2023/2/12 18:23:57
か、可愛いボトル…!!
『モン パリ(私のパリ)』というネーミングから察せるように、女の子の憧れをぎゅっと詰め込んだみたいな誘惑的な見た目。
個人的にはこの香りは『付けこなす』ことを目的にするのではなく、最大限に『味わう』ことで真価を発揮する。
ボトルを手に取って肌に乗せる瞬間から、この香水のストーリーは始まってる。
ドキドキ、わくわくさせられる恋の始まりは、眩暈がするほど甘く纏わり付くトップ・ノート。
香水のCMって、ヤマトナデシコ(?)が思わず目を逸らしてしまうほど濃厚なフレンチ・キスの映像が流れてたりするけど、この香水に関してはそのCMもしっくりくるほど激しい甘さ。訪れた恋が非凡なものではないことを示唆するよう。
ともすれば甘くチープなだけの「恋」がテーマになる退屈な香りを、ミドルのダチュラが大胆に覆す。なるほど、明らかにモダンガール(←大正時代からある言葉じゃん)の為の香りである。
(個人的には嫌いじゃないが)『推し』に投資する量産型女子にはこの香り似合わない。誰にも見られないインポートのランジェリーに数万叩く、スラックスで闊歩するオンナノコを楽しめる香り。うーん、好き。ターゲット層であるアジア人女性の私はばっちり掴まれてしまったというわけだ。
それでも現代人の感性を的確に捉えた香りだと思う。かなりセクシーでともすれば古典的なシプレが、現代的に仕上がっている。
ラストノートはホワイト・フラワーが多用された香調に相応しいエクスタシーの香り。
ちょっぴり虚しさが残るのは私だけ? 少なくともラストノートまで来ると、むしろ「この香りみたいに簡単に足を開くもんか」と自分の中の天邪鬼が叫び出す。皆さんご存じのように、情熱的な恋が全て神聖だとは限らない。
トップからミドルが冒険心を抱かせてくれたの
で、ラストノートでちょっぴり気落ちした。でもそんなエンディングを踏まえて、これは完璧に「恋愛を忠実に再現した香り」。
ミドルから香り立っていた、まるで狂ったように(あるいは噛み付くように)絡み合う2種類のパチョリを宥めるように包み込むカシュラメン。恋人たちの迎える最高潮の悦びの香り。(はてさて、その先は?)
ピンクペッパーもグルマンも大好きな私にクリーン・ヒットしたフローラル・シプレー。
日常使いにも名刺代わりの一本にもしないけど、素敵なボトルと、ストロベリーを舌の上ですり潰したようなモダンでいて甘い香りはドレッサーに一本ストックしておくと気分を上げてくれるかも。
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2023/2/10 19:50:13
正直なところ好みじゃない。自分が似合わないと言われる香りの特徴が列挙されているからかもしれない。
この香りは温情なのに沈着。隠そうともせず誘惑的で、完熟した果実のよう。
ユニセックスらしいけど、この香りの似合う男性ってそう多くない。皆さん仰るように、「美容室帰りですか?」と尋ねられそう。
とはいえスーツの似合うミドル・エイジ以降の成熟した男性が纏っていたら上記の通り、かなり誘惑的。
オレンジ・ブロッサムが優しく微笑み、女性が好むベリーが惜しみなく使われていて、落ち着きと包容力を兼ね備えた香りだから。
落ち着き払ったプチグレンが、まるでベリーが弾けるような爽やかで顔を見せたオープニング。
ベルガモットとプチグレンなら紅茶の落ち着き、ベルガモットとカシスなら瑞々しく弾けるような果実の爽やかさ。
その双方を兼ね備えたトップ・ノートといえばこの香りの魅力が伝わるはず。
ミドルはミステリーが続く。ベリーの香りであることははっきり感じ取れるのに、何色の果実かさえわからない。清涼感さえ感じ取れるほど透き通っているのに、やけに蠱惑的なムスク。
そう、この香りは妙に感に触る。鼻先でひらひら舞うような甘いこの香りの正体を、解き明かしたくてたまらない。
ラスト・ノートで全ての香りが剥き出しになっても尚、この香りは自分のものにはならなかった。潔く典麗なパチョリ、湿った滑らかな肌の匂いを思わせるオークモス、それから最後まで憎たらしいほどコケティッシュなムスク。
私は一生かけてもこの香りはつけこなせなそう。
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2023/2/3 21:03:07
同じスノードロップが用いられたJILLのクリスタルブルームスノーのトップが連想されるけど、こちらはネロリが含まれているからか、イメージは完全に春。甘いネロリのイメージを強調する優しいオレンジ。
JILLSTUARTのオレンジの使い方、大好き!フローラルの甘さを強調するオレンジの使い方はJILLのファッション・ラインナップを象徴するような上品さ。
とはいえ中高生に一番似合いそうな香りではある。
JILLSTUART BEAUTYの少なくともフレグランス・シリーズはそういう、未熟さが魅力になる香り。
私が纏ったら絶対に「あざとい」と思われてしまう。
チュールドレスをイメージして作っているらしいので当然かも。逆にいえば大人になってもチュールドレス(ロング丈の香りじゃない。膝だけの、パニエを着用しバレリーナ並にふわふわに広げた膝丈orリトル・チュールドレス)が似合う方なら付けこなせるのかもしれないが。
ミドルはJILLSTUARTが謳う「大人のセクシーさ」が徐々に顔を出す。とはいえニッチ・フレグランスのようなダーティさは全くなく、「少女が憧れる大人の女性のセクシーさ」。そういう意味でもこのEDPは少女への気軽なプレゼント向きかも。プチプラでボトル可愛いし。
ラスト・ノートが一番好みだったかも。エスティーローダーのBeautifulに似てる(イランイランが強く主張するこちらより、あっちのほうがラスト・ノートのベチバーの落ち着きが強い。個人的にはBeautifulの方が好み)。
花咲き光溢れる森林を思わせる、アンバーとフレッシュなシダーの溶け合う甘い香り。
ボトルと同じペールトーンのピンクな香り。巷で流行りの万人受けする香りといえば、恐らくスノーよりこっち。
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2023/1/23 17:13:28
えーっなんで誰も口コミ書いてないの!?
個人的にメンズのブルガリはブルーより、断然グレイシャル・エッセンス派(そんな派閥ないけど)!
トップの他人を寄せ付けないアイシーな感じ、好き!
潔いほど透き通ったジュニパーベリーと合わさるジンジャーがここまで涼しげ(いっそ冷たい)イメージを作るのはびっくり。ミンティーなゼラニウムと合わさったから?
ミドルになると冷たさが和らぎ、円やかなサンダルウッドの影に、情緒的なアルテミシアの香り。イリス・コンクリートがトップで感じた清潔な印象を保ってくれる。
うーん、好き。日本人が受け入れやすい香りだと思う。
そういえばこの香りのテーマは氷ではなく空気(air)だった。
ブルガリの広告も氷のような男、ではなくて氷河で覆われた絶壁を身一つで登り切り、頂点に立つ男のイメージだったっけ。そう思うと殊更に美しく感じられてしまうな。
壮大な夢への情熱を内に秘めたリアリストに似合いそう。
凍てつく世間の荒波に揉まれるトップ(尚希望を失わず静かに好機を待つような、余裕と自己信頼に基づくスマートさが素敵な香り!)。
ミドルになると、完全な失望からしか見えてこない、自立心に満ちた無二の希望が顔を覗かせる。このキラキラ瞬くイリスが、決して損なわれない生命力の煌めきを象徴してるみたい。
ラストは『真っ白に燃え尽きたぜ…』の香り。安寧の感じられるシダーウッド。とはいえ世代じゃないので(笑)、個人的にはトップからミドルまでが最高潮。夢は叶える前が最も美しく輝くのである。
もしくはこの香りは、第一印象が無機質なほど怜悧な男が、あざといほど巧妙に母性本能を刺激する微笑みのイメージかもしれない。
ラスト・ノートの微睡みは、既に心はそこになく、次に獲らえる山はどれにしようかと、次を期待し至高の悦楽を夢見るロマンを思わせる。笑
(でもこの香りは軽薄なだけのプレイボーイには似合わなそう。女には冷徹でもいいけれど、仕事か趣味へ向けたパッションがない限り、背伸びしてるわね?と思われそう。それはそれで素敵かもしれない。)
変な喩えのせいで伝わらなかったでしょうが、ラスト・ノートのシダーとムスクの組み合わせをありきたりで終わらせない、ラストのクリアウッドがとてもモダンで魅力的。
その辺りも"香害"に疲れ果てた時代を経た日本人に受けそうな香り。
男性にそこまで香水文化が浸透していない為あまり使っている人を見ないけど、もうちょっと広まっても良さげ。
女性がつけるにはあまりに清潔過ぎて奥行きに乏しいイメージを与えてしまうかも。ミドルのアルテミシアを嗅ぎながら、ふとそう思った。
貞潔の女神、アルテミス。従順そのもののカリストーさえ、掟に従い追放した彼女の内には、きっと誰より強く、ひたぶるに信念へと情熱が迸っていたに違いない。
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2023/1/11 14:08:16
生まれ育った時代さえ違えば、すごく好きだったろうな、と思う香り。
私たちの世代はこうしたフローラル+スパイシーオリエンタルの組み合わせのレディースの香水の匂いに非常に敏感に反応する。平たく言おう。真っ先に連想するのは、授業参観の日の教室を満たすお母さんたちの香水の匂い!!!!
で済ませるのもちょっと。
真っ先に刺激された大脳辺縁系を宥めすかして、人間らしく大脳新皮質を自主的に働かせます(笑)
弾けるシトラスは躍動感あってキュート。若さ溢れる生命力を彷彿とさせる。トップからアルデハイドが鼻を突き、紛れもなくCHANELの香り。『21世紀のココ・シャネルになるマドモアゼルはだあれ?』そんな挑発的な激励が頭を過ぎる。
ミドルで大興奮。
青くさいほどに瑞々しいターキッシュ・ローズ、ミモザ特有のクリーンでいて濃密なフローラル、イランイランとジャスミンの馥郁が溶け合う。
敢えてのトルコ産のローズなのね!??確かにこれは柔らか過ぎるセンティオリアローズじゃ優しすぎ、ブルガリアンローズじゃふくよか過ぎる!!巧い!ブラボームッシュ!ジャック・ポルジュ!!
ミドルまで古典的なゴージャス系女子(?)のイメージだったのが、ラストは若干モダンに傾く。若年層に比較的好まれるのもベース・ノートかもしれない。棘のある、摘みたての生花を連想させる香り。
(個人的にもミドルからラストが一番好き)
パチョリの配合された香水に感じる円熟さは、このEDPからは感じられない。トップからベースまで、感じられるのは未完の美。
自分の中の『女』を飼い慣らすことを楽しみながら、夢を追う女性のパッションの美しさ。
『ココ・マドモアゼル』のネーミングにぴったりの香り(今も昔も、CHANELのマーケターは概して天才的な手腕を誇るらしい。誰か知らんけど)。
先入観なしに嗅ぐと、素晴らしい完成度の香り。なんだけど、CK-one現象の中を育った世代としては、香水を纏っている間中マインドフルネスを保って香りと向き合えというのも無理のある話。
従って、オススメできるのは仕事に生きる姿が美しい、熟年層のレディ。
オリエンタルの要素を最も輝かせるためにワンプッシュ以下、できたら服の下に纏って欲しい。使われる香料の全てが紐解けてしまったら、折角のミステリアスな愛らしさが半減してしまう。
半径1メートルに入った人間は誰彼構わず魅了しようなんて、美学のない女性にはこの香りは似合わない。
『恋は私のクリエイティビティを彩る素材。
だけど足枷になる結婚は、一生しない』
剥き出しの遊び心の下に、隠し切れないほどの自立心。
決意を秘めたマドモアゼルの香り。
調香師:ジャック・ポルジュ(Jacques Polge)
香:オリエンタル フローラル
発売:2001年
トップノート:オレンジ、マンダリンオレンジ、ベルガモット、オレンジブロッサム
ミドルノート:ターキッシュローズ、ジャスミン、ミモザ、イランイラン
ベースノート:パチョリ、ホワイトムスク、バニラ、ベチバー、トンカビーンズ、オポパナックス
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