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ディオール / タンドゥル プアゾン

ディオールディオールからのお知らせがあります

タンドゥル プアゾン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:- (生産終了)発売日:-

5購入品

2018/2/4 01:06:12

「なぜディオールはこの香水を廃盤にしたのか?」ここ何年も、世界中で常にそんな声が囁かれている。数ある廃盤香水の中でも、特に再販が強く望まれている作品、それがディオールのタンドゥル・プワゾンだ。

「優しい毒」。そう名付けられた2作目のプワゾンは、元祖プワゾンの驚異の大ヒットから9年後、1994年にリリースされた。日本ではバブルもすでに終わりが見え始めていた頃。正確な資料はないけれど、2002年くらいにはすでに生産が終了していたようだ。前作にはなじめなかったものの、この作品は好きだという新たなファンも獲得した香りだけに、懐かしさと稀少性から、保存状態のよい中古品を躍起になって探している方が多い作品としても有名だ。

そんなタンドゥル・プワゾンはどんな香りかというと。

ベロニク・モノがデザインした毒リンゴを思わせるボトルから、透明キャップを外してスプレーする。付けた瞬間、白い濃厚なフローラルが一気に花開く。誘惑するようなチュベローズ、そしてちょっと冷たい雰囲気のフリージアの香りが感じられる。グレのカボティーヌやアニエスbの旧ルベーのトップを彷彿させる白いフローラルの爆発だ。そしてすぐに背後からグリーンノートがスッキリと広がってきて、確かにクリアーな黄緑ボトルのイメージにかぶさる。

やがて、チュベローズの濃厚なセンシュアルとフリージアの背後に、どこか不思議な苦みが感じられてくる。ガルバナムではない。調べてみると、わずかに使用されているアサフェティダと呼ばれる樹脂様のスパイスのようだ。これは通常では腐ったニンニクやドリアンのような悪臭を放つが、加熱することでオニオン様の匂いに変化するという。そのわずかな「異臭」を効かせることで、グリーン&フローラルの小ぎれいなフェミニンさに、どこか不穏なテイストを醸し出しているよう。インドールっぽいように感じるのはこのスパイスではないかと思う。

トップで濃厚に花々が香り立つせいか。ミドルはどちらかというと、グリーンなさっぱりした香りが前面に出て、その背後にチュベローズ&フリージアが漂っている感じで流れていく。何度も鼻を近づけていると、確実に鼻が利かなくなる強烈な強さ。このへんは、オリジナルのプワゾンゆずり。どうしてどうして優しくはない。

それでも、甘くて暗い闇の世界へ誘うような元祖プワゾンに比べれば、これはまるで正反対。さながら昼に用いる対の香り。たぶんそういう位置づけなのだろう。2作目として発売された黄緑のタンドゥル・プワゾンはデイタイムに、そしてアフター5には濃厚な紫の毒を用いるというような。発売当時はそんなコンセプトだったのではないだろうか。

ラストは、石鹸様の香りが強く主張してくる。タンドゥルが多くの女性に人気があるのは、このミドルからラストにかけての穏やかな香りを好む方が多いせいかも知れない。フローラル&グリーンが減衰していくと、ラストはムスクが強く表出してきて混じり合う。これは濃密な花の蜜を混ぜた石鹸の香りだ。昔から石鹸は合成ムスクで香り付けされてきた経緯があるので、「石鹸の匂い=合成ムスクの香り」という場合が多い。タンドゥルには、ベースにかなりの量のムスクが配合されているように思う。このムスクが強く出てくる頃には不思議な苦みも消え、ただただ湯上りの肌から香り立つ清潔なシャボンの匂いに、ふくよかなチュベローズととろけるようなハニーノートが効いてくる。このあたりの残香が、女性には安心感とリラックス感を与えるのだろう。女性らしさと清潔さ、スッキリした感じが強く出てくるラストだ。

持続時間はとても長い。8〜10時間近くも残り香が漂う。トワレでもこの賦香率だ。間違っても手首やうなじなど、肌を露出している部分には付けてはいけない強さ。これは、初代プワゾンを作らせたモーリス・ロジェが、YSLのオピウムの大ヒットに対抗するために「今までになく持続する香りを作れ」という指示を調香師エドゥアール・フレシェに出していたからと言われている。優しい毒とは言いつつも、フレシェはこの点に関してはオリジナル同様の強烈な残香性を継承している。

付け方はウェストや内ももに1〜2プッシュ、これだけで十分だ。体温で温められた香りが上へ揮発していく間に、自然に柔らかくなっていって服の間からほのかに漂っていくことだろう。そんな上手な付け方をしたときのタンドゥル・プワゾンはかなりヤバい香りだ。誰かがフラフラとついてきても責任はもてない。

タンドゥル・プワゾン。それは、ほんのり甘くかぐわしい、花の蜜とシャボンの香りの誘惑。その優しさに柔らかく心うばわれ、人はいつしか緑の毒に体を染められてゆく。

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シャネル / ガブリエル シャネル オードゥ パルファム (ヴァポリザター)

シャネル

ガブリエル シャネル オードゥ パルファム (ヴァポリザター)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:35ml・11,550円 / 50ml・16,500円 / 100ml・23,100円発売日:2017/9/1 (2018/4/20追加発売)

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4購入品

2017/10/21 14:30:58

起きなさい、ガブリエル。もう起床時刻よ。

12歳のときに母を亡くし、父にも捨てられ、多感な時期を孤児院で過ごしたガブリエル・シャネル。彼女は毎朝、修道院の窓の外から差しこむ日差しで目覚めるとき、何を思ったろうか。

シャネルのガブリエル・オードパルファムは、4代目調香師となったオリヴィエ・ポルジュが、満を持して発表したシグネイチャー・フレグランスだ。14年ぶりとなるこの新しい香りの名前は、ココ・シャネルの本名、ガブリエル・ボヌール・シャネルからきている。極薄の美しいスクゥエアボトルに収まった金色の液体、それは一体どんな香りなのか?

半マットのゴールドメタルキャップを外してスプレーする。スプレーチューブは、昨今流行の極細タイプ。液体の中にあってもほとんど見えないという優れものの半面、ゆっくりスプレーボタンを押すと、液体が細い水流状に出てしまうので、押し方には注意が必要だ。

トップの香りは、酸味と苦みが印象的なグレープフルーツの風。その下からはかなげなジャスミンが柔らかく香ってくる。朝の光を感じさせるような、さっぱりした明るいオープニングだ。体温高めの自分の肌では、酸味と苦みはすぐに消えて、こんもりクリーミーなジャスミンと綿あめのような甘さが広がってくる。この甘さはブラックカラントのようだ。

やがて香りは、高音のシトラスから、このフレグランスの真骨頂であるホワイトフローラルブーケに移り変わってくる。このトップからミドルへの変化が、香りのグラデーションになっていてとても美しい。酸味と苦みから甘味へ。スッキリした爽やかさからふくよかな女性らしさへ。さながら少女から女性へと成長していく過程を表現しているかのよう。

ガブリエル・オードパルファムは、シャネルが大切にしてきた「花」を深く追求した作品だという。オリヴィエ・ポルジュはインタビューの中で、「ホワイトフローラルブーケが作りたかった。まばゆいルミナス、太陽のようなフレグランスを。」と語っている。選ばれた4つのキー素材は、チュニジアのオレンジフラワー、エジプトのジャスミン、コモロのイランイラン (シャネル独自の抽出)、そして、グラースで栽培されたチュベローズ。

ミドルで特に感じられるのは、この4つのうち、ジャスミンとチュベローズだ。ただ日によって異なる。これまでのシャネル作品のような濃厚さではないものの、イランイランぽい低いエキゾティックな香りがしてドキリとすることもある。これらの花々のエキスはおそらく本当にシャネルが自信をもっている特別な香料なのだろう。特にチュベローズ。チュベローズはもともと動物の尿のような強いサブファセットも持ち併せているけれど、ここで初めて使用されたというグラース産のチュベローズは、ベルベットのように艶やかでなめらかだ。

ラストは、ややソーピーなツンとしたホワイトムスクが出てきてフェイドアウト。シングルフローラルとも言われるが、付けてから3時間ほどするとかなりホワイトムスク系の渋みは感じられ、変化してくる。ちょっとメンズっぽく感じるラストだ。全体で3〜5時間で消えていく。

ガブリエルは、シャネルならではの贅沢な花のエキスを調合して作られたホワイト・フローラル・ブーケだ。オリヴィエはジャスミンを基調としつつ、そこに新しいチュベローズを配合することで、これまでの世界にはない新しい花の香りを創造しようとした。ただ、そこにガブリエル自身のドラマはなかったように思う。

3代目調香師であり、父でもあるジャック・ポルジュは、いつも丹念にココ・シャネルの言葉、作品、暮らし方をなぞり、そこからインスピレーションを得て香りを創作した。だが、オリヴィエは異なる。彼は言う。「次はホワイト・フローラル・ブーケが作りたかった。ガブリエルというのは創作インスピレーションの源ではない。後から自然におりてきた」と。

自分はそこが残念だった。香料はすばらしい。ただこの香りにはこれまでシャネルのどの作品にもあった「顔」と強さがない。それは、ガブリエルという女性からイメージした作品でなく、まず香りありきで作られたせいかも知れない。もしどこにでもありがちなフローラルと感じたなら、これはもうシャネルじゃない。

母が生きていたら…。孤児院の貧乏生活から這い出る日を待ちわびていたガブリエルは、きっとそう思ったことだろう。痛くて、辛くて、憎しみに囚われていたガブリエル。それが彼女自身の生きていく強さにつながっていったであろうことは想像に難くないけれど。

だから、何度も思ったはずだ。朝の光を受けて目覚めるとき、母が幼い頃の自分にかけたであろう太陽のようなまなざしと優しい声を。

さあ起きて、ガブリエル。私の可愛い子。

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ゆきゆき21号さん
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Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン) / イングリッシュ ペアー & フリージア コロン

Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン)

イングリッシュ ペアー & フリージア コロン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:30ml・11,000円 / 50ml・15,510円 / 100ml・21,560円発売日:2010/9/3 (2019/7/5追加発売)

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5購入品リピート

2017/7/23 22:14:56

数年に1回、「似合う香水を探したい!」という病気を発症します。
そうして何本も香水を買って、結局放置するという・・・香水というアイテムが好きなのに、香りに弱く、たいていの香りに酔います。
柑橘系が好きだけど、自分の肌ではあっという間に飛び。
どんな香りも自分がつけると最後はとってもムスクっぽい匂いになるのですが(そもそも最後にムスクよりの香りになる香水が多いせいもあると思うのですが)、私はムスクの香りが嫌い・・・。
フローラル系の香りは人がつけていると「女性っぽくていいな」と思うのですが、自分がつけるとどうもなじまない。
過敏性腸症候群持ちなので、1週間に何回かは腹痛で脂汗をかくことがあり、その時に邪魔になるような香りは使えない・・・。
わがまま言うな!もう香りものは諦めろ!と自分でツッコミを入れたいくらいなのですが、まあ、手に入らないものこそ憧れてしまうものなのです。<言い訳?

本当に長いこと「アクアディジオ」(アルマーニ)を使ってきて、3年くらい前に急にその香りが香らなくなり(体質が変わったのだろうか)、その後廃盤になって後生大事にとっておいた「インラブアゲイン」(イブサンローラン)を使ってきました。
時々、妹のお下がりのエリジウム(クラランス。これも廃盤の香りです)
これらは私でも大丈夫な香りです。

でもほかに何かないか(廃盤ばっかりだし)と思って、モルトンブラウンの香りを買ってみたり、友達が使っていてとても素敵に香っていたエタニティを買ってみたり、柑橘系では奇跡的に香りが長持ちするというアトリエコロンのオレンジの香りを買ってみたり・・・。
うーむ。香りって難しいなあ。

この香りに行きついたのは、待ち合わせまでに時間があったので、たまたま伊勢丹に行き、接客がいっぱいでたまたま試すことができたからです。(おしゃれすぎて怖いので、こそっと香りをかぐ)
ここの口コミを参考に、ブラックベリーを試したのですが、その時に一緒にこの香りをムエットに吹き付けて嗅ぎ、カバンに入れました。
そのあと宴会に出て、帰りにカバンを持ち上げたら、なんだか中からすごくいい香りがする。
なんだこりゃ。あっ、あの時の!

もともとフリージアの香りは好きで、アントにアズフラワーも買ったことがあります。
ただ、先ほども書いたように自分にしっくりくるかというと別で・・・結局ほとんど使えませんでした。
この香りは洋梨が入っているせいか、もう少し柔らかい感じ。
これなら使えるかも!

思わず飛びつきそうになりましたが、いやいや、今までこれで何回も失敗しているではないか。
いったん、量り売りを購入して使ってみることにしました。
香りものって、つけて何日か付き合ってみないとわからない。

1週間程度使いました。
私の場合、この香りはずーっと洋梨の香りがします。
ムエットで嗅いだフリージアの香りは、私の肌の上ではほとんど香りません。
最初から最後までずーっと洋梨。
感心するくらい洋梨です。(何回「洋梨」というのか)
持続時間は短いと聞いていましたが、服の下につけているせいか(どんな香りも、たいてい太ももにつけています。香害になるより時々自分で「あっ」と思う程度で十分かなと思うので・・・)朝つけて、帰ってくるくらいまでなんとなく香っています。

期待していた香りとは違ったものの、使っているうちになんだか癖になってきました。
果物の香りは美味しそうだし、気持ちが明るくなります。
1週間くらい使ってほぼなくなったので、とりあえず30ミリを購入しました。

香りとの付き合い方について、色々気づかせてくれたので、星は★5つで。
これからじっくり付き合ってみようと思います。


★なお、買う前に再びお店に行ってみました。
うろうろしてたら店員さんが声をかけてくれたので勇気を出して相談したところ、「柑橘系の香りがお好きなら、さっぱりした系統の香りがお好きなのでは・・・」と色々提案してくれました。
また、この香りに合う香りとして「チューベローズアンジェリカ」を勧めてくれました。
自分の選択肢には全くなかった香りだったのですが、とても雰囲気がある香りで、感心。目先が広がりました。
少し様子を見て考えたい旨伝えたところ、少しもイヤな顔をせず、試したムエットすべてを別々にジップロックのようなもの(香りが移らないように)に詰めてくれてびっくり。1つや2つではなかったので・・・。
私は気が小さくて人がいないときにコソ泥のようにものを試すことが多いのですが、素晴らしい接客で、香りを試す楽しみが味わえました。嬉しかったです。

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トム フォード ビューティ / ウード・ウッド オード パルファム スプレィ

トム フォード ビューティ

ウード・ウッド オード パルファム スプレィ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:10ml・12,100円 / 30ml・25,850円 / 50ml・38,500円発売日:2012/10/24 (2023/6/2追加発売)

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4購入品

2017/1/7 22:38:38

ウードウッドは、ずるい香りだ。トップから薬漬けのセロリみたいな香りがするのに、2007年の登場以来、世界中で売れ続けている。かなりマスキュリンでウッディな香りなのに、男女問わずセレブがこぞって買っている。さらに、50mlボトルが28080円(税込)もするのに、セレブじゃない方々も買っていく。一体なぜこの香りはこんなに売れているのか?

ウードウッドは、トム・フォードが2007年にリリースした「香りの実験室」ともいうべきプライベートブレンドシリーズ最初の12本のうちの一つ。それまでのシグネーチャーラインから一線を画したこれらの作品群は、香水愛好家のみならず、世界中のセレブも巻き込んで大きな話題となった。「チャン・グンソク氏のセカンドバッグの中身拝見!」という意図不明な雑誌の企画で、バッグの中にネロリ・ポルトフィーノ様がやけにドヤ顔で鎮座されていたのもこの頃だ。(←誰の仕込み?)(←やめろ)

このシリーズが世界的にヒットした背景にはさまざまな理由があると思うが、最も大きな理由は「よりプライベートに、よりラグジュアリーに」と、香水の付加価値を高めたことに依るものだろう。具体的には、フレグランス・コンバイニング(重ね付け)で一世を風靡していたジョー・マローンのアイディアを、より高級感あふれる濃厚なオードパルファンで提案したことではないだろうか。

ジョー・マローンのコロンの香りやボトルは、みずみずしさや透明感が特徴だ。これに対し、プライベートブレンドは、香りも濃厚、ボトルも薬瓶を思わせるダークでスクウェアなデザインにし、ゴールドラベルなどを配する対極的な位置づけでヒットした。後年、ジョー・マローンがブラックボトルのコロン・インテンス・シリーズを発売したが、そこにはプライベートブレンドの逆影響が少なからずあっただろう。そしてそのインセンスブームの火付け役となった香りこそ、このウード・ウッドだった。

ウードウッドは、トム・フォードが実際に訪れたブータン王国で出会った香りをモチーフにして作られた。ブータンはチベット仏教の地で、断崖絶壁の上に建つタクツァン僧院などが有名だ。この香りは、発売されるやいなや、日常的にウードを用いる中東で人気を博し、ドバイなどではセレブの御用達となり、世界的ウードブームをけん引することとなった。

では、そんなウードウッドはどんな香りかというと。

ウードウッドのトップは、スパイシーなセロリのような香りで始まる。苦みのきいた漢方薬セロリ風味。ラルチザンのゾンカもまた、クリーミーなタッチのセロリ風のトップをもっているが、ゾンカに比べるとウードウッドは、最初から低くウッディなベース香が広がってくる。さながら茶色の薬湯の匂いを思わせる雰囲気だ。それでも奥からスッキリとした清涼感のような酸味が流れていて、確かに複雑な五味を感じさせるトップ。

やがて3分もすると、薬草っぽい苦みや酸味はうすらいできて、じわじわと暗くて低いウッディな雰囲気になってくる。トップがガツンときて好き嫌いが分かれそうだが、ミドルは、ソフトレザーのようなアニマリックな香りも出てきて、木の香ばしさが増してくる。キンとしたセロリ風の香りが高いところで鳴っていて、ローズウッドなどのウッディと同時に香っている印象。濃厚で温かみのある木々の香りが、刻々とさまざまな表情を見せて心地よい。この思いきり焦げ茶色なウッディの香りが、大体5時間ほど静かに続く。

ラストは、ほんのりスパイシーに変化する。ペッパーの辛みが出てドライな香りになり、その後にほんのり甘いクリーミーなヴァニラノートが残る。このお香とミックスされた淡いヴァニラがフェードアウトするまで、約8時間ほども続く。

プライベートブレンドの一本一本は、あらかじめレイヤリングを考慮して、シングルノート風に作られている。このウードウッドは、通常の香水でベースノートに使用される分子の重たい香料ばかりが配合されている。だから、ライトな柑橘やフルーツ香、フェミニンなフローラルなどを上からレイヤリングすると、香り全体に深みとエッジが効いておもしろいと思う。ちなみに上からネロリ・ポルトフィーノを重ねたら、柑橘やネロリ、ジャスミンがより強調されて、とてもしっとりとしたいい感じになった。

欠点を挙げるとすれば、やはり値段の高さだ。正直、この香りでこの値段は高すぎる。ただこのボトルはコレクション欲を刺激してやまない。で、ジレンマに苦しむ。(←で、買う)

柔らかくスモーキーな樹脂の匂いとウッディの香ばしさ。それらが、ときに苦く、ときに辛みや酸味を帯びて、少しずつ表情を変えながら立ち上る香り。それは偶然の積み重ねにより奇跡のようにこの世に生まれた、貴重なウードの煙る香り。

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ル ラボ / GAIAC 10

ル ラボ

GAIAC 10

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:1.5ml・1,650円 / 15ml・18,480円 / 50ml・40,920円 / 100ml・66,000円発売日:2008年

7購入品

2017/10/2 23:49:53


私がルラボに強い興味を感じたのは、ネットで創業者のエディ・ロスキーのインタビューを読んだ時に、彼が日本人というアイデンティティを実に的確に捉えていたからだ。
特に、彼自身が実際に体験したという華道について、ただ花を観るという結果だけではなく、そこに辿り着くまでのステップバイステップというプロセスをすごく大事にしていることを、とてもいい文化だと感じた、その感性に興味を持った。
さらに2007年、創業の地ニューヨークにつづく2店舗目の路面店を、パリやロンドンでなく、正直、ほとんどフレグランスが売れないこの日本(代官山)を選んだことに、思いっきり好感を抱いた。

ガイアック10はそんな日本を象徴した、東京限定の香り。2008年発売。

この香りは禁断の香りだと思う。
なぜなら、ガイアック10のコンセプトは、賦香率が30%とパルファム級に高いも関わらず、その香りは周囲にフレグランスを付けている印象を与えないくらい、繊細さや気遣いをキーワードにしているからだ。
それくらい香りが優しく肌になじむため、“スキンパフューム”と呼ばれているとのこと。
このフレグランスを理解するには、時間と知識も必要になってくるとのこと。

こういう香りに触れて、こういう香りを理解してしまうと、もう後戻りできないのでは、と距離を置いていたが、何回か店頭で試しているうちに、ついに我慢できず買ってしまった。

ガイアック10にはトップが存在しない。店頭でムエットにつけても、繊細すぎて店内にあるさまざま香りに埋もれてしまい、ほとんど香りを感じ取れないため、外で香りを嗅いでくださいと言われるほど。

実際には、アルコール臭が飛んだ後、ガイアックの少しだけスパイシーで、硬さのあるウッディ感に、ウエットなムスクが合わさった、スモーキーなウッディ・ムスキーな香り。
スモーキーな中に、少しずつオリバナムのミルキなー酸味が加わり、透明感、清潔感が増していく。
2時間ほど経つと、ガイアックとセダーウッドのドライなウッディ感が増して、さらにオリバナムの酸味がアクセントになることで、柔らかいムスクに沈むことなく、硬いウッディが香る。付けてから2時間くらいは至福の時間を味わうことができる。

さらに2時間ほど経つと、オリバナムが弱まり、ウッディの余韻と、柔らかいムスクの香り。その後は儚げなムスクの香りが6時間以上続く。
男性にはムスクの香りに気づきにくい人が多いという。もしかすると、ウッディが抜けた後のムスクの残香が分からないのではと感じてしまうくらい、柔らかいムスクの香り。
そもそも香り立ちもソフトなため、両腕に1プッシュずつだと、周囲の人にほぼ気付かれないレベルだ。

このフレグランスの主役は、何と言ってもガイアックウッドとオリバナムだと思う。
ガイアックウッドのスモーキーで、バニラのようなふくよかな甘さのある香りは、人をリラックスさせ、身をゆだねるような気分にさせるため、瞑想をするときに役立ち、神経の緊張を和らげる作用があるとのこと。
また、オリバナムはフランキンセンス、和名では乳香といい、柑橘系の酸味と、樹脂のクリーミーな甘さを合わせたような香り。古代エジプト時代から、その金色の樹脂を焚いて、不安や緊張、強迫観念を取り去るために使用していたとのこと。
このガイアックウッドとオリバナムを、上質なムスクがフレグランスとしてまとめ上げたような香りだ。

個人的には、ムスクに包み込まれてしまう手前の、ガイアックとオリバナムが肌に寄り添って、安らかな癒しを与えてくれるところまでが好みだ。

トップに効く香りもなく、賦香率も高く、アルコールが少ないため、香りはほとんど拡散しない。電車などで近くにフレグランスを付けている人がいると、完全に負けてしまう。鼻に刺さってこない香り。

周囲に気付かれず、自分だけが柔らかくて、少しだけ甘さのあるウッディに包まれているようで、完全に自己満足の世界。贅沢なフレグランスだと思う。

しかし、フレグランスが好きな人間としては、この素晴らしい香りを、少しだけ広範囲に、少しだけ強く香ってほしいと願ってしまう。

いや違う、このフレグランスのコンセプトはそうじゃない。このフレグランスを理解するのには、もう少し時間と知識が必要だと感じる。

まだまだ理解するところまでは至っていないが、周囲に香りを拡散せずに、過度なストレスから安らぎ感を得て、自分自身をリセットするための香り。少しずつではあるけど、こういう香りがあってもいいのではと理解しはじめている。

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鳥の音さん
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プロフィール
  • 年齢・・・51歳
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  • 髪量・・・少ない
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  • 血液型・・・B型
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  • 音楽鑑賞
  • 映画鑑賞
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  • お酒

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自己紹介

ご訪問いただき大変ありがとうございます♪ 様々な年齢の壁・敏感肌・ニキビ等と日々戦う40代でございます。 肌トラブルとは常に闘ってきました… 続きをみる

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