まだ何も投稿されていません
- doggyhonzawaさん 認証済
-
- 54歳
- 乾燥肌
- クチコミ投稿426件
-
[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)・香水・フレグランス(その他)]
税込価格:-発売日:-
2020/6/20 10:01:59
フエギア1833のキロンボは、とてもヘヴィーな名前の香水だ。その名の表すもの。「逃亡奴隷社会」。
かつて植民地時代のブラジルで、何百万人もの黒人たちがアフリカから連れてこられ、サトウキビプランテーションで過酷な労働を強いられた。彼らの多くは20歳になるまでに亡くなったという。そこで彼らは脱走し、北東部のジャングルに逃げ込み、先住民ナティーボらと共に密林の奥でひっそりと生きる道を選んだ。その集落や社会を総称してキロンボという。
とても重たい名前だ。もし香水ボトルに日本語で「逃亡奴隷社会」と書いてあったら、少なくとも二の足を踏む人はいるだろう。「ねえ?いい香りね。それ何の香水?」「えとね、フエギアの『逃亡奴隷社会』だよ!」「そ、そうなんだー。なんかすごいね…(汗)。」という会話が交わされるとしたら、いかがなものか。←ま、それはそれで
ともあれキロンボ。初めてその名の由来を知ったときは若干気持ち的に落ちたが、店舗で実際に香りを嗅いだときはとても驚いた。なんというミルキーで優しい甘さの香り。それもそのはず。キロンボは、ブラジルの密林の奥、逃亡奴隷たちが生き延びるために作っていた液体ミルクキャラメルの香りだ。←大事
キロンボをプッシュする。その瞬間、腰がとろけそうになるような甘くてミルキーな香りがふんわりと広がる。よく女性がつけて「おいしそう!」とつぶやいているが、さもありなん。本当にミルクとバターとそしてスッキリした甘さが渾然一体となって広がってくる。バターにはほんのり塩味が効いていてそれすら鼻で感じ取れるのがすごい。本当に「これ、単に食品の香り付け香料では?」と感じるほどの超グルマン。
ミルクと塩バターと甘い砂糖の香り。以上。←終わるのか
展開は特にない。フエギアの香水にはよくある、付けた香りがずっと持続し続けるタイプの香り方をする。人工香料強めだろう。いつまでも同じ香りがずっと持続する感じだ。ただ本当に唾液が出そうなくらい甘くてミルキー。これは不二家さんが「ミルキー」という名でリリースした方がいいくらいの練乳っぽい香り。実際に不二家さんが出してるミルキーボディミストより「不二家ミルキー」な香り。←本家越え?
持続時間は8〜10時間ほど。長い。特に紙やファブリックにつけると、1日過ぎても柔らかく香りが残っているほど。このへんは本当にフエギアらしい濃厚さ。フエギアの香水は全体的に香料の数は少なめでシンプルな香りを濃度高めで展開する、といった感が強い。一般にグルマン系は気温や湿度が高いと重たくて敬遠しがちだけれど、なぜかこの香りは暑い季節でも苦にならない。それは、ほんのひとさじのフルーティーな酸味があって、実にスッキリとした甘いクリーミーさを呈しているからだろう。それがアマゾンフルーツの1つ、クプアスだ。
クプアスはカカオの仲間で、茶色い実の中に白い果肉を有する南米特産のフルーツだ。果肉はパッションフルーツやヨーグルト様の強い酸味をもつ。また、種子には多量の油脂を含み、クプアスバターとしてチョコレートの原料やコスメの素材にも使われる。このクプアスの果実の酸味、バターのコクが、このキロンボを単に甘いミルク香にせず、豊かな風味を添えているように思う。わずかなパッションフルーツ様の香りがくどい甘さになるのを抑えている印象。
ブラジルや南米では、昔からドゥルセ・デ・レチェという液体キャラメルが作られ、愛飲されている。高脂肪のミルクに砂糖をたっぷり入れて、じっくりアメ色になるまで煮詰める。その液体キャラメルには必ずカカオやチョコレート、アーモンド、ドライフルーツを入れるという。そこまで知ると、ああ、この香りにはラテンアメリカの歴史が語られているんだなと実感する。
暗いジャングルの奥に思いを馳せる。先住民との邂逅をはたした逃亡奴隷の黒人たちは、彼らの自給自足の生活様式を学びながら、同時に自分たちの身体に沁み込んでいるアフリカ文化をミックスして継承し続けた。彼らはヤギの乳に自分たちが作っていた砂糖を加えて煮詰め、そこにクプアスの果実やバターを加えて濃厚な液体キャラメルを作り、飢えをしのいできたのだろう。白人社会の攻撃に備えつつ、何百年も文明社会と隔絶して。
その戦いの旗こそキロンボなのだ。その名の重たさを知ったとき、ジュリアン・べデルがこの甘くミルキーな香りに寄せた思いの深さを慮る。そしてそれが悲劇の名称ではないことに気付く。人種差別と闘い続けた彼らの歴史。そして何よりも、生きるために日々の食料を得る戦いを続けた彼らの強さをこの名は表しているのだろう。
どんなことがあっても生きる強さ。今日の命をつなぎ、明日への希望をもたらす香り。キロンボ。
- 使用した商品
- 現品
- 購入品
-
[フェイスクリーム]
税込価格:30g・38,500円 (生産終了)発売日:2010/9/18
2016/3/24 22:12:07
再クチコミです。
高価な部類のクリームなのにどうして『乾燥対策』以上の効果が見えないんだろうと色々使い方を試行錯誤してみました。
これ、刷り込むように伸ばしたらダメなんですね。
少し多めの量(パウチサンプルを目安にしたら一包より気持ち多め)を緩く伸ばすんです。
パックを伸ばす時のような感じ、クリームの白っぽい色がうっすら残るくらいあっさりした伸ばしかたで。
そうすると翌朝には手が吸い付くような…赤ちゃんのお尻ですね、あの感触。
何よりも日中の乾燥や刺激に対して肌が強くなった気がします。
それから本当に当たり前過ぎる事なんですがクリーム塗るまでのお手入れをきちんとすること。
高級クリームを使うからこそクリーム以前のお手入れが大切なんだと思います。
手抜きした肌はクリーム殺しなんです。
手抜きで(美容液抜き)で激効果があったのはエクスヴィ・ギンザ位しか知りません。
凄くコスパの悪い使い方ですが、諦めて投げるよりはクリームも本望かな?
*******************
↓以下2015.12.30のクチコミです↓
結構濃厚なので冬の夜のみ使用です。
本当に『乾燥』という言葉を忘れるほど潤います。
塗った直後はギラギラしていますが寝ている間に吸収されるんでしょうね、朝はキメが整ったすべすべに肌に。
でもそれ以上の効果は感じられず、ハリや美白、毛穴など総合的にはクレドポー・ラクレームやエクスヴィ・ギンザのほうが優れています。
そもそもお値段が違うので同じ土俵にあげてはいけないのかもしれませんがクリームフェチとしては肌状態で使い分けるのが好きなんです。
乾燥や荒れた肌には裏切らず結果を出してくれるクリームだと思います。
- 使用した商品
- 現品
- 購入品
- チョコミント嫌いさん 認証済
-
- 54歳
- 混合肌
- クチコミ投稿17件
-
[美容液]
容量・税込価格:40ml・22,000円発売日:2019/10/18
2020/1/11 10:30:32
現在、アンベアージュを朝晩ライン使いしています。
通常のミルクとホワイトニングローション。夜の美容液はディオネクター、そして朝の美容液にこちらを使っています。
こちらは軽いとろみのある液状美容液。
BAさんによるとミネラル成分で肌を活性化するそうです。
保湿力や肌のハリはディオネクターの方が勝りますが、ここ数年フェイスラインに沿って時々出ていた細かいぶつぶつ(新陳代謝の遅れから来るらしい)が、こちらを使ってからほぼ出なくなりました。
肌の代謝を上げる効果があるように思います。
私の肌質は皮脂の少ない、キメの細かい極薄乾燥肌なので、
こちらは一回に結構量を必要とします。
そのためディオネクターと比べるとコスパが今ひとつです。
ベタつきが全くないので、朝の美容液には最適ですし、湿度の高い時期にも使いやすいかと思います。
今のところ、リピート予定です。
- 使用した商品
- 現品
- 購入品
- doggyhonzawaさん 認証済
-
- 53歳
- 乾燥肌
- クチコミ投稿426件
2019/7/6 05:54:36
秘密。だれにも言えない秘密。大人が教えてくれなかった事実。大人になるために最も知りたかった事実。
快感。だれにも言えない快感。母のルージュをそっとひいた日の、何かいけないことをしてしているという甘美な記憶。あるいは女性の裸体に初めて硬直した少年の、絶対に親に知られてはいけないと感じた背徳の記憶。触れてはいけないところにさわったやましさ。
トム・フォードのロストチェリーは、そんな香りがする。
桜の香りがするトップは幼い日のノスタルジー。どこまでも甘美でキュートなチェリーシロップの香りが心を鷲掴みにして離さない。離れない。
次第に鼻腔の奥をツンと刺激するシニカルなアーモンドの苦みが訪れてミドル。ピュアなくせにギリギリするほど苦々しい。それは思春期の葛藤をフラッシュバックさせる香り。
ある日突然、胸をときめかせる人が現れたときの戸惑い、高揚感。鏡を見て自分の容姿に落ち込み、その顔をにらみ、変えられない顔に悲観し、せめてと思い髪をいじり、何度も髪を濡らしてはブローした日。ガラスのように壊れやすく、うすっぺらな自我に固執した思春期。青臭くて一人じゃ何もできないくせに大人にもなりきれず、不平不満を周囲にぶちまけ、毒づくことで己のレゾンデートルをわずかに保ち、自分も周囲も大嫌いで、自分の弱さを繕うために他者をあざ笑い、蹴落とし、心の中で全てを否定する。浅はかで脆弱な魂の彷徨。
けれどある日。そんな自分がなぜ生まれて来たのかを知る。どんなふうに命が紡がれてきたのかを知る。思いと肌を重ねることで言葉以上に感じ合えるものがあることを知る日が来る。信じ合えるもの、信じられないものの境界があること、快感と痛み、快楽と苦痛の狭間でスパイラルにのぼりつめる狂気があること、全ての生命の営みの輪の中に自分もいたこと、己の欲望に忠実に体が反応すること、そして心は身体の快楽に勝てないこと。それらを思い知る日が来る。人間の業。
ロストチェリーはそんな香りがする。
幼年期のチェリーの甘さ、思春期のアーモンドビター、そこに絡むシナモンの誘惑に身悶えし、ローストトンカの人肌の匂いに酔いしれてゆく。ラストに感じられるわずかなヴァニラは昨日までの自分との決別。ほろ苦く甘い、もう戻れない白い朝の追憶。
それは通過儀礼。大人になるための痛み。少年少女との決別。小さな世界の喪失。広大な世界への不安。自分の中のエロスに気付く日。異性を誘う自分の秘密の匂いを知る日。しっとりと濡れたシロップの誘惑に、あくなき生と性の悦びをかいま見る日。自分の価値が揺らぐ日。自分の武器に気付く日。
その日を夢見ていたわけではない。その日を待ち望んでいたわけではない。ただある種のノスタルジーと悲しみは、小さな頃からずっと自分の中にあった。父と結ばれたいのに、母と同化したいのに、どこか拒絶された単体として存在しているちっぽけで儚い自分。その理由を知った日。
汚れた血。純潔な血。自分の中の不道徳を知る日。自分の中の清らかさを思う日。それでも唇をきゅっと結んで髪をかき上げて、さも何事もなかったかのように風の中を歩く日。何かを捨てたようで、何かに見捨てられたようで、全てを知った気になって、この感じを知らなかった自分を深い海に沈める日。
すれ違いざま、オヤジどもがなぜ濁った眼で自分をじろじろ見るのか、なぜ電車の中で痴漢されるのか、なぜこのロストチェリーが2〜3時間しかもたないのに3.5万円もするのか、そしてなぜこれまでになく売れているのか。その秘密を知る日。それは性が媚薬だからだ。愛情同様、性に困窮している餓鬼亡者が世界中にあふれているからだ。
こうならなくてもよかった。知らなくても生きられた。けれど知ってしまった。もはや永遠に心を奪われ、性の呪縛に囚われ、甘美な悦びに身悶えし、ときに燃えさかる業火のように嫉妬で相手を焼き尽くす。それは諸悪の根源。心の足かせ。神の手から最も遠い場所にあるダーククリスタル。仮面をつけて微笑み、仮面の下で己の外道を飼いならし、雑踏の中、風を切って歩き始めるために失ったヴァージニティー。SEXは甘く、かぐわしく、どこまでも心をとらえるけれど、その快感と感動は一瞬。あとに残る寂莫とした思い、荒涼とした大地にただ一人残された孤独。それらと向き合うことをたたきつけられ、人は自分の中の獣を知る。それでもまた、自分だけのチェリーを探し求めてこの世界をさすらう。
天使のように甘く、悪魔のように苦々しい。少女のようにほほえましく、遊女のように猥雑に誘う。チェリーボムはかじられた。したたる果汁は大人味のダークブラッド。
その血を煮詰めた背徳の香り、ロストチェリー。
- 使用した商品
- 現品
- 購入品