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doggyhonzawaさん
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ゲラン / ランスタン マジー オーデパルファン

ゲランゲランからのお知らせがあります

ランスタン マジー オーデパルファン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:30ml・9,350円発売日:2007/10/12

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6購入品

2020/12/26 09:14:39

女性は、ある日突然天使になる。美しく変貌する。それは緩やかな変化ではない。「キレイになりたい」本気でそう思った瞬間、願いはかなう。美の女神は突然、天空から舞い降りる。

ゲランのランスタンマジーの香りを嗅いでいると、そんな戯れ言も信じたくなる。整形とか吸引とかそういうことだけではない。女性が本気で「美」を目指したとき、その心や体に起こる変化は本当に劇的だ。「これが自分?」と思えるほど美しくなることがある。そして世界が今まで以上に光輝く。ランスタンマジーの香りは、女性にこの上なく優しいパウダリームスクな銀の粉を振りかける。キラキラとまるで魔法のように。

ランスタンマジーは、香水帝国ゲランの転換期に香水開発ディレクターに就任したシルヴェーヌ・ドゥラクルト女史が、シムライズの女性調香師ランダ・ハマミと共に2007年に作ったオーデ・パルファム。香水作りの秘伝秘法が、ゲラン家出身の一人の男性調香師だけに託されてきたかつての伝統を打破し、チーム力と女性の力で作った香水として異色の作品。テーマは「女性の夢がかなう瞬間」。一時廃盤となったが、現在はビーボトルで復活している。30mlで税込9350円。

夢を現実にするともいわれる香水、ランスタンマジー。それはどんな香りなのか?

ランスタンマジーをスプレーする。その瞬間、肌の上に冷たい清涼感あるアニスの香りが広がる。アニスの香りはキッチンスパイスの八角そのもの。クールで知的な女性の印象。ただし冷たくはない。明るい酸味豊かなベルガモットが輝きを添えているからだ。スッと心に沁みこむスッキリ透明感あるトップは、洗練されたフェミニンを感じさせる。

5分後、シトラスとスパイスが消失するにつれ、やや明るいフローラルグリーンな香りがしてくる。クレジットによれば、フリージアの黄色い花の部分だろうか。すぐにミモザやヘリオトロープ系の甘くパウダリーな花粉っぽい香りが重なってくる。とても重層的でロマンティックな雰囲気になる。甘くかぐわしい黄色と白の香り。アニスのスッとする清涼感も残しつつ、華やかさが徐々に増してくる。

10分後、香りはまた変わる。フローラルの核が、温かみあるドライなスパイシーカーネーションになってくる。そこに、キリッと苦いテイストがどんどん主張してくる。これはビターアーモンドの香りだ。温度は上昇し、情熱的に温かみを増してくる。まるで何かに夢中になって、一途にそれを追いかけているようなスパイシーフローラル。それは仕事?恋?それとも自分磨きだろうか。

そして。ランスタンマジーはこのあとがすごい。つけて20分後、はっきり驚く。

黄色いミモザの甘い花粉香、赤いカーネーションのスパイシーフローラル。それらが減衰するにつれ、とんでもなく優しく、ふんわり柔らかい白いパウダリー香が出現する。それはもう、お風呂上がりの赤ちゃんの肌に、ふわふわのパフでぱふぱふしてあげるベビーパウダーの香りそのものかと思うほど。この「ふわふわのパフでぱふぱふ感」が悶絶級。ドラクエのぱふぱふ娘も真っ青。(←は?)これはもう赤ちゃんの香りというよりママの香り。母でもお母さんでもない。どこまでも優しく柔らかな愛に満ちた理想のママの匂い。ママパウダー。

ランスタンマジーは、このミドルのむせ返るパウダリーな香りが真骨頂。そこまでの変化も劇的ですばらしいが、ミドルから訪れる官能的な、苦いアーモンド&甘いパウダリーに撃沈する香り。アーモンド香は通常トップで出てくる苦みなのでラストに出てくるのは面白い。これがこの香水で開発したとされている「ムスキナーデ」のブレンドだろう。アーモンドウッドとパウダリーホワイトムスク。この泣けるパウダリー香が、8〜9時間ほども続く。

これは本当に女性が女性のために創った香りだと思う。ママと赤ちゃん。どんなに偏屈に育った人でさえ、この生まれたばかりの頃のミルキーでシルキーなパウダリー香は原初の匂い記憶として心の奥底に刻みこまれているもの。だから、男性もこの香りには果てしない郷愁を覚えてしまうだろう。これは安心・安全と愛情に包まれていた頃の、まっさらな繭の記憶の香りだ。

どんなにあきらめてきただろう。仕方ないって。どんなに髪で顔を隠してきただろう。人に笑われたくなくて。そんな人はランスタンマジーの香りに包まれるといい。この香りはいつもあなたを抱きしめてくる。誰よりも愛情深く、どこまでも優しく。「あなたはとてもかわいい。大好き。もっともっときれいになれるよ。」ママの笑顔のように。

その瞬間。銀色の濃密なパウダーがあなたを包む。転生の魔法。運命の瞬間が訪れ、空から女神が微笑む。

ランスタンマジー、光の粉に包まれて。女性は美しい天使になる。

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ジミー チュウ / ジミーチュウ オード パルファム

ジミー チュウ

ジミーチュウ オード パルファム

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:40ml・7,150円 / 60ml・11,550円発売日:-

4購入品

2017/9/2 20:41:17

憎しみや嫉妬は、他者への愛情の裏返しではない。自己愛の外殻、硬くてトゲだらけの攻撃的な鎧だ。さながらクリスチャン・ルブタンのスタッズ・パンプスや、2匹の蛇が絡み合うようなジミー・チュウのストラップサンダルのように。いびつな自我は、他者への歪んだ愛情を容易に自己愛による憎しみへと変え、相手に牙を向ける。

牙と言えば、蛇。ジミー・チュウはパイソン柄パンプスも有名だ。

パイソンレザーとは、ニシキヘビの革を加工したものだ。その独特の鱗模様に加え、近年ではカラフルな仕上げ色も増え、人気を博している。ジミー・チュウ自身、パイソンがいて当たり前のマレーシア出身だから、このエキゾティックなデザインもまた彼にとっては必然だったのだろう。(←好き嫌いはあるよな)

そんなパイソン柄をしかもピンク色にしたボックスで2011年にリリースしたのが、ブランド初のフレグランスとなったジミー・チュウ・オードパルファムだ。靴やバッグなどのジミー・チュウ製品は、庶民にはなかなか入手しづらい価格帯だが、ことフレグランスに関しては安価に販売されていて好感がもてる。それでいながら、調香師は本格派だ。現在はシャネル専属調香師となっているオリヴィエ・ポルジュがたずさわった作品。

ベネツィアンカットグラスを思わせる小さなガラスライトのような、あるいはフラワー・ボムのごとき手榴弾のようなこんもりとしたボトル。そのスクゥエアキャップを外してスプレーすると、一瞬広がるのは透明感のあるグリーンな香り。そしてすぐにみずみずしい涼しげなフルーティーに変わる。初めてジミー・チュウをつけたときは、なんだろう?アップルかな?クロスグリかな?とあれこれ考えたけれど、どうやらクレジットを見るとペア―(梨)の香料をイメージしているようだ。言われると「あーなんとなく」とは思うが、相変わらず複雑に絡み合った香料から何かを嗅ぎ分けるのは難しい。そう思う。

5分もすると、洋ナシの香りはちょっと不穏な空気を漂わせてくる。花弁の奥に潜むややツンとしたようなダークな蜜の香りがしてくる。こちらもローズかな?くらいにしか思わなかったけれど、実際はタイガー・オーキッド、つまり蘭の花の香りをイメージしたブレンドのようだ。

ただこのミドル、かなり評価が分かれると思う。ペア―の甘さに、ベースのバタースカッチ風の香りが絡み合って、超絶甘く濃厚なグルマン系の香りがこれでもかと広がってくるからだ。そして、ラン系の少しくぐもった花粉のような低い香りが混じる。これはとても妖しいミドルだ。さながら甘い毒を思わせる。香りは異なれど、ヒプノやエンジェル、ロリータレンピカやダチュラ・ノワールのように、どこか禁断の甘苦い毒系の雰囲気がじわじわと押し寄せてきて不穏だ。バターとハチミツと塩で作ったタフィノートの陰に、パチュリのスパイシーノートが隠れているようで、その湿った暗さが、甘さと相まって危険な香りを際立たせている。そんなミドルが3時間ほど続く。

ラストは不意に訪れる。気が付くと濃厚なキャラメルノートとペア―の甘さ、蘭のツンとした暗さは消え、ややソーピーに傾いたムスクが淡く漂っている。実際バタースカッチのようなこっくりしたスモーキーな甘さがベースだと思うので、ラストというより、ほのかな残香か。

気温が涼しくなって、少し乾燥してくる初秋から冬にかけて、こうしたグルマン系の濃厚な甘さをもつ香りはなぜか胸をせつなくさせる。誘うような濃密なスイートと、どこか暗くスパイシーな香りのコントラストは、さながらピンク色に染められたパイソンの革そのもの。甘くかぐわしく心を躍らせるのに、毒があってまがまがしい。それでも、心が惹きつけられてその美しい鱗に触れてみたくなるような禁断の香り。

ジミー・チュウ・オーデパルファンのセンシュアルな甘さにひたっていると、己の尻尾を食み、飲み込もうとする大蛇、ウロボロスを思い浮かべてしまう。相手を誘惑して毒牙にかけようとするも、狙った獲物は自分の尾だったのだろうか?甘く苦い毒は相手の体にではなく、己の内に徐々に広がるのだ。嫉妬、憎しみ、不安。それらはときに麻薬のような快感を脳に与え、絶えず人をその漆黒の感情の淵に誘うという。そのうねる姿こそ、ジミー・チュウのサンダルの蠱惑的なストラップに見えてくる。足首に巻き付いて離れないパイソンのように。

もしも気分が滅入っていて、嫉妬や憎しみにとらわれていることがあるなら、この香りを身にまとってみるのも一興。そんなネガティブなときこそ、このフレグランスはなぜか自分に優しい。ピンク・パイソンの誘うような甘美な毒は、やがて感覚をじわじわと麻痺させて、全身の自由を奪うだろう。

その恍惚に巻き付かれて、狂おしく果てて。

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ゲラン / アンソレンス オーデパルファン

ゲランゲランからのお知らせがあります

アンソレンス オーデパルファン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:30ml・9,350円 (生産終了)発売日:2008/10/10

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6購入品

2021/3/27 12:41:43

こじらせている。心の中でいつも何かが戦っている。闘争の赤と逃走の青。2つが混じり合って心はずっと紫だ。「そんなの絶対許せない」と赤く燃える一方で、「本当はどうでもいい」と青い斜陽を決めこむ。心の色はそのときどきの土によって紫陽花のように変わる。赤くなったり青くなったり。それでも100%の赤や青にはなれない。ただ、紫色でいれば心は落ち着く。だから人は、ときに紫の香りを心のどこかで求めることがある。

紫の香りと言えば、まずスミレの花の香りが思い浮かぶ。バイオレットフィズという紫のカクテルの香りや味わいを思う方もいるだろう。バイオレットフィズに使われるのはニオイスミレの香りを用いたパルフェ・タムールという紫のリキュールだ。ゲランのアンソレンス・オードパルファム(以下EDP)は、そんなスミレの香りがする。

では、スミレの香りと評されることが多いアンソレンスEDPは、一体どんな香りだろうか。

アンソレンスをつけると、まず立ちのぼってくるのはベリーキャンディ風の甘さだ。スミレのシングルノートで有名なグタールのラ・ヴィオレットは、トップからグリーンな苦味が立ちのぼってくるのに対し、こちらは甘くフルーティーなイントロ。ただその下にメランコリックな紫色の香りが広がっているのがわかる。さながら、いちごアメとスミレの砂糖漬けを同時に口に入れたような赤と紫のトップ。

アンソレンスはよく「スパイラルに変化する香り」と紹介される。これはどういうことかというと、調合香料がどの瞬間にどんな感じで出るのか予測がつかず「連鎖的な変動」をしていく、といった捉えでよいと思う。例えばアンソレンスを構成している香料のうち、特徴的なものは次の3つだ。

・不二家ポップのイチゴキャンディっぽい甘さ(赤)
・バイオレットフィズのようなスミレとローズ(紫)
・おしろいやベビーパウダーのふんわりパウダリー(白)

これらの香料が同時に出てくるタイプで、ときにどれかが強く香ったり全く感じなかったりと、連鎖し合いながらバランスを変えて香り続ける展開をする。「あ、いちごアメだ」と思った次の瞬間、スミレの香りが届いたり、不意にベビーパウダーを感じたりと、ふわりふわり螺旋状に旋回しながら登りつめていくイメージ。まさに初期ボトルの半球らせん3段型のように。

香料の割合的には、ベリー:スミレ:アイリス=1:5:4くらいなので、スミレのイオノンとアイリスのイロンの香料が強い香水ではある。この2つは親戚みたいな関係なので、混じり合うように香る特徴がある。同時に、スミレの香りのイオノンβはベリー系にも含まれるため、こちらも親和性が高い者同士。つまり、この3つは常にシンクロしながら個々に香ることで、幅広い嗅覚レンジを攻められるよう化学的にセットされているわけだ。まさに、どこから何が飛び出してくるかわからない紫色の波状攻撃、黒い三連星のジェットストリームアタックそのものだ。(←また言ったよ)

付けてから5〜7時間。イオノンもイロンも、重くて揮発の遅い香料なので、ゆっくりじっくり長く揮発する。清楚で控えめなスミレの香りにほんのりイチゴ味が寄り添っているので、成熟した大人の女性の香りになりすぎず、ほんのり可憐さを与えている。決してガーリーではないストロベリーの甘さ、この配合バランスが奇跡的にすばらしい。

スミレの香りは、心がやられているとき、曖昧な状況で先が見えないとき、心を安らげてくれる鎮静効果を持っている。香りにもバイタリティがあって、元気な香りは心が元気でなければつけられないし、華やかな香りは心がオープンに開いていなければ似合わない。けれど、スミレの紫フローラルは、心が辛いときに何も言わずただそばにいてくれる。寡黙な友だけれど、誠実な優しさに満ちている。

年度の変わり目、季節の変わり目、新しい環境に飛び込んで、心が戸惑って居場所をなくしているとき、もし心がため息をついていたら、こんな香りとともに過ごしてみるのもいいだろう。心を二極化する必要はない。赤い闘争にも青い逃走にも疲れたら、白い繭の中にこもって、紫の夢を見てゆっくり沈んでみるといい。そんなとき、ゲランのアンソレンスはあなたのわがままにとことん付き合ってくれるだろう。

こじらせている。なんてすてきなことだろう。人間はもともとDNAの二重らせんでできているねじれた生き物だ。二極化を目指す世界は悲劇の色彩に満ちている。赤と青のらせんが紫の心になって世界を優しく沈静させるなら、空はいつでも紫色でいい。心も紫色のままでいい。

人間は不確かな生き物。あなたはあなたの心を守るためなら、もっと自分に傲慢でいい。アンソレンスの紫の香りがそっとささやいている。

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Cookieyukiさん
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ゲラン / アンソレンス オーデパルファン

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アンソレンス オーデパルファン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:30ml・9,350円 (生産終了)発売日:2008/10/10

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7購入品

2021/4/3 12:20:41

アンソレンスをつけると昔、自分が女王様と呼ばれていたことを思い出す。いつも男の子5-6人に囲まれていたから。

そう書くとモテていたみたいだけど、彼らのお目当ては私ではなく私のクラスメイトの女の子たち。どうしたわけか、彼女らはみんなウルトラ級の可愛さだった。要するに私に恋のキューピッドになって欲しかったのだ。

彼らは気になる女の子がいるとまず彼氏がいるか探ってくれと私に頼んだ。誘導尋問が上手かった私は相手の女の子に気付かれないように探って彼らに伝える。するとお菓子がもらえる。私はそれを貢ぎ物と呼んでいたが、彼らにとっては単なる賄賂だったのかも。とにかく彼らの心は可愛い女の子にときめき、私の胃袋は美味しそうなお菓子にときめいた。

私に諜報活動を依頼してきた男の子たちは時々お洒落な高級菓子を持ってきてくれた。今から思えば十代の男の子が買うような代物でなかったので、親が誰かから貰ったお歳暮やお中元での頂き物の一部だったのかもしれない。どことなくアンソレンスの香りに似ているものも沢山あった。

トップのレッドベリーはラズベリー、苺、クランベリーを混ぜたような香り。レモンかベルガモットかの柑橘系の香りが薄っすらすることもある。ゼリーかグミみたいだけど大人向けだ。少し洋酒が入っているみたい。これに近いものをくれた男の子がいたな。

スパイラル構造というだけあって色々な香りが入れ替わり立ち替わり現れるがこのトップだけは常に同じ。そのあとはスミレの砂糖漬け、アメリカで売っているC.Howardのバイオレットキャンディ、ベリー系の赤いジャムが乗ったミニタルトなどの甘いお菓子を思い起こさせる香りが現れては消えていく。クランベリージュースとラズベリージュースを混ぜてウォッカを入れたカクテルのように思えることも。

「女を感じさせる」とか「ムラムラ系」とかの評も多いアンソレンス。2年前に旅行した時、空港でムエットをもらって、その可愛らしさとセクシーさが同居した香りにずっと憧れていた。ついに購入にいたったが、どうしたわけか私がつけると女を感じさせる色っぽい香りは全く出現しない。

その代わりちょっと捻りを入れた大人向けの高級菓子のオンパレード。トンカビーンズにはクマリンという塩漬けの桜の葉と共通の成分が含まれている。それが私の肌とミラクルな化学反応を起こして、バニラエッセンスの入らないクッキーやタルトなどの焼き菓子系の匂いに化ける。キャラメルやトフィーに似ている時さえある。

だから他人が何と言おうと香水は肌に乗せてみないとわからない。女性ホルモンを刺激してくれることを期待して買ったアンソレンスは食欲を刺激してくれた。他人に当てはまるかどうかはわからないけど、私がつけるとコーヒーに合いそうな洋菓子かベリー系カクテルの香りに化ける。フェロモン系成分はいったい何処へ?

そんなアンソレンスには意外な使い道がある。おゲラン様と熱狂的ゲランファンの間で炎上しそうな大反則だけど。

入浴中お湯にプシュッ。

立ち登るスミレ、レッドベリー、ウッディの混ざった色っぽい香り。ああ、素敵。うっとり。普通だったら古くなったり、あまり好きでない香水の消費方法として推奨されること。どことなく背徳感もある。

でもいいの。私は女王様と呼ばれた女。昔から女王様は◯◯風呂というゴージャスな入浴を楽しんでいた。クレオパトラやマリーアントワネットの薔薇風呂などの花であることが大半だが、西太后は母乳風呂で女を磨いていたとの説も。それだけのフレッシュな母乳を集める過程を想像するとある意味コメディでもホラーでもある。それに比べると私のスペシャル風呂なんてまだ可愛いじゃん。

「きゃーっ、いやーっ、アンソレンス勿体ない!やめてえ」という声は傲慢に無視。女王様は今日も入る。

スミレ風呂

トップノート: レッドベリー
ミドルノート: バイオレット、アイリス、アフリカンオレンジフラワー
ラストノート: トンカビーンズ、サンダルウッド、ウッドノート

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ペンハリガン / エリザベサン ローズ オードトワレ

ペンハリガン

エリザベサン ローズ オードトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50ml・15,400円 / 100ml・22,000円発売日:-

5購入品

2018/3/24 22:20:53

ガーデニングに詳しい方が、一生に一度は訪れてみたいと口をそろえる聖地がイギリスにあるという。それはケント州にあるシシングハースト・キャッスル・ガーデン。そこは数ある英国式庭園の中でも、最もすばらしいと称賛されている場所だ。広大な敷地には、壁やドアが無数に作られ、それぞれの植栽エリアが小部屋のように区画されていいる。ドアを開けるたびに、白一色のエリアや紫一色のエリアなどが現れる迷路のような仕組みになっており、訪れる人々の目と心を楽しませているという。

ペンハリガンが1984年にリリースしたエリザベサン・ローズは、そのシシングハーストのローズガーデンに咲き乱れる薔薇をイメージしたシングルノートのオードトワレだ。発売以来、世界中の女性に愛されているフレグランス。それはどんな香りなのだろう?

トップ。やや冷たげなアルコールっぽく拡散するアルデヒドの香りで始まる。すぐに下から出てくるのは少しエグみや青みのあるフローラルミックス。高いところでローズ香、低音で清涼感ある苦みの強いスパイス、そして、ローズの陰になって出ている花の香りも感じる。ローズの香りは系統で言えば、ティー・バイオレット系に近いように思う。やや暗さがあってパウダリーに変化しそうなイオノンの雰囲気あり。あと清涼感あるスパイスも少し感じられる。アニス系かな。そして同じく低音で出ているフローラルは構成から見るにゼラニウムのよう。全体に青い葉や茎の硬さ、次々に多弁の花びらを開かんとするオールド・ローズのスッキリした香りといったイメージ。

やがて10分くらいするとパウダリーな香りが出てきて、青くささを侵食してゆく。乾いたタルカムパウダーの粉っぽさ、あるいは白粉の鼻にくるムンとした感じ。その上に薔薇の花びらがふんわり載っているような香りに変わってくる。ビロードのようにまろやかで穏やか、とてもフェミニン。薔薇の香りは相変わらずしているものの、先ほどよりも下がって中音で湿った感じになってくる。このへんから薔薇の合成香料にスライドした雰囲気。そんな乾いた白粉の香りと、しっとりした薔薇が拮抗するミドルが割合長く続く。時間にして5〜6時間、穏やかながら静かにたゆたい続ける。

ラストはわずかにソーピーに傾いて、ムスキーな薔薇でフェイドアウト。とはいえ、パウダリーな薔薇が石鹸のような薔薇に変わっていく過程もきつさは感じられない。とても自然だ。消失までに6〜7時間は残り香がほのかに漂っているので、オードトワレにしてはかなり残る方だと思う。

してみると、トップのグリーンさを感じる赤い薔薇、ミドルのパウダリーなピンクの薔薇、そしてラストは清潔感のある白い薔薇というように、まるでそれぞれ別の部屋から部屋へと、ドアを開けて進んできたかのように、シングルノートと言いつつも少しずつ変化していることがわかる。まさに、シシングハーストのローズガーデンを歩いているかのよう。

この大庭園を造ったのは、英国の名門貴族サックヴィル家に生まれたヴィタ・サックヴィル=ウェストとその夫であるハロルドの2人。彼らが荒廃していた土地を1930年に買い取り、30年かけて造園したという。夫ハロルドが綿密に壁やドアの位置を設計して屋外に邸宅のような部屋割りを配置し、ヴィタはその迷路のような部屋に合ったテーマを設け、有名なホワイトガーデンをはじめ、紫の植栽だけのパープルボーダーやローズガーデンなどを次々に創り出していった。そこはあまたの部屋に見立てた庭。彼らが夫婦としてのアイデンティティを唯一解放できたであろう場所。

というのも。

名門貴族の娘だったヴィタは幼い頃から同性愛者だった。しかし、母に政略結婚を迫られ、男性との結婚を余儀なくされる。だが、夫となるハロルドもまた同性愛者だった。そこで2人は互いに話し合い、誓いを立てた。いたわり合って生活していくこと、他に同性の恋人をもっても干渉しないという約束を。それはオープン・マリッジと呼ばれる結婚の形だった。

同性を愛することすらまだまだ非難されていた当時の英国社交界において、彼らの結婚の在り方は大騒ぎされたことだろう。実際、ヴィタは結婚後も同性の女性を恋人とし、後に英国文学界で有名になったヴァージニア・ウルフ女史とも恋仲になっている。ウルフの代表作でもあり、近年映画化もされた「オーランド―」は、主人公のモデルがヴィタであったことも明かしている。

だから30年もかけて彼らは大庭園を造ったのだろう。同じ苦しみや差別、偏見に対して彼らなりに共闘し、彼らの魂の「自由な場所」を得るために。

エリザベサン・ローズは、オープン・マリッジだった2人が、その人生を賭して造り上げたオープン・エアー・ハウスに咲き乱れるオールド・ローズの香りだ。

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