- doggyhonzawaさん 認証済
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- 48歳
- 乾燥肌
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2014/1/24 00:42:07
「自分が本当にうっとりとするような香りは、どこを探してもないんじゃないか?」
「たとえ見付けたとしても、それが周りからよいと思われることはないんじゃないか?」
「ならば、自分は何のために狂ったように香りを探し続けているのだろうか?」
二律背反である。二つの相反する推論が、等しい合理性・妥当性をもっている。そしてそれゆえに自己矛盾に陥っている。堂々巡りである。ドグラ・マグラだ。
そんなとき、この「フェミニテ・デュ・ボワ」に出会った。一瞬、息が止まった。
これまで味わったことのない香り。冷たく、清々しく、たおやかで静謐な、とても美しいウッディの香り。
プロデュースは、資生堂で1980年から20年間イメージクリエイターをつとめたセルジュ・ルタンス。調香は、ルタンス自身の右腕とも言うべきパフューマーのクリストファー・シェルドレイクと、ダビドフの「クール・ウォーター」やディオールの「ドルチェ・ヴィータ」などを手がけたピエール・ブールドンによる合作。
「フェミニテ・デュ・ボワ」。その意は「木のフェミニティ」。言いかえれば、「木のもつ女性らしさ」。その名のとおり、女性用フレグランスでは珍しいウッディノート。
初めての出会い。何の前知識もないまま。
トップ、付けたて2分まで。品のいいウッディ香が鼻の奥を刺激する。ウッディがトップでくることに少し驚きつつ、このあと濃くなるんだろうなと警戒。鉛筆っぽさも少なく、樹脂の清涼感も少ない。ややひんやりとしているが、固くて上質な木のイメージ。ローズウッドっぽいかなとも。
2分後。奥から出てくるややスパイシーな風合い。あれ、今頃、針葉樹系の清涼感?ん、ちがうな、これは調味料系スパイスだな。きつくはないものの、空気を押し広げるようなじんわりした重みが少し感じられる。けれど、下の方で先ほどのまろやかなウッド香も同時にしている。
そして10分後 「!!」
驚きの展開。スパイスのデクレッシェンドとともに現れたのは、バイオレット(スミレ)と淡い葡萄のような香り。ほんのり甘く、けれど暗く静かな、冷たいフローラル&フルーティ。このバランス!「目を疑う」という言葉があるが、自分の鼻を疑った。
まろやかで、けれどすっきりしたウッドの香り。その上にそっとベールをかぶせたような、淡いバイオレットフィズの風味にも似た、やや内省的な紫のフローラル。なんていい香り。なんていいバランス。静かで、落ち着いていて、すっきりと透明で、優しく時間がまどろむような、儚く直線的な香り。
それがずっと続く。オードパルファンだけれど、いたずらに濃い香りをこれでもかと自己主張するのではなく、柔らかく長くたゆたう。ほの暗く、涼やかに。
ずっとこの香りに包まれていたい。男であることも、自分の年齢も、顔や体型も、社会的地位や立場も、全くこの香りの前では意味をもたない。気にする必要がない。この美しい香りをいつまでもかいでいたい。この香りにずっと染まっていたい。久々にそう思える香りに出会ったことをはっきりと知った。
自分の印象を確かめるべく調べまくる。香りの構成は、ピラミッド型三段階ではなく、どうやら2段階。ミドルとラストが似ている変調子。どうりで同じ香りがずっと長く続くと感じたわけだと納得。構成は諸説あるようだが、大体次のように感じた。
トップ:アトラスシダーウッド、ジンジャー、クローブ、カルダモン、オレンジブロッサム、
ミドル:アトラスシダーウッド、プラム 、ピーチ、バイオレット、ローズ、ハニー(蜜蝋?)
ラスト:アトラスシダーウッド、ムスク、サンダルウッド、ベンゾイン、ヴァニラ
特筆すべきは、トップからラストまで、ずっとアトラスシダーウッドが優しいウッディを香らせていること。その音階と混じり合うことなく、もう1つの音が、スパイス〜フルーティ・フローラル〜オリエンタルへと変化していくような。つまり、混じり合うことのない上下のハーモニーが、絶妙なバランスで平行線を紡ぎ合っているような印象。
わかった。だから、突き抜けたんだ。
二律背反。「自分の一番いいと思う香りを見つけたい。」「自分の見付けた香りを人にもいいと思われたい。」相反すると思われた2つの欲望は、セルジュ・ルタンスの魔法の前に瞬時に消滅した。2つの思いは常に同次元に同列で存在していい。いわんや、それらが交わる事なき、平行線であったとしても。自分という存在同様、香りもまた「自分の絶対」であり、「相手の相対」という実存なのだから。
答えの1つをフェミニテ・デュ・ボワで見つけた。俺は、この香水に包まれている自分自身をこれまで以上に自己肯定する。たとえ君がこの香りを否定しようとも。
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2018/3/16 11:58:20
この香りは私にとって衝撃でした。
初めて店頭で試した時、渋いベルガモットの香りと、香ばしい樹皮の香り、それと心地良く甘いふわりとしたバニラの香りが、バランス良く調和しながら、滑らかにひとつの香りとなって、胸のずっと奥深くまで染み入り、柔らかく広がりながら心を満たしてくれたようでした。
あの時の感動が忘れられず、まずはPから購入してみました。徐々にラインで買い揃えていますが、不思議なことにこの香りは毎日つけていても飽きません。
シャリマーは鼻先で楽しむものではなくて、心で感じる香り。
流行のフルーティーフローラルやシトラスとは程遠い香調で、極上の柔らかさと奥深さを持つ香り。
この香りは、薔薇やジャスミンなど特定の何かの香りが主張するのではなく、さまざまな香料が絶妙に合わさってひとつの香りを織り成し、情景や心の移ろいを想起させる香り。美しい夕焼けの情景や、しんとした森の景色や、肌の質感のような柔らかい甘さを感じます。
シャリマーの魅力の一つは、美しく完成されたデザインのボトルです。
ゆったり羽を広げた孔雀の立ち姿のような優雅なシルエット。緩やかな曲線のアウトラインと、キュッとしたくびれのギャップも美しくて、足元にはジュエリーのような細かいカッティングが入っています。表面のプリーツは、仕立ての良いブラウスの胸元みたい。金の刻印の入った蓋は、噴水から溢れる水のようなフォルムで、薄いフチには細かいカッティングが施され、綺麗な透明感のある青い色。とても繊細で、蓋だけでも独立した芸術品のようです。
(惜しいのはガラスの質で、ソーダガラスのようなキメの荒いガラスです。シャネルのフラコンはもっと透明度の高いすべらかなガラスを使用しています。)
肌に乗せた瞬間、ずっしりと重くて渋いベルガモットの「皮」の香りが、鮮烈に駆け抜けます。柑橘系でも、弾ける感じや爽やかさはありません。
この香りが飛ぶと、ほんのりと甘い木と樹皮の香りと、それを低音から支えるバニラの柔らかい香りが主張します。
木の香りといっても、香木を燻したようなしっとりとした香り。冷えた身体をほっこりと暖める温度感があります。
次第にゆったりと甘い花々の香りが引き立ってきます。柔らかいアイリスとローズの、ふわっとした軽さのある香り。この花々の香りが本当にふくよかで、豊かで優しくて。
EDPではあまりこの花の香りが立たないんですが、Pのミドルはゆったりしていて、花々の香りを存分に楽しめます。
ラストではベースにいた濃厚なバニラが絡むように上気して、ふわふわと香ります。バニラの香りは、気温によってはパウダーや石鹸のような淡い香りに変化して消えていきます。
ドラッグストアに売っているような安い海外のボディスプレーのようなねっとりしたバニラの香りではありません。バニラビーンズに少しお砂糖を足した、自然な甘い香り。
シャリマーは柔らかく暖かい空気のように身体を包み込み、寄り添って香るので、決してうるさくなりません。つけたのを忘れた頃になって、時折静かに鼻先をかすめる。いつでも大音量で香りつづけるということがありません。
インドのイメージを投影しているのでしょうか、全体的には重厚でしっとりした香りにも関わらず、一貫してカラッとした表情を維持しつづけて、終始ドライな印象の香りです。甘い花やバニラの香りの中にもカラッとした抜け感があるので、ジメッとした重さがありません。あくまで香りの質の重厚さで勝負していて、香りそのものの質量は軽やか。
砂っぽい、インドの熱い気候を感じます。
(ちなみにドゥーブルヴァニーユはかなり湿度を感じる香りです。)
ミツコは香水とEDPが完全に別物ですが、シャリマーはEDPも香水に近い香り方をします。
全体の香りの柔らかさと、ミドルの花々のゆったり花開く様子は香水ならではです。終始香りが肌から浮き立つような立体感も、香水が上です。
EDPは花々よりも終始バニラが強調されています。私自身はどちらも愛用しています。
ボディパウダー、石鹸、ボディミルクと合わせて飾ると、上品で高貴なデザインの品々はさながら王妃の調度品のようです。
市販のボディケアアイテムや化粧品がどんなに進化しても、こんなに高貴で美しいアイテムは他にないでしょう。
綺麗な品々で時間をかけて丹念に身支度を整えたら、とっても優雅。
ボディケアまでラインで使ってから香水をのせると、柔らかい上質な香りが幾重にも身体を包んでくれます。
シャネルやディオール、大好きな香りがたくさんあります。けれどシャリマーに取って代わる香りはありません。同じゲランが生み出した、多くの香りでさえも。シャリマーは別格です。
そして、意外と付ける人を選ばない香りだと思います。是非一度、店頭で香りを試されることをお勧めします。
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2016/5/20 09:03:03
5月1日発売の、限定ボトル購入。
お値段、48600円。
素晴らしい有田焼のボトルに、ミツコのトワレが75ミリついてます。
中身は入ってないので、この陶器ボトルは空です。
キャップはコルク。
ときめきしかない、美しい限定品。
ボトルを 飾る為に購入。
こんな綺麗な物を買わずにいて、後悔はしたくないなと。
香りはパルファムのミツコより爽やかで軽いし使いやすい。
ミツコは調香チェンジになってしまうので、PやODPが生産ストップかかったような話しがあったけど、トワレはまだストック大量にあるのかな?
今発売されていたミツコは、初期にとても近い調香だったので、大きくチェンジになるなら悲しい。
☆が7ついてるのは、香りはそうですが、この限定ボトル。
美しい物を作り続けて欲しい。
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:50ml・14,300円 / 100ml・22,000円発売日:-
2018/3/13 21:11:22
公式に明かされている香りの調合は、インセンス、ムスク、カストリウム。
インセンスはサンダルウッド(白檀)ではなく、沈香の静謐さで、静かに押し広げるような雰囲気を醸している。
ルタンスが「浮遊するベール」と表現するのはこのことか。
そして、揺蕩うインセンスのストイックさの襞(ひだ)の狭間に潜む、ムスクとカストリウムのアニマリックな官能性。
相反するイメージがインセンスの香りの中で波のように漂うものの、ジレンマを感じるような違和感はない。
むしろ一人の人間の中に同時に存在するアンビバレントな二つの性(さが)のように、分け隔てることのできない一体感を感ずる。
「香り」でそんな精神性を意図して表しているのだとしたら、見事の一言。
いずれ霞んで消えてゆく予感を感じさせる淡い香りでありながら、何気無いモーションに合わせて、掴みとれないようなほんの一瞬だけ、けれども何度も、母の胸で憩うような安息を思わせる香りが蘇り、それが名残惜しくも心地良い。
いつかは終わる人生だと分かっているけれど、この道はまだ続く。
それは痛ましいことなのかもしれないし、喜ぶべきことなのかもしれない。
答えの出ないその狭間で揺れ動く、その状態こそが「完全」なのであるとしたら、
人間とはなんと厄介な生き物であろうか。
うんざりするほどの、けれどそれ以上でもそれ以下でもない、
「永遠」がここにあるーーーーーー
【調香】
アルデヒド、シダーウッド、フゼアアコード、クマリン(桜の葉に代表される植物の芳香成分の一種。桜餅様の芳香。)、アンバーグリス、パチョリ、インセンス、カシュメラン(ウッディ調のムスク。「カシミアのソフトな感覚」と表現される香り)
《雑感》
どこかロマンティックな香りでありながら、香料的には男性的な名前が並ぶ。
男女ともに、クミンのようなスパイス系、あるいはウッディ系の体臭の人が纏うと、体臭と見事に混ざり合い、湿度の低いドラマチックな香り立ちをする。
体臭の薄い人が纏うと、この香水のクリーンさがより一層際立ちます。
【想起する香り】
針葉樹の森、アルコール、石鹸、苔、赤い花びらのジャーマンアイリス、桜餅
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2016/12/17 01:19:27
7.5mlサイズを使用しています。ボトルデザインも素敵ですし、オリエンタルの名香だと思います。
EDTよりも、始めのとがった香り(薬品臭)がなく、使いやすいです。EDTはわりと長くとがった香りが続きますが、Pはすぐに甘い香りに変わります。といっても、始めの10分くらいは独特の香りが続きますが…。
ミドルからラストにかけては、バニラの香りに優しく包み込まれます。このバニラの香りがたまらなく素敵です。
仕事用には甘いので、外出用として使用。また、家にいる時に付けても、バニラの甘い香りに癒されます。
同じオリエンタル系のサムサラが精神的に落ち着く甘さ(バニラ)だとすると、こちらは心が明るくなる甘さ(バニラ)だと思います。私はどちらも好きなので、気分によって使い分けています。
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