doggyhonzawaさんのparfums de nicolai / Oud Sublime Elixirへのクチコミ |
---|
- doggyhonzawaさん 認証済
-
- 58歳
- 乾燥肌
- クチコミ投稿430件
-
[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)・香水・フレグランス(その他)]
税込価格:-発売日:-
2024/12/21 04:04:31
ガチに伝説的なウードの香りが、あなたを心の深淵へと誘う。
時をこえて作られた木々の香り、ニコライのウードサブライム・エリクシールは、本物ウード香水の究極を味わえる逸品だ。
この香水は、2020年にフランスの調香師パトリシア・ド・ニコライによって創作された。彼女は、香水業界での豊富な経験を活かし、中東の文化からインスパイアを受けてこの作品を生み出した。ウードサブライムはアンバーウッディ系の香水で、貴重なカンボジア産のウードをこれでもかと投入した深い香りが特徴的だ。ではいったい、どんな香りなのか?
ウードサブライム・エリクシールをつける。最初の一吹きで感じるのは、まるで大地から湧き上がるような力強い香りだ。最初はスパイス&ハーブの清涼感、そしてすぐに続くのは、ムワッとするほどのアニマリックな香り。さながら動物の厚い毛皮の中に鼻を突っ込んだようなくぐもった匂いがしてくる。そして同時に、木の樹脂をこげ茶色まで煮詰めたような強いスモーキーな香り、それがスッキリした酸味を伴って追いかけてくる。
なんと複雑で濃密なトップだろう。この最初の一撃が凄まじい。全ての香料が「発酵」「熟成」した年季を感じさせる。ダメな人はこのトップを嗅いだ瞬間「うわっ、パス!」となるはずだ。
このトップノートには、コリアンダーやアルテミジア、アンブレット、そしてダバナがクレジットされているが、印象としてはまさにウードが一気に炸裂している雰囲気だ。しかもそのへんのウードではない。本当に濃厚で希少なタイプ。もし「ウードってどんな香り?」と思ったら、まずこのサブライムを嗅いでみることをお勧めしたい。さすがゲラン一族出身のニコライ女史、本当にすごみのあるウード系香料を使っている。好きかどうかは別にして。
時間が経つにつれ、香りは次第に乾いた感じに変化していく。トップノートが落ち着くと、ミドルのカンボジア産ウードは、軽やかで酸味のある美しい木の油といった表情になる。この乾いてきたあたりの香ばしいウード香は最高に心地よい。ヒノキとシダーのような「温かみ」と「冷たさ」の対比、そこに少し辛味と酸味のある樹脂香が混じったような、えも言われぬ香りになる。まるで古代の寺院で焚かれるお香のように神秘的で深い。さらにパチョリのノートも加わり、土系のスパイシーな力強さも感じられる。このミドルのウードは、さながら深い森の奥で何百年も佇んできた高貴な木々と発酵した大地の匂いだ。
ラストは、インセンスやスチラックスがお香っぽさをにじませ、寺院の雰囲気が感じられてきて終息する。ウード香はより穏やかになりつつも、その存在感は決して薄れない。空が次第に赤く燃え上がってゆく夕映えのように、静謐な煙のドライダウンを迎える。
持続時間は時と場合によるし、つける量でも異なるが、終始2〜4時間くらい。この香水は、トップが一番強烈にウードの複雑なファセットを感じることができるように思う。清涼感、スモーキー、酸味、樹脂感、苦み、そして辛味。それらが複雑に変化しながら次第に乾いていき、透明な煙のように立ち上っていく展開を見せる。まさにエリクサー。秘薬のごとき神秘的な香り。
この香水を肌にのせていると、知らず知らず心は、中東の古都の雑踏へ誘われる。夕暮れ時、黄金色に染まった空の下、人々が色とりどりの衣装をまとい行き交う。黒いアバーヤを身にまとった女性たち。白いディシュダーシャを着た男たち。市場ではスパイスや果物の甘い香りが漂い、賑やかな声が響いている。柔らかな日差しと共に心地よい風が吹き抜ける。色とりどりの布地や陶器が並ぶ露店、その合間から見える青空と夕日のコントラスト。エキゾティックな人々の笑顔に共鳴する乾いた音楽。人々が行き交う通りに、それぞれ衣服に焚きしめたウードが、香りの引き波を幾重にも交差させる。
ウードサブライム・エリクシールは、奇跡的に生成される世にも奇妙なウード香を可能な限り投入して作られた特別な香水だ。値段は調べなくていい。そうそう買える金額ではない。もしもこの香水にどこかで出会えたら、それじたいがとてもラッキーなことだ。幸運にもこの香りを纏えたら、きっとあなたは自身の存在価値とこれまで過ごしてきた「時間」に思いをはせるだろう。希少なウードが作られるための奇跡の時間はあまりに長く、私たちの人生はあまりに短いのだから。
香水の深淵をのぞいてみたいなら、ときにこんな特別なウードを探してみるのも一つの手だ。ウードサブライム・エリクシール。その一滴は、あなたの心の深い泥の中で、今なおゆっくり発酵し続けている豊穣な魂の香りだ。
- 使用した商品
- 現品
- 購入品