


























新真昼さん
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2023/2/3 11:30:53
ラールエラマティエールに追加されたウード三部作のひとつ、ウードコール。日本においては2022年のサロンドパルファンで先行販売、一般販売は2023年1月2日。最近のゲランフレグランスはゲランのNo.2パフューマーであるデルフィーヌ・ジェルクの名前で世に出されていることが多いが、このウードコールは我らが五代目(といっても正式に五代目と認められたのは2018年頃らしい)ティエリー・ワッサーの名がクレジットされている。
香水自体の色は黒ずんだ紫色。コール(墨)というくらいだからそれを意識した着色なのだろう。トップから香る強烈なアルデヒドの脂肪臭。無香料石鹸からかすかに香る脂っぽい匂いを100倍に濃縮したよう。同時に木酢液のような植物由来の酸っぱさも感じる。もし私がゲランどころか香水自体に詳しくなくて、店頭でこの香りが付いたムエットを渡されたら、「高級ナ香水ダケアッテトテモコセイテキナ香リデスネ」と棒読みで伝えてムエットを返却しそそくさと退散、あそこはヤベーブランドだ近づいちゃいけねぇ、と記憶に刻み込まれることだろう。
脂っぽい酸っぱさの後にやってくるのは炭のようなスモーキーな香り。肌の上で七輪に火をかけたかのようにもくもくと煙たい香りが沸き立つ。うーん、ゲランの香水というより、新興ニッチがちょっと面白い名前を付けて出しそうな香りだな。もう少し様子を見てみよう。
相変わらず煙たいものの、少し甘さが出てきたようだ。これがプラリネなのだろう。プラリネといってもグルマンのような香りにはなっていない。苦味の強いスモークの奥底にほんの少しだけ感じる甘さ。ここまでくると肌に馴染んでレザーのような質感も出てくる。そしてモスアコードのアーシーな苦味も加わってドライダウン。持続は12時間以上、非常にロングラスティングだ。
しっかりキャラの立った個性的な香り立ちで、付ける人はかなり選ぶ。私はだいたいムエット通りのスモーキーウードでメンズ寄りに香るが、甘くフェミニンな香り方になる人もいる。ムエットだけで判断することは難しいだろう。
ウードコールは、色に喩えるならベンタブラックという光を非常に吸収する物質ということになっている。可視光の99.965%を吸収するため、これを塗られた物は元の質感が肉眼では全くわからなくなってしまうらしい。
全てを呑み込む黒に気圧されるか、そこに光を見出せるかは、あなた次第。
ノート:アガーウッド(ウード)、レザー、アルデヒド、モス、プラリネ
調香師は、ティエリー・ワッサー。
(fragranticaより)
香水大好きです!!! 続きをみる