毎回苦笑)。彼らは家族単位ほどの気心の知れたメンバーで、じっくり時間とお金をかけて本当にすばらしい香水を作り、世界中の一人一人のお客様に対して心を込めて商品を届けている。はっきり言って、そのへんの香水屋さんで買うときの何倍も大切に接客をしてもらってる感がある。そこだけはぜひ言っておきたい。

だから「すばらしいな」と心から思う。

この作品でこれまでのシリーズは一応の完結を見た。といった所だろうか。ただ12番目の使徒の役目は「裏切り者」ではない。それは、新たな伝説へ進むためのメッセージを託した「場面転換役」だと自分は思う。


No.12。Beauty in Blue。汝のなすべきことをなせ。この青き美しさに、御身を重ねたまへ。

使用した商品
  • 現品
  • 購入品
Cookieyukiさん
Cookieyukiさん 100人以上のメンバーにフォローされています
  • 51歳
  • 乾燥肌
  • クチコミ投稿142
シャネル / シャネル N°5 オードゥ パルファム (ヴァポリザター)

シャネルシャネルからのお知らせがあります

シャネル N°5 オードゥ パルファム (ヴァポリザター)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:35ml・11,000円 / 50ml・15,400円 / 100ml・21,560円 / -・25,630円発売日:- (2023/12/1追加発売)

ショッピングサイトへ

7購入品

2020/9/26 04:18:40

もしマリリンモンローが麗しい人魚だとしたら、自分はサンマかトビウオだと思う。「お綺麗ですね」と言われることは皆無だが「動きが機敏ですね」と褒められることが多い。よく言えば超機能的な体型。全く大柄でもないのに時々男性と間違われる中性的なルックス。そんなヤツがシャネルNo.5を気に入ってつけ続けた感想。

トップはガツンとくるアルデハイド。ひと昔前の外国製の化粧石鹸みたい。コッテリしたオイリーさも感じる。アルデハイドの匂いとは何ぞやという質問をしたら、シャネルNo.5を嗅げと言われるほどザ アルデハイドな香り。この辺の香りは確かにキツい。

ここで好き嫌いが真っ二つに分かれそう。それをやり過ごすと、バラとジャスミン以外に何が入っているかさっぱり分からないが、レトロなイメージのパウダリーな女性らしい香りになる。一瞬ベビーパウダーのように感じる時もある。

懐かしいな。子供の頃憧れて前に座ってみた、祖母の鏡台はこんな香りだったような気がする。母は鏡台を持たずに引き出しに化粧品を入れていたが、その引き出しも似たような匂いがした。ココシャネルは女性の匂いの香水をリクエストしたそうだが、まさに包み込むような成熟した女性らしさを感じる。

それを過ぎると深みのある人肌のような匂いに。このステージが季節、湿度、体調などによって様々に感じられて面白い。クルクル変わって万華鏡みたい。アイリス+サンダルウッドだったり、ローズ+ジャスミンだったり、ムスク+バニラだったり。つけたまま一晩放置したら咲いたばかりの庭の薔薇の瑞々しい香りになって驚いたことも。

しかも消えゆく少し前が大好き。華やかさのあるフローラルやウッディノートにアニマルノートがかなりの割合で隠れているらしく、ある意味生々しいほど官能的で肉感的だ。そこには軽々しく口にするセクシーという概念を超えたものがある。自分の肌を形容するのに変な言葉だが、女性の生肌から匂い立つむっちりしっとりした色っぽい香り。絵画で例えるとメアリーカサットのお母さんと子供の絵肌かな。

そんなNo.5を気に入って、かなりの頻度でつけている。とはいえ職業柄様々な年代の人を相手にするので、TPOだけでなく会う人の年齢も視野に入れて香水を選んでいる。小学生かそれ以下なら柑橘系、ティーンエイジャーならフルーティフローラル、年配の方なら少しクラシックなものなど。

シャネルNo.5は30代以上の人を相手にする時によくつける。つける場所と量によって印象がかなり違う。つけすぎるとお高くとまった感じになるが、薄めに鼻から遠い所につけると軸のブレない気丈さと共に優しげな女性らしさのある素敵な印象になる。

ある日幼児ばかりを相手にするプロジェクトの時No.5を間違ってつけてしまった。嫌われないかビクビクしながら仕事開始。うっすらと香るようにつけているせいか、子供の表情には何の異変もない。

そのうち一人がギャン泣きしだした。慰めるために抱っこ。(コロナ騒ぎ前) すると私の胸をムニュムニュ触りだした。「3才くらいだしちょっと前までお乳飲んでたしね」と思うや否や、下ろしてと言わんばかりにバタバタしだした。

ゆっくり降ろすと一目散に母親のところに猛ダッシュ。香水が嫌なのかも、ヤバっ!後で上司に怒られるかなあ。

すると...

「あんなのオッ◯イじゃない!」

その子が大声で叫んだ。よかった、香水のことじゃなくて。その場にいたお母さん達も子供達も爆笑した。

幼児を沢山相手にしていたせいか、なんだか母と話したくなった。その夜母に電話して聞いてみた。「おばあちゃんかお母さんのどちらかシャネルNo.5使ってた?」

母が言うにはどちらも使ってない。そもそも香水つける習慣がない。どうも私の頭の中でNo.5の香りと母性が合体していただけらしい。ついでに「あんなのオッ◯イじゃない」事件を報告。すると....

「あんた、何にも分かってないねえ。女の胸の価値は色艶形、大きさでもない.....性能よ!」とのたまった。流石我が母は人生の先輩。

でも今まで私にはその性能とやらを確認する機会はなかった。たぶんこれからもないと思う。

それなら香りで女性らしさをプラス。という訳でシャネルNo.5をずっと愛用するつもり。

使用した商品
  • 現品
  • 購入品

166件中 1〜5件表示