





















[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)・香水・フレグランス(その他)]
税込価格:-発売日:-
2020/3/7 13:55:43
「あなたは本当に遠くへ行ってしまう 私はずっと泣いています」
もしこんな気持ちを相手に伝えるとき、あなたならどうするだろう?今から約千年前、平安時代には自分の気持ちをたった31音の和歌に託して送っていたという。
「かはるらむ 衣の色を思ひやる 涙やうらの玉にまがはむ」枇杷皇太后宮(藤原妍子)
訳「出家されて墨染の衣に変わられる貴女の心を思い、私は涙がこぼれます。その雫はお送りする数珠の玉にまぎれて、お気付きにならないかもしれないけれど」
これは、かの有名な藤原道長の長女、天皇の后となった彰子が39歳で仏門に出家する際、妹の藤原妍子から贈られた歌。この歌は、数珠を収めた銀箱に梅の枝を添えた贈り物とともに届けられたという。
春。枝に咲く愛らしい梅の花。まばゆい日差し。うぐいすのさえずり。そして別れの歌。
ズーロジストのナイチンゲールは、そんな和の情景から生まれた美しい香水だ。ナイチンゲールは小夜啼鳥(サヨナキドリ)。西洋のウグイスとも呼ばれる。
この香水を創ったのは、フレグランスのポータルサイト「profice(プロフィーチェ)」を長年運営されている稲葉智夫氏。何千もの香水レビューをされている他、独学で調香を学び、世界中の香水や香料を求めてさまざまな活動をされているのでご存知の方も多いだろう。
稲葉氏によると、このナイチンゲールはズーロジストの依頼を受けてproficeの作品だった「花簪(はなかんざし)」をベースに作った香りだという。では、いったいどんな香りなのか?
ナイチンゲールをスプレーする。ひと吹きした瞬間、パッと華やぎに満ちた明るい色が広がる。わずかなモス系の苦みと共にレモンとベルガモットの爽やかな酸味が感じられる。往年の名香を思わせる美しいシトラススプラッシュ。まばゆい春の日差しを思わせる開幕。
1分もせずに香りが変化し始める。シャープなスパイシーさをまとった梅の香りがふんわりと広がってくる。この香り、クレジットによると「ジャパニーズプラムブロッサム」。梅の花を思わせる酸味あるフルーティーな香りだ。シトラスの黄色から美しい紅梅色に香りが変化してゆく。それは叙景的な変化だ。冬を越え、あたたかい春一番の風が、灰色の世界に鮮やかな色彩を与えてゆくように。
この開幕5分までのトップの愛らしさは、何度つけても狂おしいほど。シトラスやサフランからフルーティーな梅の花に酸味をつなぎつつ、スパイシーなパチュリの影をしっかり寄り添わせている対比の妙。そう。春は日差しだけがまばゆいのではない。その強さによって全ての影もまた黒く濃くなる季節だ。ナイチンゲールには明と暗の対比が相当こだわったバランスで組み込まれている。
そしていつしか香りは、湿った土の香り、乾いた木のインセンス香を呈してくる。香調はクラシカルなシプレにフローラルをかなり利かせている雰囲気。付けて30分ほどで自分の肌ではかなりドライなウッディ香に変わってくる。ミドル以降は、往年の名香ゲランのミツコを思わせるややクラシカルなシプレノートだ。樹脂系の香りでも、モス系の苦みよりやや甘みのある樹脂ノートが強く、ミツコより使いやすくマイルドなエッジになっている印象。
持続時間は6〜8時間ほど。ラストは時と場合によって変わるが、ドライなサンダルウッド香で終わるときと、樹脂のムンとした感じが効いたムスク系で終わるときがある。トップで気に入っても、その後に大きく変化する香りなので、ぜひ自分の肌に直接のせて試してみてほしい。春は香りも景色も人の心も、とても移ろいやすいものだ。
春。尼僧となった彰子に妹からの手紙と贈り物が届いた。彰子はそのとき、どう思っただろう?彼女は妹へ次の返歌を贈っている。
「まがふらむ 衣の玉にみだれつつ なほまださめぬ 心地こそすれ」
訳「宝珠と見まがうような、衣の上に落ちる涙の玉に心みだれながら、いまださめぬ迷いの夢の中にいるようです」
華やかな十二単を捨て、黒衣を召した尼僧の座卓には、妹がくれた梅の枝がずっと飾られていたはずだ。それは別れの品ではない。いつかまた梅の枝を手折り、妹の髪に差してあげよう。そんな希望の印。稲葉氏はそんな思いも込めて作品にこの和歌を添えたのだろう。なんと抒情的な、なんという和の雅な。
見上げた空に梅の花が満開に咲いている。ふと、鳥のさえずりが聞こえた気がして辺りを見渡した彰子の心に、いにしえの奈良の歌が思い浮かぶ。
「うぐいすの 鳴き散らすらむ 春の花 いつしか君と 手折りかざさむ」大友家持
訳「うぐいすが鳴いているようです 春の花、いつかあなたと手折って髪飾りにしましょう」
ナイチンゲールがどこかで啼いている。
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税込価格:-発売日:-
2020/2/29 15:54:29
何年も開けていない湿ったカビくさい地下室。ほこりをかぶったたくさんの書物が置かれている書庫の匂い。油絵の匂いがもれるアトリエ前の薄暗い廊下。そうしたものにメランコリーやノスタルジーを感じる方におすすめしたい香水。それがフエギア1833のフエギエールだ。
フエギエールは、仏語のフィグ(イチジク)とブランド名フエギアをもじった造語。調香師ジュリアン・ベデルが2018年にリリースしたフエギアのリンネ・コレクションの中の1本だ。リンネ・コレクションは、生物の「分類学上の父」と呼ばれたカール・フォン・リンネに捧げたラインナップで、フエギアの中でも特に植物由来の香料を強く打ち出した作品が多いようだ。フエギエールはその名のとおりイチジクの葉、フィグリーフの香りが強く感じられるフレグランスだ。
フエギア独特の構成によると、香りのアコードノートは次のとおり。
ハイノート(最も長く残り、美しい余韻を残す):フィグ
ミディアムノート(香りに個性を与え、テーマを表現):ムスク
ロウノート(つけた瞬間の第一印象の香り):プチグレン
まばゆい夏の日射し。心地よい風が吹く葡萄畑の柔らかな木陰で、葡萄をつまみながら昼食後のシエスタ(南欧のお昼寝タイム)を楽しむイメージ。ブランドはこの作品をそう紹介している。では実際に肌にのせてみると。
フエギエールをスプレーする。その瞬間すぐに感じられるのは、どこか青くさいグリーンがまじった湿った土の香り。プチグレンのグリーンとかなり土っぽいフィグリーフが広がるグリーンかつアーシーなトップだ。それはときに、前述した湿った地下室の匂いにも似て、何年も時間が止まっている空間に不意に立ち入ったときに感じられる低くくぐもった香りがする。
やがて5分もすると香りはプチグレンのウッディがやや抜けて、フィグ独特の強く低い香りに変わり始める。土の香りだが、パチュリのようにスパイシーではなく、ベチバーのようにどっしりしたウッディでもない。どこか生っぽいミルキーなウッディだ。それこそ、イチジクの茎からしたたる白い樹液のような匂い。この香りがさながらシングルノートのようにずっと続く。フエギアは植物由来のムスクがわりと特徴的な香りがする作品が多いけれど、このフエギエールでは湿った土と油絵の具のミックスのようなフィグリーフの香りがずっと続き、ムスクっぽさも感じないままフェードアウト。葡萄畑の木の下に寝転がって、ゆっくり息を吸ったら草と土の匂いがした。そんな雰囲気のまま、ゆったりとした気分に浸れる。
持続時間は体温高めの自分の肌で5〜6時間。シトラスもフローラルもないグリーン系香料のみの香水なので、夏には落ち着いた香りになるし、冬にはしっとりした土っぽい香りを響かせる。ただ、この独特のフィグリーフ香は、日本人にはあまりなじみのない香りなので、好き嫌いは大きく分かれるかもしれない。ミントやフローラルでこの独特のクリーミーな青い香りを中和しているエルメスの地中海の庭の方が同じフィグリーフ系でも香水らしさはあると思う。フエギエールは思いきり自然の香りのままだ。アルゼンチンの広大な大地を思わせる土の匂いだ。
アルゼンチンのトゥヌヤン地方は、高級ワインの産地としてその名が知られるという。古来より葡萄畑の周りには、イチジクやオリーブなど、実をもたらす果樹が植えられ、それらは宗教的な寓話のモチーフとしても語り継がれてきた。トゥヌヤンにある高級リゾートホテルのテラスからは、その広大な葡萄畑が見渡せる。燦々と降り注ぐ太陽の恵みを緑の絨毯に受けて、葡萄がその旨みを果実にたくわえ始める頃、イチジクは収穫期を迎える。
昼下がりのシエスタ。スペイン語で「ヒゴス」と呼ばれるもぎたてのイチジクの実がテラスのテーブルに並ぶ。遠くアンデスの山並を見つめながらその果実に歯を立ててジューシーな果肉を味わう。
不意に時は止まる。瞳を閉じると、地下室と、古びた書庫と、アトリエのような匂いがする。
マルベックワインで喉を潤しながら、フエギエールの香りに酔いしれるひととき。
2020/1/26 00:01:38
初めてエルメスのツイリー ドゥ エルメス(2017年)の香りを嗅いだ時の衝撃は忘れられない。
実際のチュベローズやオレンジフラワーのアブソリュートにあるようなエグみ、生っぽさをあえて隠すことなく、むしろジンジャーを加えることで、ナチュラルな灰汁をそのまま表現したような香り!
通常のフレグランスでのチュベローズの表現は、よりフローラルの妖艶さを引き立たせ、スパイシーやフルーティでミステリアスに着飾ったような、とても女性らしい香りに灰汁抜き処理される。それに対してまさに逆転の発想!
トップはスパイシーシトラス。まるでおろしたて生ジンジャーのような辛みと、フレッシュなのオレンジの香り。かなりスパイシーキャラの際立ったオープニング。だが、実際に肌に合わせるとオレンジの甘さが立つため、嗜好がやや上がる。
ミドルはフローラルースパイシー。トップが落ち着いてくると、一気にフローラル感が増していく。とはいえ、ジンジャーの土っぽいこもった香りしっかり残っているため、アブソリュートのチュベローズに近いイメージ。そこからさらにオレンジフラワーの芋のような臭みも加わり、いわゆる妖艶なチュベローズとは異なり、むしろナチュラルな素材感が強く、その忠実さが逆に大胆で新鮮に映る。
実際に肌に乗せてみると、オレンジの残香と合わさることでオレンジフラワーが立ち、次にチュベローズにパッと切り替わていくような、ホワイトフローラル2段構造の香りに。ジンジャーの土っぽさがナチュラルさを与えているように感じる。
ベースはウッディ。ジャスミンやヘリオトロープが香ることで、ようやくフレグランスらしいチュベローズの雰囲気になる。奥からは落ち着いたサンダルウッドに、ほんのりバニラの甘さを添えるものの、ジンジャーの土っぽさは最後まで残っていく。
エルメス専属調香師のクリスティーヌ・ナジェルの作品。
彼女は「女性たちがその若さの最中でいきいきと生を謳歌する、そんなイメージを思い浮かべながら、私は《ツイリー ドゥ エルメス》をつくりました。自由で、大胆で、型にはまらない彼女たち。あえて世の流れに逆らうことを楽しみ、自分のリズムを大切にしながらまったく新しいテンポを創り出すのです。」と語っている。
ツイリー ドゥ エルメスは、まさしく「自由」「大胆」「型にはまらない」「世の流れに逆らう」を地で行ったような野心作で、今までになかったチュベローズの香りだと感じる。
前専属調香師のジャン=クロード・エレナが織りなす、淡く水彩画のような香りに対して、まるで抽象画のような印象を受ける。嗅覚を鷲掴みしてくるような、一度嗅いだら忘れられないキャラクター。キャラが立つ分、好き嫌いははっきり分かれてしまうが、こういう香りを創り出せる人こそ天性の調香師だと思う。
2020/2/6 00:14:41
セルジュ・ルタンスのフェミニテ ドゥ ボア「木のフェミニン」(2009年)は、女性が似合うウッディの香りを表現した初めての香りとされる。
それもどこからみてもメンズ色の強いセダーウッドとスパイシーの香りを軸にして。
公式HPでも、
「木の香りの中にある女性的な面を見出したことにより、この香りは革命を起こし、そして伝説となった」と誇らしげだ。
トップはスパイシー-フルーティ。シナモンやジンジャーなど、強いスパイシーな香りを軸に、プラムやピーチの甘さの強いフルーティを合わせた香り。一瞬で嗅覚を掴んでくるような、素晴らしいトップ。奥から鼻につくクローブやクミンと調和したドライなセダーウッドが香ってくる。
ミドルはスパイシー-フローラル。プラムやピーチの残香はそのまま、ツンと鼻につくシナモンとローズ、そして甘さの強いイランイランに変化していく。そこに辛さの強いクローブやジンジャーのスパイシーを合わせたような香り。このスパイシーとイランイランの組み合わせが斬新で、イランイランの甘さがすっきり感じるほど。奥からはピリッとスパイス感の効いたセダーウッドが漂う。
ベースはウッディ。シナモンやクローブ、イランイランやローズの香りが減退し、ビターなサンダルウッドと、籠もったセダーウッドが前に出てくるようなイメージ。奥からバニラやベンゾインの甘さが加わるため、インセンスぽくも感じる。とはいえ暗いウッディノートに負けないくらい、シナモンやプラムの香りも残っているため、強引に明るくしている印象を受ける。
非常にキャラの立ったウッディスパイシーな香りで、正直、好き嫌いが分かれる香りだと思う。
ビター&ドライなウッディと埃っぽいスパイシーを合わせた男性的な香りと、女性らしいフルーティ-フローラルを、甘辛いシナモンで融合させることで、確かに女性らしいウッディの世界が作られている。このパンチの効いたシナモン、そして埃っぽいクローブが嫌いでなければ、唯一無二のスパイシーウッディに映るかもしれない。
個人的には特にクローブとセダーウッドの組み合わせが好みではなく、さらに肌に合わせるとこの部分が立ちすぎてしまう。そのため「女性が似合うのウッディ」ではなく、「女装したようなウッディ」のような香りとなり、結果、使うことに躊躇してしまう。
と考えると、やはりこのフェミニテ ドゥ ボアは名前のとおり、女性にこそ似合う木の香りなのかもしれない。
2020/2/16 14:45:52
ベリー、ローズウッド、ラズベリー(限定)
最近リップはほぼこれってくらい気に入って使ってます。
こってりした重めの質感。クラランスのリップオイルよりももったりしてる気がします。香りはいつものバニラ。ディオールのリップの香りが大好きなので、塗るたび幸せな気持ちになります。
ケア効果は抜群で、塗ったらしばらく唇に残ってくれるので、乾燥知らず。保湿力が高く、オフしたあともぷるぷるの柔らかい唇に。
ふわふわの大きめスパチュラが肌触りよく気持ちいい!
ラズベリーは水飴みたいな見た目がとってもかわいい。
唇がほんのりピンクになるところがさりげなくていい。
深みのあるベリーは透け感が最高。美味しそうな唇に。笑
一番のお気に入りはローズウッド。
この色番はマキシマイザーもグロウマックスも持っています。
ややくすみがかったピンクブラウン?ちょっと表現しにくい色ですが、大好き。
オイルも期待通り可愛くて一気にオシャレ顔になれる色でした。
ベリーとローズウッドはラインナップの中では割と発色します。それ以外の色はほんとに付いたか付かないかのほんのり発色。
マスクにつかないので、今とても重宝してます。
ティント効果は「???」なので、ほかのリップとの合わせ使いがよいかと。リップグロウやグロウマックスとの相性はバッチリ、おすすめです。ツヤツヤしてかわいい。
ビジュアルもめちゃめちゃかわいいですよね。手に収まるころんとしたフォルム。カラフルな液色。
ポーチに入ってるだけで気分あがりますし、集めたくなります。
ラズベリーが無くなったら、次はチェリーを買おうと思います。
星採点甘めです 続きをみる