






























2019/12/8 12:29:34
ピュアディスタンスのホワイトを知らなければよかった。この香水に出会わなければ、今も目の色を変えて世界中の香水を集めまくり、あれこれ試してはあーだこーだとくだらない能書きを垂れることに夢中になっていただろう。でもこの香水と出会って変わった。もうそんなにあれこれ探さなくていいかもしれない。そう思うようになった。だからちょっとだけこの香水に対する思いは複雑だ。この香水はあまりに美しくて少し哀しい。
ホワイトの第一印象は驚くべきものではなかった。初めて手首の内側にのせたとき、「柔らかくて、とてもなめらかで、どこかでかいだことがある香りだな。」と思った。静かに始まって、一日中ほんのり甘いパウダリーフローラルな香りが鼻を喜ばせ、自分の周りだけが特別な白いヴェールに包まれたように感じた。賦香率38%はすごすぎる。付けた手首をハンドウォッシュで洗ってもいい香りが残っているほど。この香りをウェディングドレスに例える方が多いのも頷ける。永遠の白。永遠に続く幸せ。欧米では、結婚される女性にプレゼントする方も多いと聞く。わかる。この香水はあまりに美しくてやさしい。
ホワイトの香りに包まれていると、どこか近くで聞こえないくらいの美しい音色が優しく鳴り響いている。そんな感じがする。まるで一流の交響楽団の音出しのようだ。弦楽器が静かにフェードインして、個々の楽器の高さでチューニングをはじめる。やがて木管や金管が唇の湿り具合と空間の響き具合をみるようにゆっくりと楽器に空気を送りこむ。あの静謐で、まろやかで、上質な音空間にふわりとそよぐノーブルな香りだ。あるいは幼い頃に添い寝してくれたあたたかな母の匂い。この香水はあまりに美しくてほんのり切ない。
きっとこれを創った人はとても優しい人だ。ホワイトの香りをかぐたびにそう思うようになった。そのシームレスでどこまでもスムースな香料のシンフォニーに耳を傾けていると、いつしか調香師の魂にシンクロしていく。これを創った方は、とても繊細で傷つきやすく、それでもその分、弱い相手の気持ちをおもんばかれる人だろう、そう思う。調香はアントワーヌ・リー。少しワイルドな見た目の男性調香師だ。2004年にアルマーニコードを発表したことで一躍注目され、以後多くの作品を手がけている人気調香師。彼が一年をかけてじっくりと取り組んだ作品、それがこのホワイトだ。
だが、真に熱狂的な方は別にいる。彼のような人気調香師をして一年かけてじっくり納得いくまで作品を創らせ続けたピュアディスタンス社長、ヤン・エワウト・フォス氏だ。このホワイトは彼の情熱の賜物だと思う。アントワーヌ氏は、フォス氏の強烈な圧しと情熱に全身全霊で応えたのだろう、そう思う。本当にすごいのは彼だ。
フォス氏はこの世界にただすばらしい物を生み出したいと願うパッションの塊のような人だと思う。たとえ自分で調香はできなくとも、持ち前の感性で本物を明確にかぎ分けられる天性の芸術家なのだろう。そして最高の作品を創るためならつぎこむ資金にも糸目をつけないような。だからすごい香水ができるのは必然なのだ。彼がお金儲けのために香水を創っていないことは、その美しい化粧ケースに触れた瞬間からはっきり分かる。彼は仕事に一切の妥協を許さない方だろう。ピュアディスタンスはたとえサンプルセット一つをとっても、天蓋付きのふかふかのベッドに横たわった美しい宝石のように大切に大切に提供している。ボトルの箱の方には社長自らのサインを入れて。彼はそうやって作品に魂を注いでいる。だから、この香水はあまりに情熱的すぎてぐっとくる。
最高の調香師に最高の香料を与えて、何度も納得いくまで作品を創ってもらう。香水好きな方にとってこれ以上の喜びはないだろう。そして生まれた美しい香りを世界中の人に届ける。そこにあるのは拝金主義とは全く逆の志だ。それは愛を与える行為そのものだから。
興味を持たれたらホワイトについてぜひ調べてみてほしい。この香水に関しては、香料がどうだとかトップがどうだとか言うつもりはない。ただ、ただ、試してみてほしいだけだ。自分の肌から立ちのぼる世界最高クラスの香りを。そして感じてほしい。そのとき見える世界の美しさを。そばにいて微笑んでくれるかけがえのない人の大切さを。
一人でいてはいけない。一人心を閉ざしてうつむいていてはいけない。嫉妬や憎しみで心を黒くしてはいけない。あなたがこの美しい世界にいられる時間はとても短い。愛する家族、友人、恋人と手をたずさえ、心を抱きしめ、その笑顔とともに、あなたにはいつも笑顔でいてほしい。
ピュアディスタンスのホワイトはそう語りかける。この香水はあまりに美しくて、あなたが愛しい。
2019/10/19 18:07:33
この香りを嗅いだ瞬間、墜ちた。撃墜された。心が囚われてしばし真っ白になった。視線が虚空をさまよった。どこかで天使が笑っているような気がした。けれどそれは悪魔の嘲笑だったのかもしれない。
ゲランのアンジェリーク・ノアール(黒のアンジェリク)を初めて嗅いだときのことだ。今もはっきりと覚えている。それは黒の衝撃だった。バランスのいいゲルリナーデベースの上に、甘くてクリーミーで、わずかに苦いグリーンな香りがスッキリと広がっていた。そのバランス、その高貴な香り立ちに深く感じいった。
アンジェリークノアールは、ゲランの最高級ライン、ラール・エ・ラ・マティエールの最初の3本のうちの1本だ。2005年、このシリーズ最初の3本を作るために3人の外部調香師が招かれた。フランシス・クルジャン、オリヴィエ・ポルジュ、そしてプラダのキャンディなどを手がけたダニエラ・アンドリエ。彼女が作った香りがこのアンジェリークノアールだ。
価格は75mlで32000円+税。これまでこの価格がネックでもあったが、今後は20mlドロップが伊勢丹新宿店1F「ゲランパフュマー」でいつでも買えるようになる(10月23日以降)。これは嬉しいニュース。
では肝心の香りはどうかというと。
トップ。新鮮で酸味の豊かなベルガモットがまず感じられる。すぐにその下から出てくるのは透明でスッとするアニスの清涼感とスリリングなグリーン系のノート。さらに低音からはアンジェリクルート(根)のスパイシーな爽やかさが広がってくる。甘くて青くて、わずかに苦味が感じられるグリーンなトップ。ベルガモットとアーシーなアンジェリクルートの競演。拮抗。
ほどなくベルガモットの爽やかさは消失し、トップのフルーティーさを洋ナシ様の甘くコクのある香りが引き継いだなと感じると、香りはミドル。そしてアンジェリカの土っぽいスパイシー&ムスキーな香りと好対照を見せるようになる。さながら白と黒の二重唱。明と暗の妙なるコントラスト。
さらに、この甘くフルーティーな香りとベチバーっぽいベースを包みこむように、フローラルムスキーな香りが全体を包みこんでくる。ジャスミンとアンジェリカシード(種子)のムスク香だ。ややクマリン独特のキュンとくるせつないアーモンドノートも混じったような。ここまでくると、さまざまな香料の波状攻撃にあったような気分になり、何ともいえず穏やかな気持ちに包まれる。整理すると次のような感じ。矢印は変化を表す。
高音部:ベルガモットの酸味→ペアーの甘さ
中音部:清涼感のアニス、青いグリーンノート→花の香りのムスク
低音部:スパイシーな根の香り→コクのある苦いクマリン系ムスク
アンジェリクの名が示すように、アンジェリクルート(根)とアンジェリクシード(種子)が使われており、このアロマティックな香気をもつ香料が過剰投与されている印象が強い。アンジェリクの香気の主な特徴は、強いムスク香とハーバルな甘苦さで、根の方はベチバーにも似た土っぽいスパイシーさが感じられる。同時に、桜餅の香り成分である白いクマリンの香り成分ももっている。白を連想させる甘さ&ふんわりパウダリーな種子のムスク、そして大地の黒を思わせる根のスパイシームスク、この両方を使っているということだろう。
このミドルがしばらく続いた後、クリーミーなヴァニラ&トンカビーンのコクが感じられるようになるとラスト。付けてから5〜7時間で柔らかく消えてゆく。なるほど。ゲランの秘伝ベースであるゲルリナーデの構成素材をきちんとおさえた作り。ベルガモット、ジャスミン、ヴァニラ、トンカビーン。この4つのキー素材に、アンジェリカを据えてバランスをとった香水といった風情だ。
全体的に香り立ちはやや強め。ラールエラマティエールの中でもくっきり個性を主張してくるタイプだ。柔らかい香りではあるものの、思ったより周りに主張しているので、付けるならウェスト以下がおすすめだ。ゲランのヴァニラ系がお好きな方、ランスタン系がお好きな方には特におすすめだ。ランスタン系はソーピーでややツンとしたムスクに傾くのに対し、アンジェリクノワールのムスクは甘くしっとりしたパウダリーに広がる。
アンジェリクは、もともとはラテン語で「天使」を意味する言葉だという。だから、アンジェリクノアールは「黒い天使」という暗喩も効かせていることになる。
黒い天使。それは清らかな姿とは裏腹に黒い羽根をもつ堕天使のよう。その神々しい微笑みの裏に、したたかに折りたたまれた黒い翼をもつ者。その禍々しいまでの美しさ。光と闇を統べる善と悪の双眸。
もしもアンジェリークノアールに出会えたら、貴方は墜ちるだろうか?
堕ちた天使の狂おしい香りに。
[ルースパウダー]
容量・税込価格:25g・9,020円 / -・9,460円発売日:2014/1/17 (2023/10/15追加発売)
2024/4/2 19:39:49
★★★商品リニューアルにより終売しました★★★
リニューアル品のクチコミについては新設された商品ページの方にまとめました。
_______以前のクチコミ________
誰も読まなくてもドン引きされてもいいからこの無残な敗北感をここに書き捨てたい。
色は#02 CLAIR / LIGHT - 25g
恐ろしいことに20世紀の終わりに購入した初代メテオリットビーユを
2015年頃まで飽きずに使っていました。
私は元々持ち物にまったく拘りがなく、
モノが気に入れば壊れるか使い切るまで毎日同じ物を使い続ける性分なので
メテオリットビーユも何の問題もなく毎日快適に愛用して居りました。
この粉は恐ろしく優秀で、そもそも減る気配が全くありません。
ところがある日、買った化粧品を15年以上も使っているのはいくら何でもおかしい
とようやく思い立ち、ビーユを処分しました。
それからが大変。地獄の始まり。
素直にビーユを買い直すのが嫌で、
「同じような価格帯の粉ならどこも同じようなものだろう」とか
「もっと新しくて良い商品が見つかるに違いない」などと
安易に考えていた自分が馬鹿でした。
適当にデパコスや個人輸入で海外コスメを買い漁ってみても、
ツヤが気に入らない、光り方が粗いor細かすぎる、発色が気に入らない、
派手、仕上がりが気に入らない、品がない、ムラになる、ラメが目立つ、
ガワがダサイ、ブランドそのものが嫌い、等々。
買えば買うほどドツボ(勿論悪い意味で)に嵌まる。
結局メテオ処分から3年経った今、諦めてビーユを買い直すことにしました。
そろそろリニューアルするだろうと待ちましたが、一向にする気配もないので
コフレ発売を待って同じ色#02を(色名は初代と違うけど)。
正直な話、探し疲れました。
もううんざりです。金も時間も本当に無駄だった。
青緑が入っている仄かで上品な光沢のベイクドパウダーってなかなか見つからない。
この青緑のビーユとその他の色が複合して良い仕事してるんだろうなあ。
ツヤ出しパウダーやハイライトを日常生活で使用する上で一番大事なのは
「他人が至近距離で見て綺麗なこと」だと思います。
目的がカメラ映りだけならラメやツヤ感が粗い粉でも誤魔化せますが
リアルの肉眼は誤魔化せません。
見た目の可愛さ関係無く、気に入る人はとことん気に入ると思います。
[美容液]
容量・税込価格:30ml・9,460円 / 50ml・12,980円 / 100ml・22,880円発売日:2012/3/30 (2023/10/27追加発売)
2017/11/11 20:17:03
ニキビ跡に悩んでいたのを店員さんに相談したらこちらを勧められて購入。
使って4日ぐらいで明らかに左頬のニキビ跡が薄くなりコンシーラーいらずに!!!
こんなにはっきりと結果が出たのは初めて。
使用した後は肌がふっくらするのがわかります。リピート確定です。
いろいろ試してみることが好きです。 基礎化粧品はミニマムに、メイクアイテムは気分を変えて使いたい。 特にこだわりが強いタイプでも、美意識が高いタイプで… 続きをみる