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doggyhonzawaさん
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シャネル / レ ゼクスクルジフ シコモア オードゥ トワレット(ヴァポリザター)

シャネル

レ ゼクスクルジフ シコモア オードゥ トワレット(ヴァポリザター)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:200ml・36,300円発売日:2009/11/2

5購入品

2015/3/12 21:55:28

心がクサクサしたときは、自然の中に身を置くことにしている。ヤワな自分、ダメな自分のうつむいた心を吹き飛ばす、圧倒的な広い世界に飛び込んでいくのだ。

16年ぶりにスノーボードを抱えて山に向かった。スキーならほとんどのバーンはこなすが、ボードは中級でやめていた。あえてボードにしたのは、自分をこてんぱんに痛めつけてやりたくなったからだ。

時折ワイヤーをきしませながら、リフトが白い頂をめざして上がってゆく。斜め前方の眼下にハーフパイプがちらりと見えた。ウエアの袖をめくり、時間を確認する。その瞬間、手首からシコモアの香りが漂う。思わず顔に近づけて、深く香りを吸いこむ。燻した木の香りが鼻を突き抜け、意識が覚醒してゆく。

シコモアは、スナフキンの香りだ。勝手にそう思っている。

落ち葉を焚き付けにして、慎重に選んだ木の枝を、焚き火で焼いている香りがする。それは硬くてよく乾いた枝だ。白い煙も出さず、焦げ臭さも少ない。雪が降り始める前にムーミン谷を出て別の地方に向かうスナフキンの、孤独な漂泊の心を支える、温かく力強い香りだ。

8本目の支柱をこえた。残り半分。そう言えば新ムーミンのスナフキンはハーモニカだったな。いかんせん昭和な俺には、スナフキンと言えば、辛子色の服に茶色いハット、寡黙な吟遊詩人といった風情の旧スナフキンの方が正統だ。彼の哀愁あるギターは、今も俺の心に流れ続けている。

12本目の支柱をこえた。ぶるっと身震いする。それは寒さのせいか、それとも久々のライディングに感じる不安のせいか。確かボードで挫折したのもこんな曇天の吹雪の日だった。カービングもグラトリもできるようになって調子に乗っていた頃だ。ふと、攻めたことのないハーフパイプに入ってみたくなったのだ。胸がチクリと痛む。

16本目の支柱を越えて、リフトの降り口が眼前に近付いてくる。思わずグラブをずらし、シコモアの香りを大きく吸い込む。つけたてのサイプレスとジュニパーベリーのミックス、ヒノキ様の酸味のあるトップのウッディ香はすでに変化し、深いブラウンの薫香、ヴェチバーの勢いが強く出てきたミドルだ。上品なスモーキーで土臭くない。これがシコモアのすごいところだ。重たくややカビ臭い、根の香りのヴェチバーが、夏の日差しに熱せられた、大木の樹脂のような狂おしい香りになって広がる。ベースのクリーミーなサンダルウッドとの相性がいいのだろうか。やや苦み、渋味をもつ他の香料が、ベチバーを大木の幹の香りに昇華させている、そんなイメージだ。

高揚していた気分がすーっと落ち着いていく。あの日、この香りをかいでいたら、あんな無謀なドロップインはしなかったかも知れない。

やれる。そう思っていた。根拠もなしに。リップの高さは3mちょっと。フロントサイドでエアターンできなければ、リップ上のプラットフォームに上がってしまえばいい、それぐらいの軽い気持ちだった。

あのとき、俺は垂直の壁をすべり降り、一気にすり鉢状のアールをかけ登った。振り子の勢いで、ボードが自分の腰よりも高い位置にかけ上がろうとする。ぐんぐん壁がせりあがり、体が空中で仰向けになるような感覚になった。ヤバっ!そう思った瞬間、俺は、ボードがリップから飛び出す前に、大きく壁を蹴飛ばしていた。まるですり鉢の底に向かって背中からダイブするかのように。

次の瞬間、3mの高さから仰向けの体勢のまま、氷の底へたたきつけられた。グフッと肺から全ての空気が漏れた。背中から腰にかけて強烈な痛みが走った。息をするのがやっとだった。そそりたった氷壁からずり落ちていく俺の目に、低い灰色の雲が映っていた。雪が斜めに吹きつけていた。

ガタン。リフトが一気にせり上がって、スピードが急に緩くなる。降り口だ。右足をボードにのせて、滑り降りる。あの背骨のケガ以来だな、そう思いながら、ゲレンデを見下ろす。ゴーグルの視界のはじに、先ほどのハーフパイプが見えた。あれから16年だ。小さくなったのはパイプの壁の高さだけではない。俺の無謀さもまた、時を経て削れたらしかった。

ヒールサイドでずり落ちながら、ラインを見極める。エッジがよく効いている。いいライドができそうだ。また根拠もなくそんなことを思う。グラブのすそをめくり、もう一度シコモアの香りに身を任せる。スモーキー・ヴェチバー&クリーミー・サンダルウッド。少し焦げた、それでも、穏やかで力強い焚き火の香りだ。心の中でスナフキンの声がこだまする。

「嵐の中にボートを出すばかりが、勇気じゃないんだよ」

OK,スナフキン。今ならそれが分かる。
軽くオーリーしてボードを空中から落とし込む。その瞬間、風景と風が、ほおを切って流れ始めた。胸に赤々とシコモアの火を揺らして。

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kumiccyanさん
kumiccyanさん
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セルジュ・ルタンス / ラフィーユドゥベルラン (La fille de Berlin)

セルジュ・ルタンス

ラフィーユドゥベルラン (La fille de Berlin)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50ml・14,300円 / 100ml・22,000円発売日:-

5購入品

2013/10/23 12:23:50

他の人には教えたくないですー
(いってみただけです。スミマセン 汗)
以下、前に書いたブログからの要約を書きます。

ルタンスの新作
「 La Fille de Berlin(ベルリンの少女)」

香調はフロリエンタル。
購入の前にサンプルを実際に肌にのせて試しましたが、
香り立ちからスパイスが効いています。
バラはバラでもナエマやレッドローズやティーローズ等の、
甘かったり青々しかったりキラキラしていたり
ゴージャスだったりする様な感じではなく、
刺すような辛さがあり、重くて乾いているが透明感はある。
マゼンタ色のイメージにぴったり。実は男女兼用だったりする。
紹介ページにはこんな言葉が。

「新作の中に東洋のアクセントを発見−ベルリンへのこの旅行は
マラケシュ経由。香りはバラの色がベース。
ムスクと琥珀の青々としたドライダウンを明らかにするために、
黒コショウと赤いバラのトップノートがゆっくり溶ける」
※蜜のように甘いが甘ったるくないナエマは大好きです。

ルタンスは1942年生まれ。
自分の幼少時代の困難とオーバーラップするかのように
同時代の「A Woman in Berlin」からインスパイアされました。

ベルリン市街戦は1945年4月23日〜1945年5月2日まで行われ、
小競り合いが引き続き起こっています。
日本でのこの香りの店頭発売開始日が4月21日。
時期を合わせたのは単なる偶然でしょうか。

ノンフィクション「A Woman in Berlin」は
戦時下のベルリン女性の壮絶な体験記。
「征服された都市の8週間」というサブタイトルがついています。
本は映画にもなっているのでご覧になってみて頂ければ、
ルタンスの伝えたかった世界が分かって来るんじゃないか
と思います。私は3年くらい前に観ました。
アントニー・ビーヴァーが伝えた1945年のベルリンも読みました。
ドイツ人の友達のおじいさんや歴史家の友人からも
当時の話を聞きました。

ソ連と不可侵条約を結んだドイツが奇襲攻撃として
バルバロッサ作戦を始めてから独ソ戦に突入、
その報復として美しかった都市ベルリンは生き地獄と化しました。

巻き込まれたのは武器を持たない女性や子供。
ゲッベルスがスポルトパラストで総力戦を演説、
兵士たちは前線で戦っていて人手が足りないため、子供、
女性、国民突撃兵が駆り出されました。
敵は容赦のない攻撃をベルリン市民にも向けました。

ウェザー・リポートのリーダー、ジョー・ザヴィヌル
(ウィーン出身。ウィーン攻勢もちょうどこの時期)は
子供の目線から同時期の体験を語っています。

「女の子たちはロシア人に襲われないよう不細工に化粧した。
生き残る為に軍人とも仲良くした。
彼等は家に無線機をつけてくれたけど信用できなかった。
酔っ払いでガソリンを飲んでいる奴もいたんだ」

生き残る為に軍人とも仲良くした―ベルリンの女性たちもそうでした。
ノンフィクションは匿名で出版され、ふしだらだの不謹慎だの
言われましたが、生きるためにそうするしか道はなかったら? 
強くなるしかない、強くなければならなかった。
フランス人であるルタンスが当時で言えば敵国であった
ドイツの女性の境遇に共感するというのはなかなかできないこと。

「ベルリンの女は見ている。
香水の赤みがかったピンクと主人公の赤いコートが
オーバーラップした」(ルタンス)

厳しい中で強くあらねばならない香りという、
ルタンスのコンセプトにスパイシーなローズは
ぴったりだと思いました。



歴史好きなのでついアツくなりました(笑)

  • 2013-10-23 12:33:48
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ハルノマルモさん
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プロフィール
  • 年齢・・・51歳
  • 肌質・・・混合肌
  • 髪質・・・柔らかい
  • 髪量・・・多い
  • 星座・・・水瓶座
  • 血液型・・・A型
趣味
  • ファッション
  • 音楽鑑賞
  • 映画鑑賞
  • ガーデニング
  • ショッピング

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自己紹介

昔からほぼノーメイクです。 お化粧をすると数日で毛穴が詰まりボツボツができてしまいます。 昔から超オイリーでです。おまけに顔は敏感肌でよく… 続きをみる

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