怜風さんのイッセイ ミヤケ パルファム / ロードゥ イッセイ プールオム オードトワレへのクチコミ |
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2023/2/15 15:57:48
朝露の滴るような柚子の香りのトップ・ノート。ひえー爽やか。
シトラスを引き立てるカロンはロードゥ・イッセイの看板娘だけれど、個人的にはこのカロンがキツすぎないプールオムの方が遥かに好き。はーーーー落ち着く…!!!日本を離れるときが来たら絶対この香水持っていく。
トップで花開いたセージとタラゴンの奥行きは、大都会を自然体で生きる稀有な精神を表すかの如く、奇跡のように美しい。この香りは教えてくれる。『漂白されていない』ものが本当に美しいのであって、『汚れてない』ものは上辺だけの清潔さなのだと。(「きれいは汚い、汚いはきれい」。)
この香りのキー・ノートはモクセイソウ。レディースの香水に使われていたらあまり好まない香りだったと思うけど、オスマンサス好きの私にぐさりと刺さったわけだ。モクセイソウ、属名はReseda。ラテン語の『Resedo(癒す)』に由来。その名の通り、この香りは日本人なら誰しもが癒されてしまうと思う。毒がないくせに『ズルい』香り。
ジャック・キャバリエのスパイスの使い方って、ほんとに天才的だと思う。こんなにも本来の温かみある香りを引き出しておいて、全くダーティじゃない。
ミドルで顔を覗かせるのは、漲る様な力強さ。穏やかな水面の下に滾る生命力を思わせるカロンは、合成香料の強みだろう、ミドルで尚強くその存在を主張する。しかしメンズの香水にありがちな、マッチョな(肉体のマッチョはウェルカム!)自己顕示欲のように鼻につく感じが全くない。
感じられるのは天衣無縫の子供時代に対するノスタルジー、軽やかで活力的なスズランの優しく香るオゾンノート。
トップからミドルまでが至高の美しさだった為、期待値が上がり、ラストノートの印象の薄さで?1。この変化のなさはともすれば「安心感」として好感を与えるのかもしれないけど、うーん。星7を付けたかったなあ。
それでもラストノートさえ包み込まれるような心地よさであることは確か。
大自然が全てを許容するなんて、生きる不確実性への恐怖を上書きする為に生まれた便宜主義的な信仰心。わかっていて尚、心が疲れた夜は、この香りに包まれて眠りたい。
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