まだ何も投稿されていません
- doggyhonzawaさん 認証済
-
- 53歳
- 乾燥肌
- クチコミ投稿426件
2019/8/3 08:30:26
ハワイに行きたい。亜熱帯化した高温多湿の日本を脱出して、真っ白な太陽が照りつけるワイキキビーチでのんびりしたい。パームツリーの木陰、ホテルのオープンテラスで、フルーツてんこもりの金魚鉢みたいな大きなグラスにストローを何本も差して、トロピカルカクテルをゴクゴク飲みたい。バンズではさめないダイナミックなハンバーガーに悪戦苦闘しながらむしゃぶりついて、口の周りについたパイナップル混じりのソースを指で無造作に拭きとってなめたい。爽やかなオフショアにそよがれて、西の空が燃えるオレンジに染まるまでビーチでゆったりくつろぎたい。
トムフォードのソレイユブランをつけていると、いつもそう思う。心はオアフ島の白い浜辺へひとっ飛びだ。
ソレイユブラン・オードパルファム。「白い太陽」の意。まばゆい夏の陽射しを思わせる、トム・フォードによる真夏のデイタイム・フレグランス。2016年発売。ディオールのハイヤーエナジーやバーバリーのブリットなどを手掛けたナタリー・グラシア・セット調香による作品。
トム・フォードのプライヴェートブレンド唯一の真っ白なボトル。この白ボトルは通常の黒ボトルよりも中身の液量が見えにくい。照明の光を近くに当てるなどするとやっと見える感じで、チェスの駒からインスパイアされたこのボトルの美しさを上手く引き立てているように思う。これなら使っていくうちに液量が減っても、美しいボトルの外見をずっと楽しめるからだ。
そんな白ボトルからスプレーすると、まず立ち上るのはスッキリした透明感あるスパイシー。ほのかなカルダモンの清涼感と爽やかなベルガモットの香りだ。このトップがとても心地よく、ピンクペッパーの酸味と辛みも感じられて絶妙のブレンドだ。
やがて5分もすると、カルダモンとベルガモットの下からココナッツのクリーミーな香り、エキゾティックなホワイトフラワーの香りがじわじわと出てくる。一番強く感じられるのはイランイランだ。イランイランの香りは低くて濃厚だけれど、ここではココナッツのまろやかなヴェールに包まれているせいか、とても穏やか。さらに似た系統のチュベローズの妖しさ、一段階高いジャスミンの柔らかな香りが出てきて、まさに南の島の楽園を思わせる風合いになってくる。
このミドルはザ・ボディショップから以前出ていたポリネシアン・アイランド・ティアレの香りに似ている。そう思ってつけ比べしてみた。ティアレの方はかなりよくできたタヒチアン・ティアレ風のオードトワレで、現在は廃盤になっているが再販を強く希望したい逸品。何しろ3000円前後でこのトムフォードのソレイユブランに引けをとらない香りを呈している。対するソレイユブランは50mlでその10倍近い価格だ。
つけ比べると、さすがトム・フォードというべきか。かなり好きだったザ・ボディショップのティアレは、エキゾティックな白い花の香りと共にどこか殺虫剤っぽいエアゾル系の匂いが感じられるのに対し、ソレイユブランのココナッツ&イランイランの香りはとてもまろやかで温かみすら感じられて好印象。ティアレの方には少し低音のプルメリア系の花も混じっているよう。対してソレイユブランは、イランイランとチュベローズのふくよかな白い花弁の香りがそこはかとなく煽情的だ。
付けて3時間もすると香りは薄らいでくる。値段が値段なだけに持続時間が短いように感じるが、ソレイユブランは人肌に溶け込こような香り方をするので自分で気付きにくいだけかもしれない。すれちがった人は灼けた肌から香るココナッツノートのふんわりしたミルキーな匂いを本人以上に感じやすいように思う。ラストはほの甘いアンバーとトンカビーン、そしてトップからずっと続くココナッツミルクの白いナッティーな香りをキープしたままドライダウン。
これは真昼の香りと謳っているけれど、実はリゾートホテルの夜の部屋の雰囲気も感じられるセンシュアルさも秘めている。
琥珀色のベッドサイドランプ。カーテンを開け放したラナイ。その向こうに広がるダイヤモンドヘッドの黒い稜線。オレンジ色の星々を思わせる街の夜景、ほの白く浮かび上がったキングサイズベッドのシーツ。そんな情景をも想像させる誘惑の香り。
だからソレイユブランをつけているとハワイに行きたくてたまらなくなる。あのまばゆい日差しと、汗をかかない爽やかな空気が恋しくなる。ビーチウォークの人々の笑顔と、オープンエアーのホテルロビーから見渡せる青い海に心がはやる。きっとソレイユブランは完璧なオフのための香りだ。人目を気にせず、童心にかえって、自然やリゾートで過ごす極上のリラグゼーションのための。
見上げればパームツリーが揺れている。吸い込まれそうな青空にソレイユブランが微笑んでいる。
- 使用した商品
- 現品
- 購入品
2021/9/16 21:33:08
トムフォードのプライベート リゾートの香り。
だそうです。
プライベート リゾートと言っても、おトムさんの想像上のリゾートらしいです。
すごくチープな言い方をすると
「高級なサンオイル」の香り。
(もうこのご時世、ココナッツの香りがする日焼け止めもサンオイルもないかな?)
ベルガモット、ビターオレンジから始まるオープニング。
スカッとしたシトラスをすぐにカルダモン、ピンクペッパー、ピスタチオが追いかけます。
シトラスの瞬間はあまりに短く、すぐにカルダモンの異国なスカッとしたスパイシーな香りにブレンドしていく感じです。
ピスタチオのふくよかで独特な果肉感が漂う中、ソレイユブランの主役、ココナッツがジャスミンとチュベローズを両脇に現れます。
このジャスミンとチュベローズの仕事のおかげで、ソレイユブランがサンオイルや日焼け止めの香りにならない!
ココナッツ独特の甘さ、実は少し効いてるフローラル、スカッとスパイシーにアクセントのカルダモン。って感じです。
夏っっ!!
って感じです。
トムフォードお得意の「イイ女」攻撃です。
使うたびにカルダモンが強めに感じる時、
ココナッツを強めに感じる時
つけてみないと予測できない一本になっています。
なので、なかなか飽きない。
初めは「夏専用。昼間専用」と思っていましたが、使うごとに なかなか深い。と感じるようになりました。
スパイシーな時もあれば、なめらかに感じる時もあり、、、
「いいなぁ」と思う理由のひとつが、
爽やか系に落ち着きそうな夏のフレグランス事情をユニークなスパイシーさとココナッツが打破してくれる。というのと
意外と年中、朝晩問わず使えそう。
というダークホースだったこと。
ひとひねり効いた夏の香りとしてはユニークで重宝しそうです。
以下 追記です。
夏以外でも使えるっ。
とカルダモンのスパイシーさがシーズン問わずクセになる。
重ねづけにも使える。
結構、万能な一本でした。
重ねることで重め、秋冬向きの香りがスカッとして明るい甘さにニュアンスチェンジできるので大好きな1本です!
- 使用した商品
- 現品
- 購入品
2016/10/14 18:15:38
世界的に爽やかで軽い香りか甘いグルマンな香りが流行っている中、ニナリッチやゲランのラプティ系に続けとばかりに発売されたこの香りですが、甘いけどお馬鹿さんにはならない香りになってます。
トップのクリームはわかりずらく、フレッシュなフローラル、ミドルではエレニシアを控えめにしたようなホワイトフローラルが香り、
この系統にありがちな少しフレッシュさを出すためのツンとするような部分が鼻を近づけるとしますが、普通に使えばまろやかな香りになります。
ヴァイオレットリーフはほとんど気づけない程度。
ラストにはブラウンシュガーとあるように
ベンゾインの香りと合わさって甘いバニラ系統の香りになります。
ここでクレームシャンティ風に感じます。
割とこのラストが長く
生クリームの向こう側にジャスミンなどの
もったりした甘い花の香りが微かにします。
ラストにはオリエンタルな雰囲気というような
広告文がありましたがまったくなく
グルマンらしい甘い香りとアンブロックスが
まったり香ります。
遺伝子的にはニナやエンジェルがあるけど
ニナリッチほど10代の明るくて可愛いお馬鹿さん的でなく、
ゲランのラプティットシリーズの
パリのお菓子盛りだくさん!にもならず。
イメージ通り、コンサバトリーテで銀のカトラリー、ジャスミンなどの白い花、生クリームのケーキ一切れという香りです。
グルマン系統の中では落ち着きがあるので
その点では使いやすいと思います。
似た香りとしては
ヴァンクリのムュゲブランに似てます。
あちらもネロリをアクセントにしていましたね。
もちろんこちらのほうが甘さが強いです。
トップで感じるよりもラストが甘いので買われる方はつけてみた方がよいと思います。
エレニシアと似ているのですが
エレニシアの若々しく華やかで
少々うるさい感じと違い
落ち着きと柔らかさがありつつ
艶やかな内に秘めたものも感じる香りです。
余談ですが
男性受けの良い香りのようで
これを使い始めてから偶然なのか
男性に告白されることが続いています。
なのであまり他の人には
使ってほしくない香りです。
- 使用した商品
- 現品
- 購入品
2021/7/1 21:29:38
まずチュベローズはキジカクシ科リュウゼツラン亜科の植物でローズ、つまり薔薇とは関係ありません。
裸のチュベローズ、ありのままのチュベローズという
名前の通り、チュベローズの良い部分、悪い部分をそのまま香りに仕立てています。
大抵香水のチュベローズではフラカのような華やかな香りか、南国風の甘い花の香り、もしくはジャスミンを思わせる香りかのいずれかになるのですが、
この香水ではルタンスのチュベローズクリミネルほどではありませんが、精油のチュベローズの欠点、つまり何かしらの薬品を想像させる香気成分を誤魔化さずに胡椒とスエードノートと共にトップノートで香らせています。
これらが合わさったトップノートが嫌いな方は多いと思います。
特にムエットではトップノートが長いのでなかなか難しいと思います。
このトップノートが過ぎると優雅な百合やジャスミンに支えられたチュベローズの香りがします。
甘さがあり、このままではチュベローズ系フローラルにありがちな、華やかだけど、だらしない甘やかな花の香りになってしまいますが、苦味のあるスエードがきっちり締め上げてくれるので上品さが維持されます。
ラストは甘いトムフォードらしい香りになりますが
スエードがいるので最後までだらけません。
以上が私が感じた香りの流れです。
いわゆる昔の香水の手法を現代に持ってきていて
面白いなと思いました。
つまり売るために今はトップノートをことさら良くして後を切り捨てるのですが、こちらの香りは昔の香水のようにトップではなくミドル、ラストを良くするためにトップノートで人を待たせています。
香りの印象は花の甘さとスエードの渋さのバランスが良い。
若干、ホワイトフローラルがヤクルトなどの乳酸菌飲料風に香ることもありますが、付け方次第ですね。
チュベローズよりスエードのほうが強く、力が強くなりがちな華やかなホワイトフローラルをまとめ上げていて気品ある香りになっています。
なのでフローラルというより甘いレザー系の
フレグランスだと思われたほうが良いと思います。
レザーが苦手な方やフローラルの香りが欲しい方はやめたほうがいいと思います。
香りの強さは中程度で、マルのレディオブアポートレイトをお使いになったことがある人なら弱く感じるでしょう。
使いやすい香りですが、使う人を選ぶ香りです。
常に淑女らしく白いスエードの手袋をはめていて優雅で、美しく魅力的だけど心に闇があるような、そんな人向け。
平凡な人には向きません。
- 使用した商品
- 現品
- 購入品
4件中 1〜4件表示