




























doggyhonzawaさん
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2025/3/30 11:32:04
あの男(ひと)に香水をプレゼントしたい。何かいい香りないかな?オンオフ問わず気兼ねなく使えて、シトラスとかスパイシーとかウッディとかに振りすぎず、バランスが良くて、あまり強すぎない香り。知的で、洗練されていて、くどくなくて、若々しくて、誰にも嫌がられないような香り。それでいて、もし可能なら値段が比較的安くて、気に入ったら何度もリピートできるような香り。もし気に入ってもらえなかったら、女性の私が代わりに使えるような香り。やっぱ注文大杉かな?さすがにそんなのないよね。
いや、ある。そして、オルフェオンでもフルールドポーでもアナザー13でもソバージュでもない。そんな街中にあふれてる香りじゃない。
男性向けプレゼント香水なら、自分のイチ推しはフローリスの「スペシャルNo.127」オードトワレだ。対象は30代以上の大人な男性なら年代問わず。そのおすすめポイントは次の通り。
メリット@価格のお手頃さ
この香水の価格は100mlで1.6万円ほどだ。これは昨今のインフレ値上げトレンドからすると、かなりお求めやすい価格をキープしている。昨今は50mlでも3万円を超える香水が激増している中、まずはお財布に優しいというのは真っ先に紹介したい点。
メリットA香りのバランスのよさ・ほの淡さ
スペシャルNo.127は、とてもバランスが取れた香りだ。「シトラス」「ウッディ」と一言で語れないほど、香料が多彩でバランスがよい香りであるということ。
スプレーすると、まずはトップで爽やかなシトラスが爽快感を演出、するとすぐに、ネロリの甘くふくよかな香りがふわりと広がり、シトラスのシャキッと感をまろやかにする。この変化が絶妙で、爽やかなイメージを演出しつつ、男性の持つ懐の深い優しさを感じさせてくれる。
3分もせずにミドル。ここでは穏やかなゼラニウムと清涼感のあるローズが広がり、優しさの上に冷静さと知性、気高さを感じさせてくれる。このトップからミドルまでの展開が秒単位で変化し、しかもそれぞれの香料バランスが素晴らしい。つまり、全てにおいてバランスの良い能力をもつ男性像を暗喩している。
つけて40分ほどでラスト。ラストはほんのりアーシーなパチュリの香りとラブダナムの樹脂感が広がる。これは大地にしっかりと足をつけた、安定感があり、信頼できる男性像を見事に演出している。まさにクラシカルなオーデコロンの骨格を用いて美しく変化する。
そしてここまでの変化は約1時間で終了する。出力は控えめで、肌が見えるところに直接プッシュしても、つけて10分もすれば周囲に迷惑をかけるような香りではない。その優しさ、ほのかさが、さりげない周囲への気配りをも表現している。
メリットB男心をくすぐる歴史と伝統
スペシャルNo.127に は、偉大な歴史と背景がある。この香りは1890年、ロシアのオルロフ公爵の依頼で特別に作られた「オルロフ・スペシャル」として誕生した貴族のための香水だ。それが後にフローリスの「Specials」フォーミュラブックの127ページにレシピが掲載されたことから「Special No. 127」と名付けられ、その後、英国首相ウィンストン・チャーチルの愛用品となったことで世界的に人気が爆発した。
もともとフローリスは、代々の英国王室御用達ブランドとして世界に知られていたが、スペシャルNo.127といえば「チャーチルの香水」と言われるほど、彼に溺愛されたという。その政治的手腕の高さと緻密な判断力、ときに大胆な経営手腕によって、第二次世界大戦時にドイツを破り、幾多の栄光の頂点に立った男。彼が常に纏った香りこそがスペシャルNo.127だ。
とはいえ、スペシャルNo.127は古くさい香りではない。まして威厳に満ちた硬い香りでもない。その香りはどこまでも優しく、豊かで、美しい自然の色に満ちている。
この香りは、つけた瞬間、まるで夏の日差しに輝くオレンジ果樹園にいるような感覚をもたらす。その後、ローズやゼラニウムが彩る英国庭園へと誘われるように変化し、最後には書斎で過ごす静かな午後を思わせる温かみある余韻へといざなう。そのタイムレスな魅力こそが、時を越えて今なお世界で愛され続けている所以だろう。
もしもあなたが、大切な男(ひと)に香水を贈りたいと考えるなら、問われるのはあなた自身のセンスだ。あなたがなぜその香りを相手に選んだかどうかだ。
いつもさわやかで、優しくて、知的で、冷静で、決断力と包容力があって、その笑顔が信頼できる。
そんな男(ひと)だからこの香りを贈ります。フローリス、スペシャルNo.127。
いつもご覧いただき、ありがとうございます。香水について細々とレビューしています。 最近はX(旧Twitter)でも時折つぶやいています。香水好き… 続きをみる