- doggyhonzawaさん 認証済
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- 49歳
- 乾燥肌
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2015/2/1 17:02:33
「いい?前にも言ったと思うけど、二度とそういう話はしないで。いやだから。」
ジッキー、君は一体、なんて女だ。「とにかく私を尊重して!」とばかりに、テーブルを人差し指ではじきながら、ぼくに向かってそんなふうに言う。これまで会った誰とも違う。さっきまで大きな声で笑っていたかと思うと、急に真顔になって怒り出す。腕組みをしてカフェの外を見ている君の、突きだした唇のローズピンクが美しい。けれど、どんな言葉をかけたら君の機嫌が直るのか、ともすると今まで出会った高慢なパリジェンヌなんかよりずっと君は複雑で、いつもはたどたどしい英語で身ぶり手ぶりのエクスキューズをするぼくも、今日はさすがにかぶりを振ってうなだれてしまう。君はそんな変化に気付いたのか、突然、ぼくの目の前の皿に、イングリッシュ・マフィンを手づかみで置いた。
「・・・え?」
「好きなんでしょ?・・あたしのも、あげるわ。」
「・・ありがとう、ジッキー。」
そうだよ。好きなんだ。ジッキー、ぼくはそんな君に夢中なんだよ。でももう、ぼくたちには残された時間は少ない。2人で過ごした夏はあまりにも早すぎた。
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ジッキー、フランスに戻ってからのぼくは、半身を奪われたようなものさ。いつだって生きている実感が少ない。今さらながら、君の屈託のない笑顔と明るさ、そして何に対してもちょっとムキになってくってかかるところなんかが、どれだけぼくの生活に色を添えていたかをしみじみと感じている。パリは華やかな色と香りに満ちているのに、ぼくの心はテムズ河の上にあった、低くよどんだ灰色の空のままだ。
この頃ぼくは膨大な仕事のせいか、なかなか寝付けずに枕元にラベンダーを置くようになった。君は、「イングリッシュ・ラベンダーが最高よ」なんて言ってたけど、歴史的には英国のラベンダーは、ここフランスから渡ったものだ。でも君はそんなウンチクには耳も貸さず、英国庭園を散歩しながら、胸いっぱいにラベンダーの青い香りを吸って楽しんでいたね。ああ、あの瞬間がどれだけぼくらにとって至福の時だったか、今になってこの紫色の香りとともに思い返しているんだ。
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そして親愛なるジッキー、あれからもう30年近くがたった。季節は人を変え、そして街の色と香りも変える。君は今、どこでどんな風景を見ているんだろうか?
ぼくは近頃、一つの香りを作った。オヤジの代から守られてきた伝統的な製法を打ち破ってね。ああ、さんざんたたかれたよ、方々でね。でも、ぼくは確信している。新しい時代はもう来ているのだと。君が古き良き英国の伝統を重んじながら、それでも革新的な女性であったことも、今となってはぼくの香水作りにとても大きな影響を及ぼしていると思う。ぼくが作った最新の香りはこうだ。
イントロダクションは、「出会いの衝撃」。男と女が出会ったときの、感情の高まり、昂ぶり、そして、興味・関心を表す。相手に対するさまざまな期待や憶測、肉感的な誘因子、これらを苦みばしったシトラスのシャワー、そして、ラベンダー、ローズマリーのシャープな風と、オリスの根の力強さといった、重層的な香りのコントラストで表現したつもりだ。
香水の核となるミドルのテーマは、「信頼と愛情の表出」。出会って惹かれ合った2人が、互いの手札を少しずつ見せ合いながら、理解し合い、受け入れ合って紡がれていく絆のイメージ。それを、ラベンダーのもつしっとりとした落ち着き、ジャスミンのインドールの肉感的な匂い、そして、ほんのりと見え隠れするローズで淡い思いを表し、1つのラインに収束させていく。
そして、ラストは「忘れ得ぬ思い出」。離ればなれになった2人が、時と場所をこえても、互いに相手を慕い、かつてのあたたかな思い出に心をいやされるイメージだ。これまで天然成分からは抽出しづらかったトンカビーンのクマリン、そして高価なヴァニラを合成香料に置き換えて強く香らせることで、永く続く優しい甘さを引き出し、ベンゾインやオポポナクスの樹脂香を低音で響かせることで、穏やかに広がっていく温かい気持ちを表現した。
そしてぼくはこの最新の香りに、ジッキー、君の名前を付けようと思っている。
「メルシー、ムッシュー!」
君はあの頃のように、片目をつぶって、笑ってそう言うだろうか?そしたらぼくは、最大級の愛情と敬意をこめて、君にこう言うんだ。
“Thank YOU,too. Jicky!”
※このストーリーはフィクションです。たとえ俺の中で実存だとしても。
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2014/11/8 01:40:31
カウンターで手首につけて頂き試香しました。気温20度を切り湿度も相当低い日でした。
2→6→7→7→7→7→7→0→7→0→7→0→7………
一体なにを書いているのかといえば、きわめて感覚的ではありますが、夜間飛行のトップからラスト(残香含む)の、時間経過に伴う星の印象です。
トップが渋くて苦くてウッと思ったら急上昇して、夢見心地の香り。本当に、旧い映画のワンシーンに紛れ込んだような、なんだか思考が停止・退行してしまい『いいかおりが、しあわせすぎるー』などと退行した感情で思いながら暫く過ごしているとドスンと急降下し、ラストは0と7を行ったり来たり(その訳の判らなさがまた、名香・高級品・芸術作品の風格ここにありという感じか)、これってまったくもう困ったものですね(苦笑)。
そして、総合的な星の数はそれらを均したものになるのかっていえば、なりません。
星がいくつかなど、もし現品所持してもいつまでたってもつけられないんじゃないかな。
過去の経験では、自分自身の生年より以前に創香されたフレグランスというのは大抵、一部例外はあるものの、「過去の名作とよばれているものを、お勉強的に見学する」みたいな感じで、芯から本当に感激したり、感情移入できるものではない、どこまでいっても第三者的にしか眺められない、と思っていました。
夜間飛行もある意味また然りで、コンテンポラリー要素など勿論全く皆無で、使いにくくてクセのあるレトロ香だと思います。しかしやはり名香、しかも真正「パルファム」、情動を激しく揺り動かされるドラマ性や芸術性をしっかりと持っています。(しかし…但し、夜間飛行は、大筋では類似香含め、殆どの人が一度は嗅いだ事のある香りだと思いますので、あまりに事前に幻想を膨らませ過ぎていると違った意味で衝撃を受けると思います。「一回も香ってみた事ないと思って香ってみたら、いや〜、これ、知ってるわ。」みたいな。シャネルNo.5もそんな感想になる事の多い香りかな)。
トップが一番辛くてスパイシー、ミドル以降、徐々にわずかな甘みは発現してきます。その甘みの質は、砂糖やバニラや花やフルーツの女子的な甘みではなくて、食べ物で喩えると、デザートではない、通常の食事で摂る食材にみられる、「うまみの中に含まれる甘み」に近い性質です。これはむちゃくちゃ渋い大人の境地だなぁと思う。
もちろん、フローラルノートも含まれてはいます。でも本当、ほぼ男性用香水の域の渋さです。
*7→0→7→0→7→…の解説
しばし、「レトロ過ぎるが、至福の香り」が続いた後、ラストで少なくとも私にとっては耐え難き香りが来るのだけれど。あの、例の「おっちゃんトニック(&ポマード)を濃く濃く凝縮した香りが来る。頭痛も若干誘発します。
そして、香りは最後の最後まで、「陶酔するという言葉がふさわしい、芳しい香り」と、「頼むから…勘弁して下さい〜(この香りから逃げられるのならどこまでも行く)というような香り」が延々とぐるぐるぐるぐるラウンドし続け、もう目が回りそう(゜゜)。
思うに、自分ひとりの時に楽しむ香りとして、肌に落としてミドルまで堪能し、苦手な香りが出てきたらエタノールなどで拭き取ってしまうというのもひとつの手としてありかなとも思います。映画や小説の好きなシーンだけ見るみたいに。(そこまでしても、甘美な部分を堪能する為に所持してもいいと思わせる香水です)
*香りがある域を超えてレトロ過ぎると、付ける人を選ぶとかどうとかいうのはもはや却って無くなってしまうような気がします。
但し、ファッション用途として、自分らしさを主張するなにがしかのツールとして使用するにはレトロ香水はむちゃくちゃ難易度が高いだろうなぁと思います。これは夜間飛行に限らず。
*なぜ30mlサイズしかないのか?昔は7.5mlサイズのボトルもあったはずなのですが。パルファムの30mlはとてつもない大容量です。
思うに、ここ20〜30年で激変したパルファム事情を考えると、むしろ流通・販売量を抑制したい理由が様々あるのかもしれません。
最後の最後まで、まったく異なった香りがクルクルと延々とラウンドし入れ替わり続けるのは、以前試香したサムサラ(パルファム、未クチコミ、これは私には星0相当の、不要な香りですが)と同じでしたし、先日クチコミした、コンテンポラリーパルファムであるイディールもそうですし、これが調香者や年代が違えども共通するゲラン特有のこぶし回し、ビブラート、ゲラン節なのでしょうか。
ゲランの香りはなんとなく直感的にか、本当に近年まで試香する事すら避けて封印してきたのですが、今まで(楽しみに)とっておいて、よかった…という感じはします。
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2015/11/5 15:18:23
量り売りで、オーデパルファンを購入。
最初は薔薇のような深い香りがして、
しばらくするとピーチもちらちらと見え出し、
そのうちそのピーチの甘酸っぱさが出てきて、
最後に少しパウダリーなバニラに落ち着く、という感じでしょうか。
(もっと複雑だと思いますが、これくらいしか香水初心者の私にはわかりません。ごめんなさい。)
薔薇といっても、大輪ではなくて可愛らしい感じ。
でも、意思は強くて、ゆらゆら動く炎のようなものも感じます。
綺麗とか華やかさとは違う、内面的な深いものを感じるような香りです。
簡単に纏えない印象を受けました。
また、上京する機会があれば、香水のほうを試してみたいと思います。
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2015/1/16 20:50:29
ボディとボディテンダー、同時購入してみました。
なんで同じ「ボディ」の名をつけちゃったかなぁ。
オムニアとか、本家の香りはどこ?っていうの増えましたよね。
両方、嗅ぎ覚えがある系統でした。
ボディはラルフのサファリ。
テンダーはラルフのロマンス。
それらのクセを取って、つけやすくしたような。
つけやすくはなっていても、ボディは化粧品売場のような、ボディテンダーはオジサンぽい香りがそこはかとなく…
そして頭痛…
外出先に1回ずつ使用したあとは、贅沢に香水風呂を楽しんでいます。
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