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doggyhonzawaさん
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イッセイ ミヤケ パルファム / ロードゥ イッセイ オードトワレ

イッセイ ミヤケ パルファム

ロードゥ イッセイ オードトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:10ml・3,190円 / 25ml・8,690円 / 50ml・12,540円 / 100ml・17,600円発売日:- (2022/2/1追加発売)

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2018/10/27 14:47:51

「香水なんてシミを消すわけでもないし、肌にいいわけでもない。何の効果があるの?」コスメに機能を求める方は言う。そのとおりかもしれない。ざっくり言えば香水なんて香りをつけたアルコールだし。それでもあえて言う。香水はすごい。それはときに人の心や世界の流れまで大きく変えることがあるからだ。

ここに1本の有名な香水がある。細長い円錐形のすりガラスボトルに入った透明な液体。作品名はロードゥイッセイ(イッセイの水)。世界的デザイナーとして有名な三宅一生氏の最初の香水にして最大のヒット作だ。このオードトワレは、それまでの香水文化を大きく変えたといっても過言ではない。

ロードゥイッセイは、まず人の心を大きく変えた。「香水なんて派手だし、くさいし、嫌い」そう感じていた女性たちがこぞってこの香りを買うという現象を生んだ。もともとこの香水は、香水嫌いで有名だった三宅一生氏のブランド戦略として提案されたもので、当然ながら彼は最初は乗り気ではなかった。しかしどの服飾ブランドもイメージアップ戦略の一つとして香水を扱いだした流れにもまれ、遂にイッセイ・ミヤケの香水を出すことが決まったとき、彼は新人調香師に向かってこう言った。

「創るなら、ぼくを驚かせる香りであってほしい。それは例えば、自然の中で深呼吸しているような香り、水のような透明感のある香りだ。」と。

それを聞いた関係者は、みな首をすくめたという。「水の香り?そんなの作れるか。作ったとしても売れるわけがない。」だが新人調香師だけは違った。当時、カルバンクラインのエスケイプで大量に使用された新しい人工香料カロンを使えば、彼の厳しい要求に応えられるかもしれない。そう感じていた。

その調香師の名はジャック・キャバリエ。今でこそルイ・ヴィトンの香水部門の専属パフューマ―として世界的に有名な彼だが、当時はフィルメニッヒ社に入ったばかりの無名の新人だった。彼は試作に試作を重ね、1992年、今までにない新しい香りをこの世に誕生させた。それまで派手なフローラル中心だった濃厚な香水は日本のバブル崩壊と共に影を潜め、時代はこのあっさりとした優しい香りを全面的に迎えた。世界は緊縮財政に向かい、香水業界はこの香水のヒットをきっかけに、新たなトレンドである「水の香り」「オゾン系」「マリン系」「ユニセックス」へとシフトしていった。

そんな記念碑的な香りとなったロードゥイッセイ、どんな香りだろうか。

ロ―ドゥイッセイをスプレーすると、まず広がるのはユリの花のたおやかな香り。そこにシクラメンの低いしっとりした香りが混じってくる。トップからフローラルブーケ全開で、シトラスはない。水滴がしたたるような白い花の香りだけが漂う。そこにわずかにツンとした透明感ある匂いがする。うっすらと潮風のように吹き抜ける感じがあって、それでいて花の香りもするカロンという香料だ。

このカロンという香料物質こそ、このロードゥイッセイ最大の特徴。よくいう「メロンのような香り」と称される元祖「瓜系」の香り。カロンは1960年代にファイザー社で開発された人工香料で、もともとは洗濯洗剤の基材臭をマスキングする目的で研究されていたものだ。これが1980年代になって少しずつ香水に使用されるようになり、脚光を浴びた。ロードゥイッセイはこのカロンを多用したことで「みずみずしさ」や「しっとりした空気感」を表すことに成功している。そのため、オゾン様ノートの元祖とされる。

優しく穏やかな香り立ちに思えるが、実はかなり強い拡散力をもっているので、気を付けないと周りにとても迷惑をかける類だ。人工香料が多く使われているため、天然香料の多い香水に比べて香りがシンプルで透明感が感じられるというメリットがある反面、強い香りがずっと続くという特徴がある。付けた瞬間に鼻を近づけたりすると、頭痛をおこしかねないので付け方には注意が必要だ。ラストまであまり変化なくウォータリーな白い花のブーケが6〜8時間ほども続く。香水が苦手な方になぜかこの香りを好む人が多いのも特徴だ。今となってはこれに似た香りはたくさんあるが、26年前は本当に新鮮だった。まさにこの一滴がその後の世界を変えた。

大河も海も「一滴の水」の集まりでできている。三宅氏は常に「1枚の布」という素材勝負のデザインをし続けてきた。この香りから始まったオゾン系の「大河の一滴」は、今なお多くの香りを生み続けている。円錐型の美しいボトルは、エッフェル塔の上に満月が重なった姿と同時に、一滴の水がはじけた瞬間を表しているという。

ロードゥイッセイは、香水界の「大河の一滴」だ。たった一滴で混沌とした時代の空気を塗り変え、文化という水の流れを変えた美しい香りだ。

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シャネル / チャンス オー タンドゥル オードゥ トワレット(ヴァポリザター)

シャネル

チャンス オー タンドゥル オードゥ トワレット(ヴァポリザター)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:35ml・10,120円 / 50ml・14,520円 / 100ml・20,350円発売日:2010/2/19 (2018/1/5追加発売)

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2016/12/4 12:34:54

心惹かれる人はいない。出会うきっかけも、時間も、気持ちの余裕もない。ちょっといいと思う人はいる。でも自分からは何もできない。待っているわけではないけど、仕事上の都合や今までの関係性がこわれたら困るから、愛想笑いや冗談しか言えない。

心惹かれる物はある。でも自分には縁のない物のようにも思う。使えるお金もそんなにない。大体自分に似合わない。ただただ、仕事や家事、育児などのToDoリストをこなすことに神経と体力をすり減らし、延々とルーティンを繰り返す日々。

今を生きる女性には、あらゆる面でリミッターが働いている。シャネルのチャンス・オー・タンドゥルは、そんな見えない縛りと真摯に向き合っている女性におすすめしたいフレグランスだ。ピンクのチャンスを上手に身にまとって街を歩く。それだけで、昨日までの自分には見えなかった景色や風に出会えるかも知れない。

チャンス。

チャンス・オー・タンドゥルは、2010年にシャネルから発売された、チャンスシリーズ3作目の作品。香調はフルーティ・フローラルで、前2作のシプレ調と比べると、柔らかく優しい印象。淡い桜色の液体は、ピンクのボックスと相まって、特に若い世代に強くアピールする。ただ、若い女性向きのガーリーな雰囲気というわけではない。全ての世代の女性につけてほしい、そんなブランドの願いが感じられるしっとりとした穏やかな香りだ。

シリーズ共通の円形ボトルは、正面から見ると、淡い液体色の向こう側に広がる風景がほんのり色づき、まるで夢や希望というフィルターを透かして見る未来のようにも思えて美しい。斜めから見ると、シルバーメタルのプレートが円形のボトル全体を包み込んでいて、大きな平打ちリングのようだ。半透明のスクウェアキャップは、さながらリングのセンターストーン。とても大きな指輪を思わせる。

そんなピンクのチャンスの香りは。

銀色のボタンをスプレーすると、一瞬、柑橘系の酸味と苦みが、アルコールの揮発と共にふわりと立ちのぼる。クレジットにはグレープフルーツとあるが、フルーツやフローラルと共に感じられるので、明確なエッジではない。

スッキリしたそのトップは、2分とせず落ち着き、とろけるようなフルーツの香りと、穏やかなフローラルが立ち上ってくる。これがミドルとなってしばらく肌の上にたたずむ。ここからがピンクのチャンスの真骨頂。

このフルーツ香はマルメロの香りだ。マルメロは、果肉が生食できないことと、寒冷地向きという特徴をもつため、市場にはあまり流通しない果実。だが、その黄色い洋ナシ様の大きな果実から発せられる香りは、ことのほか心を酔わせる。洋ナシのようなコクのある甘さの上に、リンゴの甘ずっぱさをミックスしたような、とてもスイートな香り。花梨(カリン)の優しい香りに近いと言えば、想像がつく方もいるだろう。

秋の陽によく熟れた鮮やかな黄色の果実、マルメロのしっとりとしたみずみずしい香り。そして、静かでほんのりクールな印象のヒヤシンスのノート。そこに、シャネル特有の可憐なジャスミンがミックスされ、果実と花のやわらかいブレンドが、かなり長く続く。

ラストは、クリーミーなベールがかかったホワイトムスクの香りに変わってゆく。どこにもスパイシーさや、とがった部分が感じられない。最初から最後まで、ボトル同様、ふんわりとまるい香りが続く。持続時間は8〜10時間程度。

ただ、香りは優しげなものの、拡散力は驚くほど強いので、付け方はとても注意が必要。ロールオンアトマイザーに移し替え、点で付けるようにしたり、うなじの髪の生え際につけて髪をかき上げたりすれば、ヘアミスト代わりにも使える。女性の髪からチャンス・オー・タンドゥルの香りがふわりと鼻をかすめてきたら、周囲の男は、心中穏やかではいられないだろう。

チャンス・オー・タンドゥル。それは大きな指輪の形のボトルに入った、淡いピンクのフレグランス。まるで、未来を見る大きなレンズのように、美しい桜色の液体を透かして見る世界は、昨日とは少しだけ違う彩りを日々の暮らしに添えてくれるだろう。

性別とか、年齢とか、見た目とか、そんなもので自分にリミッターをかけるのはナンセンスだ。この香りを知っている人生と、知らずに生きていく人生。それはどちらが幸運なのだろう?いつもシンプルにそれだけだ。自分に課しているあらゆる制限を解除できるのも、やはり自分自身だから。

ピンクのチャンス。それはありふれた日常を淡い桜色に上書きしてくれる魔法の指輪。「チャンスはいつも自分の中にある」いつもそう背中を押してくれるココからのメッセージ。

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Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン) / ネクタリン ブロッサム & ハニー コロン

Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン)

ネクタリン ブロッサム & ハニー コロン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:30ml・11,000円 / 100ml・21,560円発売日:-

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2017/5/13 06:19:17

ジョー・マローンの香りを少しだけ敬遠していたのは、ハマると怖いのが分かっていたからだ。

ジョー・マローンの1本1本の香りは、とてもナチュラルで明るく、気分をスッキリさせてくれる優れた品が多い。ただ高いとは思う。コロンというカテゴリで100mlボトルが1本17000円以上。これは庶民にはなかなか手を出しづらい価格帯だ。たとえ30mlが8000円ちょっとで買えるとはいえ、これはもう立派なオードトワレやオードパルファンが買える値段。

何しろネックは、1本持ってるだけではジョー・マローンの香りの良さを知っているとは言えないことだ。これらのコロンはボトル1本1本が「素材」であり、まだ未完成品。ジョー・マローンの香りの本当の楽しさは、それらを自由に組み合わせて付けるフレグランス・コンバイニング(重ね付け)の妙にある。つまり、何本か好きな香りを集めてみて、それらをTPOに合わせて好きなようにコンバイニングした時、初めてジョー・マローンの創った香りの奥深さや本質がわかるということ。

このアイディアは本当に恐ろしい。実践すべく実際にボトルを集め出したら福沢諭吉先生がどんどんお財布から去っていかれるのが目に見えている。ジョー・マローンの「コンバイニングのすすめ」は「学問のすすめ」より強いのだ。何しろ1冊ではなく、全巻そろえたくなるのだから。

そんなコロンの中で、ネクタリンブロッサム&ハニーは、特に女性に人気が高い香りだ。トップにカシス、ハートにアカシアの蜂蜜、ベースにピーチというシンプルな構成ながら、それらのミックスが驚くほど自然なフルーティーさを感じさせる。

ピーチ系のフレグランスは、ともすると合成っぽさが強く感じられたり、わずかに合わせた苦みや酸味で「本物の桃の香りじゃない!」と受け取られたりして、なかなか難しいテーマの一つだと聞く。香水はもともと自然の花やフルーツそのものの香りではないけれど、人はフルーツ系の香りに対しては、本物っぽいかどうかこだわりやすい傾向があるようだ。それは、食べ物として「味覚」とリンクさせてしまうせいかも知れない。それでもこのコロンはかなり自然な香りを再現している部類だと思う。

ネクタリンブロッサム&ハニーは、付けてすぐ、ふわりとした上品な甘さとジューシーな桃の香がみずみずしく漂ってくる。スッキリした甘味、わずかな酸味とグリーンな風味、そして桃やネクタリンの果実がもつ果汁独特の芳醇な香り、これらが絶妙なバランスで心地よく鼻を刺激してくる。これはなかなかすごい調香だと思う。

ピーチの香りと言えば、ウンデカラクトンが有名だけれど、これは桃の表皮にそっと鼻を近づけた時の、柔らかでしっとりした香りを再現している香料だ。これにわずかなカシスの香料を合わせることで、よりフルーティーさをひきだしているのだろう。そしてそれらを支えているのが自然な甘さのハニー系の香料だ。天然のアカシア蜜のような花の香りやコクは抑えられ、すっきりしたいい感じの甘さを出している。何よりよく桃系のフレグランスにありがちなビニルっぽさや苦み、エグみのようなものがわずかなグリーン系香料で打ち消されている点が秀逸。だから、甘いのにスッキリ、桃系なのに爽やかでライトという背反を上手にバランス取りしている。

展開は単純だ。付けた時のふんわりとしたまろやかな、それでもわずかに酸味のあるネクタリン系の桃の香りがずっと同じように長く続く。他のジョー・マローンのコロンに比べて持続時間は長めで、7〜8時間ほども続く。それは合成香料がメインだからだろう。それでもとても雰囲気が穏やかで、女性向けの優しくて可愛らしい香り立ちのコロンだと思う。

コンバイニングにお薦めなのは、ナツメグ & ジンジャー、ポメグラネート・ノアール、オレンジ・ブロッサムあたりのようだ。フローラル系やスパイシー系を重ねることで、フルーティー・フローラルにしたり、スパイシーな香りに甘さを足したりするコンバイニングが面白い。ただこの香りに関しては、単品使いで十分楽しめる。高級柔軟剤を遥かに凌駕して使える単品使いがお薦め。

初夏の午後、切り込んでくる強い日差し。風にそよぐ濃い緑の葉。キラキラと明滅する厚い葉陰からそっと顔をのぞかせるネクタリンの果実。その黄色い頬に赤みが差してくる頃、あたりにはえも言われぬ香りが漂い始める。白桃とは異なるつるんとした表面には日の光が輝いている。やがて夏の太陽をいっぱいに浴びて真っ赤に熟した頃、桃園にはネクタリンの甘酸っぱい香りが、南風に乗ってどこまでも漂うことだろう。

ネクタリンブロッサム&ハニー。それは初夏を告げる香り。青空の下、赤桃色の果実からしたたる爽やかなピーチシロップ。

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ディオール / メゾン クリスチャン ディオール  ホーリー ピオニー

ディオールディオールからのお知らせがあります

メゾン クリスチャン ディオール ホーリー ピオニー

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:40ml・14,850円 / 125ml・31,680円 / 250ml・45,100円発売日:2019/1/11

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2020/9/19 08:35:15

世に美しい人はいるもので、どんな所作をしても麗しい方をかつて日本では花にたとえてこう言った。「立てば芍薬(シャクヤク)、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」。

ただここに使われている花の名を英語にすると、やや微妙だ。

「立てばピオニー、座ればピオニー、歩く姿はリリーフラワー。」ルー大柴か?(←それも微妙なツッコミだな)

そう。実は芍薬も牡丹も、英語ではまとめてピオニーとされている。

芍薬と牡丹、この2つは似ている点は多いものの、完全に別花だ。芍薬はスッと1本茎が立つのに対し、牡丹は枝分かれしていくし、花の形、花弁の数も互いに多種多様だ。だから花の香りも無香の物から強香系まであって、一概に「これがピオニー系の香り」というのが難しいという。しかし、逆に言えばそこが香水の調香師にとっては魅力でもあり、あの大ぶりの豪華な花の香を自分なりに表現したいと、心をくすぐられる素材なのかも知れない。

実際、世に「ピオニーの香り」を謳った香水はたくさんある。芍薬も牡丹も天然香料が採れないので、これらは全て調合香料で作られた人工的再現の作品だ。こうして作られたピオニー系の香水は、調香師が提案する「私がイメージするピオニーの香り」ということになる。そこに調香師の独自のセンスや解釈が感じられるからこそ、香水としての面白さがあるのだろう。

ディオールのホーリーピオニーは、2019年にリリースされた最新のピオニー系香水だ。ホーリーは「神聖な」「高貴な」といった一般的な意味合いだろうか。「またピンク色の香水か、MCDはピンク多すぎ」なんて苦笑&ツッコミはさておき、ドゥマシー版ピオニーの香りの秘密に迫ってみたい。

ホーリーピオニーをプッシュする。その瞬間まず感じられるのは、爽やかな清涼感だ。ペパーミント入れた?と思うくらいスーッと鼻の奥に抜けてゆく一陣のクールな風がある。同時にジャスミンサンバック系のふくよかなフローラルがたなびいてきて、とても懐かしい匂いを思い出す。これは昭和時代(苦笑)にロッテが出して一世風靡した香水味のガム「EVE」の味を彷彿させるトップ。つまりジャスミンミント系の香りだ。

このクール&フローラルなトップは、開幕3分で和らぎ、やがて下から甘いベリーの香りとローズ調の華やかなフローラル香が広がってくるのを感じると、展開はミドル。MCDお得意のソリフロール(一輪挿しワンノート)かな?と思いきや、きちんと香りが変わるタイプだと思う。トップから続くアロマティックな清涼感とバラ調の香りに、甘いフルーティーが絶妙のブレンドで広がってくる。

そういや、ミスディオールブルーミングブーケにも、確かピオニーノートとクレジットにあったな、そう思ってあの銀リボンの乙女なボトルを持ってきてつけ比べしてみた。(←自分用ではないので許してください)

ミスディオール何ちゃらの方は、シャネルのピンクチャンスの向こうを張って作った系と勝手に認識しているけれど、いざホーリーピオニーとつけ比べると、かなりグリーンなハーブ調の清涼感が強いフローラルブーケだということが分かる。対するホーリーピオニーはしっとりみずみずしく、女性らしい落ち着きと洗練されたスイートな花の香りがする一段階低い香りという印象だ。

ここから共通項をくくってみて分かるのは、ドゥマシーがピオニーノートを作る際に外せない香料がいくつかあるということだ。一つはリナロールやゲラニオールなどのバラ調の華やかな香りをもつ香料、もう一つはシオネールなどの鼻にスッと抜ける清涼感ある香料だ。菊やユーカリ、樟脳などの匂いがイメージしやすいと思う。少なくともこの2つを軸にしてドゥマシーは彼なりのピオニー香を表現しているように思う。

このクール&エレガントなフローラルは3時間ほど持続し、やがて高いムスキーな香りに溶けてそのまま減衰する。人によって異なると思うが、香り立ちは柔らかく、4〜5時間程度香るタイプの香水。

ピオニーは千本あれば千本違う。色も香りも花弁の数も千差万別だ。特にヨーロッパで人気があるのは、バラ咲きの大ぶりなピンクの花だ。それは薔薇のようで薔薇でなく、何かと何かの間に咲く美しいフェミニンな花。例えば白いサクラと赤いバラの間。乙女フリルと大人プリーツの間。プリティとエレガンスの間。片恋の熱情と深い家族愛の間。そんな狭間でピオニーのクールロマンティックな香りは、やわらかく微笑んでたたずんでいる。

バラよりも淡く爽やかに。ジャスミンより甘くみずみずしく。千の花びらの奥に秘めたしっとりフルーティーなフローラル。ディオール、ホーリーピオニー。

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ゲラン / アクア アレゴリア ハーバ フレスカ(旧)

ゲラン

アクア アレゴリア ハーバ フレスカ(旧)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:- (生産終了)発売日:-

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2018/6/23 21:30:17

気温が30度近くになってくると、ふだん香りと上手に付き合っている方も、さすがにシトラスでさえうっとうしく感じるようになるという。では、そんな高温多湿の日本の夏に使えるフレグランスはないのだろうか?

答えは「ある」だ。しかも、真夏にこそ使いたいスーッとしたひんやり系の香り。陽炎ゆらめく日本の猛暑に、特に女性にヘビロテされている香りアイテム、それは、ゲランのアクア・アレゴリア・シリーズ不動のスタメン、ハーバフレスカだ。

ハーバフレスカ。フレッシュなハーブの意。1999年にゲラン4代目調香師ジャン・ポール・ゲランが、「もっとライフシーン全体で使えるライトな水を」というアイディアを思いつき、最初にリリースしたアクア・アレゴリア・シリーズ5本のうちの1本。

この作品群はたえず実験的な調香作品を提案しつつ、その反応を見ながら、フレグランスに対する現代の消費者の好みや動向をリサーチする役目を担っているゲランのアンテナだ。そのため、毎年のように新製品を投入しては、市場の反応を見て廃盤や残す物を決め、新作をリリースするというサイクルを形成しながら今に至っている。

これまでリリースされた作品は40近くあるが、店頭に並んでいる作品は毎年入れ替わっていることになる。その中でハーバフレスカは、パンプルリューヌと共に初代リリースでありながら、ずっと生き残っている貴重な作品。これは実はとてもすごいこと。では、そんな人気の高いハーバフレスカの香りはいったいどんな香りなのか?ズバリ結論から言うと。

トップ→レモンバーム。ミドル前半→強力なスペアミント。ミドル後半→グリーンティーの渋み+クローバーの青臭さ。つまりハーバフレスカは、夏の庭先で飲む「アイス・ミントグリンティー・レモン添え」の香りだ。(←きっぱり)

黄金色の蜂の巣飾りがついたボトルからハーバフレスカをスプレーすると、すぐに広がるのはミントの青くひんやりした香り。肺の奥までスーッとした清涼感を運んでくれるオープニング。歯磨き用ペーストの匂いという方も多いけれど、自分はあえて、「強めのスペアミントタブレットとレモンキャンディーを一緒に口に放り込んだ味」と言いたい。鼻から吸う空気が2〜3度下がったようで、特に夏の朝にこのハーバフレスカをスプレーして香りを嗅ぐと、かなり気分がリフレッシュできること請け合い。ミントの量が結構多めで、揮発し続ける間、付けた場所が熱をもったような冷たいような感覚になる。それでも特徴的なのは、ミントの清涼感だけでなく、そこにレモンバームの葉を揉んだときのようなグリーンなレモンの苦みも混じっているところ。まさにハーブ&ハーブなトップ。

この青いレモンバームとミントの共演は10分ほど続いてデクレッシェンドしていく。そのあと下から出てくるのは、グリーンティーの穏やかな渋味と、やや生っぽい葉っぱの香りだ。公式ではクローバーの香りとあるけれど、合成香料のグリーンノート系のブレンドだろう。トップのミントやレモンは天然っぽくて、その後のミドルは合成香料が引き継いで香りを長引かせるという構成だ。ティーのすっきりした香りが心を落ち着かせるミドル。

ミドルは大体2〜3時間ほど続いて終息。その後残るラストはかすかなフローラル。意外なラストだ。はっきり何とは言えない合成フローラルながら、ゲラン公式サイトでは、スズランやシクラメンのイメージと謳っている。ここがムスキーでない点がおもしろい。ハーバフレスカファンの方は、ふだんあまり香水をつけない人も多いという。もっと気軽にフレグランスを楽しんでほしいと願った調香師が、あえてラストをおきまりのムスクではなく、自然な感じにしようとしたように思える。

してみるとハーバフレスカ。アロマテラピーブームの頃に、香水の側から似たようなアプローチをした作品のように思える。フランスなどで飲まれているミントグリーンティーは砂糖を入れるようだが、このトワレにはそんな甘さがないので猛暑でも使える。トップのミントやグリーンはインパクトが強いものの、香りは飛びやすい。だからこそ、日に何度かタッチアップ(付け足し)して、常に気分をリフレッシュできるよう、あえてライトな調香にしたのだろう。

朝露のおりた夏の庭。そっとしゃがみこんでレモンバームの葉を揉むと、青臭さを伴ったみずみずしいレモンのような香りが立ちのぼる。わきには、濃い緑の葉をそこかしこに重ねてひしめきあっているクローバーたち。テラスのテーブルには、アイスグリーンティーが運ばれ、ミントの香りがそこかしこに漂っている。見渡す限りの緑。そのすがすがしい香りに心がスーッと透き通る。

ハーバフレスカ、それは盛夏にいっときの涼をもたらすアロマティックグリーンの風。

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★キャプテンD★さん
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プロフィール
  • 年齢・・・48歳
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  • 髪質・・・柔らかい
  • 髪量・・・少ない
  • 星座・・・乙女座
  • 血液型・・・O型
趣味
  • 写真
  • 食べ歩き
  • マンガ
  • ドライブ
  • 音楽鑑賞

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自己紹介

キャプテン ドラです。 いつもクチコミやブログを見ていただき、ありがとうございます。 この度、フレグランス専用「フレグランス アッセンブル… 続きをみる

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